景気腰折れ 日本経済の弱点
おはようございます。
内閣府が17日に発表した2019年10月ー12月期のGDP速報値は、物価変動を除く実質で前期より1・7%減、年率換算で6.3%減となり1年3か月ぶりにマイナス成長に転じました。昨年10月の増税の悪影響を抑えるために政府は軽減税率やキャッシュレス決済へのポイント還元など対策をとりましたが大した効果をあげず、前回増税があった2014年4月-7月期の年率換算7・4%減に迫る規模になってしまいました。増税前の駆け込み購入の反動、家計の所得が増税で目減りしたことに加え、米中貿易摩擦、大型台風や暖冬の影響もあるかと思われます。政府は、消費増税後の景気落ち込みは短期的で、すぐにプラスに転ずるとの見通しを描いていましたが、新型肺炎の拡大で状況が読めなくなってきています。新型肺炎の影響が長期化すれば、中国向け製品の輸出・生産の低迷や外出手控えによる個人消費の落ち込みもさらに深刻化する恐れがあります。中国からだけでなくそれ以外の国からの旅行客が減少したり、中国経済の悪化が世界経済に波及したりする可能性があり、落ち込み幅がさらに拡大しかねません。この新型肺炎の影響は、嵐の中国公演中止、天皇誕生日の一般参賀中止、東京マラソンの一般参加中止などにも及び、万一、東京オリンピック・パラリンピック中止という事態になれば取り返しのつかない状況になります。日本国内での新型肺炎の蔓延・拡大を水際で食い止められなかった政府の対応・責任は重大だと思います。
さて、以上が日本経済の現状ですが、日本経済には次のような弱点がありそれが現状に大きな影響を与えているように思います。
まず第1は高い中国依存型経済だということです。2019年の輸出総額76兆9275億円のうち約19%にあたる14兆6826億円が中国向けで、そのうち一般機械・電気機械の割合が多いのです。新型肺炎の影響で、中国の製造業の生産再開が大幅に遅れており、企業の業績不振が今後鮮明になると思われます。今回の新型肺炎拡大で一国に依存することの危険性が明らかになりました。二度と同じような事態に陥らないためにも、今後は一国集中ではなく分散投資、代替的に生産ができる工場設置など対策が必要でしょう。
次に中国依存という点では第1と関連しますが、日本経済を支えていたインバウンド、中国観光客への依存度です。海外からの観光客の約30%が中国からの観光客です。これまで政府は観光立国を目指してきました。それが悪いとは言いませんが、他国依存という点で今回のような事態が起きれば観光業のみならず、飲食業・小売業等の消費にも大きな打撃を与えてしまいます。
第3に、個人消費の低迷です。個人消費が堅調ではなく低迷しているにもかかわらず、消費増税に踏み切り個人消費をさらにパワーダウンさせてしまいました。政府はアベノミクスのおかげで経済は堅調とごまかしてきましたが、先日名目賃金が下落したとのデータが出てアベノミクスが功を奏しなかったことが明らかになりました。日本経済の下支えに必要なのは中国人ではありません。日本国民です。日本国民が適正な賃金を得てそれを消費に回し経済を支えていくのです。この構図を抜きに日本経済の再生はありません。そのために必要なのはいかに賃金を上げ消費の拡大につなげるかという政策です。企業にも利益を上げても社内留保にとどめ賃金を上昇してこなかったツケが出てきています。賃金が上がれば消費が増える。消費が増えれば製造・生産が増える。製造・生産が増えれば売上が増え利益が増える。利益が増えれば賃金が増える。こうした循環の輪を広げていきましょう。今必要なのは中国依存ではありません。日本国民自身による個人消費の拡大です。政府もそうした対策を検討する必要がありますし、企業も個人消費につながるような製造・生産を行う必要があります。