中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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外国人頼みの危うさ

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おはようございます。

ここ最近、ニュースを見ていても、新型コロナウィルス、お粗末な国会論争などでこれと言った記事は見当たりません。新型コロナウィルスの拡大という緊急事態で、新型肺炎に対する対策、新型肺炎が日本経済に及ぼす影響に政府としてどのように取り組むかということこそ最重要課題なのに、「桜を見る会」に多くの時間を費やしているのはいかがなものかと思います。「桜を見る会」問題が無意味とは言いません。これも総理大臣の資質に関わる重要な問題です。しかし、緊急事態の中では色あせてしまいます。与野党とも、いったん「桜を見る会」問題は、後日新型肺炎が落ち着いた段階で再度議論をするといった合意を締結して棚上げし、新型肺炎という緊急事態に対処すべきではないでしょうか。政治の話をするブログではないので、この辺でやめておきます。

1月14日のブログ「五輪後の日本経済の行方」の中で、「オリンピック閉会まではオリンピック気分に浮かれ消費が落ち込むとは思えませんが、オリンピック閉会後に大幅に落ち込むのではないかと懸念しています」と書きました。

米中貿易摩擦の影響で日本企業の業績の悪化し、さらに昨年10月の消費増税の影響も重なり、業績の下方修正をする企業が後を絶ちません。政府は消費増税の際にキャッシュレス決済に対してポイント還元するという方策をとりましたが、キャッシュレス決済の普及率は約30%で特に高齢者に普及していません。このような状況で今回の新型コロナウィルスの拡大が追い打ちをかけ日本経済のみならず世界経済にも大きな打撃を与えています。日本経済の落ち込みは、オリンピック閉会後ではなく確実にその足音が近づいています。

今回の新型肺炎の拡大により、中国に進出している日本企業の工場再開のめどが立たず、また閉店を余儀なくされている店舗もあります。生産を海外に依存することの危うさについては一昨日も書きました。今日は、外国人旅行者に頼る危うさについて書きます。政府は観光立国を目指すということを言っていますが、観光に頼るということはこれから述べるような危うさがあるのです。

中国政府は海外への団体旅行を禁止し、日本政府も中国湖北省からの入国を制限し、中国からの旅行者は大幅に減少しました。その影響は各所に見られます。観光地では中国人旅行者の数が激減しています。京都の観光地も旅行者が少ないようですし、バス運転手の感染者が出た奈良でも宿泊のキャンセルが相次いでいるようです。

また、かつて大阪黒門市場は浪速の台所といわれ、良い食材を求めて大阪人が買い出しに行く場所でしたが、最近は中国人などの観光客が約9割、日本人約1割と観光客のための市場と化しています。食材も日本人の買い物客を無視した中国人など観光客価格で販売されています。その黒門市場も中国人観光客が激減し、押し合いへし合いだったアーケード街は人通りが少なくなっています。店の人の話では、売上も大幅に下落しているとのことです。今になってかつての得意客だった日本人客を軽視し、特に中国など海外からの観光客向けに移行したツケが回ってきたといったところでしょう。こうした黒門市場の戦略を否定するつもりはありません。黒門市場は、観光立国とインバウンド消費の拡大といった取り組みの成功例の一つです。店主も英語・中国語などでの対応を心がけ勉学に励み、ガイドブックやパンフレットも外国語で対応し、日本の食材を食べ歩きできるということが受け「日本に行ったら立ち寄るべきスポット」となったのです。日本人客が減っていた中で大成功を収めたわけですが、皮肉なことに観光客が増えるにつれ日本人客がさらに減少することになったのです。こうした状況の中今回の新型肺炎問題が起こって中国人観光客が激減し、売上減という事態につながったのです。これと同じような事態は過去にもあったのです。2018年関西国際空港が台風被害によって一時閉鎖されました。その時も外国人観光客が激減し、黒門市場は寂れた商店街となりました。

インバウンド消費、外国人頼みの商売の危うさがここにあります。確かに、事態が収束すればまた観光客は戻ってくるでしょう。しかし、中国経済の状況によっては以前のように中国人旅行者がくるとは限りません。また同じような事態がいつ起こるとも限りません。地元大阪、日本の消費者が第一、外国人旅行者はその次ではないでしょうか。日本人をないがしろにして外国人旅行者第一でよいのでしょうか。外国人旅行者はその時限り、常連にはなりません。ブランド戦略でも書きましたが、ブランドロイヤリティを高め継続的に購入してもらうことが商売なのです。一見さんの外国人なら高い金を落としてくれるでしょう。しかし利益や売上だけが経営の目的ではないはずです。このことをもう一度考えてみる必要があるように思います。これは黒門市場だけの問題ではありません。