中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

ブルシット・ジョブの問題点

f:id:business-doctor-28:20210825081329j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で214人で、東京35人、神奈川26人、大阪11人などとなっています。休日のデータにもかかわらず、あまり減っていなくてオミクロン株が広がってきているのではないかと懸念します。今年も残すところ4日、コロナに振り回された1年でしたが、気を緩めてオミクロン株が感染拡大すれば、来年もコロナに振り回されます。年末年始の行動が来年を占うように思います。お互い気を付けましょう。

さて、今日もブルシット・ジョブです。文春オンラインの「全力で仕事したのに『怠けるんじゃない』と叱られて…努力より”忙しいフリ”が評価されるブルシット・ジョブの問題点」という記事を取り上げます。

仕事というのは何らかの目的達成を名目としており、その目的が達成されたらその時点で帰ってもいいはずなのに、そうならないからブルシットジョブが生まれるのです。「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」の著者クレーバーは、自分の学生時代していたレストランのバイトの例を挙げています。

言われた仕事を最速で仕上げようと全力で取り組み短時間で終わらせます。ボスからお褒めの言葉が聞けるかと思ったところ、嫌な顔をされ「怠けるんじゃない」と叱られたというのです。その後クレーバーはのろのろと仕事をするようにしたところ何も言われなくなったということです。

作業を効率よくこなすよりも、とにかく仕事時間中はずっと仕事をしている様子を見せることや、頑張っているふりをしていることが重要なのです。日本の社会でも同様です。勤務時間中デスクに向かっていれば仕事をしていると評価されます。たとえ、デスクに向かって私的なメールを打っていても、こっそり漫画を読んでいたり動画を視聴したりしていてもです。

1.タスク指向

 労働というのは、雇用主が自分の時間を買ったものだから、その時間の間働かないといけないという考え方は普遍的なものではありません。むしろ、狩猟民族も農耕民族も、仕事が必要な時に集中的に行い、それ以外はぶらぶらしたり寝ていたりしてもいいものでした。

 クレーバーが例に挙げるのは学生で、普段からコツコツ真面目に勉強し試験に慌てない者は変人で、たいていは普段から勉強しているわけではなく試験間際になって集中的に勉強するものです。

 クレーバーは資本主義的モラルの浸透以前の仕事のあり方を「タスク指向」と表現します。その特徴は

  • 時間労働よりも人間的にわかりやすい。必要性を見て取りながら活動する。
  • 「仕事」と「生活」の境界線がほとんどない。社会的交流と労働は混ざり合っており、労働日は仕事に応じて長くなったり短くなったりする
  • 時間ではかられた労働に慣れている物からすれば、無駄が多く、緊張に欠けるように映る

 このタスク指向の労働のパタンは激しい労働と怠惰が交互に繰り返されるもので、現在でも、アーティスト、小説家、小規模農家、一部の自営業者などには残されており、それが「本来的」な人間の労働のリズムなのです(E・P・トムソン「時間、労働規律、産業資本主義」)。タスク指向の労働は自分の意志で労働生活を統制している(できる)のです。

2.時間指向

 ところが資本主義の進展に伴い、われわれの社会は、必要な時にガーッと仕事をしてそうではないときにゆるくしているという労働形態を許さなくなり、仕事の性格にお構いなしに時間によって抽象的に区切るようになったのです。これが「時間指向」の仕事です。

 現在のサラリーマンをはじめ多くの労働者は、時間に応じて賃金が支払われるのも、時間指向が関係しています。

 しかし、本来的な仕事というのは、自分の意志で統制できるもので、働く現場において、自らの才覚と裁量を発揮できる余地が多かれ少なかれありました。こうした本来的な仕事に、時間指向の仕事の形態を押し付けようとしたことで、ブルシット・ジョブが生まれるのです。つまり、時間指向で与えられた時間(勤務時間)の間は例え仕事が終わりやるべき仕事がなくなってもやっているフリをしなければならず、クソどうでもいい仕事が生み出され、それをやる(やるフリをする)ことになるということです。

3.ブルシット・ジョブの5つの類型

 クレーバーは、ブルシットジョブを次の5つに分類しています。

  1. 取り巻きの仕事・・・誰かを偉そうに見せたり、誰かに偉そうな気分を味わわせるという、ただそれだけのために存在している仕事。
  2. 脅し屋の仕事・・・脅迫的な要素を持っている人間たち、その存在を他社の雇用に全面的に依存している人間たち。例えば軍隊
  3. 尻ぬぐいの仕事・・・組織に欠陥が存在しているためにその仕事が存在しているに過ぎない雇われ人。
  4. 書類穴埋め人の仕事・・・実際に流行っていないことをやっていると主張できるようにすることが唯一の存在理由であるような雇用者。
  5. タスクマスターの仕事・・・他人への仕事の割り当てだけからなる仕事と、他者に対するブルシットな仕事の形成だけが仕事。

4.ブルシット・ジョブをなくすには

 ブルシット・ジョブをなくすということは、我々の仕事が時間指向に基づいている限り、なかなか難しいものです。

 しかし、コロナ禍でわれわれの働き方も大きく変わりました。日本型の雇用形態からジョブ型雇用、成果主義も取り入れられてきています。時間よりもタスク重視へと少しずつ移行してきています。

 昨日も書きましたが、ブルシット・ジョブはクソどうでもいい仕事でワクワクするものではありません。自分が本当にワクワクするものは何か、自分のモチベーションを高めてくれるものは何かを考えて、それに全力を傾けることが、ブルシットジョブから解放される唯一の方法ではないかと思います。

タスクマスター

f:id:business-doctor-28:20211105082054j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で263人で、東京43人、神奈川36人、大阪30人、沖縄21人、北海道22人などと増えてきているように見えます。オミクロン株の市中感染が各地で確認され、今のところ点ですが、これからは面的に広がるのではないかと懸念します。水際対策も限界があり、医療体制を破たんさせないように今から十分な体制を確保していておく必要があります。今までのような後手後手でなく先手必勝で臨んでもらいたいところです。

さて、今日は、現代ビジネスの「世界中で『不要な上司』が部下を苦しめているという『残念な現実』」という記事を取り上げます。

昨年、デビッド・グレーバー著「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」という本が流行りましたが、未だにブルシット・ジョブ現象は世界中で起きています。この本の中で「ブルシット生成装置」と呼ばれているものが「タスクマスター」です。タスクマスターというのは「不要な上司」と訳されることもありますが、「不要な上司」だけでなく「不要な仕事を作り出す上司」という意味でも使われるのです。

多くの部下が、「自分の上司は役立たずで、いなくても仕事は回る」と考えていますし、タスクマスター自身も、自らの仕事をブルシットと感じています。

ブルシット・ジョブというのは、「あまりにも意味を欠いたものであるため、若しくは有害ですらあるために、その仕事に当たる当人でさえ、そんな仕事は存在しない方がましだと考えてしまうような仕事」のことです。簡単に言えば、「こんな仕事なんか意味がないと、それをやっている人間も多かれ少なかれ感じているが、それを言ってはいけないことになっている仕事」です。

