中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

休日の本棚 思考実験

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おはようございます。

今日から3連休、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、大阪ー兵庫間の往来自粛が呼びかけられました。どれほどの効果が期待できるのか、疑問がありますが、こんな時こそ本でも読み、色々考えてみましょう。

今日は、北村良子著「論理的思考力を鍛える33の思考実験」(彩図社)を取り上げます。思考実験とは、「ある特定の条件の下で考えを深め、頭の中で推論を重ねながら自分なりの結論を導き出していく、思考による実験」のことです。時間や場所を選ばず、道具もいらず、改めて自分を知るきっかけにもなり、脳トレにもなります。ビジネスの場で欠かせない論理的思考力を鍛えるためにも役立ちます。本書では、倫理観を揺さぶる思考実験、矛盾が絡みつくパラドックス、数字と現実の不一致を味わう思考実験、不条理な世の中を生き抜くための思考実験で計33の思考実験が用意されています。この思考実験を行っているうちに自然と論理的思考力が鍛えられ、新たな発見や気づきが生まれるように思います。いくつかの思考実験を挙げます(簡略化していますが)。考えてみてください。

  1. ロッコ問題①=トロッコが猛スピードで暴走しています。その先に5人の作業員がいます。このままでは5人はトロッコに引かれて死亡します。あなたの前に線路の切り替え装置があり、あなたが線路を切り替えれば5人は助かります。しかし、切り替えた線路の先には1人の作業員がいてこの1人は死亡します。あなたは1人を犠牲にして5人を助けるために切り替えますか?多数派の意見は、5人を助けるために切り替えるといいます。あなたもそうですか?では、切り替えた先にいる1人があなたの身内ではどうですか?これは有名な哲学問題です。考えてみてください。
  2. ロッコ問題②=あなたは線路上の橋の上にいます。トロッコが暴走し線路の先には5人の作業員がいます。このままでは5人はトロッコにひかれて死亡します。あなたの横にはかなりの巨漢で重そうなリュックを背負った男がいます。この男を線路上に突き落とせば5人を助けることが出来ます。この大男を突き落とし1人を犠牲にして5人を助けますか?ここでの多数派はこの大男を突き落とさないというのです。あなたはどうですか?トロッコ問題①との違いは何ですか?
  3. ロッコ問題の応用=<問題1>5人の臓器移植が必要な重症患者(必要な臓器はすべて異なります)がいます。あなたは医師です。あなたの前に健康な人が健康診断に来ました。この人を安楽死させ臓器を取り出し5人に移植すれば5人は助かります。1人を犠牲にして5人助けることが出来るのです。さあ、どうしますか?<問題2>1人の重症患者と5人の軽症患者がいます。今、5錠の薬しかありません。重症患者を助けるには5錠全部必要で、軽症患者は1人1錠で助かります。さあ、あなたはどうしますか?もし、重症患者が総理大臣で5錠の薬は総理のために用意されたものだとしたらどうですか?
  4. 祖父殺しのパラドックス=あなたはタイムマシンに乗って過去に行き、祖母と結婚する前の祖父を殺します。そうするとあなたの父親は生まれることはなく、父親と母親が出会うこともなくあなたが生まれることはありません。ではあなたはどうなるのでしょうか?あなたは生まれないのでタイムマシンに乗って過去に行き祖父を殺すことはできません。そうすると祖父は死なないので父が生まれ母と結婚しあなたが生まれ・・・これは有名な物理学の問題です。物理学ではいろいろな考え方があります。自分なりに考えてみてください。
  5. ギャンブラーの葛藤=カジノでルーレットをしています。ここ8回ルーレットで赤ばかり出ています。流石に次は黒だろう。だが、9回目も赤が出ました。では10回目はどうでしょう。黒が出る確率は赤が出る確率よりも高いのでしょうか?
  6. ありえない計算式=1÷3=1/3=0.3333…  1/3×3=1 0.33333…×3=0.9999… 1=0・99999…? どうしてこうなるのか考えてみてください。
  7. 生きるための答えを探す=男があなたに銃口を向けては言いました。「お前にチャンスをやろう。私が今からすることを当てることが出来たらお前を殺さない」さてあなたはどう答えますか?「あなたは私を殺す」と答えますか?正解は「あなたは私を殺さない」です。どうしてでしょう。

他にもいろいろな思考実験が載っています、面白いです。自分の頭で考えてみてください。

さて、考えるとはどういうことでしょうか?外山滋比古著「考えるとはどういうことか」(集英社)では外山流・思考術について語られています。外山氏は、「知るということと、物を考えることとは全く違います。それどころか両者は仲が悪いのでないかと考えられます」と言っています。その通りだと思います。知識があることと思考力があるということとは別問題です。むしろ知識が邪魔をして思考を遮るように思います。思考とは、「余計なもののない、整理された頭を自由に働かせること」です。思考には目的思考を自由思考があります。目的思考は与えられた課題や問題について考える思考で、自由思考は縛られることなく全く自由に頭を働かせることです。この自由思考が時に発明や発見をもたらすのです。これは子供の自由な発想です。子供でなくなった大人の人間が自由思考をするのはなかなか難しいですが、時に童心に帰って自由な発想で物事を見るのは良いのではないかと思います。 

 

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しょぼい!現金給付案

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おはようございます。

昨日、「経済を回そう」で、経済対策として現金(商品券)10万円支給について書きました。政府でも現金支給案が浮上したようですが、その金額が、なんと1万2000円をベースにということのようです。リーマンショックの時に支給された金額が基本1万2000円でした。本当にしょぼい!何を考えているのか理解に苦しみます。経済を本当に立て直し回していこうという気概が感じられません。1人当たり1万2000円で経済にどれほどの影響を与えられるでしょうか?結局は人気取りのバラマキで終わってしまいます。リーマンショックの時がそうでした。また同じ轍を踏むつもりですか?情けなくなります。香港は18歳以上に1人当たり1万香港ドル(約14万円)、オーストラリアも1人当たり約5万円の現金支給を検討していると言います。また、アメリカは現金支給を含めた1兆ドルの景気対策を検討し、ムニューシン財務長官は「国民は現金を必要としている。(トランプ)大統領は今現金を支給したいと思っている。今というのは2週間以内のことだ」と述べています。現金支給の金額も1万2000円というケチな金額ではないでしょう。

