中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

これからの時代の目標設定と働き方

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 おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で3194人、そのうち東京1149人、神奈川361人、埼玉243人、千葉208人、愛知71人、大阪349人、兵庫78人、京都46人、福岡95人、沖縄83人、北海道75人などとなっています。東京は一気に1000人を超え、首都圏3県も急激に増加しています。また大阪もほぼ2か月ぶりに300人を超え、各地で増加のスピードが加速しています。緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置を出しながら、一方で東京五輪開催と矛盾しており、これでは国民が政府に従わないのもうなずけます。昨日菅首相IOCバッハ会長との面会があり、菅首相は馬鹿の一つ覚え「安心安全な大会」を強調し、バッハ会長も日本のコロナ対策を褒めちぎるという茶番劇を演じました。感染者数の急増をみれば「安心安全な大会」など不可能です。オリンピック終了後にどのような事態になっているのか心配です。結局、政府の失政のツケを回されるのは国民です。政府・菅政権は終わっています。政府を当てにせず、自分の身は自分で守っていくしかありません。

さて、今日はダイヤモンド・オンラインの「これからの時代の目標設定と働き方とは」という記事を取り上げます。この記事は、先日の「エンゲージメントと生産性」の続きの記事です。

先日も書きましたが、エンゲージメントというのは「組織と従業員個人が一体となって互いの成長に貢献し合う状態」のことで、企業にとっての最終目標は「エンゲージメントカンパニー」を実現することです。この記事では、そのヒントが語られています。

先日の2人の王子の物語と同じように、魚屋の物語が語られます。

日系アメリカ人のジョン・ヨコヤマが魚屋を買収し、ほとんど休みなく働いているのに、経営は上手くいかず、もともと怒りっぽい性格ですぐに怒鳴りつけるため従業員も離れ、活気のない店には客も寄り付かなくなります。さらに、取引に失敗し大損し、店は倒産寸前まで追い込まれます。そうした時にコンサルタントと出会い、高額なコンサルタント料に怒りと疑念を抱いたヨコヤマでしたが、「1か月だけでも」という条件でコンサルタントの提案を受け入れることにしました。

コンサルタントが提案したのは、「従業員をサポートし、権限を与えるボスになる」ということでした。そして、会社を変えていくにはビジョンがなくてはならないということで、従業員に意見を求めます。従業員の中から出てきたのが「世界一有名は魚屋になる」でした。仕事を楽しもう、面白くしようという従業員のアイデアから、魚を空に向かって投げるというパフォーマンスが生まれ、観光客が集まり、テレビなどマスメディアに取り上げられ、アメリカで一番楽しい職場として取材されるまでになったのです。

この物語から得られる経営哲学は「フィッシュ哲学」と名付けられています。

このフィッシュ哲学には、4つの行動原則で構成されています。

  1. 遊ぶ・・・従業員が仕事を楽しめる要素を入れる
  2. 楽しませる・・・顧客が満足できるよう、楽しい雰囲気で対応する
  3. 注意を向ける・・・顧客や同僚など、必要としてくれる人にしっかり向き合う
  4. 態度を選ぶ・・・常に前向きな気持ちで仕事に取り組む

これらに則って、自分たちが自ら仕事を楽しみ、それによって生産性を高めていくということです。この行動原則の前提としてビジョンが必要です。ビジョンが働く人のエネルギーとなり、あらゆることが実現できるようになるのです。

また、イソップ寓話の「ウサギとカメ」の話に触れられています。ウサギがカメに負けたのは、「ウサギはカメを見て、カメはゴールを見たからだ」と言っています。周囲やあいまいな目標と比べていては結果を出すことはできません。達成するには明確な数字目標が必要で、それが具体的であればあるほど成果につながりやすいのです。

このことからわかるように、従業員のパフォーマンスを高めるには、ゴールとなる目標を設定することが重要なのです。そして、どのように目標を設定し評価するかということに注意を払わなければなりません。目標の達成度だけで評価されるような仕組みだと、従業員はクリアできる低い目標しか取り組まず、新しいものにチャレンジしなくなります。結果や売り上げ、利益率、勝敗に固執しすぎず、プロセスにも目を向けて評価する必要があるのです。OKP(Objectives and Key Results)という目標管理の方法です。OKPでは、数字を評価に結び付けてはいけません。目標というものは、あくまでもチャレンジするものであり、従業員のスキルアップや経験値の積み重ね、新たな才能を見つめるためのものです。「もしも数字で評価してしまったら、その瞬間に目標値は下がっていく」と言っています。

先日も書きましたが、強い企業・チームにはエンゲージメントは欠かせません。従業員と会社が互いに信頼し強い絆で結ばれているエンゲージメントの高い会社は、従業員が会社のことを考えて主体的に積極的に働き、従業員が困ったら会社が手を差し伸べるということが常態化しているのです。

こうしたエンゲージメントカンパニーになるためには、次の3つが必要だと言っています。

  1. 会社として従業員にコミットメントすること・・・従業員や部下に対して興味を持つこと、家族のように見守り、優しく愛情のある態度で接することで、従業員の会社に対する信頼や忠誠心はおのずから高まる
  2. コアバリューを明確に持つこと・・・会社の価値観の中心となるコアバリューが明示されていること。コアバリューが明示されていないと、従業員は判断も行動できず、ばらばらになってしまう
  3. チームワーク・・・各人が持つ価値観の共有やカルチャーマッチング、コミットメントやコアバリューなど、諸条件や環境が整えば、チームワークは自然と作られていく

先日も書きましたが、エンゲージメントの高い従業員は自分のことのように会社の成功や発展を考え、愛し、成果を上げようと自ら努力します。エンゲージメントは会社や上司からの指示や命令によって高まるものではなく、経営層や上司との信頼の深さによって生まれてくるものです。従業員との信頼関係を高めること、そのためには従業員を家族のように見守り、愛し、優しく接することが必要です。

制度化の問題点

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2386人、そのうち東京830人、神奈川308人、埼玉179人、千葉180人、愛知70人、大阪225人、兵庫80人、京都18人、福岡50人、沖縄65人、北海道60人などとなっています。首都圏4都県、大阪・兵庫などリバウンドの傾向が見られます。このところの繁華街等の人出、人々の気の緩みを見れば当然と言えば当然です。西村担当大臣は、自らが発言し物議を醸した、酒の提供要請に応じない飲食店に対する金融機関からの働きかけを行う方針や酒の販売事業者への取引停止要請について撤回しました。自らの無為無策・無知無能を棚に上げ、飲食店を悪者扱いし、最終的には脅しをかけるような手法はまさにやくざ宛らで、撤回は当然です。菅首相は、自ら関与していないような発言をしていますが、菅首相が知らないはずはなく、むしろ菅首相が決めたことでしょう。部下の発言に責任を持つのがリーダーたるもの、それを我知らずと責任を部下に押し付けるのは、リーダーとしての資質の欠け、リーダー失格です。菅首相にリーダーとしての資質がないことは国民もわかっていることで、菅政権の支持率は過去最低となっています。

さて、今日は、ヤフーニュースの「組織の問題解決を、安易に『制度』に頼ってはいけない~個別に真正面から対応するのが嫌なだけ~」という記事を取り上げます。この記事は人事コンサルタントの曾和利光氏が書かれています。

この記事では、組織の問題を制度化によって解決することの危うさが示されています。

制度にしてしまえば、後はそれに従って効率的な組織運営ができると思うのも無理からぬことです。組織で起こる問題や課題を個別に対応するのは大変ですし、場合によっては公平性を維持できるかどうかもわかりません。制度化してしまえば恣意性が排除され、従業員も納得するように思えてきます。従業員の管理も枠になるというわけです。

しかし、この記事は、「制度化はできるだけ引き延ばすのがいい」と言っています。その理由として

  1. 制度化すると変えにくくなる・・・制度というのは、人の行動を制約するルールで、行動の自由を奪ってしまうようなものです。いったん導入すると簡単に保護にすることはできません。しかし、今は変化が激しい時代です。昨日までやっていた事業が明日も継続できるかどうかは分かりません。「組織は戦略に従う」ので、事業戦略が変われば組織の作り方や従業員に求める行動も変わるのは当然です。しかし、一度つくった制度はそう簡単に変更することはできません。自社の「勝ちパターン」が見えてくるまでは制度と言う固定的なルールを作るのは、待った方がいいのです。
  2. 制度化すると例外対応がしにくくなる・・・制度と言うのは「最大公約数」的なものでしかすぎず、「例外のないルール」というものはありません。すべてのケースを想定した制度を作ることは不可能です。だからと言って、例外処理をやりすぎるとルールの意味がなくなり示しがつかなくなります。
  3. 制度がなくても個別対応で解決できることは多い・・・「容易に変えることが難しい」「例外対応がしにくい」といったデメリットがある制度化をしなくても個別対応で処理できることは多いのです。

確かに、個別対応できることは多いのですが、問題や課題によっては、個別対応に当たる担当者の精神的苦痛・ストレスは大変なものになります。制度化すれば、その基準に従って粛々と処理すればいいので精神的苦痛・ストレスは少なくて済みます。しかし、制度化によって、無理やり制度に従わせ枠にはめるのでは本来求めている目的に合致しないということが生まれます。制度ではなく、個別意対応すれば、事案に応じた適切な処理が可能となり、杓子定規な処理に固執することなく、臨機応変な最も目的にかなった処理が可能となるはずです。

ミクロな個別対応で細やかにすれば解決できることを構造やルールを作る(制度化する)と、過剰に負荷がかかり、色々な副作用が出てしまいます。

まずは個別対応から進めていく、そしてそれでダメなら制度化を考えるというのが筋道になります。

いつも言うように、手段と目的をはき違えてはいけません。制度化は目的ではなく手段です。自社の問題や課題解決という目的に適した方法が何かを冠bンが得てみることです。その際、個別対応で解決できるのであれば敢て制度化する必要はありませんし、自社の目的達成に制度化が有用ならば制度化すればいいのです。

