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休日の本棚 不倫を読む

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おはようございます。

ネットニュースなどを見ていますと、しつこいくらいに俳優の東出昌大の不倫報道ばかりです。東出・杏夫妻、不倫相手の唐田えりか、しいて言えばCMやドラマ映画関係者の問題で一般視聴者にはまあどうでもいいことなのに、色んな人が色んなことを好き勝手に言っています。大半が不倫をした東出昌大に対する批判ですが・・・

どうでもいいことですが(笑い)、今日は「不倫」を取り上げます。竹内久美子著「浮気で産みたい女たちー新展開!浮気人類進化論」(文春文庫)です。著者の竹内氏は、動物行動学の研究者、エッセイストです。著者の本は多く出ていますが、その大半が動物行動学の立場で動物のオスメスの行動から人間の男女の行動を見るという視点で書かれています。

すべての動物において、オスは自分の遺伝子をできるだけ多く残したい、メスにとっては優秀なオスの遺伝子を受け継いだ子供を残したいとして行動するのです。一度カップルになれば添い遂げるという動物は珍しく、おしどり夫婦の代名詞となっているおしどりも交尾が終わればそれで終わり、毎年相手を変えるのです。鳥の中で相手が亡くなるまで添い遂げるのはツバメですが、そのツバメもオスメスともに浮気をすると言います。自分の子供だとかいがいしく子育てしているひな鳥がメスが不倫相手と交尾して生まれたひな鳥ということも多々あるようです。

「たんたん狸の〇〇は」から始まり(浮気好きの動物は睾丸が体格に比して大きい)、ハーレムを形成するゴリラは浮気の必要がないので小さく、乱婚的なチンパンジーは浮気でモテないといけないので大きく、人間はその中間というのです。真面目な考察と下世話な話とがバランスよく混ざり合い面白く読みやすい本になっています。

「女の浮気には深いわけがある」「女は浮気をするために結婚する」などと過激な言葉が並び、「モテるオスは浮気に成功するうえに、自分の妻を寝取られない・・・一方モテないオスは、浮気に成功できないばかりか妻まで寝取られる。二重の不幸に襲われる」「本宅と別宅がある。こういうオスは当然、各々の妻と一緒にいる時間が短い。彼女たちは浮気をしようと思えばいくらでもできる。・・・ところが出かけない。旦那に魅力があり、彼に満足しているからだ。」こういう記載がありますが、これらはあくまでも鳥類の話、人間の女性がなぜ浮気で子供を産みたいのかという話ではありません。

日本の婚姻制度は一夫一婦制が採られていますが、イスラム世界やアフリカでは今でも一夫多妻制度が採られています。中には多夫一婦性をとっている民族もあります。一夫一婦制というのは法律により制度として設けられたもので倫理的・道徳的なものではありません。浮気を肯定するわけではありませんが、倫理に反しているわけではないのです。その国によって定められた制度・ルールには反しますが、「ゲス人間」として不倫した人間の人格を全否定するのはいかがなものかと思います。このことは脳科学者の中野信子氏が著書「不倫」(文春新書)の中でも言われています。中野氏によれば、人間が不倫をするのは人間の脳の構造にあるというのです。人類の脳の仕組みは一夫一婦制には向いていないと言います。また不倫者に対する「バッシング祭り」が始まるのは「ズルをしておいしい思いをしている人」に敏感に反応しこれを叩きのめすのが「正義」と信じているからです。このことについて竹内氏はモテない男の逆襲であるとされています。

脱線したので竹内氏の本に戻ります。竹内氏は、「浮気で産みたい女たち」の中で「浮気は科学だ」と言っています。浮気は動物行動学で科学的に説明できるということです。中野氏が脳科学で説明できるとされているのと同じです。この本の最後に解説が載っていますが、これを書いているのが「不倫は文化だ」と名セリフ(?)を吐いた石田純一氏です。石田純一氏らしくなく(?)あまりに真面目な解説で面白みはありませんが。

竹内氏の本に「シンメトリーな男」(文春文庫)というのがあります。この本は、残念ですが(笑い)、モテる男とモテない男の差は外観にあると言っています。左右対になっているものは本来的には対称・シンメトリーになっているはずですが、遺伝的・環境的なストレスにより左右対称にズレが生じるというのです。ズレの少ない男が優秀な遺伝子を有しており、女性は優秀な遺伝子を保有するシンメトリーな男を好むのだという話です。これも動物の話から人間の話へ、「シンメトリーな男ほど女をよくイカせる」「おっぱいがシンメトリーな女性は多く子供を産む」など?と感じるような話も多く、面白いです。

また、「女は男の指を見る」(新潮新書)では、「初対面で女は男の指を見」て優秀な遺伝子を品定めしていると言い、人差し指と薬指で比率がある男性ほど男らしいということです。人差し指より薬指が長い男性は、性的に強く経済力もまた高いという研究結果もあるようです。また、「ハゲの男は病気に強い」とか「自分と違う免疫の型の持ち主ほど匂いがいい」「浮気で得するのは女である」などなどこうした話も面白いです。

全体として竹内氏の本は動物行動学に基づく科学的な本なのに読みやすく面白いです。暇つぶしにちょうどいいです。 

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