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休日の本棚 「サピエンス全史」「ホモ・デウス」

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今日は、ユヴァル・ノア・ハラリ氏著「サピエンス全史(上・下)」「ホモ・デウス(上・下)」(いずれも河出書房新社)を取り上げます。著者のハラリ氏は、イスラエル歴史学者ヘブライ大学歴史学部の教授です。

歴史と言えば、学生時代・受験時代の無味乾燥な暗記科目というイメージがありますが、ビジネスマンにとって時代を見る目を養うために必要な一般教養です。

著者は「ホモ・デウス」の中で、歴史を学ぶということの意義について、「過去を繰り返すためではなく、過去から解放されるためなのだ」「私たちをここまで導いてきた偶然の連鎖を目にすれば、自分が抱いている考えや夢がどのような形を取ったかに気づき、違う考えや夢を抱けるようになる、歴史を学んでも、何を学ぶべきかは分からないだろうが、少なくとも、選択肢は増える」「未来を予測するのではなく、過去から自らを開放し、他のさまざまな運命を想像するためだ」と述べています。こうした歴史に対する姿勢に基づいて「サピエンス全史」「ホモ・デウス」は書かれています。

まず、「サピエンス全史」ですが、人類(ホモ・サピエンス)は、認知革命、農業革命、科学革命の3つの革命によって現在の発展にいたったとして、その3つの革命について説明がなされます。そして、人類がこれら3つの革命が起こせたのは、空想的虚構によって、集団を結成し、維持・発展することが出来たからだとしています。そして、「文明は人類を幸福にしたのか」と問題提起がなされます。科学革命を経て人類は21世紀に入り遺伝子工学、合成生物学、サイボーグ技術と神の領域に手を入れていきます、こうして人類はこれからどこに進んでいくのか。

「サピエンス全史」の最後の問題提起を受けて書かれているのが「ホモ・デウス」です。ただ、本書は単に未来を予測するのではなく、過去を見やり、そこからなぜ人類はホモデウス、神への道を進むのかを説いていきます。その理由として3つがあげられますが、その中でも特に第3の理由である人間至上主義、「不死と至福と神性を獲得しようとする試みは、人間至上主義者の積年の理想を突き詰めていった場合の、論理上必然の結論に過ぎない」とされています。そして、この人間至上主義からデータ至上主義へと移行し、「人間はその構築者からチップへ、さらにはデータへと落ちぶれ、ついには急流に呑み込まれた土塊のように、データ奔流に溶けて消えかねない」と説かれます。それでは、サピエンスに未来はないのか、著者は楽観はしていませんが希望はあるとされています。

「サピエンス全史」「ホモ・デウス」いずれも歴史書ではありますが、考える素材を提供してくれる素晴らしい本です。一読をお勧めします。

また、最近「21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考」が出版されました。「サピエンス全史」が歴史学、「ホモ・デウス」が未来学とすれば、「21Lessons」は現在学と言えるでしょう。「21Lessons」は、今何が起きているのか、どう生きるべきなのか、人類の現在を考える21の問いを提起しています。

私も「21Lessons」を読んで21の思考に挑戦してみたいと思います。