ブルシット・ジョブは労働条件が悪くキツい仕事(シット・ジョブ)とは違います。ブルシット・ジョブは、どちらかというと、地位が高く、他者から敬意をもたれ高収入が得られているにもかかわらず、当人が内心では無意味と感じている仕事なのです。

多くの上司・管理者が、この「クソどうでもいい仕事」に忙殺されているのです。ブルシット・ジョブはワクワクするような仕事ではないため、やる気も湧きません。これでは「不要な上司」になるのは目に見えています。

問題はもう一つの類型である「不要な仕事を作り出す上司」というタスクマスターです。

ブルシットを生み出しているのは資本主義自体ではありません。それは複雑な組織の中で、実践されているマネジリアリズム(経営管理主義)・イデオロギーの問題です。「ブルシット・ジョブ」の本の中では「マネジリアリズムが根を下ろすにつれ、マネジリアリズムの皿回し――戦略、パフォーマンス、目標、監査、説明、評価、新たな戦略、等など、――を維持するだけが仕事のスタッフが登場する」と言っています。本来の仕事とは全く関係のないクソどうでもいい新たな仕事が生み出され、それを行うだけの人材を雇い入れるようになるのです。

がっちりとした職階と職務の定められている組織では、人員募集できるような明確な職務内容の仕事が存在しなければなりません。そのため、無理にでも架空のポストと職務規律を作り、そこに本当にやってもらう職務に合う適性の人材を採用しながら、採用に当たっては架空のポストに即した適性であるかのように見せかけて、必要とあれば履歴書から何から何まで書き換えて、という気の遠くなるような作業を行うのです。

この記事では、ブルシット・ジョブというのは、「あうんの呼吸」、正当であることと不正であることのギリギリのライン、そして言ってはならないことになっていることの限界を共有する空気で動く論理だ、と言っています。

「阿吽の呼吸」で物事が進められることが多い、日本の社会ではブルシット・ジョブは多いのではないかと思います。このブルシットジョブから解放されることが、企業や組織に活気をもたらし生産性を高めることになります。

モチベーションを高める仕事・職場特性として、次の5つが挙げられます。

  1. 多様性・・・単調でなく、多様な操作やスキルが必要だったり変化があったりすること
  2. 完結性・・・部分的な作業をするのみではなく、仕事全体を見渡せ、自分の仕事の位置づけができること
  3. 重要性・・・社会的意義が分かるなど、やっている仕事の重要性や有意味性が感じられること
  4. 自律性・・・命じられるままにするのではなく、自ら計画を立てたり、方法を工夫したりして、自律的に取り組めること
  5. フィードバック・・・自分の仕事の結果が分かり、今後の改善のための有益な情報が得られること

この5つの要素を満たす仕事であればモチベーションも高まります。クソどうでもいい仕事(ブリシット・ジョブ)を脇に置き、この5つの要素を満たした仕事を優先的に行うことです。タスクマスターにならないように注意しましょう。

休日の本棚 企業戦略論

f:id:business-doctor-28:20210801080313j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で322人で、東京38人、神奈川29人、大阪22人、沖縄29人、北海道22人などでじわじわと増えてきています。オミクロン株の市中感染が、大阪、京都、東京だけでなく沖縄・福岡でも見られ、水面下で広がりを見せています。イギリスでは1日当たりの新規感染者が12万人を超え、フランス・イタリアでも過去最多を更新するなどヨーロッパで感染拡大しています。ここ最近の各地の人流、気の緩みを見ると、日本でも年明けから急激に増えるのではないかと懸念します。いつも言っていますが、一人ひとりが気を引き締めて、取り得べき感染防止策を取り続けるしかありません。

さて、今日は、ジェイ・B・バーニー著「企業戦略論」(ダイヤモンド社を紹介します。バーニー氏は、オハイオ州立大学経営学部フィッシャー・ビジネススクール企業戦略バンク・ワン・チェアーシップ教授です。

これまで何度か紹介したポーターの戦略論が極めて実証的かつ体系的で、競争戦略のスタンダードであることは否定できません。しかし、顧客重視よりも、ライバルに勝つことに重点があるため、顧客満足を追求することはあくまでも他社に競り勝つためで、あまり重きが置かれていません。また、企業の人間的、文化的側面もほとんど重視されることがありません。

ポーターが競争優位の源泉は企業の「外」にあると考えたのに対し、バーニーは企業の「内」のリソース(経営資源)にこそ競争の源泉があると考えました。どんなに競争が激しい業界でも、好業績の会社はあります。バーニーは「会社の業績は、業界の競争の激しさではなく、会社の経営資源で決まる」と考えたのです。

例えば、他社よりも安く製品を提供できる強みは、ポーターなら原材料の取引先との関係、熟練工の調達など外部の資源を取り込むことで可能になる(5F)と考えます。一方で、バーニーは安く提供できる設備、人材、システムといったリソースが内部にあるからだと考えるのです。

1.RBV(リソース・ベースト・ビュー)

 厳しい業界の中でも好業績を続けている企業は真似されにくい独自の経営資源(リソース)を持っています。企業の競争力を考えるために経営資源(リソース)に注目したのが、バーニーが提唱した「RBV」です。これは、「経営資源(リソース)に基づいた視点(ビュー)」ということです。

 例えば、繁盛しているラーメン店を考えてみます。その店で出しているメニューは容易に真似をすることはできます。しかし、同じ味のラーメンを提供しようとすれば、麺やスープの素となる材料を手に入れ、それを調理するための厨房が必要になり、スープの材料の配合、麺のゆで時間、その他様々な知識や経験が必要になります。これらの知識や経験を持つ人材の確保・育成も必要です。これらが相まって、人気のラーメン店は成り立っているのです。他の店が真似ようとしても簡単にできるものではありません。

 先ほども述べたように、ポーターの競争戦略論が市場の魅力度と競争地位という「外」を重視するのに対し、バーニーのRBVは「内」にある経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を重視し、自社の強みをどんどん強くすることで市場=顧客を獲得していくという発想に転換したのです。

 RBVのエッセンスは3つです。それは、VRIO、資源ポートフォリオ、基本戦略の立て直しです。順次見ていきます。 

2.VRIO

 以前取り上げた「コア・コンピタンス」はRBV視点を取り入れた代表的な戦略論です。コア・コンピタンスでは、属している産業や外部環境をいうよりも、自社の強みをベースに事業を拡大していく戦略論です。

 自社の強みを競合他社と比較して4つの視点から評価します。顧客にとって「資源の価値(Value」があるものか、「希少性(Rareness)」はあるか、「模倣可能性(Imitability)」はあるか、「組織(Organization)」が整備されているか、この4つの頭文字をとったのがVRIOです。この4つの基準に照らして耐えうるものが自社のコア・コンピタンスです。