エンゲージメントと生産性

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1506人、そのうち東京502人、神奈川280人、埼玉110人、千葉114人、愛知42人、大阪105人、兵庫17人、京都20人、福岡44人、沖縄28人、北海道47人などとなっています。検査数の少ない休日の結果なのにかなり大きな数になっています。ワクチン接種の効果なのか高齢者の感染者、重症者は減少していますが、若者の感染者数、重症者が増えています。昨日は、東京で10代の重症者が出ました。イギリス型アルファ株からインド型デルタ株に置き換わりつつあり、既に3割がデルタ株の感染者ともいわれています。デルタ株は感染力が強く、若年層でも重症化するリスクやワクチンの効果を弱める可能性も指摘されています。繁華街の人出は増えており、人々の意識も最初の緊急事態宣言発令の頃に比べると弛んでいます。こうした中で、「コロナ五輪」と揶揄される東京五輪が開催され、感染者数は増加の一途をたどるという事態になりそうで怖いです。今一度気を引き締め、五輪で浮かれて羽目を外すことのないように気をつけましょう。

さて、今日は、ダイヤモンド・オンラインの「エンゲージメントが高まれば、従業員の生産性も上がる」という記事を取り上げます。この記事では、最初に「城づくりレース」という2人の王子の物語が紹介されています。

国王は、王子たちを競わせ、先に城を完成させた王子が王女と結婚できるというレースを行わせます。アグナイ王子はスピードを最優先するため、多くの労働者を低賃金で雇ってすぐに城づくりに着手します。一方、ポーランド王子は適正な賃金を支払えるだけの労働者を雇い、十分な食事と疲れを癒させる寝床の準備、家族への支援など、環境をしっかりと計画・整備してから城づくりに取り掛かりました。夏の終わりには、アグナイ王子の城はほぼ半分完成していましたが、ポーランド王子の城は着工されたばかりで、多くの人はアグナイ王子の勝利を確信しポーランド王子をあざ笑う声が聞こえるほどでした。ところが寒い冬が来ると、状況は一変し、アグナイ王子の現場は混乱し、労働環境は悪化します。食べ物は無くなり事故も多発、労働者は仕事を辞めて離れていきます。一方、ポーランド王子の現場では、季節に左右されることもなく、工事は着々と進み、待遇の良さに感謝した労働者は工事の遅れを気にして自分でアイデアを出すまでになっていました。結局、城づくりのレースに勝利したのはポーランド王子です。

ポーランド王子は目先のことに惑わされることなく、王女と結婚して国や国民を守るというというミッションを見失わなかったことが勝敗を分けたのです。ミッションを果たすことがゴールへと結びつくこと、ミッションにはチームの力が何よりも重要だということを、ポーランド王子はしっかりと理解していました。敗れたアグナイ王子は、先に城をつくるというゴールにとらわれすぎ、自ら失敗を招いたのです。

この物語が明らかにしているのは、チームワークの価値であり、ビジョンとミッションがどのような重要性を持つかということです。

1.エンゲージメントの意義

 ポーランド王子の城をつくった労働者たちが持っていたのは雇用者に対するエンゲージメントです。エンゲージメントというのは、一般に「組織に対する愛着心」を意味しますが、「組織と従業員個人が一体となって互いの成長に貢献し合う状態」、より平たく言えば「会社と従業員、従業員同士が貢献したいという気持ちでつながっている関係」と言えばいいでしょう。

 エンゲージメントの高い組織では、従業員が簡単に辞めることはなく、各人が意欲的に仕事に取り組むため生産性が向上し、さらには顧客満足度にもつながっていきます。

 エンゲージメントにとって重要なのが「What‘s is it for me?」(私にとってどんな意味やメリットがあるのか?」ということです。仕事は会社から受動的に与えられるだけでなく、従業員が主体的・能動的に考えらるようにならなけれななりません。従業員が仕事を自分自身のことのようにとらえることができれば、好きなことに打ち込む時のように仕事に打ち込むことができ、自然と創造性が生まれ、それによって成功すると、さらに楽しくなります。そのために「私にとってどんな意味やメリットがあるのか?」と考えさせることによって従業員の意識を変えていかなければならないのです。また、当然、従業員だけでなく、経営者や上司も変わらなければなりません。

 辞めていく人が残す言葉として多いのが「評価されなかった」「意見を取り入れてもらえなかった」「上司に興味を持ってもらえなかった」というものです。人は励まされ、認められれば、やる気を出す生き物です。問題点を指摘し、ミスを詰問するような育て方では部下は育ちません。ある程度の権限を与え、認めて能力が発揮できるようにして、仕事の目標を達成させていく必要があります。

 エンゲージメントの源泉となるのは、給与や待遇の良さというよりは、仕事に対して認められたり、感謝されたりすることです。

2.エンゲージメントを高めるための3つの要素

 企業が生き残っていくためには、常に成長・発展し続けなければなりません。企業は従業員のエンゲージメントを高めてパフォーマンスを最大限に生かし、目標や課題を達成していかなければならないのです。

 そのためには、自社の社会的使命やミッションを上層部だけでなく、全社員が理解し、そのミッションのために社会的なニーズをとらえたビジョンを会社全体、組織全体、チーム全体で共有・遂行していかなければなりません。

 従業員のエンゲージメント向上に必要なものとして次の3つが挙げられています。

  1. 理解度・・・会社の進むべき方向、ビジョンを理解し、共に達成しようとする姿勢
  2. 共感度・・・互いに仲間意識をもって協力し合い、家族のような愛着と誇りを持つこと
  3. 行動意欲・・・仲間との目標達成を最大のモチベーションとして行動する意欲

 これらがエンゲージメントを構成する主要要素であり、これらすべてが備わっていることでエンゲージメントは向上していくのです。

 エンゲージメントの高い従業員は自分のことのように会社の成功や発展を考え、愛し、成果を挙げようと自ら努力します。エンゲージメントは上司からの指示や命令によって高まるのではなく、経営陣・上層部と従業員との信頼の深さによって生まれてくるのです。

ここから、少しこの記事から離れます。エンゲージメントを高めるための方法について触れておきます。参考にしてください。

  1. 会社の情報・経営陣の考えを伝える・・・会社がどこに向かおうとしているのか、どんな世界を実現したいのか、経営トップが考えていることやメッセージを定期的に従業員に伝え、共有する。経営層からのメッセ維持や上司のメッセ維持が正確に現場に伝わっているか、そんメッセージに矛盾はないかを検証する。
  2. 会社のビジョンや方針に沿った人事評価を行う・・・経営理念や行動指針の浸透には、人事評価との関連付けが必要。評価に納得感を得られない場合、上司や会社に対する不信感につながる。評価の方法は給与などの金銭的評価だけでなく、表彰やサンクスメッセージなどの非金銭的報酬をも活用する。
  3. 従業員同士を近づける接点を増やす・・・ともに働く者同士のコミュニケーションが重要。信頼関係は長期的進展を持ち少しずつ築いていく。
  4. 従業員が十分に力を発揮できる環境を整える・・・従業員が持つ能力や資質を十分に発揮できる制度を作るとともに従業員がスキルアップできる環境を整える。

以前書いたように、経営は「ヒト・カネ・モノ」から「ヒト・ヒト・ヒト」に変わりつつあります。最も重要なのが「ヒト」です。その「ヒト」の中心が従業員です。しかし、「ヒト」(従業員)は単なる経営資源ではありません。企業の持続的成長・発展を支えているのが従業員であり、従業員のエンゲージメントを高めることが企業の成長・発展には不可欠なのです。そして、従業員のエンゲージメントにとって重要なのは、会社と従業員、従業員同士の信頼関係です。

従業員のエンゲージメントを高めるようにしましょう。 

ハイブリッド型勤務の10の危険信号

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2032人、そのうち東京614人、神奈川389人、埼玉163人、千葉183人、愛知64人、大阪167人、兵庫44人、京都27人、福岡35人、沖縄30人、北海道56人などとなっています。休日で検査数が少ないにもかかわらず首都圏の4都県は異常な数字です。東京だけでなく神奈川も完全にリバウンドしています。こうした中、着々と東京五輪の準備が進められていますが、おもてなしの一環として外国人選手らを乗せて「はとバスツアー」が計画されているとのことです。五輪はスポーツの祭典、観光じゃありません。国民に犠牲を強いながら、五輪関係者だけが特別扱いされるのは許されません。試合が終わればとっとと帰国すべきです。また、五輪プレスセンター内でノーマスク、食べ歩き、駅前の店舗で談笑など、ルール違反が横行しています。東京五輪コロナウイルスのハブとなり世界や日本全土に感染を広げることになりそうです。国民の命と健康を守るために、ルールを守れない人間は選手も関係者もプレスもすべて強制退去です。是が非でも開催するのであれば国民の安心安全のためにそこまで徹底すべきです。

さて、今日は、Forbes JAPANの「ハイブリッド型勤務、上手く機能していない職場の10の特徴」というという記事を取り上げます。

コロナ禍で、在宅勤務・リモート勤務が普及しているとはいえ、多くの企業はリモートワークとオフィス勤務を組み合わせたハイブリッド型勤務でしょう。こうしたハイブリッド型勤務は、新しい働き方として、コロナ後も続いていくように思います。

しかし、リモートワークとオフィスワークを組み合わせることを実施したり、あるいは検討したりしている企業も、詳細な計画を作成しているところはほとんどありません。今後、ハイブリッド型勤務が次第に定着していくように思いますが、企業がこの変化に十分な備えを行っているかと言えば疑問ですし、十分に環境が整備されていなければよくない影響が出てくることも予想されます。

