中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

「経営者に必要なことはすべて串カツが教えてくれた」(DIAMOND Online)

f:id:business-doctor-28:20191218084253j:plain

おはようございます。

今日は、DIAMOND Onlineの「串カツ田中社長『経営者に必要なことはすべて串カツが教えてくれた』」を取り上げます。

まずは経営理念の大切さです。企業は、ゴーイング・コンサーンとして存続し続けなければなりません。そのために経営理念は必要です。自社は何のために存在するのか、どのように行動すればよいのかを示す、あるいは方向付けをする考え方、これが企業理念です。

経営の神様と言われる京セラ創業者の稲森和夫氏が掲げる京セラの企業理念「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」を参考に串カツ田中は「串カツ田中の串カツで、一人でも多くの笑顔を生むことにより、社会貢献し、全従業員の物心両面の幸福を追求する」を企業理念にされています。

先日12月3日「ONE TEAM」のところでも言いましたが、会社は会社自身のため経営者のために存在しているのではなく、従業員のみならず、商品やサービスを通じて顧客や社会のために貢献しているのです。そうした点を踏まえて自社の企業理念を作ることが必要なのです。

そして、串カツ田中の貫啓二社長がおっしゃられているように「この企業理念を社内で言い続けていれば本当に会社が大きく成長する」のです。従業員のモチベーションが高まり、「ONE TEAM」「ONE FOR ALL ,ALL FOR ONE」になるのです。それが自社の売上、利益を引き上げるのです。

貫社長は「10年、20年と食べ続けてもらえる店をやりたい」と言いう目標があったと言います。そして全席禁煙を決めたのです。今ではかなり当たり前になっている全席禁煙も当時は大変な決断だったと思います。しかし、「子供を含めたファミリー客に来てもらい、将来その子供らが大人になっても食べに来てもらえる店を」という強い信念があったからです。そこには「将来は喫煙率が下がるから・・・それまでは我慢しよう」という長期戦略がありました。社会の状況を見据える長期的な視点を養うことが経営者には必要なのです。

また居酒屋でありながら、全面禁煙を打ち出し、一人でも女性でも若者でもファミリーでも誰でもが気楽に入れる店という観点から、住宅街など身近にあり間口を大きく照明は明るく、外から中の様子が見やすいという店舗を展開されています。これはまさに他店との差別化を図っています。

また、貫社長は、「おいしいだけではお客さんは来てくれません。おいしさと安さのバランスです」ともおっしゃっています。味の面でも他店との差別化を図り、かつ安さというコストリーダーシップを展開する、差別化戦略とコストリーダーシップ戦略のバランスが大事なのです。偉大な経営学者のポーターは、差別化戦略とコストリーダーシップ戦略は両立しないと言いますが、条件さえ整えば両者のバランスをとる戦略は可能ではないかと考えています。

最後に貫社長は、「経営努力を怠れば、いつ、お客様にそっぽを向かれるか、わかりません。そうならないよう、串カツ田中のブランドを守り、10年、20年と愛される店にしたいと考えています」とおっしゃっています。いかに成長企業に発展しても顧客視点を忘れ顧客ニーズをとらえられねば、すぐに顧客からそっぽを向かれ転落の憂き目にあいます。一度確立されたブランドも顧客からそっぽを向けられれば、ブランド価値がなくなります。企業にとって、強力なブランドを育てることは、目先の利益や売り上げとは次元が異なる重要なことなのです。そして確立されたブランドを守っていくことが将来につながる利益や売上げを生むのです。

貫社長にとっては、「経営者にとって必要なことはすべて串かつが教えてくれた」ですが、中小企業経営者の方にとっては、この記事が経営者にとって必要なことを教えてくれています。あとは、如何にこの記事で貫社長がおっしゃっていることを実践するかです。