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60歳代はまだ中年!成長のカギは高齢者

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おはようございます。

関西の経営者らが企業経営のあり方や社会問題の対応などを話し合う「関西財界セミナー」が2月6日から始まりました。定年延長など働き方が変わる中、シニア世代の活躍についても意見が交わされた模様です。「第4次産業革命で世界から周回遅れにある日本にとって、万博が最後のチャンス」という危機感を募らせる一方、超高齢化社会を背景に、貴重な労働力としてシニア世代をどう生かすかが飛躍のカギを握っているというのです。分科会でも議論がなされ、「60歳は中年に分類される時代で、副業や兼業で社会貢献年齢を伸ばす取り組みが重要」「50,60代で起業を目指す人も多く、支援に向けた仕組みが必要」との提案がなされた一方、「ネット上では次々と新しいコミュニケーションツールができている。使えないと様々な商機やチャンスを逃すことになる」とも指摘されたというのです。

少子高齢化、人手不足により高齢者の雇用を促進しようとする動きがありますし、人生100年時代に老後資金が足りないという「2000万円問題」を解消するためにも老後の生活設計として働く機会を考えなければなりません。

2020年2月4日「高年齢者雇用安定法」の改正案が可決されました。

現在の「高齢者等の雇用の安定等に関する法律(高齢者雇用安定法)」では、定年年齢を65歳未満としている企業に、次のいずれかの実施を義務付けています(全企業では2025年から)。

  • 定年制を廃止する。
  • 定年年齢を65歳以上まで引き上げる。
  • 希望者全員に対して、65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)を導入する。

今回閣議決定された改正案では、次のようになります。上記のように65歳までについては義務化されますが、70歳までについては努力目標とされます

  • 定年制を廃止する。
  • 定年年齢を70歳以上まで引き上げる。
  • 希望者全員に対して、70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)を導入する。
  • 65歳から70歳まで、他企業への再就職を斡旋する。
  • 65歳から70歳まで、フリーランスで働く人へ業務委託する。
  • 65歳から70歳まで、起業した人へ業務委託する。
  • 65歳から70歳まで、NPOなど社会貢献活動参加へ資金提供する。

定年延長や再雇用を実施した場合、多くの問題が生じることが予想されます。企業としてはそれにどのように対処するか対応策を考えなければなりません。

まず、賃金です。高齢者に支払う賃金をいくらにするのか、賞与は支給するのか、その資金をどこから捻出するのか、といった問題です。この点については会社でルールを決めて、例えば、職務手当を見直す、年齢や役職ではなく成果に応じた給与体系にするなど自社に合ったものを選択する必要があるでしょう。

次は、組織の年齢構成バランスの問題です。従業員全体に対する高齢者の割合が増加することによって、若手の人材育成が滞り、世代交代が進まないという問題が生じます。組織の若返りを進めるために「役職定年制」の導入など検討する必要があります。

次は、モチベーションに関する問題です。賃金や年齢構成バランスとも関連しますが、高齢者を優遇することで若手のモチベーションが低下する恐れがあります。これには、全従業員が納得できる給与体系・人事制度を構築し、若手と高齢者とのコミュニケーションを促進し双方が理解し合えるようにするなどの対応が必要になります。

次が、健康管理に関する問題があります。健康な高齢者がいる一方で病気を抱えた高齢者もいます。こうした高齢者の雇用については、一昨日のブログで書いた「治療と仕事の両立」を参考に両立支援制度を導入するようにしてください。

定年延長にあたり、企業は、就業規則雇用契約を見直す必要があります。

最後に、定年延長に当たって利用できる助成金があります。「65歳超雇用推進助成金」です。いくつかありますが、その中の「65歳超継続雇用促進コース」では、「65歳以上への定年の引き上げ」「定年の定めの廃止」「希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度」のいずれかを導入した事業主に対し助成金を行うもので、最大150万円の助成金が受けられます。また「高齢者無期雇用転換コース」では、50歳以上で定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換させた場合に、中小企業の場合最大60万円助成金が支給されます。定年延長を導入するにあたり、こうした助成金を利用しない手はありません。