  1. 資源の価値(V)・・・「その企業の保有する経営資源が、顧客の嗜好、業界の構造、技術動向などに照らして、市場で受け入られ、経済的価値をもたらすか」「その経営資源を持つことで、脅威やリスクが減るか、機会が増大するのか」を問います。
  2. 希少性(R)・・・「現時点で、競合企業のうちどれくらいの企業が、その特定の価値ある経営資源を持っていおるのか」「その経営資源が、ごく少数の企業しか所有していない希少な資源であるのか」を問います。
  3. 模倣困難性(I)・・・「その経営資源は、競合他社がまねできない資源であるかどうか」「競合他社が類似の資源を獲得するために技術開発やチャネル形成、ブランド構築などで莫大なコストがかかるのか」を問います。
  4. 組織能力(O)・・・「経済的価値があり、希少で、模倣困難な資源を活用するための組織能力(組織的方針・手続き、命令・報告系統、マネジメントシステムなど)があるか」を問います。

3.資源ポートフォリオ

 強みとなっている資源をベースに、既存市場での資源の活用と、新市場への参入の検討に役立てることです。BPMの横軸の相対シェアの代わりに経営資源を置き、縦軸に市場・製品を置く資源ポートフォリオを描きます。

 そして、資源の相乗効果や補完性の観点から、資源配分と既存資源の活用を検討します。新市場の参入においても、資源をどう活用していくか資源の展開の可能性を判断するのです。

4.基本戦略の立て直し

 将来の競争を先読みし、目指すべき将来の事業の姿を描き、強みを更に強くすることや今後獲得すべき経営資源を明確にして基本戦略の立て直しを図ります。ここで重要なのは、現状の延長線上の目標ではなく、より大きな目標・ビジョンを掲げ、将来の競争に向けた布石を打ち、資源の拡張をスピーディーに行うためのテコとして、経営資源を集中させることです。

 こうしたRBVの考えが適合しやすいのは、技術革新が市場と競争を激変させるような情報家電、自動車、化学などの産業です。古い事例ではありますが、シャープは98年に「2005年までに国内で販売するテレビをすべて液晶にする」と宣言し、液晶ディスプレイの大型化と量産化に集中して、ブラウン管テレビから液晶テレビへの転換を主導しました。キャノンは「主力事業のすべてが世界ナンバー1」を目標に掲げ、事業の再編成を推し進め、思い切った経営資源の集中を行っています。

5.本当の強みを見極める

 本当の強みを見極めることは難しいものです。

 一つは自分の強みを過小評価するということです。強みは自分にとっては当たり前のことで、自分では気づかないことが多いのです。こういうときには外部の意見が役に立ちます。外部からの客観的な意見です。

 次に、自己の強みを過大評価してしまうことです。例えば、「自社の強みは社員が真面目でスキルが高い」と考える企業は多いのですが、競合他社も同じように考えていますし、客観性が担保されていません。これは強みでも何でもないのです。

 企業の本当に強みは容易には見極めることができません。外部の意見を参考にしながら、じっくりと観察し、関係者と話し合って考え続けることが大切なのです。

 又、どのような強みでも未来永劫続くということはありません。どのような強みでもいずれは真似されてしまいます。真似できない強みというのはそれほどありません。いつかは賞味期限が来ます。自社の本当に強みを明確にしつつ、それを進化させていくことが必要です。

 

休日の本棚 両利きの経営

f:id:business-doctor-28:20210529081307j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で302人で、東京39人、神奈川24人、大阪26人、沖縄33人などとなっています。東京でもオミクロン株の市中感染が確認され、今後は年末年始の帰省や旅行などで全国的な広がりを見せるのではないかと懸念します。岸田首相は「帰省や旅行はオミクロン株の動向を踏まえて慎重に検討していただくようにお願いする」と呼びかけました。このままオミクロン株が市中感染すれば、2月には1日当たりの新規感染者が3000人を超えるとの試算もあるようなので、一人ひとりが気を緩めることなく、これまで通りの感染防止策を徹底していくしかありません。

さて、今日は、チャールズ・A・オライリー&マイケル・L・タッシュマン著「両利きの経営」(東洋経済新報社を紹介します。

オライリー氏はカリフォルニア大学バークレー校教授、タッシュマン氏はコロンビア大学教授です。

この本が掲げる「両利きの経営」は極めてシンプルで、既存の事業を深めていく「深化」と新しい事業を開拓する「探索」を同時に推進するということにつきます。

本書は「イノベーションのジレンマ」などの著書で知られるクレイトン・クリステンセン教授が「イノベーションのジレンマ』を超える最重要理論」と絶賛しています。

本書(日本版)の魅力は、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄教授が理論面で、経営コンサルタントである富山和彦氏が実務面で日本企業への示唆というべき解説をしてくれている点です。

1.両利きの経営とは

 「両利きの経営」の基本コンセプトは「まるで右手と左手が上手に使える人のように、『知の探索』と『知の深化』について高い次元でバランスをとる経営」ということです。

 多くの経営学者は、「知の探索」と「知の深化」がイノベーションにとって重要だと考えています。「イノベーションの父」と呼ばれた経済学者のシュンペーターは「新しい知とは、『既存の知』と『既存の知』の『新しい組み合わせ』で生まれる」と言います。イノベーションは新しいアイデアや新しい知を生み出すことですが、何もないところから全く新しいものは生まれません。新しいものというのは既存のものの組み合わせで生まれるのです。

 新しい知を生み出すために必要なことは「自分の現在の認知の範囲外にある知を探索し、今自分の持っている知と新しく組み合わせること」です。これが「知の探索」です。一方で、「知の探索」だけではビジネスになりません。新しく組み合わされてできた知が「商売のタネになるか」は分からないからです。そこは徹底的に深堀して、何度も磨き込み、収益化する必要があります。これが「知の深化」です。

2.コンピテンシー・トラップ

 しかし、企業や組織は、どうしても知の探索を怠りがちになります。知の深化に傾斜する傾向があるのです。これも当然のことで、知の探索は行うのが難しいからです。

 知の探索は自分の認知の外に出ることなので、経済的、人的、時間的にコストがかかります。また、新しい知と知を組み合わせることなので不確実性が高く、失敗する可能性も高いのです。一方で、知の深化は、既存の知を活用することなので、コストも小さく、確実性が高く失敗の可能性も低いのです。

 したがって、経営者や意思決定者は、知の探索をおろそかにして、知の深化に走ろうとするのです。

 これは、短期的には合理的な意思決定となりますが、知の探索がおろそかにされた結果、中長期的にはイノベーションが枯渇します。これは、まさに自己崩壊であり、コンピテンシー・トラップと呼ばれています。

 コンピテンシー・トラップとは、「企業が既存の主力事業や過去の成功体験にとらわれて従来のビジネスモデルに固執し、新たな可能性を視野に入れなくなること」を意味します。

 イノベーションを起こすためには、「知の深化」と「知の探索」の両輪で、「知の範囲」を広げ続けることが大切なのです。しかし、実際には、目先の利益に追われて、知の探索はおろそかになりがち、中長期的にイノベーションの可能性を狭めてしまう(コンピテンシー・トラップ)のです。

3.両利きの経営を進めるコツ

 この本の中では、次の4つが挙げられています。

  1. 知の探索と知の深化を資産があって戦略上重要な事業領域で行う。
  2. 社内ベンチャー(知の探究チーム)の育成と資金提供に経営者がコミットする
  3. 社内ベンチャーが独自の組織運営を行えるよう既存事業のチームから距離を置く
  4. 社内ベンチャーと既存事業にまたがる共通のビジョン、価値観、文化を持つ

