中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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新型肺炎 世界経済に打撃

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おはようございます。

一昨日、昨日とニューヨークダウが大幅に下落、日本の株式市場も下落し、世界同時株安の様相を呈するようになりました。これまで新型肺炎は中国、日本などアジアの問題ととらえていたところ、イタリアを中心にヨーロッパ・中東にも広がりさらにアメリカ国内での感染者が出るに至りようやく危機感を募らせるようになったこと、新型肺炎に対する危惧感・新型肺炎が欧米経済に悪影響を与えるという警戒感が原因です。今後、世界的な新型肺炎拡大を受けて、各国は景気下支えのために確固たる対応策をとることが迫られます。日本においても今まさに正念場です。「この1~2週間が感染が拡大に進むか、収束に向かうかの瀬戸際」ということで政府は基本方針を決定しましたが、感染者が全国的に広がっており、政府の対応は後手後手に回っているに感じます。人混みには行かない、マスク・手洗いの励行など自分でできることを行い、自分の身は自分で守るしかないように思います。

新型肺炎が日本経済に与える影響は深刻です。中国からの団体客のキャンセルが相次ぎ、愛知県の老舗温泉旅館「冨士見荘」が廃業に追い込まれ破産手続きに入ることになったようです。観光客の激減は中国人だけでなく、フランスその他の国からの旅行客が減少・キャンセルが相次いでいるようで、観光業に大きな打撃を与えています。日本人の旅行客も減っています。東海道新幹線も外国人の減少と日本人も外出を控えたことなどから利用者数が減少しています。また、百貨店その他小売業の売上高も大きく下落しています。飲食店も外食を控えるようになってキャンセルが増加しており、年度末が近づき歓送迎会の時期だけに今後の新型肺炎の影響によっては更なる悪影響が出ないとも限らず心配です。電通本社の従業員に新型コロナウィルスの感染者が出て、電通本社は約5000人の本社社員に原則として在宅のテレワークを命じました。このような事態は今後ますます広がるように思います。どの企業においても、万一、自社の従業員に感染者が出た場合、企業としてどのように対応していくのかあらかじめ決めておく必要があります。その対応の仕方によって感染者を拡げてしまい世間から批判の目が向けられると企業の存続にも影響します。きっちりとした対応策を練っていきましょう。

以前にも書いたと思いますが、コンティンジェンシー・プラン(不測事象対応計画)です。contingencyという語は「偶然性」「偶発事件」というaccidentにつながる意味があります。経済環境のみならず経済外の環境を含めた予想外の不測事態に対応するための計画で、企業は常に予期できないような事態の発生に注意を怠ってはならないという発想に基づいています。不測事象には、地震等の災害、石油等資源・食料の輸入ストップ、資材購入価格の高騰、為替市場の変動、政変・テロなど様々なものが挙げられますが、今回の新型コロナウィルスの拡大も不測事象に入るでしょう。漠然として起こりうる問題ごとに、複数の計画をあらかじめ立てておき、それが生起した際に、それに対応した計画に切り替えることによって、迅速な対応を果たし企業の損害の最小化を図ることが可能になります。不測事象対応計画の一種として、中小企業庁「中小企業のBCP策定運用指針」(2006年)において、BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)が取り上げられています。これは、「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法手段などを取り決めておく計画」のことです。

われわれは、今回の新型コロナウィルス(COVID-19)の前に2002‐3年に、SARS重症急性呼吸器症候群)を経験しました。しかし、今回その経験が生かされているように思えません。確かにSARSの時には中国に対する依存度も今よりは低く今回よりは影響は少なかったのですが、それでもSARSは世界経済に400億ドル(4兆3600億円)の損失を与えました(今回のCOVID-19はその3~4倍といわれていますが)。SARSの時の経験を活かし不測事象対応計画あるいはBCP を策定していた企業はどれだけあるでしょうか。今度こそ、今回の新型肺炎の経験を活かし不測事象対応計画・BCPを策定し、次なる不測事象に対応する準備をしましょう。

また、先日も書きましたが、時差出勤、テレワークなどの働き方改革・治療と仕事の両立支援などで助成金が出る場合があります。今取り組むのによい時期ではないかと思います。

国際オリンピック委員会の委員から、新型コロナウィルス拡大で東京五輪の開催可否期限が5月末との見解が示されました。万一、東京五輪が中止という事態になれば日本経済に与える影響は計り知れません。これからは、その「万一」を想定した対応策を検討する必要があるかもしれません。自社の企業存続が危ぶまれないように、自社の損失を最小限に食い止めるには何をなすべきか、今から真剣に検討し計画を立てるべきでしょう。脅しではありません。そうした危機が目前に迫っているように思います。