政府、安倍政権はこれから現金支給を検討し、実施するとしたら早くて5月、6月といったところでしょうか?「2週間以内に現金支給する」と言っているトランプとはえらい違いです。

昨日も書きましたが1人当たり10万円なら12兆円でできます。消費税を0%にするという案もあります。消費税を0%にして失われる消費税額は年間約22兆円です。それを使うならば香港と同額の14万円程度の現金支給は十分可能です。ケチケチしないで経済を回すことに全力を注いでもらいたいものです。

どのような現金支給になるのかお手並み拝見です。

今日は、現代ビジネスの「コロナ大不況、倒産寸前の零細企業を『悪徳業者』が襲っている」を取り上げます。

政府は、新型コロナウイルス感染症特別貸付、特別利子補給制度を実施していますが、量が十分でなくスピード感がないために、相談が殺到して順番待ち、融資が下りるまでに期間がかかり、融資実行までに資金ショートするような事態になっています。こうした中で出てくるのが「悪徳業者」です。彼らは、「今日・明日のカネ」に困っている中小・零細企業にとりついて一儲けしようと企んでいます。それが、ファクタリングを真似た違法貸付です。ファクタリングとは、企業から売掛債権を買い取り、売掛債権の管理や改修を行う金融サービスのことです。売掛金の早期現金化が図られ資金繰りに悩んでいる会社や経営者にとっては魅力的なサービスで、それ自体は違法ではありません。実態は事業貸付なのにファクタリングを装い利息制限法の上限を超える金利をとる業者が横行し、さらに反社会的勢力と手を組んで高金利で荒っぽい回収を行う悪徳業者がいます。これが問題です。

安倍首相は、「必要かつ十分な経済対策を、間髪を入れずに実現する」と言いますが、最も困っている中小・零細企業に対する経済対策は不十分というより全くなされていません。先日も書きました新型コロナウイルス感染症特別貸付や特別利子補給制度には要件がありこの要件を満たさない企業は貸付を受けられません。この融資を受けられないのはほとんど中小・零細企業です。そして、これら「利用できない層」を食い物にしようとしているのが「悪徳業者」です。

中小・零細企業がファクタリングをする・融資を受けるという点はやむを得ないように思いますが、悪徳業者に関わると骨の髄まで搾り取られ全財産を失うことにもなりかねません。利用しないに越したことはありません。万が一ファクタリングするとか事業資金を借りる場合、一応名の知られた業者をしっかりと選別し、一時しのぎとしてだけ利用しできるだけ早く返済するようにしてください。

今回の新型コロナウイルスの社会・経済への影響は、従前の経済対策や救済では対処できないようになってきています。政府も「従来の政策や救済では救われない層」が存在することを認識し、更に迅速かつ十分は対策を採るようにしてもらいたいものです。何事においても対応が遅すぎます。林先生ではありませんが、やるのは「今でしょ!」 

 

  

 

 

経済を回そう

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おはようございます。また、新型コロナウイルス関連です。

2月24日、政府の専門家会議が「1~2週間が急速な拡大か終息かの瀬戸際」との警鐘を鳴らしましたが、現在のところ爆発的な感染拡大は起こっていないもののピークを越えたとは言えない状況が続いています。知事が「緊急事態宣言」を出した北海道では昨日新たな感染者がゼロになるなど落ち着いてきていますが、愛知、兵庫、大阪でクラスター感染が拡大しており予断を許さない状況です。

新型コロナウイルスに伴う経済への打撃は極めて深刻です。インバウンド消費の減少だけでなく自粛ムードに伴う国内消費減少が追い打ちをかけています。そしてそれは地方経済にも大きな影響を与えています。まさに日本経済自体が新型肺炎にかかっているような状況です。経済を立て直すには消費を拡大して経済を回していくしかありません。

今日はダイヤモンド・オンラインの「『経済を止めるな』『経済を回そう』の波を起こそう」という記事を取り上げます。私も、これまで「日本経済を回さないといけない」「消費を上げないといけない」ということを書いてきました。この記事は、投資家・ファンドマネジャーの藤田英人氏が「日本経済を回すためにどうすればいいか」について語っています。藤田氏の考えについて触れて私の考えも示していきます。

  1. 「外食産業など今、キャッシュフローに困っているお店が、1割引きくらいで4月以降のお店での入店のお食事券をネットで販売できないかなあ。未来の席の販売です。ホテルやアミューズメント施設、映画、コンサート、野球など色々できそうです」・・・確かにこの考えでは店側は当面のキャッシュを手に入れることができ、客は落ち着いたのちに廉価で店に行く楽しみができます。でも不十分です。1割の値引きくらいではそれほど購入者は増えないように思います。藤田氏の考えをさらに推し進めて、3割引き位の廉価で販売し、その値引き分の一定割合(例えば半分)を政府が補助するというほうが購入者が増えキャッシュは回ります。
  2. 新型コロナウイルスの影響に対する支援プログラム。クラウドファンディングのほか様々な形での支援が出てきています」・・・例えば、休校に伴い使われなくなった給食食材の通販サイトが全国にできています。「新型コロナで困っています」出荷できない食品を支援するアプリ(ポケットマルシェ)もあります。これは、既存の流通が機能不全に陥っているので直接、生産者と消費者をつなげることで経済を回していくという仕組みです。こうした運動やサイトを増やしていきましょう。
  3. 「使ったお金は誰かの給料になり、私たちのエル給料も誰かが使ったお金です」「お金は自分のために使うのではなく使い方次第で他の人を幸せにすることもできます」「無自覚なお金の使い方はやめましょう」「お金を使うという行為を未来につなげるには意識的にお金を使う必要があります」「消費=応援 応援するという気持ちで商品を購入しお金を支払おう」・・・その通りですが、なかなか難しいですね。困っている人を助けるという意味でお金を使うのはいいことですが、人間というものは本来的に自分勝手にできています。なかなか利他という点だけでは動けないものです。2.で述べた給食食材の通販サイトを利用すれば、通常より安い価格で購入できますし、送料は国が負担するようになっています。お得ですし人の役にも立つということです。自分が得して他人にも良いというなら利用者は増えます。