 特に重要なことは、「新しい部署に必要な機能(例えば開発・生産・営業)をすべて持たせて、独立性を保たせること」と「一方で、トップレベル(例えば担当役員レベル)では、その新規部署が既存部署から孤立しないように、両者が互いに知見や資源を活用し合えるよう交流を促すこと」が重要になってきます。

 特に日本企業の場合、評価基準の見直しも不可欠失敗の可能性が高い知の探索」で、既存事業と同じ評価基準を使ったのでは、失敗を恐れ、誰も知の探究をやらなくなってしまうからです。

4.両利きの経営におけるリーダーシップ

 両利きの経営ではリーダーシップが極めて重要になってきます。ここでは次の5つが指摘されています。

  1. 心に訴えかけて幹部チームを巻き込む
  2. 探索と深化の緊張関係(葛藤)が生じるポイントを明確に把握する
  3. 探索チームと深化チームのメンバー間の対立に向き合い、そこから学び、バランスをとる
  4. 深化チームには利益と規律を求め、探索チームには実験を奨励する
  5. 探索事業と深化事業についての意思決定と議論に時間を割く

 組織のリーダーが既存事業の成功を深化させながら、既存の組織能力を活用して、新市場を探究する両利きの経営を行って初めて長期的な成功につながるのです。

 探索と深化をどちらも同時に実現するためには、それぞれを別のチーム・組織に分けるだけでなく、異なるビジネスモデル、組織能力、システム、プロセス、インセンティブ、文化も必要です。両利きの経営で要求されることは、リーダー自身がその違いを育んでいかなければならないということです。

 両利きの経営に求められる要素には、探索事業と深化事業にまたがる共通のアイデンティティもあります。協力が必要なことを正当化する共通のビジョンがあれば、従業員は重要な長期的なマインドセットも身につけやすくなります。リーダーは分かりやすい言葉で、このビジョンを訴えなければなりません。

「両利きの経営」は、「右手」と左手」の両方を使うだけでは効果は望めません。楽器(ピアノ)の演奏者のように、「探索」と「深化」には異なる動きが要求されます。両方のバランスを調整し、統合して初めて一つのハーモニーを奏でることができるのです。

ネガティブ・フィードバック

f:id:business-doctor-28:20211224083937j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で295人で、東京37人、神奈川37人、大阪33人、北海道26人、沖縄25人、福岡19人などと増えてきているように見えます。新たに京都でもオミクロン株の市中感染が見つかり、複数の地点において水面下ではオミクロン株の市中感染が広がっているように思います。昨日も書いたように岸田首相は濃厚接触者の宿泊施設での待機を要請すると言いましたが、濃厚接触者が急増し、宿泊施設の確保が難しくなりつつあるようです。医療体制の充実だけでなく宿泊施設の確保、万が一濃厚接触者数がキャパを越えた場合の対処について今のうちからしっかりと決めておくことです。

さて、今日は、ダイヤモンドオンラインの「部下の不満が爆発しない!ネガティブフィードバック5つのポイント」という記事を取り上げます。

以前にも「フィードバック」については書きました。

その際にも書きましたが、フィードバックは決してネガティブなものではありません。フィードバックには、強みや改善が必要な部分を含んでいます。自分の悪いことしか言わないだろうという思い込みは捨てるべきです。

フィードバックには良い部分にも焦点が当てられています。フィードバックを受ける際には、先入観を持たないことが大切です。

そうはいっても、実際にフィードバックを受けると、自己弁護的になったり、自信をなくしたりするものです。フィードバックを聞くとやる気をなくしたり精神的に疲れたりする人もいます。

以前、絶対にやってはいけないフィードバックのやり方についてあげました。

  • 相手を追い詰める・・・追い詰めるように感情をむき出しにしたフィードバックはNGです。
  • 主観的なフィードバック・・・フィードバックは客観的な事実を伝える場です。主観的な話をする場合には客観的な事実やデータを基に「私個人の意見だが」と前置きしてから行うべきです。こういう意見もあるのかを考える素材にしてもらうことです。
  • 実現可能性が低いことが分かっているようなフィードバック・・・無意味だるだけでなく部下のモチベーションも低下させます。
  • みんなの前でフィードバックをする・・・特にお税の前でのネガティブフィードバックはNGです。
  • 人と比較する・・・人と比較されると侮辱されたと感じるのは当然です。これでは逆に反発を生みますし、人によっては自信喪失につながり得るものは何もありません。
  • 伝えるタイミングが遅い・・・フィードバックが遅いとその改善のための行動が遅くなり、成果も上がりません。またタイミングが遅いと部下の信頼も失います。フィードバックは適切な時期に行うべきものです。時間がたてばたつほどフィードバックの効果は激減します。

今日の記事は、ネガティブ・フィードバックを行う際のポイントについて書かれています。

1.フィードバックが適切に行われないワケ

 フィードバックが適切に行われないのには、いくつかの理由があります。

  • 上司が忙しすぎて怠ってしまう
  • 正式なフィードバックを行うまでもなく、日々のコミュニケーションで意図は伝わるだろうという錯覚
  • ネガティブ・フィードバックは上司にとっても心理的負担が大きく、そこから逃げてしまう

 褒めることは心理的負担にはならないのでしやすい一方で、ネガティブ・フィードバックは下手に行うと部下に嫌われたり、職場の雰囲気を悪くしたりするのではないかとの懸念が働き、躊躇することになるのです。その結果、部下の行動変容やスキルアップの機会まで奪ってしまいます。

 フィードバックというのは、上司の立場から見れば、「上司がフィードバックを通して部下に内省を促し、問題解決させたり、問題の解決方法を教えたりする。部下は、それを受けて業務を遂行する」をいうもので、行動した事象に対する結果から、何を改善すべきか・何が良かったかを伝えることで人材育成や部下育成を目的としたマネジメント手法です。その意味で、ネガティブ・フィードバックの重要性は極めて高いのです。

2.ネガティブ・フィードバックの方法 

  まず、フィードバックを効果的に行うポイントをいくつか挙げておきます。

  • 具体的、かつ客観的であること・・・抽象的な話では部下に伝わりません。具体的に且つ感情的・主観的にならず客観的に物事を捉えて部下に伝えることです。
  • 部下との信頼関係の構築・・・信頼関係がなけれなどのように優れたフィードバックを行っても受け入れてもらえません。特にネガティブは話なら逆に反発を招きます。それではチームとしての成果にも悪影響です。信頼関係の構築には、これまでも何度か取り上げているように雑談力を磨きコミュニケーションを高めることです。
  • 信頼される人間になる・・・尊敬できる人物や信頼できる人からのフィードバックであれば素直に受け入れることができます。自分なら「こんな人からフィードバックされたい」と思うような人物像に近づけるように努力することです。
  • 従業員に責任を負わせない・・・ネガティブなフィードバックをする際、部下が何らかの言い訳をしてくる場合があります。「責任は上司である自分にある」と伝えることで、部下は言い訳めいた姿勢を取らず、反省したりどうすればいいかを考えたりするきっかけになります。