この記事では、健全なハイブリッド型勤務とは言えない企業文化の10の危険信号が示されています。

  1. 計画が実施されていない・・・ハイブリッド型勤務の文化の構築に熱心に取り組んでおらず、十分な計画が作成されていないか、計画が実施されていないかのどちらかです。
  2. リモートで働いている上級管理職がいない・・・リモート勤務を評価する企業にはすべての地位でリモート勤務をしている人がいなければなりません。リモート勤務が認められていたとしてもリモートで勤務している上級管理職・最高幹部がいなければ、健全なハイブリッド型勤務とは言えません。
  3. デジタルなコミュニケーションツールが重視されていない・・・デジタルツールが導入・重視されていなければ、リモート勤務者は不利な立場に置かれ、成功のための道具が与えられていないことになります。
  4. オフィスでしか評価されない・・・企業文化の大事な部分は、従業員が正当に評価されていると感じることです。リモートワークでも従業員の評価についての対策に時間を投資する企業は、リモートワークの構築に責任を持っている企業と言えます。逆に、従業員を職場・対面でしか評価していないのであれば危険です。
  5. 上司にきちんとしたコミュニケーション計画がない・・・リモートワークやハイブリッド型勤務では、コミュニケーションが重要になります。オフィス勤務のように挨拶や雑談といった時間が十分でないので、リモートの従業員とオフィスの上司が明確なコミュニケーション計画を持つことが重要で、部下が上司とのコミュニケーションが欠けていると感じる場合は問題です。
  6. チームや会社全体の会議がおかしな時間帯にある・・・上司が早朝あるいは非常に遅い時間帯に会議を設定する場合、リモートワークの従業員の時間が重視・尊重されていないことになります。オフィス勤務者だけでなくリモート勤務者も含めた全員に合わせた時間帯を設定する必要があります。
  7. 情報が楽に入らない・・・リモート勤務者への情報不足は問題です。オフィス勤務者だけでなくリモート勤務者にも情報が共有されなければなりません。情報は社内のメール、イントラネット、共有ドライブ、その他のデジタルツールを使って共有できるようにすることです。
  8. リモート勤務者に向けたキャリアパスがない・・・リモート勤務者がオフィス勤務者より昇進しづらいのであれば問題です。社内での学びや成長の機会がオフィス勤務者だけでなくリモート勤務者にも平等に提供されなければなりません。
  9. リモート勤務の従業員が不利な立場に置かれている・・・リモートワークもオフィスワークと同じように扱われなければなりません。リモートワークで減給されたり、リモートで残業した場合には残業代が支給されないという不利益があってはいけません。
  10. リモート勤務者に必要な装備が与えられていない・・・リモート勤務者にもオフィス勤務者と同じツールやリソースを提供しなければなりません。例えば、自宅オフィス用の給付金や機材の貸与、コワーキングスペースオフィスの提供など、従業員がどこにいても必要な技術やリソースを得られるようにしなければなりません。

今後、コロナ禍が落ち着いた後でも、ハイブリッド型の勤務形態はある程度は定着するように思います。あらゆる企業や組織は、現在のやり方を見直し、ハイブリッド型勤務を長期計画に組み入れて、しっかりとした対策がなされるべきです。

オフィス勤務にせよリモート勤務にせよ、従業員が成長し活躍できる環境を整備していかなければなりません。健全なハイブリッド型勤務と言えるためには、待遇面でも、使えるツールやリソースにおいても、オフィス勤務と大差なく、平等でなければなりません。

以上は、健全なハイブリッド型勤務に影響を与える10の危険信号ですが、この10の危険信号を早期に察知し、これらを排除できれば、健全なハイブリッド型勤務が可能になるでしょう。企業は組織は、こうした点に十分に留意して計画を作成し、実施していかなければならないのです。今こそ、物理的なオフィス空間を越えて、仕事の新たな時代を作り出すべき時なのです。

休日の本棚 アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2458人、そのうち東京950人、神奈川310人、埼玉147人、千葉204人、愛知64人、大阪200人、兵庫45人、京都24人、副科54人、沖縄64人、北海道64人などとなっています。首都圏4都県、大阪など明らかにリバウンドしています。明日から東京には緊急事態宣言が発令され、4府県にはまん延防止等重点措置が延長されますが、果たして効果はいかほどでしょうか。s家類の提供禁止・時短などを行っても一方では五輪を強行開催(無観客と言いながら五輪貴族は特別扱い)、これでは自粛疲れ・自粛慣れした国民は、メッセージは伝わりません。ほとんど効果はないのではないかと思います。五輪後の感染拡大が心配です。再度感染拡大した台湾は、ワクチンが不足しているにもかかわらず、1か月余りで徹底した防疫対策で二度目の感染拡大の抑え込みに成功しています。無為・無策・無知・無能でワクチンだけが頼りの菅政権とは大違いです。しかも迅速かつ十分な支援や国民への丁寧な説明もなされ国民も理解・納得して政府の方針に協力しています。後手後手の対策で、国民への説明もまともにできない菅政権には、少しでも爪の垢を飲んで見習ってもらいたいものです。

さて、昨日は、絶望名人カフカのネガティブな言葉を紹介しました。今日はポジティブな言葉の紹介です。小倉広著「アルフレッド・アドラーの人生に革命が起きる100の言葉」(ダイヤモンド社を紹介します。

ルフレッド・アドラーは、数年前、岸見一郎・古賀史健著「嫌われる勇気」で一躍有名になりました。アドラーは、現代の心理学に多大な貢献を残しながらも、それまではほとんど名前を知られていませんでした。しかし、アドラーは「自己啓発の父」と呼ばれているように、多くのポジティブ思考の理論の多くにアドラー心理学の影響が見て取られます。

著者の小倉氏はアドラーに出会う前の私は霧の中を手探りで歩き、いつも自信なく迷っていました。30歳で初めて部下を持ち課長になったものの、チームをまとめることができずにうつ病を発症。『上司としていかにあるべきか』『人間としていかに生きるべきか』を常に模索し続けていたのです。そんな私にとってアドラーは、闇を照らす灯りであり、トンネルの出口に見える希望の光でありました。アドラーに出会ったことで、『人生は複雑ではなく極めてシンプルだる』と気づくことができ、一気に視界が晴れ渡ったのです」と言っています。

絶望名人カフカとは違ったポジティブな言葉が、コロナ禍で混迷した社会で心身ともに疲弊しいかに生きるべきか、将来に不安を抱きながらもどうにかして生き残ろうと頑張っている人に、闇を照らす灯りとなり希望の光になるように思います。長いトンネルも行き止まりということはなく、いずれは出口があります。出口の先には光輝く未来が待っているはずです。

この本では、

  1. すべてあなたが決めたこと―自己決定性について
  2. そのままの自分を認めよー劣等感について
  3. 感情には隠された目的がある―感情について
  4. 性格は今この瞬間に変えられるーライフスタイルについて
  5. あらゆる悩みは対人関係に行きつくーライフタスクについて
  6. 家族こそが世界であるー家族構成について
  7. 叱ってはいけない、褒めてもいけないー教育について
  8. 幸せになる唯一の方法は他者への貢献ー共同体感覚について
  9. 困難を克服する勇気を持てー勇気について
  10. 他人の課題を背負ってはいけないー課題の分離について

の10の章に分けて、100の言葉が紹介され、解説されています。100の言葉すべてを紹介するわけにはいきませんが、この中からいくつかの言葉を紹介します。

1.自己決定権に関する言葉ー重要なことは人が何をもって生まれたかではなく、与えられたものをどう使いこなすかである。

  • 人生が困難なのではない。あなたが人生を困難にしているのだ。人生は極めてシンプルである。
  • 人間は自分の人生を描く画家である。あなたを作ったのはあなた。これからの人生を決めるのもあなた。
  • 遺伝や環境は単なる「材料」でしかない。その材料を使って住みにくい家を建てるか、住みやすい家を建てるかはあなた自身が決めればいい。
  • 人は過去に縛られているわけではない。あなたの描く未来があなたを規定しているのだ。過去の原因は「解説」にはなっても「解決」にはならないだろう。
  • 健全な人は、相手を変えようとはせず、自分が変わる。不健全な人は相手を操作して変えようとする。
  • 「やる気がなくなった」のではない。「やる気をなくす」樋受けty団を自分でしただけだ。「変われない」のではない。「変わらない」という決断を自分でしているだけだ。

2.劣等感に関する言葉ー人間であるということは劣等感を持っているということだ。

  • あなたが劣っているから劣等感があるのではない。どんなに優秀に見える人にも劣等感は存在する。目標がある限り、劣等感があるのは当然なのだ。
  • 劣等感を抱くこと事態は不健全ではない。劣等感をどう扱うかが問われているのだ。
  • 劣等感を言い訳にして人生から逃げ出す弱虫は多い。しかし、劣等感をバネに偉業を成し遂げた者も数知れない。
  • 強がりはコンプレックスの裏返し。「強く見せる」努力はやめて、「強くなる」努力をすることだ。
  • できない自分を攻めている限り、永遠に幸せにはなれないだろう。今の自分を認める勇気を持つ者だけが本当の強い人間に慣れるのだ。

3.感情に関する言葉ー最も重要な問いは「どこから?」ではなく「どこに向かって?」である。

  • 悲しいから涙を流すのではない。相手を攻め、同条や注目を惹くために泣いているのだ。
  • カッときて自分を見失い怒鳴ったのではない。相手を「支配」するために「怒り」という感情を作り出して利用したのだ。
  • 感情はクルマを動かすガソリンのようなもの。感情に「支配」されるのではなく、「利用」すればいい。
  • 子供は感情でしか大人を支配できない。大人になってからも感情を使って人を動かそうとするのは幼稚である。
  • 意識と無意識、理性と感情が葛藤する、というのは嘘だ。「分かっているけどできません」というのは単に「やりたくない」だけなのだ。
  • 怒りなどの感情をコントロールしようとするのは無駄である。感情は『排泄物』なのだ。『排泄物』を操作しても何も変わらないだろう。

4.ライフスタイルに関する言葉⑴ーすべての人は、自分自身について、及び人生の諸問題についての意見あるいは自分では理解もしていないし説明もうまくできないが、自分がいつもしっかりと守っている運動の法則を持って生きている。