マスクやトイレットペーパーなどの高額転売をする輩がいる半面、新型コロナウイルスの影響を受けたものに対する支援の輪が広がり絆ができていることも事実です。まだまだ捨てたものではありません。経済を回すのは大企業ではありません。中小企業、さらには一人一人の個人の力です。一人一人の消費によって中小企業が潤い、中小企業の消費によって大企業が潤うのです。大企業が潤うことで一人一人が潤うのです。経済が回るということはこうした経済の輪ができてそれが回っていくことです。

さて、今、第三弾の金融経済対策について色々取りざたされています。

まずは、消費税の減税案です。消費税率を一時的に5%にする案や0%にする案などがあります。しかし、どれほどの効果が期待できるかは不明です。消費税率が下がったからと言って大量にモノを購入するでしょうか?先行きが不透明な中で消費を控えるというのが消費者行動です。消費税が下がったからと言って消費が増えるとは思えません。

次は、現金支給案です。国民一人当たり10万円支給するという案です。こうした現金支給政策は香港やシンガポールで効果を上げているようです。しかし、現金支給ということになると、消費に回されず貯蓄に回される可能性があります。消費を上げて経済を回すという点からすれば、商品券として使用期間を3~6か月くらいにするのが良いように思います。これなら数か月以内に市場に出ます。そして12兆円で可能です。先日の黒田日銀総裁は会見で12兆円を上限にETF(上場投資信託)の買い入れを倍増すると発表しました。これと同じ金額で経済を回すことができETF以上に大きな効果が期待できるように思います。

第三弾の金融経済対策に期待しましょう。

 

 

 

新型コロナウイルス感染症特別貸付 特別利子補給制度

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おはようございます。

昨日、トランプ大統領アメリカが新型コロナウイルス対策として大胆な政策を打ち出したということを書きましたが、かえって景気不安が強まりNY株式市場は過去最大の下げ幅となってしまいました。日本においても、日銀が前倒しで金融政策決定会議を開き、FTF(上場投資信託)の購入枠を6兆円から12兆円に倍増することを決め、黒田日銀総裁が記者会見を行い、「現時点で必要かつ十分な措置はとった」「必要があれば躊躇なく追加的な緩和措置をとる」と強調しました。しかし、日本においても株価は下落し続けています。

今回はリーマンショックの時と異なり「経済不安を抑え込めば景気は回復する」といった問題ではなかったのです。今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴う市場の混乱は金融不安が発端ではなく、人の移動制限や自粛に伴う実体経済の悪化が原因です。小手先だけで金融緩和を行ったとしても、根本問題を解決しない限り市場は反応しないということでしょうか。今必要なのは新型コロナウイルス感染拡大防止策と経済政策とのバランスです。そして経済政策で必要なのは消費を上げることです。いくら日銀が緩和政策をとってもカネが回らなければ景気は回復しません。いつまでも全国一律に「自粛・自粛」と言って縛るのではなく、自粛すべきものと自粛の必要のないものとをしっかりと区分けして経済を回していくことだ大事だと思います。そして経済を回すには、特に経営が落ち込み経営不安を抱いている中小企業に迅速かつ十分な支援策を講ずることが重要だと思います。日本の企業のうち99.7%は中小企業ですし、全労働者の約69%が中小企業で働いています。中小企業及び中小企業従業員に対する施策をしっかりと行わない限り日本経済の立ち直りは望めません。

今日(3/17)から、日本政策金融公庫と沖縄復興開発金融公庫において、実質的に無利子・無担保で融資が受けられる特別貸付制度が始まります。「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の融資を受けた事業者が「特別利子補給制度」の適用を受けることで、実質3年間金利0%で融資が受けられるというものです。

特別貸付では最大中小企業では3億円、国民事業(個人事業者・小規模事業者)では6000万円の融資を受けることが可能ですが、特別利子補給制度の適用上限が中小企業で1億円、国民事業で3000万円となっています。

新型コロナウイルス感染症特別貸付の融資対象者は次のいずれかの状況に該当している方です。個人事業主フリーランスの小規模事業者には、定性的な説明でも柔軟に対応してくれるということです。

  1. 1年以上の業歴で、直近1か月の売上が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少している方
  2. 3か月以上1年未満の業歴で、直近1か月の売上が次のいずれかと比較して5%以上減少している方…①過去3か月の平均売上高 ②令和元年12月の売上高 ③令和元年10月~12月の売上平均額

この特別貸付では、中小企業の場合、金利は当初3年0.21%、4年目以降1.11%、国民事業の場合、金利は当初3年0.46%、4年目以降1.36%となっています。

特別利子補給制度の適用を受ければ、上記3年までの金利が実質0となるのです。この特別利子補給制度は、今回の新型コロナウイルス感染症特別貸付により貸付を行った中小企業のうち、特に影響の大きいフリーランスを含む事業主、また売上が激減した事業者などに対して実施される日本政策金融公庫等の資金繰り支援です。特別利子補給を受けるためには次の要件を満たす必要があります。

