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約120年ぶり民法改正

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おはようございます。

2020年4月から改正民法が施行されます。そこで、今日は、民法改正が企業に与える影響についてお話しします。

1894年に現行民法が制定されて以来126年が経過しました。その間個々の改正はありましたが、全般的な改正は行われず、実情に合わなくなった面もあり、2006年から法務省が全面的な改正作業に入りようやく2020年4月施行となったのです。

民法というのは、私人間の法律関係を規制する法律で私法の1つです。総則、物件、担保物件、債権、親族・相続の5編から成り立っていますが、今回の改正では、主に民法全体に影響する総則偏と私人間の取引関係を規定する債権編が改正されました。

民法改正のポイントについて説明します。

  1. まずは「保証」です。個人保証の要件が厳しくなり、原則として、保証人本人が公証役場に行き、「保証意思宣明公正証書」という書面で保証意思を明確にする必要があります。さらに、事業に関して保証を依頼する場合には、保証人に対して財産や収支内容を開示しなければならず、債務者が資産内容などを開示せず又開示した内容が虚偽の場合には、保証人が保証契約を取り消すことができるようになります。
  2. 次が「消滅時効」です。まず消滅時効期間の統一です。これまで取引に応じて時効期間が異なっていましたが、この短期消滅時効を廃止して、権利を行使することができることを知った日から5年、権利行使できるときから10年になりました。また、時効の完成猶予、後進の制度が新設されました。さらに、当事者間の文書による合意によって時効の完成を1年以内で遅らせることができるようになりました。なお、施行日以前に発生した債権などでは改正前の民法が適用されます。
  3. 次に「定型約款」です。電気・ガスなどの供給、宿泊、保険、運送、通信など定型的なサービスを提供する特定の者(事業者)が不特定多数の利用者との取引において契約の内容とするために準備した条項の総体を「定型約款」といいます。定型約款が有効とされるための要件、事業者による定型約款の開示義務、取引の相手に不利益となる条項の制限などのルールが定められました。中小企業が顧客に提供するサービスにも定型約款を利用できますが、新たなルールの下で有効な約款を作らなければ、合意の効力が否定されることにもなりかねません。
  4. 次に、「法定金利」が変わります。現行民法では年5%の法定金利が定められていますが、市中金利に比べて高率なので一律法定金利を3%に引き下げ、3年ごとに見直すこととしています。法定金利の変更により企業の債権管理や債務者の債務不履行への対応にも影響が出てくるものと思われます。
  5. 次に、「請負」のルールが変わります。請負人の担保責任の規定が変更されますし、仕事を完成することができなかった場合の請負人の報酬請求権の規定が定められました。また、注文者が破産手続開始決定を受けた場合の請負人の解除権に関するルールも変更されました。請負契約を締結している企業では請負契約の内容が改正民法に抵触しないか確認する必要があります。
  6. 次に「売主の義務」が変わります。中古車販売などの特定物売買の場合、現行民法では瑕疵担保責任が規定され、買主は売主に対し修理や代わりの物を請求できず、契約解除と損害賠償しか認められていません。しかしこれでは取引の実情や当事者の意思に合致していないことから、改正民法では「瑕疵担保責任」という制度を廃止し「契約不適合責任」という制度を導入し、従前の解除権・損害賠償に加え修理、代金減額請求なども規定されました。「瑕疵担保責任」という文言を変えるなど売買契約書を見直す必要があります。
  7. 次に、「売買契約の解除」が変わります。これにより、①契約上の義務に違反した人に責任がない場合でも解除が可能となり②義務に違反したり怠ったりしてもそれが軽微な場合には解除ができないことになりました。

以上のほかにも多くの改正点があります。民法改正が中小企業経営に与える影響は大きいものがあると思われます。改正直前になって慌てるのではなく、今から契約書や約款に問題がないかチェックしておいてください。

民法改正(債権法)については、法務省のホームページ   www.moj.go.jp/content/001254363.pdf

を参照してください。