この記事では、特にネガティブ・フィードバックの方法について説明されています。

  • 褒めることと同時に行う・・・ネガティブなことしか伝えないフィードバックは伝える側も伝えにくいので、まずは褒め、そのあとで耳の痛いフィードバックをするのです。最初に褒めることで相手の警戒感を解き、そのあとで本題に入るということです。
  • 成長やスキルアップのためのヒントであることを強調する・・・相手にとって耳の痛い聞きたくない話と言うよりも、成長やスキルアップのためのヒントであると前向きに捉えられるようにすることです。期待しているからこそ、耳の痛い話をしているのだという姿勢を見せることです。
  • ロジカルに進める・・・なぜ耳の痛いフィードバックが必要で、それによってどのような効果が期待できるのかが明確になると、部下も受け入れやすくなります。内容的にはロジカルさを心がけながら、相手の感情への気配りも忘れてはいけません。
  • 質問や傾聴を活用する・・・質問や傾聴を重視することですが、あまり質問ばかり立て続けに行うと、詰問されているように感じるので注意が必要です。適切に質問をして相手に考えさせ、適宜相づちを打ちながら相手に多くしゃべらせることです。
  • ポジティブな言葉を選ぶ・・・相手を傷つけることがないようにオブラートに包みつつ、行動を変容させるような言葉を選ぶことです。ネガティブ。フィードバックなので、相手がやる気を出してくれるようにポジティブな言葉を心がけるべきです。

 ここでも重要なのは、部下との信頼関係の構築です。部下との間に信頼関係が築かれていれば、ネガティブ・フィードバックを受けたとしても、上司に反感を抱く部下はいません。むしろ自分への期待で言ってくれていると感謝し、自ら改善に取り組み、成長してくれるはずです。それがチームや組織の成長・生産性に繋がります。

人間的でクリエイティブな経営モデル

f:id:business-doctor-28:20211223081342j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で262人で、東京は40人で5日連続での週の同じ曜日を上回っています。大阪では、海外渡航歴のない家族3人がオミクロン株に感染し、日本初のオミクロン株の市中感染が確認されました。昨日書いたように、岸田首相は水際対策と感染封じ込め策の強化を図っていますが、すでにオモクロン株は市中感染を始めていると思って対策をとる必要がありそうです。

さて、今日は、現代ビジネスの「数字を追いかける組織が『とんでもなく時代遅れ』なのに、今もなくならないワケ」という記事を取り上げます。

部下のモチベーションを上げようと頑張っているのに、部下はやる気になってくれないという経験は誰にもあるでしょう。この記事では、「数字重視のマネジメントモデル」から「人間的でクリエイティブな経営モデル」への転換が必須だと言っています。

1.「数字」重視から「人」重視へ

 2008年5月、アメリカ・ハーフムーンベイに世界的権威を持つ経営学者やビジネスリーダー36人が結集し、「21世紀への提言」がなされました。

 そのなかで、「とんでもなく時代遅れナマネジメントモデル」とされたのが、どの経営学の教科書にも載っている、20世紀初頭にフレデリックテーラーが開発した「科学的管理法」です。これは、業務を標準化し、管理部門の人財を置き、仕事を計画・統制するもので、科学的管理法は経営学の原点と呼ばれ、戦後の復興期における大量生産を支えた考え方です。

 この会議で批判された「古い経営モデル」は、人の心を無視した「数字重視の経営手法」といってよく、「手続きが決まった作業」や「正解がある問題」では極めて効果的に作用しました。

 しかし、今は先行きが見通せず、何が正解か分からない時代です。こうした時代では、この「古い経営モデル」では立ちゆかなくなってきています。ここで重要なのが「数字」ではなく「人」、「人間的でクリエイティブな経営モデル」です。

 この会議を主催した経営学の権威ゲイリー・ハメルはこの会議で出された提言を6つの視点でサマリーしています。

  1. 志を改める・・・富の最大化から脱却し、価値創造を目的とし、市民参画の自覚を持つ
  2. 能力を解き放つ・・・管理手法を刷新し、多様性を高め、信頼を高め、創造性を解き放つ
  3. 再生を促す・・・トップダウンの戦略立案を見直し、参加型手法を用い創発を促す
  4. 権限を分散させる・・・意思決定から政治を排除し、自然発生で柔軟な仕組みをつくる
  5. 調和を追求する・・・大局観の下、長期的なビジョンを見据えてマネジメントを行う
  6. 発想を変える・・・論理に偏らず、イノベーション手法を学び、社内外の叡智を集める

2.時代遅れなマネジメントの例

 ほとんどの企業で見られる「とんでもなく時代遅れナマネジメントモデル」はどのようなものでしょうか?

  • 営業会議で出てくるのは予算の未達に対する議論ばかり
  • 簡単なクレームなのに、複数部署が関わるため改善できない
  • 広告を出しても新規顧客獲得も先細り。それなのに予算達成のみを重視する会社方針。数字さえ作ればあとはどうでもいい。

 戦略・予算・KPIと数値達成に縛られている企業にはありがちな光景です。

 上の6つの視点に当てはめれば、次の通りです。

  1. 志を改める・・・志や価値観が共有されていないため、現場の優先事項は数字づくりになっている
  2. 能力を解き放つ・・・短気の成果が評価基準になっており、メンバーの創造性や部門間の信頼をそいでいる
  3. 再生を促す・・・現場には改善すべき点が足す言うあるのに、顧客よりも社内マターが優先されている
  4. 権限を分散させる・・・縦割り組織や複雑な手続きが、意思決定の柔軟さやスピードを著しく劣化させている
  5. 調和を追求する・・・部門は成果で評価され、全社利益よりも部門利益が優先される
  6. 発想を変える・・・数字を挙げることに精一杯で、新しい発想やイノベーションを考える余裕がない

3.過去の成功体験を捨てよ

 この記事では、この問題の原点について、「『計画し、計測・分析誌、数値改善を図ることが経営である』という工業社会のパラダイムがあったからだ」と言っています。かつてのように機械的な仕事が大半を占めていた企業においては非常に効果的な考え方でしたが、斬新なアイデアが価値を生む今の知識社会では、創造性や生産性を落としてしまいます。しかし、そのことに気づいていないのです。過去の成功体験から、現代の知識社会でも「工業社会の管理方法」で成果が上がると考えてしまうのです。

 なぜ、このような現象が起きてしまうのでしょうか。

 組織は人の思考から生まれますが。いつしか人の手を離れ、組織が一人歩きし、逆に人を縛り付けてしまうのです。

 たとえば、経営者の方針に従って経営企画室が予算を作ったとします。すると、経営者の思考を離れ、予算が一人歩きを始めます。そうなると、すべての人が予算に縛られてしまいます。予算を作成した時点と経営環境は大きく変わったのに、変化よりも予算達成が優先され、数字だけを追い求める「思考停止」に陥るのです。

4.本当に大切なものは目に見えない

 人の思考は、あらゆるものを「断片化」し、理解しやすい「断片」に注目する癖を持っています。その結果、「物質と精神」で言えば、目に見える「物資」を優先させます。つまり、お金や数字が、人の心よりも優先されてしまうのです。