  1. 個人事業主フリーランスを含み小規模に限る):要件なし
  2. 小規模事業者(法人事業者):売上高15%減
  3. 中小企業者(1.2を除く事業者):売上高20%減

今回の新型コロナウイルスで資金繰りに困っている中小企業の方は、上記要件に該当するか確認をしてください。また要件に該当しない場合でも各金融機関・各都道府県でも融資を行っていますので相談窓口で相談してみてください。

しかし、はっきり言って中小企業において必要なのは融資ではありません。融資ということは返済しなければならず、返済のめども立たない中小企業は借入に躊躇します。今必要なのは融資ではなく返済の必要がない助成金です。

現在利用できるの助成金として、雇用調整助成金があります。これは経済上の理由により事業規模の縮小を余儀なくされた事業主が雇用の維持を図るための休業手当などに要した費用を助成するものです。新型コロナウイルス感染症への対応として雇用調整助成金について特別措置が講じられ、対象となる事業主の範囲が「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主」に拡大されました。通常は助成対象となるためには事前に休業等計画書を提出する必要がありますが、1月24日以降に初回の休業等がある場合の計画届については5が31日までの事後届け出良いことになりました。中小企業の場合3分の2が助成されます。これでは不十分です。更なる支援が必要です。 

 

  

後継者選び

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おはようございます。

新型コロナウイルスについては、先週末に新型コロナウイルス特措法の成立を受けて、安倍首相が記者会見を行いました。その中で、緊急事態宣言については「現時点で宣言する状態ではない」とし、打撃を受けている経済について『成長w軌道に戻し、国民の笑顔を取り戻すために思い切った策を講じる」「具体的な中身は政府、与党で練り上げたい」と言いつつ具体的な内容については明言を避けました。今必要なのは、感染拡大防止対策と共に経済の落ち込みに対する景気対策、特に迅速かつ充実した内容の中小企業支援対策です。アメリカのトランプ大統領は早急に新型コロナウイルス対策に500億ドル(約5兆4000億円)の支出を可能とする国家非常事態宣言を発動し、さらに83億ドルの緊急予算に追加する形で経済対策を実施することで野党民主党とも合意しました。また、米連邦準備理事会(FRB)は、1.0%の大幅利下げに踏み切り量的緩和も再開しました。一気呵成な対策で新型コロナウイルスを抑え込み、さらに経済の落ち込みをも抑え込もうとしているように思います。

日本の安倍政権がチマチマと小出しにしているのに対し、ここまでやるかというような新型コロナ対策・経済政策を一気に打ち出しています。さすがアメリカ、見習ってもらいたいものです。

さて、新型コロナ関連の話はこれくらいにします。今日は、東洋経済オンラインの「稀代の名経営者ほど『後継者』が決まらない理由」を取り上げます。この記事では、日本電産永守重信会長、ファーストリテイリング柳井正会長、ソフトバンクグループの孫正義会長が取り上げられています。

永守氏は職業訓練大学校電子科卒で音響機器のティアックに就職、28歳で日本電産を創業し、「ヒト、モノ、カネのどれをとっても大企業には勝てる要素はない。あるのは平等に与えられた24時間。だから競争相手の2倍働く」とがむしゃらに働き今日の日本電産を作り上げました。人の採用方法もユニークで「食事が早ければ仕事も早い」と試験会場で弁当を先に食べ終えた順番で採用したり、「大声テスト」や「便所掃除」で人を選んだりしました。そして採用した人を「叱ったり、怒鳴って、ボロクソに言って、皆の前で恥をかくことによって闘争心や反発心を呼び起こす」方法で育てたと言います。永守氏は後継者にも自分と同じようなたたき上げの人材を求めているのです。

柳井氏は、早稲田大学卒業後ジャスコ(現イオンリテール)に入社、9か月後に退社し父親が経営する紳士服小売りの小郡商事に入社します。しかし、青山やAOKIといった郊外型紳士服店の影響を受けるようになったことからカジュアル衣料の販売を思いつきユニクロへと発展していきます。柳井氏は「支持されるリーダーというのは好き嫌いではない。この人の言うことなら聞いてもいいと思える人。そのためには部下に具体的で的確な指示を出せなければなりませんね。経営はぼんやりとした概念や方針じゃ回りません。具体性、個別性がないと経営は上手く行かない」と言っています。柳井氏も自分と同じような人材を後継者に求めています。

孫氏は、カルフォルニア大学卒業。大学時代に自ら開発した自動翻訳機をシャープに売り込み1億円を手にします。コンピュータ卸業を手始めにアメリカのヤフーへの投資、合弁で日本法人のヤフーを設立し大成功をおさめます。その後日本テレコムを買収し通信事業への布石を打ち、ソフトバンクグループを作り上げていきます。孫氏には、壮大なビジョンを掲げてそれを達成するために全力を傾ける人というイメージが出来上がります。後継者にも自分と同じスーパーマン級の理解力、洞察力、実行力を求めているはずです。

彼ら三人は、世襲を求めていません。永守氏は「同族会社を否定しているので息子には譲らない」といい、柳井氏も「絶対に世襲はない」と公言し、孫氏も「60代で引退する」と語っています。

後継者をサラリーマンの中から選ぶのは至難の技です。永守氏、柳井氏、孫氏のようなスーパーマンはサラリーマンの中にはいません。もしそのような人物がいたなら自ら起業して第二の永守氏、柳井氏、孫氏になっているはずです。オーナー経営者の場合、自分の立場は盤石でリスクをとって思い切った決断ができますが、雇われ社長の場合リスクの大きい決断をしたらオーナーに解任されるのではないかと恐れ当たり障りのない決断しかできなくなるのです。

その意味では、世襲というのも後継者選びの一つの選択肢です。例えば、トヨタ自動車豊田章男社は2009年に社長就任後長期政権を樹立し大きな改革を進めていて、世襲の成功例でしょう。