  • ライフスタイル(=性格)とは人生の設計図であり、人生という舞台の脚本である。ライフスタイルが変われば人生はガラリと変わるだろう。
  • 「私は○○である」「世の中の人は○○である」「私は○○であらねばならない」性格の根っこにはこの3つの価値観がある。
  • ピンク色のレンズのメガネをかけている人は世界がピンク色だと勘違いしている。自分がメガネをかけていることに気づいていないのだ。
  • 使い続けたライフスタイルが支障をきたしても人はそれを変えようとしない。現実を捻じ曲げても自分は正しいと思い込むのである。
  • 幸福な人生を歩む人のライフスタイル(=性格)は、必ず「コモンセンス」と一致している。歪んだ私的論理に基づく性格では幸せになることはできないだろう。
  • 自ら変わりたいと思い努力すればライフスタイルを変えることは十分に可能だ。性格は死ぬ1~2日前まで変えられる。

5.ライフスタイルに関する言葉⑵ーアドラー心理学では、仕事・光友・愛の3つの問題に分解できない問題はない。

  • すべての悩みは対人関係の課題である。仙人のような世捨て人でさえ、実は他人の目を気にしている。
  • 人生には3つの課題がある。1つ目は「仕事の課題」、2つ目は「交友の課題」3つ目は「愛の課題」である。あとの方になるほど解決は難しくなる。
  • あなたのために他人がいるわけではない。「○○してくれない」という悩みは自分のことしか考えていない何よりの証拠だ。
  • 「愛の課題」と歯異性との付き合いや夫婦関係のことである。人生で一番困難な課題であるがゆえに解決できれば深い安らぎが訪れるだろう。

6.家族関係に関する言葉ー家族の位置関係を調査すればその人のライフスタイルがどのように形成されたかが明確になる。

  • 子供にとって家族は「世界そのもの」であり、親から愛されなければ生きていけない。そのための命がけの戦略がそのまま性格の形成につながるのだ。
  • 兄弟姉妹で得意分野が異なるには理由がある。それぞれが違う分野で認められようとするからだ。
  • 末っ子は甘やかされて育ちがちだ。そのため自分では努力せず無力さをアピールして人にやってもらおうとする「永遠の赤ん坊」になる傾向がある。
  • 一人っ子は親の影響を多く受ける。また末っ子と違い、兄弟姉妹がいないために人間関係が不得手な人が多い。
  • 身振りや話し方が親に似るのには理由がある。子供は親を真似ることで親の権力を手に入れようとし結果として本当に似てくるのだ。
  • 子供は両親が持っている価値観を無視することができない。全面服従して受け入れるか全面反抗するのだ。
  • 子供は親が貼ったレッテル、例えば「しっかりした子」「甘えん坊」「おてんば」「恥ずかしがり屋」などに対して過剰に応えようと努力する。

7.教育に関する言葉ー誰でも何でも成し遂げることができる。

  • 叱られたりほめられたりして育った人は、叱ったりほめられたりしないと行動しなくなる。そして評価してくれない相手を敵だと思うようになる。
  • 叱ると一時的には硬貨がある。しかし本質的な解決にはならない。むしり相手は活力を奪われ、ますます言うことを聞かなくなる。
  • 間違いをわからせるには親しみのある話し合いをすればいい。大切なのはそれができる信頼関係を築くことだ。
  • 他人と比較してはいけない。ほんのわずかでもできている部分を見つけ、それに気づかせることが重要だ。
  • 人は失敗を通じてしか学ばない。失敗を経験させ、自ら「変わる」と決断するのを見守るのだ。
  • 罰を与えるのではない。結末を体験させるのだ。子供が食事の時間になっても帰ってこなければ、一切叱らず食事を出さなければいい。
  • 人の育て方に迷ったときは自分に質問するのだ。「この体験を通じて相手は何を学ぶだろうか?」と。そうすれば、必ず答えが見つかるだろう。

8.共同体感覚に関する言葉ーあらゆる困難を取り除く助けとなるような統合的な視点が存在するとすれば、それは共同体感覚を発展させる視点である。

  • 自分だけでなく、仲間の利益を大切にすること。受け取るよりも多く、相手に与えること。幸福になる唯一の道である。
  • 誰かが始めなくてはならない。見返りが一切なくても、誰も認めてくれなくても、「あなた」から始めるのだ。
  • 「他者は私を助けてくれる」「私は他者に貢献できる」「私は仲間の一員である」この感覚がすべての困難からあなたを解放するだろう。
  • 人は居場所がないと感じると精神を病んだりアルコールに溺れたりする。他者に貢献することで居場所を確保すればいい。
  • 相手の権利に土足で踏み込んではならない。権利を尊重し、自分で決めさせるようにすれば、人は自分を信じ他者を信じるようになるだろう。
  • 「よくできたね」とほめるのではない。「ありがとう。たすかっあよ」と感謝を伝えるのだ。感謝される喜びを体験すれば、自ら進んで貢献を繰り返すだろう。
  • 苦しみから抜け出し方法はただ1つ。他の人を喜ばせることだ。「自分に何ができるか」を考え、それを実行すればよい。
  • 自分の不完全さを認め受け入れなさい。相手の不完全さを認め許しなさい。
  • 「信用」するのではなく「信頼」するのだ。「信頼」と歯裏付けも担保もなく相手を信ずること。裏切られる可能性があっても相手を信じるのである。
  • 「自分は役立っている」と実感するのに、相手から感謝されることや褒められることは不要である。貢献感は「自己満足」でいいのだ。
  • 判断に迷ったときは、より大きな集団の利益を優先することだ。自分より仲間たち。仲間たちより社会全体。そうすれば判断を間違うことはないだろう。

9.勇気に関する言葉ーアドラー心理学による治療の狙いは、常に人生の諸問題に直面する勇気を増進することである。

  • 「雄輝」とは困難を克服する活力のことだ。勇気のない人が困難に出会うと人生のダークサイドへと落ちていってしまうだろう。
  • 人は「貢献感」を感じ、「自分に価値がある」と思える時にだけ、勇気を持つことができる。
  • 他人の評価に左右されてはならない。ありのままの自分を受け止め、不完全さを認める勇気を持つことだ。
  • 失敗や未熟さを指摘してはいけない。できないからといって取り上げてもいけない。相手の勇気を奪ってしまうからだ。自ら困難を克服する機会を奪ってしまうのだ。
  • 人の心理は物理学とは違う。問題の偏印を指摘しても勇気を奪うだけ。解決法と可能性に集中すべきなのだ。
  • 人の行動の95%は正しい行動である。わずか5%しかない負の行動に着目してはいけない。
  • 「暗い」のではなく「優しい」のだ。「のろま」ではなく「丁寧」なのだ。「失敗ばかり」ではなく「たくさんのチャレンジをしている」のだ。
  • 大切なのは「共感」することだ。「共感」とは、相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じることである。
  • 「まだ無理だ」とおもってもやらせてみる。失敗しても「今度は上手くできるはず」と声をかけることが大切である。
  • 甘やかすと相手の勇気を奪ってしまう。手助けした率や補やするのではなく、独り立ちの練習をさせよ。
  • 華違いを指摘せず、原因究明という吊るし上げもせず、「こんなやり方はどうかな」と提案する。それこそが相手を育てり有効な方法だ。
  • 楽観的であれ。過去を悔やむのではなく、未来を不安視するのでもなく、今現在の「ここ」だけを見るのだ。

10.課題の分離に関する言葉ーどのように感じるかはあなた次第。

  • あなたが悩んでいる問題は、本当に「あなたの問題」だろうか。その問題を放置した場合に困るのは誰か冷静に考えてみることだ。
  • 相手の機嫌が悪い時に、責任を感じてはいけない。不機嫌でいるか、上機嫌でいるかは相手の課題。その課題を勝手に背負ってはいけない。
  • それが「あなたの課題」ならば、たとえ誰に反対されても従う必要はないのだ。自分の課題に足を踏み込ませてはいけないのだ。
  • 陰口を言われても嫌われても、あなたが気にすることはない。「相手があなたをどう感じるか」は相手の課題なのだ。

アドラー心理学は、カフカのネガティブな言葉とは違います。ポジティブな言葉とネガティブな言葉のどちらが効果があるのかは、状況によるように思います。カフカのように、深く落ち込み死をも覚悟するような状況では、ポジティブな言葉よりは、自分のことを理解してそっと寄り添って静かに見つめてくれるネガティブな言葉の方が効果的だと思いますが、何とかして現状を打破しようという気力があるときにはポジティブな言葉の方が役に立つように思います。上手く使い分けていきましょう。

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休日の本棚 絶望名人カフカの人生論

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おはようございます。

昨日の新規感染者は2278人、そのうち東京822人、神奈川355人、埼玉150人、千葉180人、愛知66人、大阪143人、兵庫38人、京都34人、福岡60人、沖縄55人、北海道50人などとなっています。東京の緊急事態宣言発令に伴い酒類の提供が禁止されますが、本当にコロナ感染拡大は飲酒が原因でしょうか? すべて飲食店が悪いように言われていますが、しっかりとルールを守れば飲酒・会食も問題はないはずです。原因は無為無策、後手後手の政府の対応にあります。悪いのは菅政権、政府です。

さて、本の紹介ですが、このところ経営に関する本ばかりだったので、今日は、経営以外の本を紹介します。頭木弘樹編訳「絶望名人カフカの人生論」(新潮文庫です。コロナ禍で、心身ともに疲弊し絶望の淵にいる人も、将来に不安を抱きながらもなんとかこの危機を乗り越えようと努力している人もいます。このような人に読んでほしい本です。

フランツ・カフカは、チェコ生まれのユダヤ人、どこかユーモラスな孤独感と不安の横溢する独特の作品を残しています。

最も有名なのが「変身」ですが、これはカミュの「ペスト」とともに不条理文学の1つとして知られています。「ペスト」が不条理が集団を襲ったことを描いたのに対し、「変身」は不条理が個人を襲ったことを描きました。