 この記事では、サン=テグジュペリの「星の王子さま」に出てくるキツネの言葉を借りて、次のように言います。

   ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。

   一番大切なことは、目に見えない。

 「見えないもの」を深く理解できないと人の心は動きません。人の心が動かないと組織は機能しません。

今こそ、マネジメントは人間性に回帰すべきです。それが「人間的でクリエイティブな経営モデル」なのです。

『抜擢』『決断』『失敗』『学習』サイクル

f:id:business-doctor-28:20210813081032j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で249人で、東京38人、大阪27人、兵庫20人など増えてきているようにも見えます。岸田首相は、会見で、オミクロン株の濃厚接触者に対して自宅待機ではなく14日間の宿泊施設での待機を要請するなど、完全封じ込め対策の強化を発表しました。感染拡大が懸念されるオミクロン株に対しては水際対策・封じ込め対策が必至で妥当な判断だと想います。

さて、今日は、サライの「『仕事でやりがちなミス』ランキング!確認不足、入力ミス、やるべきことを忘れるなどがランクイン」という記事を取り上げます。

どんなに優秀な人でも、ミスはするものですが、ミスをしたあとの行動によって問題を更に大きくすることにもなりかねません。この記事はBiz Hitsが実施した『仕事でやりがちなミス』についてのアンケートの結果です。

1.仕事でやりがちなミスランキング

  • 第1位 入力ミス・書き間違い
  • 第2位 やるべきことを忘れる
  • 第3位 確認不足・見落とし
  • 第4位 連絡・報告漏れ
  • 同率第4位 作業・操作ミス
  • 第6位 思い込み(早合点)で仕事を進める
  • 第7位 見間違い・聞き間違い

 いずれも単純ミスと言っていいようなものばかりです。もう少し注意していれば防げたはずのものばかりですが、忙しさや疲れからちょっと集中力が低下して起きているようです。

2.ミスをしたあとの行動

  • 第1位 自分で修正・リカバリ
  • 第2位 謝罪する
  • 第3位 再発防止に努める
  • 第4位 上司・関係部署に報告
  • 第5位 上司・同僚等に相談する
  • 第6位 周囲に協力を求める
  • 第7位 ミスの原因を分析する

 いずれも適切な行動です。ただ、第1位の中に、「上司にばれないようにこっそり修正する」というのが含まれていました。些細なミスならば修正すれば済みますが、ここでもなぜミスをしたのかを考えておかないと再発します。隠蔽体質はよくありません。

 この中で重要なのは、第7位の「ミスの原因を分析する」と第3位の「再発防止に努める」です。ミスの原因が分からなければ、そのミスを防ぐための対策の立てようがありません。両者は個別のものではなく、一体のものとしてみなければなりません。

 以前、トヨタ式の5W1Hに触れたことがあります。トヨタ式では「Why?Why?Why?Why?Why?How?」です。ひたすら「Why?(なぜ?)」を問い続けるのです。この「Why?」を集めることで「How?」解決方法が見えてくるのです。トヨタでは「『なぜ?』を5回繰り返せば真因がわかる」と言われています。しつこいくらいに「なぜ?」を問い詰めることによって、表面的な原因ではなく、真の原因(真因)が分かるのです。単純ミスならそこまでする必要はないかも知れませんが、単純ミスほど怖いものもありません。しっかりと「なぜ?」を問い、原因を見つけることです。

次に、ダイヤモンドオンラインの「サイバー流!人が育つ『抜擢』『決断』『失敗』『学習』サイクル」という記事を取り上げます。単純ミスは許されませんが、これまでにも書いているように失敗は成長するためには欠かせないものです。

この記事は、サイバーエージェント常務執行役員の曽山哲人氏にインタビューした内容です。

サイバーエージェントでは、社員が自律的に意思決定できる仕組みを構築することの必要性を考え、それを「自走サイクル」と名付けています。

自走サイクルは具体的には4つのステップから成り立っています。

 「抜擢」 ⇒ 「決断」 ⇒ 「失敗」 ⇒ 「学習」

このサイクルを回していくのです。

  • 抜擢・・・社員にこれまでやったことがなかった仕事を任せるステップ。ここでのポイントは責任感を醸成することです。
  • 決断・・・任された仕事は自分の意思で方向を決めていきます。自ら問題意識を持って考えることで、できるだけ多くの経験をして育っていくと言うことです。
  • 失敗・・・チャレンジすると当然失敗もします。ここでの失敗は、進めるに当たって想定していなかった壁があるという小さな失敗です。このとき、どれだけ軌道修正して次につなげられるかが大切です。この失敗は次の『学習』とセット担ったプロセスです。
  • 学習・・・失敗してもそこから学ぶことができなければ意味はありません。失敗を学びに変えてこそ次の成功につなげていくことができるのです。

このような自走サイクルを回していける会社は素晴らしいと思います。しかし、日本の多くの会社では失敗を許容する文化が育っていません。「失敗は悪しきもの」という風潮が残り、隠そうとしてしまいます。今一度『失敗は成功の母』という言葉や以前に紹介したエジソンの失敗観をみて、失敗の大切さを考えてみるべきではないかと思います。

部下に任せる技術

f:id:business-doctor-28:20211221081713j:plain

おはようございます。久しぶりの投稿です。ここ1週間忙しさにかまけて投稿できませんでした。すみません。又、今日からできる限り毎日投稿していきます。よろしくお願いいたします。

ブログ更新をしていない間にオミクロン株が国内でもどんどん確認されてきています。オミクロン株については感染力は高いものの重症化リスクは低いという報告がありますが、「ウイルスは宿主を殺しては生き残れないので変異を繰り返しつつ弱毒化する」という性質からも理解できるところです。ただ、南アフリカでの感染者の多くは若者であり、高齢者の場合、どの程度重症化リスクが下がっているのか今後見極めていく必要がありそうです。

さて、今日は、ライフハッカーの「自分もそうだった・・・部下に仕事を任せられ『ない上司』の特徴」という記事を取り上げます。

これまでも何度も書いていますが、部下の育成方法は「認めて、任せて、褒める」です。ところが『任せて』ができていない上司が多いのです。すべて自分で処理しないと気が済まないというわけです。しかし、上司やリーダーの仕事は、自分が率いている部下(メンバー)と同じ仕事をすることではありません。その人たちを率いて仕事をさせること、それによってチームや組織の生産性を高めることです。

人間誰しも与えられた時間は1日24時間(1440分)しかありません。そのうち仕事に振り分けられるのは、せいぜい8時間(480分)です。この限られた時間の中で優先順位をつけ振り分けていくことができるかが上司の資質です。以前にも書きましたが、『何をやるかではなく何をやらないか』を決めることが重要になってきます。

すべてを引き受け、何でもかんでもやろうとしていたのでは、実際できませんし、潰れてしまいます。「自分がやらなくてもいいこと」を決めて、それを他の人(部下)に任せればいいのです。

この記事では「任せる技術」について書かれています。

1.「できるようになってから任せる」は間違い

 部下に仕事を任せられない人の特徴は、「できるようになってから任せる」という間違ったパラダイムにあります。

 「できるようになってから任せる」と言ってすべて自分でやっていたのでは、部下は成長しませんし、できるようにもなりません。延々自分がやり続けることになるのです。部下を成長させるためには、突き放して任せてみることです。当然最初は失敗するかも知れません。失敗すればそれをフォローしてあげればいいのです。「失敗は成功の母」、失敗から学んで成長するようにするのです。