中小企業の場合、どうしても後継者を世襲あるいは身内からというケースが多くなります。この場合、しっかりとした後継者を育成しないと会社の存続、成長が望めません。中小企業の後継者の育成については2019年12/25に書きましたので参考にしてください。また、後継者を社内従業員からという場合はしっかりとした教育を行い、任せることが必要になります。オーナーの顔色を窺い決断できないようでは経営者として失格です。むしろ後継者がなかなか見つからない場合には社内従業員を無理やり社長に据えるのではなくM&Aを利用した事業承継が良いのではないかと思います。こうした点も視野に入れて後継者選びをしてください。 

 

休日の本棚 マッキンゼーを読む。

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おはようございます。今日はビジネスに関する本を紹介します。

マッキンゼー&カンパニーは1920年代に創設されたアメリカに本社を置き、欧州、アジア、南米、東欧等世界60か国に100以上の支社を持つ大手コンサルティング・ファーム、戦略系コンサルティング・ファームです。

ダフ・マクドナルド著「マッキンゼー 世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・ファームの秘密」(ダイヤモンド社)は、世界の頭脳集団といわれ世界中の大企業が頼りとするマッキンゼー&カンパニーの実態に迫ったノンフィクションです。何故、マッキンゼーは経済ビジネスの分野だけでなく、政治や軍事の面でも絶大な影響力を持ち続けているのか?マッキンゼーが関わった企業は本当に業績を上げたのか?「マッキンゼー・マフィア」と呼ばれるマッキンゼー卒業者に何故大企業のCEOが多いのか? 本書はマッキンゼーの生い立ちから変遷、内幕、功績と問題点などを包括的に語り、マッキンゼーが大企業の意思決定にかかわってきただけでなく、アメリカ資本主義そのものの行方を左右してきたことを語る一方で、多くの失敗についても鋭くメスを入れ、結局マッキンゼーは有益なのかという疑問を分析しています。著者は、「クライアントの問題を解決するための客観的で懐疑的、事実に基づいた分析的アプローチを通じてマッキンゼーが世界を効率的で合理的、客観的な場所にしたのは確かだ」としつつも、「伝説になるようなコンサルティングの仕事は全くない」としています。

本書では、主にマッキンゼーの歴史、功績、問題点が語られていますが、それを通じてアメリカの政治・経済、世界経済の動きを理解することができます。マッキンゼー出身者は日本でも大活躍しています。元日本支社長でエンペラーと言われた大前研一氏、著述家の勝間和代氏、DeNAの創業者南場智子氏、ミクシー社長の朝倉雄介氏などです。マッキンゼーにはクライアント企業に対する失策や問題点があるとしても、その影響力には計り知れないものがあります。本書は企業経営に関わるコンサルタントコンサルティングファームの問題点を抉り出し面白いノンフィクションになっています。

次に、大嶋祥誉著「マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣」(アスコム)を取り上げます。著者はマッキンゼーの出身者です。

本書の序章によれば、「何らかの問題」がスタート点でありそれを「解決すること」がゴールとなり、クオリティーとスピードのどちらも追究しながら2つの点を最短ルートで結んでいくことこそがプロフェッショナルの仕事です。マッキンゼーのエリートたちは時に正攻法で、ときには誰もが思いつかないような方法でクライアントの問題を解決していくのです。こうした仕事の中で、マッキンゼーの優秀なコンサルタントが日常的に大切にしている習慣があると言います。例えば、解決すべき問題を確認するときに「そもそも本当にそれが問題なのか、別のところに問題があるのではないか」という「ゼロ発想」、リサーチの時には片っ端から資料を読み込んだ後に必ず「現場」に行くし、問題点を整理するために「ロジックツリー」を使う、上司に時間をもらうときには「今、1分だけいいですか」と話しかけ「30秒で3つの要点び分けて説明する」など。こうしたシンプルな習慣が、点と点を無駄なくつなぐ原動力になり、マッキンゼーのエリートたちはこうした思考を習慣化しているのです。本書では、こうしたシンプルな習慣を「39の習慣」として紹介されています。

  1. バリューにこだわる=問題解決の習慣 ①常に「ゼロ発想」をする ②「鳥の目」で分析して最適解を探す ③「クリティカルシンキング」を身につける ④「雨」が降る前に「傘」を準備する ⑤「現場」に行く ⑥イシューから始める ⑦「バリュー」にこだわる ⑧「効率重視」か「アイデア重視」かを区別する ⑨「緊急度」と「重要度」のマトリックスをつくる
  2. 要点は「3つ」に分ける=できる部下の習慣 ⑩常に「PMA」の姿勢で ⑪上司のタイプを見極めて接する ⑫「1分だけよろしいですか?」と話しかける ⑬30秒で、3つの要点を話す ⑭「事実」をベースに「仮説」を伝える ⑮上司の机を観察する ⑯メールの件名に○○と書く ⑰途中途中で上司に確認を入れる 
  3. 「タスク」を視覚化する=段取り上手の習慣 ⑱「仕事を頼んできた人」の意図を確認する ⑲町リックス上にタスクを貼る ⑳いつでも机をきれいに保つ ㉑メールのCCとBCCを戦略的に使いこなす 
  4. 主張を質問に込める=客の心をつかむ習慣 ㉒対面、メール、電話をうまく使いこなす ㉓相手に「共通点」を探してもらう仕掛けをする ㉔相手が本音を話しやすい「場」を選ぶ ㉕相手と同じ土俵に立たない ㉖自分の主張は「質問」に込める 
  5. 認める、共感する=できる上司の習慣 ㉗部下に「○○さん」と呼ばせる ㉘認める、共感する、インスパイアする ㉙部下に「仮説」を立てさせる ㉚部下に迷いを打ち明け相談する ㉛思い切って任せる ㉜会議は4種類に分ける ㉝会議の「目的」と「ゴールイメージ」を明確にする ㉞会議中にあえて「ムダ話」をする 
  6. 感情をコントロールする=「働くモチベーション」を高める習慣 ㉟「メンター」を見つける ㊱ゴルフはプロゴルファーに習う ㊲本は最後まで読まない ㊳5分間で自分に問いかける
  7. 休む時はしっかり休む ㊴心と体を整える