ある日、平凡なセールスマンのグレゴール・ザムザが夢から覚めると、一匹の巨大な毒虫に変わった自分の姿を発見するところから始まり、いずれは元に戻ってくれるのではないかと祈る家族との生活が始まります。妹のグレーテが甲斐甲斐しくグレゴールの世話を焼きますが、家族にも限界がきて、家から出て行ってほしいと存在の消滅を望まれるようになり、さらに、家族からも見放されてしまいます。痩せ衰えたグレゴールは、家族のことを思いながらひっそりと息絶えます。グレゴールの遺体は、家政婦によって片付けられ、散策に出た家族は将来への希望を持ち、娘のグレーテは長い苦労にもかかわらず、美しい娘に成長していました。

ここで語られている「毒虫」は比喩で、「これまであると信じていたていたアイデンティティが変わり果ててしまった存在」を意味しています。人間のアイデンティティがどう社会に存在しているのかを、毒虫に変わった主人公と家族との関係性を通じて描いています。人間は自分が自分であるということを他者との関係性の中でコミュニケーションを通して確認し、自分の社会的存在を認識することができます。「毒虫」となったグレゴールは、内面では人間の意識を持っていますが、自分の気持ちを伝えることができません。家族にとっては、コミュニケーションできない毒虫はもはやグレゴールではなく単なる毒虫となっていくのです。

しかし、カフカが描きたかったのは、、醜いものに変身した瞬間、周りの反応も冷たくなり、家族からも見放されてしまうから、見た目は大事ということではありません。

カフカは比較的裕福な家庭で育っています。実業家として働いていた父と、哲学や文学を専攻したいカフカとの間で軋轢があり、父はカフカを「失業者死志望」と嘲ったと言われています。父親にとっては哲学や文学は「役に立たないもの」だったのです。カフカは「役に立つもの」と「役に立たないもの」との葛藤の中で苦しんでいたのです。この毒虫こそ「役に立たないもの」ですが、本当に役に立たないものなのでしょうか? 「役に立つもの」と「役に立たないもの」というのは誰が決めるのでしょうか? カフカは、「役に立たないもの」とされるものが排除されることへの嘆きや「役に立たないもの」とされるものが排除されることへの警鐘を鳴らしているように思います。

さて、今日紹介する本は、絶望名人とされるカフカの名言集です。カフカの日記やノート、手紙には、自虐や愚痴が満載していて、それらを集めたのがこの本です。悲惨な言葉が並んでいますが、思わず笑ってしまったり、逆に勇気づけられて元気がもらえる言葉があります。

心がつらいとき、本当に必要なのは、ポジティブな言葉でしょうか。本当につらい時「追い続ける勇気があればすべての夢はかなう」(ウォルト・ディズニーと励まされても、その言葉が心に響くでしょうか。本当に心がつらいとき、必要なのは、その気持ちに寄り添ってくれる言葉です。つらい気持ちをよく理解し、一緒に泣いてくれる人です。アリストテレスは、「その時の気分と同じ音楽を聴くことが心を癒す」と言います。悲しい時には悲しい音楽を聴くといいのです。それと同じく、悲しい時、つらい時にはカフカのような絶望的な言葉を聞いいたり読んだりする方が心にすっと入ってくるのです。

カフカは、生前はほとんど知られることはなく、死後に再発見・再評価され、現在では20世紀を代表する作家の1人になっています。誰よりも深く落ち込み、誰よりも情けない弱音を吐いたカフカの言葉が現代人にも勇気を与えてくれるはずです。この本の中から、カフカの言葉をいくつか拾って紹介します。

  • 将来に向かって歩くことは僕にはできません。将来に向かって躓くこと、これはできます。一番うまくできるのは、倒れたままでいることです。
  • バルザックの散歩用のスティックの握りには、「私はあらゆる困難を打ち砕く」と刻まれていたという。ぼくの杖には「あらゆる困難がぼくを打ち砕く」とある。共通しているのは「あらゆる」というところだけだ。
  • ぼくはいつだって、決して怠け者ではなかったと思うのdすが、何かしようにも、これまでやることがなかったのです。そして生きがいを感じたことでは、非難され、けなされ、叩きのめされました。どこかに逃げ出そうにも、それはぼくにとって、全力を尽くしても、到底達成できないことでした。
  • 目標があるのに、そこにいたる道はない。道を進んでいると思っているが、実際には尻込みをしているのだ。
  • 人間の根本的な弱さは、勝利を手にできないことではなく、せっかく手にした勝利を、活用しきれていないことだる。
  • 生きることは、絶えずわき道にそれていくことだ。本当はどこに向かうはずだったのか、振り返ってみることさえ許されない。
  • ぼくはひとりで部屋にいなければならない、床の上に寝ていればベッドから落ちることがないように、ひとりでいれば何事も起こらない。
  • ずいぶん遠くまで歩きました。5時間ほど、ひとりで。それでも孤独さが足りない。全く人通りのない谷間なのですが、それでも寂しさが足りない。
  • 死にたいという願望がある。そういう時、この人生は耐えがたく、別の人生は手が届かないように見える。イヤでたまらない古い独房から、いずれイヤになるに決まっている新しい独房へ、何とか移ってほしいと懇願する。
  • ぼくはただ自分のことばかり心配していました。ありとあらゆることを心配していました。たとえば健康について。ふとしたことから消化不良、脱毛、背骨の歪みなどが気になります。その心配がだんだん膨れ上がって言って、最後には本当の病気にかかってしまうのです。
  • ぼくは人生に必要な能力を、なにひとつ備えておらず、ただ人間的な弱みしか持っていない。
  • いっさいの責任を負わされると、おまえはすかさずその機会を利用して、責任の重さのせいでつぶれたということにしてやろうと思うかもしれない。しかし、いざそうしてみると、気づくだろう。おまには何ひとつ負わされておらず、おまえ自身がその責任そのものに他ならないことに。
  • ぼくは本当は他の人たちと同じように泳げる。他だ。他の人たちよりも過去の記憶が鮮明で、かつて泳げなかったという事実が、どうしても忘れられない。そのため、今は泳げるという事実すら、ぼくにとってはなんの足しにもならず、ぼくはどうしても泳ぐことができないのだ。
  • 幸福になるための、完璧な方法がひとつだけある。それは、自己のなかにある確固たるものを信じ、しかもそれを磨くための努力をしないことでる。
  • ぼくはお父さんの前に出たが最後、まるで自信というものをなくしていました。その代わり、とめどなく罪の意識がこみ上げてきました。そのことをもい出しながら、ぼくはある作中人物について、「自分が死んでも、恥ずかしさだけが後に残って生き続けているかのようだった」と書いたことがあります。
  • お父さんとぼくは、求めるものがまるでちがっています。僕の心を激しくとらえることが、あなたには気にも止まらず、また逆の場合もあります。あなたにとっては罪のないことが、僕には罪と見え、これも逆の場合があります。そして、あなたにとっては何の苦にもならぬことが、ぼくの棺桶のふたとなりうるのです。
  • ぼくに必要だったのは、少しの励ましと優しさ、わずかだけ僕自身の道を開いてもらうことでした。それなのにあなたは逆に、それを閉ざしてしまった。もちろん、ぼくに別の道を歩ませようという善意からです。しかし、僕にはその能力がなかった・・・あなたの好きな言い回しを、あなたの後いついて片言でいえたとき、あなたはぼくを励ましてくれました。けれども、そんなことは、ぼくの未来とは何のかかわりもなかったのです。
  • ときおりぼくは想像します。世界地図を広げられて、それを覆い隠すように、お父さんが身体を伸ばしておられる様子を。ぼくが人生で活用できるのは、あなたの身体が覆い隠していない部分だけかもしれません。でも、あなたは巨大ですから、残っているのはごくわずかしかありません。喜びのない辺境ばかりで、肥沃な土地はそこにはないのです。
  • 僕h同級生の間では馬鹿でとおっていた。何人かの教師からは劣等生と決めつけられ、両親とぼくは何度も面と向かって、その判定を下された。極端な判定を下すことで、人を支配したような気になる連中なのだ・・・これには腹も立ち、泣きもした。自信を失い、将来に絶望した。そのときのぼくは、舞台の上で立ちすくんでしまった俳優のようだった。
  • 考えてみれば見るほど、ぼくが受けた教育は、ぼくにとっては毒害であった。非難されるべき人は多い。ぼくがその人たちの授業を受けながら、その当時、何か他のことに気を取られていたために、授業にまるっきり注意を向けなかった、そういう人たちだ。この非難に癌論されたとしても、ぼくは聞く耳を持たない。
  • ぼくの勤めは、ぼくにとっては耐えがたいものだ。なぜなら、ぼくが唯一やりたいこと、唯一の使命と思えること、つまり文学の邪魔になるからだ。
  • ぼくが仕事を辞められずにいるうちは、本当の自分というものがまったく失われている。それがぼくにはいやというほどよくわかる。
  • この前、ぼくが道端の草の茂みに寝転ぼうとしていると、仕事でときどく会う身分の高い紳士が、さらに高貴な人のお祝いに出かけるために、着飾って二頭立ての馬車に乗って通りかかりました。ぼくはまっすぐに伸ばした身体を区さの中に沈めながら、社会的地位から追い落とされていることに喜びを感じました。
  • ぼくの生活は以前から、書く試み、それもたいてい失敗した試みから成り立っていました。書かないときは、ぼくは床に横たわり、箒で掃き出されて当然といった状態になるのです。
  • 彼は、彫刻を掘り終えた、と思い込んでいた。しかし、実際には、たえず同じ所に鑿を打ち込んでいたにすぎない。一心に、というより、むしろ途方に暮れて。
  • 文学者としてのぼくの運命は、非常に単純だ。夢見がちな内面生活を描写することが人生の中心となり、他のすべてのことを二の次にしてしまった。ぼくの生活はおそろしくいじけたものになり、いじけることをやめない。
  • 誰でも、ありのままの相手を愛することはできる。しかし、ありのままの相手といっしょに生活することはできない。
  • 女性は、いやもっと端的に言えば結婚は、お前が対決しなければならない実人生の代表である。
  • 実際ぼくは、人と交際するということから、見放されていると思っています。見知らぬ家で、見知らぬ人たち、あるいは親しみを感じられない人たちの間にいると、部屋全体がぼくの胸の上にのしかかってきて、ぼくは身動きができません。
  • 二人でいると、彼はひとりでいるときよりも孤独を感じる。誰かと二人でいると、相手が彼につかみかかり、彼はなすすべもない。一人でいると、全人類が彼につかみかかりはするが、その無数の手が絡まって、誰の手も彼に届かない。
  • 友人とのかかわりについて、いま自分なりに整理してみると、それはむなしい助走であった。人が長い人生の間に繰り返し試みる、たいていは希望のない助走のひとつ。女装だから、次には跳躍が来る。しかし、はたして前向きに人生の中に飛び込んでいけるのか、それとも人生から飛び出してしまうのか、当人にも見当もつかない。
  • 真実の道を進むためには、一本の綱の上を越えていかなければならない。その綱は、べつに髙ところに張られているわけではない。それどころか、地面からほんの少しの高さに張られている。それは歩いていかせるためよりも、むしろつまずかせるためのようだ。
  • 避けようとして後ずさりする、しかめっ面に、それでも照りつける光。それこそが真実だ。ほかにはない。
  • すべて幻影だ。家族も、仕事場も、友達も、道も。遠くにいようと、近くにいようとも、すべて幻影だ。女性もそうだ。すべてはおまえの頭の中にしかない。窓もドアもない独房の壁に、おまえが自分の頭を押しつけているのだけが真実だ。
  • ベッドでじっと横になっていると、不安がこみ上げてきて、とても寝ていられなくなる。良心、果てしなく打ち続ける心臓、死への恐怖、死に打ち勝ちたいという願いなどが、眠りを妨げる。仕方なく、また起き上がる。こんなふうに寝たり起きたりを繰り返し、その間にとりとめもないことを考えるのだけが、ぼくの人生なのだ。
  • 結核がひとつの武器です。ぼくはもう決して健康にならないでしょう。ぼくが生きている間、どうしても必要な武器だからです。そして両者が生き続けることはできません。
  • ぼくの病気は心の病気です。胸のほうは、子の心の病気が岸辺からあふれ出たものにすぎません。脳が、自分に課せられた新郎と苦痛に耐えかねて、言ったのです。「オレはもうダメだ。誰かどうかこの重荷を少し引き受けてくれないか」そこで肺が志願したというわけです。この脳と肺の闇取引は、おそろしいものであったかもしれません。