 できるようになってから任せるのではなく、任せるからできるようになるのです。「痛い目に遭う」から成長するのです。

 上司が、そういう度量を持てるかでチームや組織は違ってきます。

2.任せられない上司は未来を見ていない

 任せられない上司の特徴の一つは「未来を見ていない」ということです。目先の失敗と2年後の失敗とどちらが大切かが見えていない・分かっていないということです。

 目先の失敗とは、『クライアントに叱られる』『スケジュールが遅れる』といった部下に任せることによって生じるトラブルです。一方で、2年後の失敗というのは、2年経っても部下が成長しておらず、上司が走り回っている組織です。

 2年後の失敗が見えていない上司は、目先の失敗ばかりを気にして、部下の小さなミスを突くような指摘をして、何でもかんでも自分で処理しようとしてしまうミクロマネジメントにとらわれています。

 会社や経営者にとって最も重要なのは、人が育ち、それによって組織が成長することです。部下から失敗という成長の芽を奪い、成長の邪魔をするのがいかに組織にとってマイナスかが分かるはずです。

 「部下に任せる」という器を持つということは、目先の痛みに耐えるだけでなく、未来を見る力を持つということです。

 この記事では、更に「未来の恐怖を見据える力を持つことだ」と言っています。これは、「このまま自分が何でもかんでも引き受けて走っていれば、2年後には部下は成長しておらず、このチームや組織は潰れる」ということをどれだけ寒気がするほどの恐怖心を持って感じられるかということです。

3.「自分でやった方が早い病」を克服せよ

 人を動かすというのは難しく、イライラします。「イライラするくらいなら自分でやった方が気も楽だし早い」と誰もが思います。でも、この「自分でやった方が早い病」を克服しないとどうにもなりません。ところが、この克服は厄介で、一度痛い目に遭わないと克服できないものです。

 「自分でやった方が早い病」に罹っていると、業務が回らなくなりパンクするか、過労や病気で倒れてしまいます。

4.「作業」ではなく「責任」を任せる

 この記事では『任せ下手』から『任せ上手』になる、つまり「自分でやった方が早い病」を克服するためのポイントが紹介されています。

 それが、「『作業』ではなく『責任』を任せる」ということです。ただ「任せる」だけでは部下は変わりません。「任せる」ということは当然そこには責任も負わせなければなりません。「作業」だけを任せても単に技が伸びるだけですが、「責任」を負わせることで、プロ意識・責任感・自発性といった仕事で重要な心(心技体でいう心)も育つのです。

5.「任せる」と組織も変わる

 上司が任せることで、部下の「責任をとる力」が育つし組織も大きく変わります。

 Responsibility (責任)という言葉は Response(応答 対応)と Bility(可能性)が合わさった言葉です。「責任をとる」ということは、「自分が対処する、対処できる」ということで、局面を打開するということです。

 一人ひとりが『責任をとる力』を身につけ、局面に対処できる組織は強くなります。

 上司が部下に任せても、上司がすべての責任を負っていたのでは、部下の成長には繋がりません。ある程度責任を負わせることが必要です。しかし、あまりにも重い責任では部下は折れてしまいます。成長させるにはギリギリ耐えられるくらいの責任を負わせることです。この見極めは難しそうですが、ここでも部下とのコミュニケーションをとりながら、部下を知り理解し、部下が耐えられるギリギリの線を見極めることです。

組織の多様性を高める3つのステップ

f:id:business-doctor-28:20211210054107j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で165人、28県で新規感染者ゼロとなっています。東京17人、神奈川22人、埼玉16人、群馬16人と首都圏から少しずつ増えてきているように思えます。オミクロン株の新たな感染者の報告はありませんが、年末年始にお向けて感染者が急増するのではないかと気がかりです。

さて、今日はダイヤモンドオンラインの「組織の多様性を高めて、イノベーションを生むための3つのステップ」という記事を取り上げます。

あらゆるところで多様性が求められるようになり、組織においても、外国人を採用したり女性を登用したりと、取り組まれるようになってきました。しかし、多様性を高めようと外国人や女性を採用しても何も変わらないという声を聞きます。それは、多様性の本質を理解せず、女性や外国人を採用することが多様性だと考えているからです。多様性は目的ではありません。これも手段です。世の中が「多様性、多様性」と言うのでとりあえず採用したが、何のために採用したのか、多様性によって解決したい課題が何なのかが明確ではないからです。

この記事では、「どのようにして多様性を高めれば変化を生み出すことができるか」について書かれています。

1.解決したい課題を明確にする

 多様性を高めるために外国人や女性を採用したとして、そもそもなんのために多様性を高める必要があるのでしょうか。このことを考えることなく外国人や女性を採用しても変化が起こるはずはありません。

 日本人の中年男性だけで阿吽の呼吸で行っていた仕事を、日本語が理解できない外国人に説明するのは大変ですし、多くのコミュニケーションミスが起こり、多様化した組織の方が生産性が低下する恐れもはらんでいます。

 一方で、長期的に物事をとらえて自由に将来を構想するという活動においては、多様な意見や多様な考え方が有効に働きます。

 盲目的に社会全体の流れだからと言って多様性を高めるのではなく、解決する課題は何なのかを明確にして、その課題解決のため多様性が役立つのかを考えたうえで多様性を高めることが重要なのです。

2.抽象レベルで多様性をとらえる

 多様性が言われる場合、国籍や性別、年齢といった枠組みで捉えられますが、わかりやすい軸ではあるものの一律にとらえることで間違った方向に行くかも知れません。

 例えば、日本で生まれ育った外国人は日本人と同じ考え方をするかもし背ませんし、女性に囲まれて育った男性は女性的な発想をするかもしれません。

むしろ「外国人はこう、女性はこう」といったバイアスにとらわれずに観察し、それぞれの組織に合った軸を選択する方が多様性を高めることができます。

 具体的な個別事象から軸を抽出するには

  1. サンプルの抽出
  2. サンプルからの属性の抽出
  3. そこからの抽象化による軸の選択

という3つのステップを踏むことです。

この3つのステップを踏む作業を通して、目指す「多様性」と言う言葉が示す軸が明確になるはずです。

 難しいかもしれませんが、具象と抽象を行き来することによって問題を発見し、その解決方法を見つけることができます。

3.二強対立モデルの設計をする

 組織の多様性を高めるには、二者が対立する構図があってはじめてその少数者も多様性に貢献できるようになります。こうした構図がなければ新しい属性を増やしても、新しい属性は強力な元からの属性に飲み込まれて、その存在すら消えてしまいます。

 例えば多様性を高めるために外国人を採用したとして、日本人の考え方を押し付けていたのでは、外国人を採用した意味がありません。外国人が自由に意見を言えて、その意見が採用されることがあるような構図を創らなければいけないのです。圧倒的に日本人が多い組織の中で自然とそういう構図ができることはありません。意図的に作るしかないのです。