これらの習慣は仕事に携わるすべてのビジネスパーソンに役立ちますし、ビジネスパーソンに限らずすべての人に役立つものもあります。身につけるように努力したいと思います。

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休日の本棚 帚木蓬生を読む。「閉鎖病棟」「白い夏の墓標」

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おはようございます。

今日は休日なので本の話です。帚木蓬生氏の「閉鎖病棟」(新潮文庫)を取り上げます。昨年、笑福亭鶴瓶綾野剛小松菜奈らのキャストで映画化されました。

著者の帚木蓬生氏は、精神科医で作家です。本書は第8回山本周五郎賞受賞作です。

ネタバレにならない程度にあらすじを話します。舞台は長野県の精神科病院。そこには様々な過去を背負った患者が入院しています。主人公梶木秀丸鶴瓶)は、妻や母親を殺害した罪で死刑判決を受けたものの死刑執行に失敗し生きながらえ、陶芸をしながら暮らしています。幻聴のため暴れるようになり家族に疎まれ強制入院させられたチュウさん(綾野)、義父から性的暴行を受け妊娠中絶し精神を病んで入院することになった高校生由紀(小松)らの入院患者たちの日常生活の中で殺人事件が起こります。この殺人事件を巡り、それぞれの患者の思いが交差します。殺人者の意図を知った患者たちはそれぞれの思いを抱き様々な行動を起こします。本書はジャンルとしてはミステリーに当たるのでしょうが、繊細な心理描写が秀逸です。登場人物の過去、それぞれの事情が丁寧に語られますが、著者が現実の精神科医だけにリアルです。最後には胸を打つ展開が待っています。

帚木氏は、精神科医として医療ミステリーというべき分野の作品を多数書かれています。終末期医療の現状を描く「安楽病棟」(集英社文庫)、生殖医療の暗部をえぐる「エンブリオ(上)・(下)」(集英社文庫)、研究者たちの狂気の下で行われる人体実験を描く「カシスの舞い」(新潮文庫)、「白い夏の墓標」(新潮文庫)などです。

その中で特に取り上げたいのが「白い夏の墓標」です。最近、ほぼ25年ぶりに読み返しました。初版は昭和58年で医学ミステリーとして素晴らしい作品ですが、極めて今日的な作品でもあります。ネタバレにならない程度にあらすじを話します。

パリで開かれた肺炎ウイルス国際会議に出席しウイルス研究の成果を発表した北東大学の佐伯教授は、アメリカ陸軍微生物研究所のベルナールと名乗る老紳士から呼び止められ、「ドクター・クロダ」の名を耳にします。ドクター・クロダとは佐伯が20数年前に大学の研究室で机を並べた仲、新型肺炎ウイルスである仙台型肺炎ウイルス(センダイ・ヴァイラス)の研究で米軍に能力を買われ米国に留学しその後米国で死亡した黒田武彦のことです。佐伯は黒田の死を事故死と聞いていましたが、ベルナールからフランスで自殺したと聞かされます。ベルナールと名乗る老人は佐伯に地図と一通の封筒を渡し、アリエージュのウストという村にある黒田の墓を自分の代わりに参ること、墓守をしているヴィヴという女性に封筒を渡すことを頼まれます。黒田は米軍で何を研究していたのか?その結果いかなる運命に巻き込まれたのか?彼の死を巡る真相とは?佐伯の古い友人を追う旅が始まります。

本書の目次は、第一章 吸着(アタッチメント)、第二章 侵入(ペネトレーション)第三章 脱穀(アンコーティング)、第四章 転写(トランスクリプション)、第五章成熟(マチュレーション)、第六章 放出(リリース)とウイルスの行動現象であり、これに従って物語も進んでいきます。第四章で語られる黒田の手記、そこで細菌兵器開発の実態が暴露されます。第六章はベルナールの手記です。ここで黒田の死の真相が明らかになります。

この作品が書かれた昭和58年頃は米ソ冷戦構造の真っただ中、科学も医療も平和よりは軍事に積極的に利用され、米ソで細菌兵器開発にしのぎを削っていた時代です。

最近、新型コロナウイルスについて、米国高官が中国の細菌兵器であるかのような発言をし、中国は米軍が中国に持ち込んだと反発しています。米中で細菌兵器(生物兵器)開発競争が行われているとしたら怖いです。

この「白い夏の墓標」は、今読んでみても面白く、むしろ今読む価値がある本だと思います。

帚木蓬生氏の本は、いずれもテーマが重く内容的に暗いものが多いですが、その中に帚木氏の優しさが垣間見られ、最後にはほっと暖かい気分になれます。

さて、医学ミステリーがすべて堅苦しく重いテーマを扱っているわけではありません。現役の医師で作家である知念実希人氏著「仮面病棟」(実業之日本社文庫)が坂口健太郎永野芽郁のキャストで映画化されました。純粋な意味での医学ミステリーではありませんが、病院を舞台とした脱出ミステリーで肩の凝らない面白い本です。映画が面白いかどうかは見ていないのでわかりませんが。

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新型コロナウイルスの明暗

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おはようございます。

新型コロナウイルスの経済に与える影響が顕著です。帝国データンバンクによれば、新型コロナウイルス関連倒産が3月11日現在8社だということです。もともと経営難にあった企業が新型コロナによる追い打ちで倒産したケースが大半ですが、今後さらに新型コロナウイルスが直接の原因である倒産件数が増え、それに伴う連鎖倒産が懸念されます。