苦しみはカフカの力の源でした。神経の苦しみから自分をすくうために、カフカは作品を書き続けるのです。

今は、ポジティブ思考が流行っています。しかし、人を前に進めるのは、ポジティブな力だけではありません。ネガティブな言葉からも力を引き出すことができます。それを現実に行っていたのがカフカです。

この混迷する時代にあってカフカの言葉が、われわれの背中を押してくれるかもしれません。

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経営は「ヒト・モノ・カネ」から「ヒト・ヒト・ヒト」へ

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2246人、そのうち東京896人、神奈川322人、埼玉155人、千葉200人、愛知49人、大阪125人、兵庫50人、京都19人、福岡41人、沖縄35人、北海道62人などとなっています。首都圏の4都県は確実にリバウンドしています。政府は東京に緊急事態宣言を発令することを決定しました。菅首相は、「先手先手の予防的措置」と言っていますが、現在の状況を引き起こしたのは、これまでの後手後手の対応であり、無為無策、無知、無能であり、その責任は菅首相をはじめ政府にあります。また、5者会議で首都圏で開催されるオリンピック競技については無観客とすることが決まりました。しかし、大会関係者は別枠で、国民には自粛と犠牲を強いるだけで、国民を蔑ろにすること甚だしいとしか言いようがありません。このオリンピック開催で利益を受けるのは一部利権とIOCに限られ、そのツケを回されるのは国民です。菅首相には、何のため・誰のためのオリンピックなのか、明確にすべき責任があります。記者会見で、そうしたことを聞かないマスコミも茶番、最低です。

さて、今日は、まず日経WOMANの「経営は『ヒト・モノ・カネ』から『ヒト・ヒト・ヒト』へ」を取り上げます。

近年は、人的資本への投資が、経営資源の配分や事業ポートフォリオ戦略と関係していて、それが企業の持続的な成長、あるいは中長期的な価値の向上につながっていくと考えられています。ダイバーシティの確保、多様な人材の確保は経営戦略です。多様なものの見方を持ち、そのものの見方が経営にしっかりと届き、それが経営に活かされていくというプロセスが重要になります。

これまでは、経営資源として「ヒト・モノ・カネ」が重要視されてきましたが、これからは「ヒト・ヒト・ヒト」へとシフトし、人的資源こそが経営にとって最も重要なものになっていくように思います。いかに優秀な人材を確保し、その人材を活躍させるのか、それが企業の持続的な価値創造の源泉になっていきます。先日紹介したネットフリックスも、優秀な人材のみを好待遇で雇用し、自由で柔軟な企業文化の下で、イノベーション生み出し続けています。

この記事では、多様な人材を確保し、活躍できるようにするために、2つのことが指摘されています。

その1つは、ダイバーシティインクルージョンのセットです。インクルージョンというのは、直訳すると「包括・包含」という意味で、「すべての従業員が仕事に参画する機会を持ち、それぞれの経験や能力、考え方が認められ生かされている状態」のことです。単に多様な人材を確保しているだけではダメで、異質なものを相互に認め合い、刺激し合い、それぞれの強みを生かしていくことが重要になるのです。

2つ目は、個々の社員の生きがいウェルビーイングをどのように向上させていくかということです。ウェルビーイングとは、「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」(WHO憲章前文)のことです。企業が中長期的な成長を実現するためには、多様な人材を集めるだけではダメで、心身共に健康で、仕事の納得感、同僚とのつながり、自己肯定感を高めることが重要になるのです。

ヒト(人材)をモノやカネと同じく使い捨て出来る経営資源と考えられてきた古い事業構造のまま、ヒトを馬車馬のように働かせる時代は終わりつつあります。企業が、中長期的に持続的な成長を遂げるためには、多様な人材を確保し、インクルージョンウェルビーイングという価値を加え、それを育成していかなければならないのです。

多様な人材を確保し、その多様性を生かしながら人材を育成するには、上司と部下との人間関係が重要になってきます。部下の多様性を引き出しそれを活かすことは上司・リーダーの重要な役割です。

次に、幻冬舎GOLDONLINEの「上司が部下への声掛け『いつでも相談してね』がほぼ無意味である理由」を取り上げます。この記事では「部下との『報・連・相』の問題」「チームの業務配分」について組織の力を底上げする手法が紹介されています。

多様な人材がいれば、小まめに報告する部下もいれば、まったく報告してこない部下もいます。「報告しない部下が悪い」という人もいますが、上司としては、段取りを組んで、部下が報告する機会を作らなければなりません。報告の機会を作らず、「いつでも相談してね」という上司は失格です。一見寛大なように思えますが、部下としては「聞きづらい」「何をどう相談していいか分からない」ということになります。上司としては、部下に具体的なアドバイスや指示をすべきなのです。仕事の目的は、組織やチームとして成果を上げることです。それができる環境を作り整えることが上司・リーダーの仕事です。もちろん、部下が自分で判断でき自分で行動を起こせることが望ましいことは言うまでもありませんが、上司は部下がそうなるように育て上げなければならないのです。

この記事では「相手の説得には『数字の力』を活用する」「会社として『お金を出すべきところ』はしっかりと出す」ということも書かれていますが、割愛します。

ここでは、「社員の責任が重すぎると、誰もチャレンジしなくなる」ということについて触れます。

このところKPⅠ(重要業績評価指標)マネジメントが流行っていますが、これは企業が掲げた目標に向かって、適切に進んでいるかを数値で測るものです。売上予算などの会社が掲げる数値目標の責任の一部を社員にも負わせるというものです。こうした指標を設けることで、一時的に業績を上げることができるかもしれませんが、「売上至上主義」「ノルマ達成への囚われ」という負の価値観を生み出します。「KPⅠを達成すれば評価される」という図式ができるとお客様のことは二の次になってしまいます。お客様よりも自分の都合、ノルマや数値目標の達成が優先されてしまいます。それではお客様が満足するような仕事はできません。

仕事の究極の目的は、人の役に立つこと、自己実現することです。数字は二の次です。メンバーが楽しく働いていれば、お客様も満足し、売上も上がります。そこを目指すのが上司・リーダーの役割です。社員に責任を負わせすぎるから、責任を逃れるためにチャレンジしなくなります。

この記事では「究極のリーダーは皆に助けられる人だ」と言っています。そうなるには「自ら率先して働くこと」「人の責任を問わないこと」と言っていますが、先日も書きましたが、「褒める」ことも「叱る」ことも大事です。しかし、これらは相手のことを心から思って行わなければなりません。数値だけで人を評価し、数値だけで責任を問うというのは間違っているように思います。

この記事では最後に「『この人と一緒に仕事がしたい、この人を助けたい』と思える関係性を築けば、信頼が急の崩れることはありません。メンバーを信じ、それを行動で表せば、メンバーは必ず答えてくれます。どちらか一方にストレスがかかるようなやり方は、本来必要ないのです」と言っています。

何においても企業は人で成り立っています。人との人間関係、信頼関係が基本です。これなくして企業の成長や発展はあり得ません。人を大切にする企業、人の育成に注力する企業が成長・発展します。人というのは、従業員だけではなく、お客様、取引先、その他ステークホルダーすべてです。これらすべての人を大切にすることが、企業が混迷・変革する環境の中で生き残り、成長、発展するうえで一番大事なことです。だからこそ、経営は「ヒト・ヒト・ヒト」なのです。 

