中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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休日の本棚 「ちょいバカ戦略」

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 おはようございます。

きょうは、小口覺氏著の「ちょいバカ戦略ー意識低い系マーケティングのすすめ」(新潮新書)を取り上げます。著者の小口氏はライター、コラムニストで「ドヤ家電(自慢したくなる家電)」の名付け親として有名です。

ヒットした商品、成功した企業には、ちょっと見はおバカでもその実したたかな戦略があります。本書は、その「おバカでしたたかな戦略」を「意識低い系」という視点で豊富な具体例を挙げて説明されていて面白いだけでなく、実際の経営、マーケティングに役立つ本だと思います。

意識低い系」とは、従来「意識低い」とされていた価値観、視点を意識的に取り入れることができる人のことです。「意識が低い」というのは「物を知らず違法性に親和性が高く」問題外ですが、「意識が高い」というのも「知識は豊富でも上から目線」で結局は社会の流れや顧客のニーズを読み取ることができず売れない商品を作ってしまうということになるようです。「意識高い系」というのの「意識高い」を装っているだけで「意識低い」ほどではないものの問題外です。

意識低い系」は「意識低い」を装いながらもしたたかに時代の流れや社会のニーズをしっかりと見極めていると言えるのでしょう。つまり、ヒットする商品は、モテたい、うまいものを食べたいった積極的な欲望から、楽したい、損したくないというような消極的な欲望まで、人間が本来持つ何らかの意識低い感情を刺激しているのです。

ジェフリー・ムーアが提唱するキャズム理論では、商品は、まずイノベーター(革新的採用者 2.5%)が購入し、アーリーアダプター(初期採用者 13.5%)が採用し、次いでアーリーマジョリティ(初期多数派 34%)、レイトマジョリティ(後期多数派 34%)、ラガード(のろま 16%)が購入することになります。その商品が大ヒットするためにはアーリーアダプターとアーリーマジョリティの壁、キャズム(変曲点)を越えなければならないのです。このアーリーマジョリティとレイトマジョリティが意識低い系の人たちなのです。したがって、商品が大ヒットするには意識低い系アーリーアダプターに受け入れられなければならず、商品開発において意識低い系の視点を取り入る必要があるということなのです。

ニッチ市場で勝負するならいざ知らず(ニッチ市場でもそこでのニーズを把握する必要はありますが)、大多数を占める大衆消費者のニーズを的確に把握するには「意識低い系」の視点を養う必要があります。この本がそのための参考になるのではと思います。

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