特に観光業、小売業の痛手は極めて大きいと思われます。インバウンド需要に頼りすぎていた観光業や小売業は、中国をはじめとする旅行客の減少で大幅な売上減となっています。さらにイベント自粛・中止がそれに追い打ちをかけています。例えば観光バス業者の場合、中国などからの海外からの観光バス需要が減り、さらに追い打ちをかけるように社員旅行、国内バス旅行、甲子園球児・応援の送迎等の需要もなくなりほとんど休業状態のところもあります。

明暗を分けるように、新型コロナウィルスで売上を上げている企業もあります。マスクや消毒液の生産を行っている企業、製薬会社などです。さらに宅配サービスやテイクアウトも需要が増え、自宅にいる時間が増加するのでゲーム関連企業も好調です。臨時休校に伴いオンライン学習関連も好調です。

このように新型コロナウイルスが企業に与える影響にも明暗が分かれています。

今日はプレジデント・オンラインの「コロナ終息でも不況が止まらない3つの理由」を取り上げます。

その記事では、「感染終息後、経済が元に戻っても楽観はできない」と言っています。新型コロナウイルス感染拡大によって、経済活動は順を追って停滞していくからだということです。まず最初に影響を受けるのは、観光業界や航空業界です。続いてイベント業界やアミューズメント業界となります。そしてその後に飲食店です。その先に深刻な影響を受けるのが小売業や卸業といった販売関係になります。さらにモノが売れなくなると製造業にも影響し、最悪工場の閉鎖・操業停止につながります。一般的な経済活動の流れからすれば、経済への影響はこのようになるでしょうが、今回の新型コロナウイルスパンデミック宣言がなされたように世界規模で拡大しており世界経済の動向が大きく影響を与えるように思います。さらにオリンピックが中止・延期された場合はその影響も考慮しなければなりません。

この記事は、「中国では徐々に感染が終息しつつあり、工場が操業再開されてきており、中国の経済活動が再開すれば製品は以前のように入ってくる」と言っています。しかし今後の中国経済の状況・米中貿易関係の影響も考慮しなければならないでしょう。今回の新型コロナは米国経済に多大な影響を及ぼしつつあります。米国は中国経済の一人勝ちは決して許さないでしょう。今後の米中関係が世界経済に、ひいては日本経済にどのような影響を与えるかを見極めなければなりません。

さらにこの記事は、「感染終息後について楽観は禁物です。日本の場合、もともと消費が低迷している中で消費増税が行われ、経済が疲弊していた状況で新型コロナウイルスの感染が重なりました。オリンピック関連の特需もすでに昨年の後半で消滅しているから、2020年の景気は良くなる要素が見当たりません」と言っています。その通りだと思います。こうした状況の中で中小企業は自社の存続と成長を図る努力をしなければなりません。困難な状況ですが耐えて乗り切らなければなりません。

2020年4月1日から中小企業にも働き方改革により残業規制が適用されます。中小企業の残業規制については1/31に書いていますので参考にしてください。日本経済が疲弊し自粛ムードが漂う中で残業規制を適用することは容易かも知れませんが、従業員の給料が減少し消費を控えるという事態になりそうです。今後の景気悪化はさらに従業員のボーナスにも影響が出て節約モードが広まりそれが更なる景気悪化につながるといった悪循環に陥りそうです。中小企業において、残業規制の適用とともに、テレワーク、リモートワーク、時差出勤、フレックス制の導入など取り組んでください。

景気を悪化させないために政府による大規模な景気対策が望まれるところです。

 

 

パンデミック

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閑散とするビジネス街

おはようございます。

世界保健機構(WHO)は、新型コロナウイルスについて、パンデミックとみなすことができると宣言しました。パンデミックとは、「国を越えた感染拡大のコントロールが利かず、地球上のあらゆる人に感染の可能性がある状態」すなわち「感染の世界的な大流行」のことです。

安倍政権は、休校措置や自粛要請など新型コロナウイルス対策を打ち出していますが、初動対策の遅れもあり感染者数は増加しています。ただ、韓国、イギリス、イランに比べると感染者数の増加は抑えられているようです(日本では他国に比べPCR検査数が少なく実際は公表以上に感染者がいるかもしれませんが)。

ダイアモンド・オンラインの「コロナショックで製造業の破たんが続けば『スタグフレーション』の懸念」、現代ビジネスの「安倍側近の告白!コロナ&消費増税の『ダブル危機』で令和大恐慌へ?」、プレジデント・オンラインの「未曾有のコロナ不況突入 五輪中止で日本沈没始まる」、夕刊フジの「新型コロナの自粛ムードが日本経済を蝕む」、FRIDAYの「GDP3兆円減?コロナで『日本企業連鎖倒産』という悪夢の現実味」など日本経済を憂う記事が多数を占めています。

そのような中で、現代ビジネスの「新型コロナ騒動後に『インバウンド需要』急回復がありうるワケ」では、新型コロナの影響は一時的で、いずれは収束し、東日本大震災後の状況を参考にインバウンド需要が回復するというのです。しかし、かなり楽観的な意見と言わざるを得ません。また、暖かくなるとウイルスの感染力は弱くなる、東日本大震災の場合、震災から2か月後くらいに収束意識が高まったとしています。東日本大震災はあくまでも日本で起こった大災害ですが、今回の新型コロナはパンデミック宣言がなされたように世界規模で現在進行形で拡大しています。その影響は世界規模です。また南米や東南アジアでも感染者が出て入りこれまでの感染症のように温かくなれば終息すると言えないようです。インバウンド需要ですが、米中をはじめ世界経済がどのような影響を受けるかにかかってきます。終息後数か月で海外からの旅行者が元に戻るとは考えにくく、インバウンド需要の急激な回復は望めないように思います。東京五輪が開催されれば、それがインバウンド需要を後押ししてくれますが、開催されるとしても本来の姿で開催されるかは不確かです。インバウンドに頼りすぎるのもいかがかと思います。インバウンドではなくいかに国内消費を挙げるかという対策が急務です。