「褒める技術」の落とし穴

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2191人、そのうち東京920人、神奈川250人、埼玉157人、千葉139人、愛知85人、大阪151人、兵庫36人、京都24人、福岡43人、沖縄58人、北海道67人などとなっています。東京は近日中に1000人を超える勢いで感染が拡大し、政府は11日で期限が切れるまん延防止等重点措置を緊急事態宣言発令に切り替えることを決定しました。また、大阪・神奈川・埼玉・千葉に出されているまん延防止等重点措置は延長する方針で、北海道・愛知・兵庫・京都・福岡については解除するようです。しかし、昨日の状況を見ても全国的に増加の兆しが見られます。県境に壁はありません。ウイルスは自由の出入りします。解除した地域に再発令とならないことを願います。東京に出される緊急事態宣言の期限は来月22日までとのことで、オリンピックの期間中は緊急事態宣言で自粛が迫られます。国民に自粛を強いながら、一方でオリンピックは強行開催。国民の健康や命にリスクを課してまで行うべきことですか?菅首相は、どの口で「安心安全なオリンピック」「コロナに打ち勝った証」というのですか?今もその言葉を口にできますか?もはやオリンピックは単なる商業イベントにしかすぎません。何のため・誰のためのオリンピックか明確に説明してもらいたいものです。

さて、今日は、Forbes JAPANの「『褒める技術』の落とし穴」という記事を取り上げます。これまでも部下の育成方法について書いていますが、部下に対して「認めて、任せて、褒める」ことが大事ですし、ミスを犯した時には「叱る」ことも必要です。「部下の叱り方」については、6月1日に書いていますので、参考にしてください。

若手社員の中には、「自分の上司は褒めてくれない。褒めると負けだと思っているようだ」という不満を抱いている人もいますし、一方で上司は「もう学生や子供ではないので褒めてほしいという甘えは捨てるべきだ」という意見もあります。

元来、日本は、ベネディクトが「菊と刀」で言ったように、罪の文化ではなく恥の文化です。今の若者だけでなく、昔から曖昧模糊とした甘えの中で生活しています。親や教師、社会も本当にその人のことを思って叱るということができていないのです。叱るための基準が明確でないからです。「叱る」というのは、本当に相手のことを思っていなければできません。相手のことを思っていなければ、それは怒りに任せた感情にしかすぎなくなります。「叱る」というのは、相手に対するどのような思いを抱いて言葉を発するのか、「この一言で、部下が持つ素晴らしい可能性が開花してほしい」という思いをもって、真剣に部下にその言葉を響かせようとすることであって、ある意味「命がけ」なのです。だから、昨今の上司は、「部下にアドバイスしたい」「成長してほしい」と思いながらも、黙っている方が無難ということになってしまいます。

これは、「叱る」ことだけでなく「褒める」ことにも、同じことが言えます。

「叱る」ことはできるが「褒める」ことは苦手という人がいます。そういう人は、自分が本当に「叱る」ことができているのか考えてみてください。本当に部下のことを思い心から「叱る」ことができているのか、怒りや苛立ちの感情から相手を非難しているだけなのか、考えてみることです。「褒める」ことも、相手のことを思って心から「褒める」必要があります。単に口先だけ、上辺だけの褒め言葉など、相手の心に響きません。それでは、部下の成長など期待できません。

「叱る」ことが苦手な人は「褒める」ことも苦手で、本当に「叱る」ことができている人は「褒める」こともできるはずです。

この記事では、「褒めり技術」や「褒める言葉」に関する本が流行っていることに警鐘を鳴らしています。昨今の「褒める技術」や「褒めり言葉」といったものに依拠したマネジメントには「危うい落とし穴」があるというのです。その「落とし穴」というのは、「操作主義」です。これは、「褒める技術や褒め言葉」を用いるとき、上司の心の中には、「このように褒めれば、部下は喜び、自分についてくる」「こう褒めれば部下のモチベーションは上がり、仕事の成果も上がる」といった発想、「部下を思い通りに動かしたい」という密やかな「操作主義」があるということです。

先ほども書きましたように、「褒める」場合も「叱る」時と同じく、相手を思いやる心がなければなりません。上司の心の中に「自己中心的な発想」や「無意識の傲慢さ」が垣間見られるとき、部下は反感を抱くことはあっても、上司に共感することはなく、良い結果をもたらすことはありません。

部下を褒める時には、「タイミング」や「ポイント」も重要ですが、それ以上に大切なのは、どのような「思い」を込めて褒めるのかということです。ここでも、「叱る」ときと同じように「この言葉で部下が持っている素晴らしい可能性が開花してほしい」「(仕事だけでなく人間としても)成長してほしい」という思いを抱き、その思いを言葉に込めて、部下の心に響かせることです。部下に対する温かい思いと愛情、「自分の一言に部下の人生がかかっているという覚悟」が必要なのです。まさに「褒める」ことも「命がけ」なのです。

次に、東洋経済ONLINEの「褒めるのが苦手な人に欠かせない3つのコツ」という記事を取り上げます。

誰でも、努力して結果を出した時や仕事で成果を上げたときには褒めてもらいたいものです。褒めてもらえなければむなしくなってしまいます。褒めるということは、感謝の気持ちを表し、相手のモチベーションを上げることにつながるのです。

それでも、褒めるのは苦手という人に対して、この記事ではとっておきの3つのコツが示されています。

  1. 褒めない褒め方=「他の誰かが言ったこと」にして褒める・・・「褒めると偉そうだ」「褒めるガラじゃない」と思う場合、「部長が言っていたよ」などほかの人が言っていたようにして褒める。相手も、直接褒められたわけではないので喜びの感情を表しやすい。その上で、「自分も(部長と)同じように思う」などと褒め言葉を付け加える。
  2. 時間差・褒め=すぐに褒めずに後で褒める・・・すぐに「いいね」「すごい」とほめるのではなく、忘れた頃に「そういえば、あれはよかった」と時間差で褒める。「そんな前のこと、細かいことをよく覚えてくれているなあ」と相手は嬉しくなる。そのためには記憶、「いつ・どこで・何をした」という具体的な内容が必要になる。
  3. 「言葉」より「顔」=表情で褒める・・・口先だけの言葉よりも顔に気持ちを表すことが大事だ。本心で相手をたたえる気持ちが一番相手に響く。

この記事でも、言葉だけでなく、本心で気持ちを伝えることが相手の心に響くと言っています。

「叱る」ことも「褒める」ことも、相手を思いやる心が一番です。そのためには普段から相手とのより良い人間関係、信頼関係を築いていることが大前提です。普段から対話や雑談を通じて共感していることが重要なのです。 

 

オフィス改革から始める働き方改革

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1670人、そのうち東京593人、神奈川198人、埼玉137人、千葉138人、愛知52人、大阪136人、兵庫34人、京都20人、福岡43人、沖縄62人、北海道34人などとなっています。東京は先週火曜日より117人明らかにリバウンドしていますし、大阪もリバウンドの傾向が見られます。繁華街をはじめ各地の人出は増加していますし、望みの綱であったワクチン接種も供給不足で滞っていますので、リバウンドするのも当然と言えば当然です。東京五輪選手村スタッフがルールを破り4人で会食しそのうち2人がコロナに感染しました。また1日以降大会感染者の9人が陽性になったと発表されています。東京五輪まで20日を切りました。いかに隔離をしコロナ対策を行ったとしても、ちょっとしたルール違反や油断でコロナは感染します。ここにきて国民が「中止」を叫んでも強行されるのは目に見えているので、せめて東京五輪がコロナ五輪とならないことを祈ります。

さて、今日は、JB pressの「『働き方改革』先進企業・損保ジャパンのオフィス改革に学ぼう」という記事を取り上げます。

この記事では、損保ジャパンが、働き方改革に伴うオフィス改革をどのように進めていったのか、「オフィス改革におけるデジタル活用術」について書かれたものですが、働き改革の1つとして、どのような組織、企業においても容易に取り入れることができるもので役に立つと思います。

1.オフィス改革

損保ジャパンは、比較的早い段階から働き方改革に取り組み、2018年にはすでに、テレワークをはじめとする、多様で自由な働き方をするための設備や制度などの環境を整えています。しかし、当時はコロナ禍とは違い、そういった環境を活用する社員は少数で、働き方改革を推し進めるために「従来とは違う環境の中で仕事をする」ということにトライアルできる場所づくりを始めています。

例えば、食堂の一部に、働くことも食事もできるワークプレイスをつくりWi-Fiを飛ばしたり、執務エリアにあるようなデスク以外の机を置きリラックスできる空間を作ったりしています。こうした空間、環境を作ることによって、これまで馴染みのない「自由な働き方とはどういうものか」「自分には合うのか」を体験できるようにしたのです。

 また、このワークプレイスを夕方からは「損保ジャPUB」という名前のパブにして、酒を飲みながら参加できるイベントを開催したり、仲間同士で学び合ったり、語らい合ったりできる場にしています。

 このように、「本当の働き方改革」は、「働いたり、イベントで楽しんだり、学んだり、色々なことができる場を提供する」ことからスタートさせているのです。

 そして、損保ジャパンでは、部分的にオフィス改革に取り組んでいるうちに、本社全体をリニューアルしたいという話になり、総務部門だけで企画を進めることは難しく、全体からリニューアルプロジェクトの推進メンバーを募集することになります。このプロジェクトメンバーにより本プロジェクトの目的とそのための実施する企画が決められます。「従来の働き方にとらわれずに、イノベーションを起こしていける場。そのためのワークプレース」を作るということです。具体的には、

  • イノベーションが起こせる場
  • 選べる働き方、セクションができる場
  • 安心・安全・健康でリラックスできる場
  • 上記の3つが備わったワークプレイス

