中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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治療と仕事の両立

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おはようございます。

新型コロナウィルスの感染者が国内で23人になりました。また、横浜港に停留中のクルーズ船でも10名の感染者が出た模様です。このままいけば、さらに感染が拡大するものと思われます。こうした事態を受け、企業が社員の感染予防に乗り出しつつあります。出社や退社の時間をずらしたり在宅勤務を奨励するなどして、不特定多数との接触を減らすという取り組みです。新型コロナウィルスは、人から人への感染が認められ、比較的短時間の濃厚接触でも感染が確認されているようなので、不徳的多数との接触を極力減らすという対策は感染予防に有効です。ここでいう濃厚接触とは、①生活を共にする②防護具を着用せず患者の診察に当たる③必要な感染予防策なしに患者由来の体液、分泌物に接触する④2m以内の距離で感染予防策なしに接触する、などを言います。従って、短時間の通勤満員電車内での接触も濃厚接触に当たることになります。

こうした感染予防の企業の取り組みから、今日は治療と仕事の両立という問題を考えます。今後従業員の高齢化に伴い、癌や糖尿病など疾病の治療を続けながら仕事の継続したいというニーズが高まるとともに、企業としても人手不足に伴う人材確保などから治療と仕事の両立支援は急務と言えます。また、労働者自身の傷病だけでなく、親や配偶者など家族の看護、介護のために両立支援が必要な場合も増えてきています。

企業が、労働者の傷病の特性に応じた治療と仕事を両立させるための制度を導入することは、労働者の健康確保という意義とともに、継続的な人材確保、労働者の安心感やモチベーションの向上による人材の定着・生産性の向上、健康経営の実現、多様な人材の活用による組織や事業の活性化、組織としての社会的責任の実現、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現といった意義があるとされています。事業者が、両立支援環境整備計画を作成し、計画に基づき新たに両立支援制度の導入を行い、かつ両立支援コーディネーターを配置した場合には、国から助成金を受け取ることができます。そのためには、各企業において、どのような制度を導入するかを決定し、就業規則を改定する必要があります。いくつかの例をあげます。

  • 時間単位の年次有給休暇・・・治療(通院)と仕事の調和を図る観点から年次有給休暇を有効に活用できるようにすることが目的です。
  • 傷病休暇・病気休暇・・・年次有給休暇とは別に入院治療や通院等で出勤できない場合に付与して治療に専念させることを目的とします。
  • フレックスタイム制・時差出勤・・・治療のための通院時や通勤ラッシュ時の混乱を避けて出勤できるようにすることを目的とします。
  • 短時間勤務制度・・・療養中・療養直後の負担を軽減することを目的とします。
  • 在宅勤務・・・療養中、療養直後の負担を軽減することを目的とします。

ここでは、時差出勤制度とテレワーク制度について触れておきます。

時差出勤制度は、会社が規定している1日の所定労働時間はそのままに、始業時間及び終業時間を早めたり遅らせたりして変更することで(例:午前8時~午後5時⇒午前7時~午後4時)、身体に負担のかかる通勤ラッシュの時間帯を避けた通勤が可能になり、又出勤前の急な体調の変化に対応することができます。この制度を導入するには、制度の適用事由(本人の傷病、家族の看護・介護等)、始業時間の変動幅(本来の始・終業時刻の前後1~2時間の範囲にするなど)、制度利用時の休憩時間等について事前に定めておく必要があります。

次は在宅勤務等のテレワーク制ですが、自宅等でパソコン等のICT(情報通信技術)を利用して行うこと(テレワーク)ができる勤務制度で、疾病等をかかえる従業員からすれば通勤時や職場環境などによる心身の負担がなく柔軟に働くことができ、業務に集中できる反面、会社からすると従業員が目の届かない自宅で勤務しているため業務管理が難しくなるというデメリットが出てきます。しかし、通勤手当などの経費節約などのメリットもあります。制度の適用事由(本人の傷病、家族の看護・介護等)及び対象者、適用期間、労働時間(時間外・休日労働の取り扱いを含む)、賃金(通信費等の費用負担を含む)、パソコン等の貸与、業務の内容・指示報告方法などについて事前に定めておく必要があります。

両立支援制度の導入時に20万円、また実施した場合に20万円が助成されます。

治療と仕事の両立という問題は中小企業においても重要な課題です。両立支援制度の導入に取り組みましょう。