新型コロナウイルス感染が拡大する中、SNSやネット上でデマが拡散しトイレットペーパーなどの品不足が起こりました。東日本大震災の折にも風評被害が多大な損失を与えました。今回の新型コロナでは、「社長が感染者」という虚偽のデマを流され売上に影響が出た会社もあります。「感染者が立ち寄った」というデマが拡散されるケースもあります。これは、「自分だけは助かりたい」「自分や家族を守る」という差別意識が根底にあります。各国でみられるアジア人差別も同様です。心理的に一種のパニック状態になって拡散してしまうのです。デマが拡散するのは情報が不足しているからです。会社に感染者が出た場合の対処については以前書きましたが、このようなデマが出た場合の対処法も自社において考えておく必要があります。速やかに情報発信を行ってデマ情報を否定するとともに正確・適切な情報を発信することです。デマを拡散することは場合によって偽計業務妨害罪などの犯罪行為になります。このことも頭において警察等に相談することです。また相手を特定して損害賠償請求を行うことも可能です。毅然とした態度で臨みましょう。

 

   

   

危機管理 リスク管理

 

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おはようございます。

今日で東日本大震災から9年になります。死者・行方不明者2万2000人超、現在も避難者が4万人超おられます。地震津波と自然災害の恐ろしさ・怖さを感じますが、福島原発など半分は人災といえそうです。阪神淡路大震災と比較するのもどうかと思いますが、阪神淡路大震災のときに比べ復興のスピードが遅いように思います。被災地や被災者が元の生活に戻れる日ができるだけ早く訪れることを祈っています。更なる復興が待たれるところです。

さて、今回の新型コロナウイルスが日本経済に与える影響は、東日本大震災級とも言われています。新型コロナウイルスは世界規模で拡大しており、世界経済に与える影響をも考慮すれば、東日本大震災の時を超えるかもしれません。

新型コロナウイルス感染拡大防止に向けて、安倍首相は、大規模イベントなどについて専門家会議が判断するまで今後さらに10日程度の自粛を要請しました。自粛ムードが日本経済に悪影響を及ぼすということについてはこれまで書いてきたとおりです。自粛要請と言いながら、何をどのように自粛すればよいのか具体的かつ明確な基準を示さず、結局は主催者側の自主判断に委ねるという責任逃れな方法がとられています。また、支援策についても、フリーランス個人事業主にも日額4100円を補償するとしましたが、会社員の正規・非正規8330円と比べれば半額以下です。第一弾、第二弾と小出しに対策を出していますが、大胆かつ強力な対策が必要です。例えば、消費税率を5%に戻すとかの大幅な減税策、香港が行ったような18歳以上の市民に現金1万香港ドル(約14万円)を支給するといったベーシックインカム制度など。現在の経済対策では無利子・無担保となっていますが、それでは返済しなけばならず返済が困難な事業主や個人は借入に躊躇するでしょう。思い切った経済対策が日本経済復活に必要だと思います。

安倍政権は、「後手後手」と批判されることに躍起になって、批判を強める「羽鳥慎一モーニングショー」にツイッターで名指しで応戦し、まさに言論弾圧を行っているようになっています。この影響かは知りませんが他の番組の政府に対する批判がトーンダウンしてきているように思います。言論の自由はどのようなことがあっても守られなければなりません。このようなことに労力を注ぐよりも、政府は、未来を見据えてしっかりとした新型コロナ対策・経済対策を立てることに全力を尽くしてもらいたいものです。

今日は、企業の危機管理についてみていきます。

「危機管理」とは、すでに起こったことに対して、その事態がそれ以上悪化しないように状況を管理することです。危機管理に似た言葉に「リスク管理」という言葉があります。「リスク管理」は、これから起こる可能性がある危機・危険に備えておくための管理です。本質的に両者は異なります。

今回の新型コロナウイルスに対しどのよう対策を採るかということでは、既に発生した状況をどのように管理するかという点で危機管理といえそうですが、新型コロナウイルスが今後の自社を取り巻く経済・社会状況にどのような影響を及ぼすかという点では「リスク管理」です。今回の事態においては「危機管理」と「リスク管理」が密接に関連しています。細かい不確定事象をリスク管理で回避し、大規模な自然災害(?)といえる新型コロナショックを危機管理で乗り切るという線引きはできません。

今回の新型コロナウイルスでは、企業は「社員および顧客の感染の防止」という点と「今後の業績悪化」という点の両方を考えていかなければなりません。このうち前者のウエイトが若干高いように思います。なぜなら、前者がクリアできなければ、今後企業の存続・成長にも多大な影響を及ぼすからです。

まず第一にやるべきことは、社員および顧客への感染防止に全力を注ぐことです。「社員や顧客への感染防止」では、剤会出勤やテレワーク制の導入、マスク着用・手洗いの励行など徹底して行うことです。とりあえずは、新型コロナウイルスが沈静化するまで耐えることです。それまでは凌ぐのです。凌ぐための対策として徹底的な無駄の排除です。経費支出を見直すことも重要です。経費削減ができれば少ない売上でも利益は出せます。また、自社の資産を明確にして、その資産で凌ぐ、もし凌げないなら緊急特別融資を受けることです。新型コロナウイルスが沈静化したなら、上期の遅れを下期で取り戻すために大胆な施策を打ち出すことです。上期は売上にこだわらず、沈静化後の施策を練る準備をしましょう。そのために自社のリスクをすべて列挙し、それを評価してそれに優先順位を付けることです。その優先順位に従って対策を立てることです。複数の対策があるのなら、それを評価して、それにも優先順位をつけるのです。こうしたことを繰り返すことによって、自社の問題点・課題が明確になり・それに対する対応策も絞り込めます。耐えて頑張っていきましょう。