 確かに組織全体で二強対立モデルを作ることは難しいでしょう。しかし、多様性が最も必要なのは川上です。長期的な視点で将来を見据えて多様な意見・考えを取り入れ設計するというのが求められるのは経営陣です。経営陣が多様化できていれば、組織は大きく変化できます。経営陣でなくても研究開発や新規事業開発のようなところでは多様性は必要です。

 全ての階層・部門において多様性を実現することは困難ですが、解決すべき課題を明確にすれば、おのずからどの部門を多様化すべきかが見えてくるはずです。

 ところが多くの企業は多様化する場合、川下の現場から多様化しようとしているように見えます。定型的な仕事がメインで多様な考え方がそれほど必要ないところで多様化という名目で外国人を採用してもミスコミュニケーションが発生し結果的に生産性が低下することになり、更には組織としてのまとまりがなくなったりします。

 まずは川上である経営陣から多様化し抱える課題を解決しつつ、課題に合わせて多様化を川下へと広げていくのがいいのです。

職場のストレス解消法

f:id:business-doctor-28:20210924110821j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で136人、26県で新規感染者ゼロとなっています。国内で第4例目となるオミクロン株の陽性者が確認されましたが、重傷化リスクはそれほど高くなく、またファイザー製ワクチンの3回目接種で感染防止効果が高まるとの研究結果も出されました。まだオミクロン株については分かっていないことも多いようですが、インフルエンザと同じようにあまり恐れる必要がなくなるかも知れません。

さて、今日はリクナビNEXTジャーナルの「職場の人間関係のストレス、どう対処するのが正解?」という記事を取り上げます。

職場におけるストレスは、仕事自体によるストレスというよりも、同僚・上司・部下といった人たちとの人間関係によるものがほとんどです。仕事自体にストレスを感じているのなら転職するか異動願いを出すしかありませんが、人間関係によるストレスは工夫次第で軽減・解消できます。人間関係のストレスさえ解消できれば自分の仕事に専念することができ、職場・チームの生産性も高まります。

1.人間感性のストレスは、工夫次第で軽減できる

 どこにでも「この人とは合わない」「苦手だ」という人は必ずいます。普段の生活なら関わり合いにならなければいいだけですが、職場ではそうはいきません。しかも多様化する社会では、色々な多様性を持った人々が職場にいることになります。避けて通ることは出来ません。

 この記事では、上司や同僚、クライアントなど人間関係からくるストレス要因を軽減・解消する方法が紹介されています。

 その前提として重要なことは、自分のストレスタイプを理解することです。ストレスタイプが分かれば、対処法も自ずと見えてきます。

【タイプ1】「ストレス感受性」が強い

 繊細で空気が読める人がこのタイプです。このタイプは、相手の言動や振る舞いのちょっとした変化に敏感に気づいてしまう(あるいは深読みしてしまう)ので、傷つきやすくすぐにストレスを感じてしまうのです。

 このタイプの人は、周囲に気を配り、気を使える「いい人」ですが、敏感すぎてあらゆる刺激を受け止めてしまい、心身に負担を与えてしまい、どんどんストレスを蓄積していきます。

 このタイプは、ストレスを感じないように「鈍感力」を鍛えるという方法が有効です。相手の無神経な言動を受け止めずに「やり過ごす」こと、深読みしそうになる思考を「スルーする(ストップする)」のです。「言うは易く行い難し」ですが、意識的にやってみれば上手くいくかも知れません。

 しかし、このタイプだからといってマイナス面ばかりではありません。例えば、「提案営業」の場合、相手のちょっとした言動の変化からニーズを引き出すことが求められ、ストレス感受性が高い人の方が力を発揮します。一方で「飛び込み営業」の場合には何度断られてもめげない精神力が必要で鈍感力が高い人が向いています。仕事の内容に応じて、うまくこの両方を使い分けできるのがいいのでしょうが、難しそうです。

タイプ2】ストレスへの対応力が低い

 ストレスにどう向き合えばいいのか分からないというタイプです。このタイプは、受けたストレスにうまく対処できずにどんどんため込んで、精神的負担を増大させていきます。

 このタイプでは、「ストレス対応力」を鍛えることが有効です。ストレスを受け流す方法、ストレスを軽減する方法にはどのようなものがあるかを理解することで対応力を高めることが出来ます。

 ストレス対応力の高い人は自分なりの「ストレスを受け流す方法」を持っています。それは飲みに行ったりカラオケに行ったりという気分転換するという古典的な方法から、第三者(友人やカウンセラー)に相談してストレス要員を軽減する糸口を探る方法、アンガーマネジメントで自分の感情をコントロールする方法、現状を俯瞰的に捉えストレスの元を正しく把握する方法等、様々です。自分に合った方法を見つけることです。

【タイプ3】ストレスからの回復力が弱い

 ストレスに対する「基礎体」が低いタイプです。このタイプは、ストレスを受け流すべく何らかの対応をとったとしても、必要以上に心に傷を負ってしまいなかなか立ち直ることができません。

 「基礎体力」を高めるには「自己効力感」を高めることが有効です。「自己効力感」というのは「自分の可能性を自分自身で認知できている状態」で、自己効力感を高める努力をすることで、ストレスダメージを受けにくくなり、万が一ダメージを受けても回復のスピードも早まります。

 心理学者のアルバート・バンデューラによれば、自己効力感を高める方法として次のようなものがあります。

  • 成功体験・・・自分自身に課題を出し、それを突破することで自己効力感を高める方法
  • 代理体験・・・成功している他者を観察することで、自分がやっているようなイメージを持ち、自己効力感を高める方法
  • 言葉による説得・・・第三者による励ましで自己効力感を高める方法
  • 情動的体験・・・気持ちを高めてくれる映画を見たり音楽を聴いたりすることで、自らに刺激を与え、自己効力感を高める方法

2.「相手を知る」ことでストレスが軽減できることがある

 人間関係のストレスは「相手への誤解」から生まれていることも少なくありません。「誤解によるストレス」は相手の性格を知ることで軽減・解消されることもあります。

 相手を知るためには、相手の行動を冷静に観察してみることです。どんなときにどんな行動をとり、どんな発言をしているのか、自分以外の他の人に対して、どんな行動をしどんな発言をしているのか、つぶさに観察してみると、その人の性格の特徴が見えてきます。

 ビジネスだけでなく世の中すべては人間関係で成り立っています。人間関係にとって重要なのは相手を知ることです。相手を知るためにはコミュニケーションが必要不可欠です。コミュニケーションは「言葉と思いのキャッチボール」です。思いを込めた言葉を発することで開いてからも思いのこもった言葉が返ってくるはずです。そうなれば人間関係のストレスは軽減・解消されたも同様です。

3.そこまでやって駄目なら、極力接触は避ける

 自分のストレスタイプを知り対処したり、相手を冷静に理解しようとしたりしても、それでも「ムリ」と思えるなら、諦めるしかありません。

 この場合には、極力直接の接触は避けることです。対面でのちょっとしたやりとりでもストレスを感じるなら、物理的に距離をとって、メールやチャット等でやりとりすることです。コロナかで非対面でのツールが日常的になり、メールやチャット等のやりとりを多用しても相手に不快感を与えることは少なくなりました。