です。

 その中で、最初に出てきた食堂もリノベーションが行われ、食事以外の時間は、ワークプレイスとして打ち合わせや仕事ができる場に完了さえ、ヘルスという観点からグリーンを取り入れたり、食事の質を見直したりと健康面での支援ができる場に作り変えられています。

 食堂のリニューアルが完成したのは2020年3月で、コロナの影響もあり、十分な活用話されていないようですが、コロナ後を見据えて、どう活用していくべきかが議論されているということです。コロナ下で出社率が減少し、テレワークの普及の手伝い、必要なオフィス面積も大幅に減少しています。

 「オフィスは必要ないのか?」と言うと、そうではなく、オフィスに来るからこそはかどる仕事もあるはずです。そうなると、本当に必要なオフィスとはどのようなものかが重要になってきます。そのため、損保ジャパンでは、必要でなくなった面積で浮いた賃料によって、オフィスをさらに「あるべき姿、くるべき姿」に変えていくようにしているのです。つまり、オフィスを集約し、浮いた賃料をオフィス変革の投資に使うということです。

2.デジタルの活用

 損保ジャパンでは、オフィス改革を行うのであれば、このタイミングでデジタル化にも取り組むのが効率的であると判断されました。具体的には、ファシリティ・マネジメントの視点からBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用して数値化・データ化できないかということです。

 ファシリティ・マネジメントとは、「企業や団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画・管理・活用する経営活動」のことです。これは、従来の「設備管理」「施設管理」とは異なり、企業等が保有・使用する全施設資産およびその利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画・管理・活用するものです。

 BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)は、建築に関わる人が活用できるビジネスとデザインを変革するワークフローで、コンピュータ上に作成した3次元の建物のデジタルモデルに、コストや仕入れ、管理情報などの属性データを追加した建物のデータベースを、設計、施工から維持管理まであらゆる工程で情報活用できるものです。

 BIMとファシリティ・マネジメントを結びつけることで、デジタル技術を利用した経営戦略的な施設の企画・管理・活用を図ろうとしたのです。 

 出社人数に対する必要面積やオフィスに関するコストなど、あらゆることがデータ、数字化され、ひと目で確認できるようになっているのです。図面だけ見て、そこからどんなものが完成するかは難しいですが、BIMを活用し視覚化できれば、色々な判断もスピーディーに行えるようになります。

 働き方改革を進めるうえで、制度や環境を整えるだけでは不十分で、「体感」できるような場所を作っていくことが重要です。

 しかし、今すぐすべてを作り込むことは困難です。だからこそ疑似体験としてデジタルを活用していくことが有用になるのです。

以前から何度も言っていますが、働き方改革にしろ、デジタル化にしろ、それ自体が目的ではありません。それは自社が抱えている課題・問題の解決や目的を達成するための手段にしかありません。自社が抱えている課題や問題をあぶり出し解決するために、あるいは自社の目的・目標を達成するために、どのような働き方改革やデジタル化が適しているのかを検討し、少しずつ必要に応じて少しずつ取り組んでいくことが大切です。

そのために、働き方改革の第一歩としてオフィス改革に取り組むことは有用だと思います。そこから自社に合うように少しずつ言勧めていけばいいのです。 

 

ネットフリックスに見る組織と個人の「優れた関係」

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1030人、そのうち東京342人、神奈川180人、埼玉76人、千葉112人、愛知21人、大阪78人、兵庫13人、京都6人、福岡16人、沖縄28人、北海道29人などとなっています。休日の検査数で市区ないのは当然ですが、東京では16日連続で前週の同曜日を上回っています。また感染力の強いインド型デルタ株の割合も増えているようです。こうした中、オリンピックについて、大規模会場では無観客・小規模会場では有観客とし、五輪関係者は別枠とする案で最終調整がなされているようです。五輪関係者だけ特別扱い、まさに五輪貴族です。誰のための五輪なのでしょうか。一部利権とIOC、菅政権のための五輪など見たくもありません。

さて、今日は、Forbes JAPAN の「世界最強組織ネットフリックスに見る、組織と個人の『優れた関係』」を取り上げます。

ネットフリックス(NETFLIX)は、アメリカに本社を置く世界的な定額制動画配信サービス及びオンラインDVDレンタル運営会社で、世界一自由な会社と言われています。ネットフリックスの強さの秘密は、その「自由」と「責任」からなる企業文化にあると言われています。

創業者リード・ヘイスティングスがオンライン上に公開した「ネットフリックス・カルチャー・デック」の中には、127枚のスライドに標語が書かれています。

その中に「十分な働きぶりの従業員を十分な退職金で解雇する」と書かれています。ネットフリックスは、会社を「家族」ではなく、ベストプレーヤーが集まる「オリンピックチーム」とみなしています。最高の人材しか採用せず、功績が落ちればほかのプレーヤーに取って代えられるのです。

また、休暇規定もありません。ヘイスティングス自身が年に6週間の長期休暇を取ることで、「この会社で成功するには休暇を取る必要がある」という雰囲気が生まれ、自由な文化が醸成され機能しているのです。

ネットフリックスの企業文化は「能力密度を高める」「率直さを高める」「コントロールを減らす」という3ステップから成り立っていると言われています。

多くの企業は、効率性や一貫性に固執し過ぎて「ミス防止」を重視し、イノベーティブ(革新的)な発想が生まれにくくなっています。ネットフリックスは、比類ない自由を従業員に与えることで、イノベーションを生み出そうとしているのです。

1.能力密度を高める

 コントロールを外せば、会社はカオス化するのではないかという懸念が生まれます。そこで、ヘイスティングスは、ずば抜けた人材のみを業界トップレベルの待遇で雇うことにしたのです。5人を雇う予算があれば超優秀な2人を5人分の予算で雇うということです。少数精鋭ならば、従業員へのコントロールを大幅に減らすことができます。これが、「能力密度を高める」ということです。

 問題は、トップレベルの人材が卓越した成果を出し続けられるかということです。そこで、最高の功績を挙げられなくなった従業員には十分な退職金を支払って解雇するというのです。仕事ぶりは伝染します。情熱や活力、高い能力は全体の士気を高めますが、一人でも卓越した結果を出せない者がいれば全体の士気を落としてしまいます。そこでベストプレーヤーだけを残すのです。

 誰を残すかで使われるのが「キーパー(居残り)テスト」です。もし誰かが辞めると言ってきたときに、退職も申し出にホッとするようなら、その従業員は解雇すべきだということです。

2.率直さを高める

 これは忌憚のないフィードバック文化を意味しています。従業員は、毎日フィードバックを与え合うのです。従業員同士が責任を持ち合うことで、コントロールが不要になります。

 率直なフィードバックは敬遠されがちですが、「4A」(4つのA)というガイドラインが決められています。

  • Aim to Assist(その従業員の助けになるように心がける)・・・優越感や怒りからのフィードバックは厳禁
  • Actionable(実行できるものであること)・・・具体的な行動計画を提案する
  • Appreciate(感謝すること)・・・受け手には「サンキュー」の一言が必要
  • Accept or Discard(受け入れるか受け入れないかを決める)・・・フィードバックに従うかどうかはその人次第

3.コントロールを減らす 

 ここでは3つのカテゴリーから成り立っています。

  • ノーポリシー(社則なし)・・・休暇や出張、支出など、従業員次第。休暇日数も出張の移動手段・宿泊先ホテルも従業員次第。まさに「自由」だが、信頼され大人の恋湯堂を善t例とされている分「責任」が伴う。
  • 管理手続き撤廃・・・重要業績評価指標(KPI)など不要。最高の従業員の下で能力密度と率直さが高まったら、彼らがやるべきことをやっているかを追跡する必要などなくなる。自由のやらせることで、従業員は創造性やイノベーションをはぐくめる環境を作っていく
  • 意思決定の承認不要・・・ヘイスティングスを「根っこ」として、そこから幹が伸び枝へと分かれていく。根っこが会社が向かうべき方向や留意すべき要件など、全体のコンテキストを定め、「幹」であるトップレベルの幹部が各部署ごとに更なるコンテキストを定め、「枝」であるマネジャーにバトンを渡す。さらに御上に伸びている「小枝」の「情報に通じたキャプテン」が意思決定を下す。このキャプテンが幹部が示したコンテキストに本地て大きな意思決定を下す責任を負う。

4.重要になる「柔軟な企業文化」

 この記事では、ネットフリックスの企業文化をもとに、これからの企業やスタートアップ企業が学ぶべき点が5つ挙げられています。

  1. 自社にとってミス防止とイノベーションのどちらが重要かを決めること・・・日本企業が留意するミス防止文化はメーカーなど安全性重視の業界にはいいが、試行錯誤が必要なイノベーションには向かない。
  2. イノベーション重視と決まれば、従業員に自由を与える
  3. キーパーテスト・・・チームに働きぶりの悪い従業員はいないか考える。採用の際は、少数の優秀な人材を高額で雇う。
  4. フィードバック文化の構築
  5. 組織の自由度を高める・・・規定や商人の廃止など

しかし、ネットフリックスにおなれる企業はほとんどないでしょう。すべての企業には独自の企業文化・社風があります。しかし、コロナ禍で経済が疲弊する中、企業の生き残りをかけた戦いや挑戦が始まっています。変化し続ける環境に適用していかなければ生き残ることはできません。そのため、イノベーションや柔軟性が要求されます。

この記事では、「今後は多くの企業が、指揮系統やコントロールと言う考えに背を向け、柔軟性・責任・コンテキスト重視の経営に移行するだろう。ネットフレックスになれなくても、同社のステップを踏めばどんな組織にも自由の文化が根付く」と言っています。

しかし、過去の因習や過去の栄光にしがみついて何とか生きながらえているような日本企業ではネットフレックスになることは不可能でしょう。日本でも、コロナ禍でリモートワークが普及し、組織の自由度は若干高まりました。コロナ化で、どの組織も少しは柔軟になっています。新しい柔軟な企業文化を生み出していくことができるかは、コロナ後も、コロナ前に逆戻りするのではなく、柔軟な対応を取り続けることができるかにかかっています。