中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

「令和恐慌」は避けねばならない

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おはようございます。

新聞やニュースを見ても新型コロナウィルスばかりで、今日はこれと言って取り上げるニュースは見当たりませんでした。そこで、やむを得ず、今日も新型コロナウィルス関連です。すみません(笑い)。

安倍首相は、各党党首に新型インフルエンザ等対策特別措置法(インフル特措法)の改正への協力を求めました。政府(安倍首相)は法改正を行って、同法の適応疾病に「新型コロナウィルス」を加えるというのです。しかし、同法の適用疾病をみれば①新型インフルエンザ②再興型インフルエンザ③新感染症(すでに知られている感染症の疾病とその病状や治療の結果が明らかに異なるもの)となっています。今回の新型コロナウィルスは③新感染症に該当すると考えられ、あえて法改正をする必要はないように思われます。政府対応が後手後手に回り本来なら1月前に同法を適用しなければならないところ適用しなかったというような批判をかわすために法改正が必要との見解を打ち出したと言われても仕方ありません。また、このインフル特措法は2012年旧民主党政権時代に制定されたもので、その採決に安倍首相も含め自民党議員は欠席して成立した法律です。この反対した法律をそのまま適用することへの躊躇もあるのかもしれません。

インフル特措法の適用で、緊急事態宣言が可能になり、これによって外出自粛、イベント自粛、医薬品などの保管指示、映画館や運動施設の使用制限などの私権制限といった強力な権限発動ができます。私自身は現段階でこのような強力な権限発動が必要かについては疑問を持っていますが、1月前に発動されていれば大阪のライブハウスからのクラスター感染はなかったことも事実です(結果論ですが)。

何事にも政府対応は遅れ後手後手に回っていますし、総理の思い付きで行われた対応では混乱が生じています。改正案が審議され法改正がなされ適用しようとした時には終息に向かっているということになりそうです。医師・専門家の話では1か月後がピークで5月頃に終息すると言われています。早く終息して日常を取り戻したいものです。

さて、時事通信のニュースによれば、新型コロナウィルス対策として、インドが日本人に対して既に発給していた入国ビザ(査証)を無効とする措置を発表しました。また、中国の上海市は日本からの入国者を14日間隔離して経過観測する方針を打ち出しました。このように感染が広がる日本からの入国を拒否する国が増えています。さらに事態が悪化すれば、入国制限が一段と広がる可能性もあります。このような事態が長引けば、企業の事業に与える影響も大きく日本経済に及ぼす影響は計り知れません。米国は日本への渡航について注意喚起のレベルを上げました。さらにアメリカで日本人の入国まで制限されるようになると大変な事態になります。政府は新型コロナウィルスの国内感染の拡大を防止する措置を速やかに行うとともに正確な情報発信を行い世界にアピールする必要があります。企業も今はこうした事態には耐えるしかありません。いつまでも日本人の入国拒否が続くわけではありません。渡航制限が解除された場合に速やかに現地に入って事業が再開できる体制を準備しておく必要があります。

新型コロナウィルスによって、日本経済に激震が走り、日経平均株価は1割近くも下落し、リーマンショック以来の状況になっています。そもそも昨年10月の消費税増税で日本経済は大きく冷え込み、10月~12月のGDPは6.3%のマイナスとなり、東日本大震災の冷え込みに匹敵する状況でした。景気動向指数も激しく下落し、その下落幅は過去の消費税増税時に比べて非常に悪い状態になっています。それに続いて今回の新型コロナウィルスによる消費落ち込みです。その影響はすでに出ています。

愛知県の老舗旅館の倒産、北海道のコロッケ製造会社、神戸のクルーズ船運航会社など新型コロナウィルス関連の倒産が出てきています。リーマンショック時の倒産件数は1万5千件以上(上場企業33件を含む)ですが、このまま新型コロナウィルスが拡大すれば、消費増税後の消費落ち込みと相まって、リーマンショック時以上の大倒産を招きかねません。

京都大学大学院の藤井聡教授は「今後さらに内需も外需も落ち込むでしょう。そのうえ五輪が中止になれば、感染のために日本を訪れる外国人によるオリンピック景気も期待できないのです。このままでは令和2年の日本経済は奈落の底にたたき落されることになります。安倍内閣がこのまま何の景気対策もしないなら、間違いなく『令和恐慌』が日本を襲うでしょう」(女性自身ー「コロナで日本経済壊滅…『令和恐慌』を招く安倍政権の失策」から)と言われています。

政府は、新型コロナウィルス対策として中小企業への支援策を打ち出していますが、それだけで日本経済の立て直しができるとは思えません。

藤井教授は「今すぐ消費税を5%に引き下げる。それが内需を回復させる。一番簡単な手段です。安倍内閣がすることは、嘘をつかず正しく景気判断を行い対策を行うことです。消費税を5%に戻すのも、決して難しいことではありません。例えば軽減税率の精度を使えばすぐにでもできるはずです」と言われますが、福祉に回す財源をどこから捻出するのかなど多大な問題があり難しいでしょう。

取り敢えず、今は与党・野党一丸となって新型コロナウィルスの拡大を防止すべく最善の対策を迅速かつ適確に行うことです。企業も感染拡大を防止すべき自社の体制を見直しつつ体力の温存に努めることです。SARSの例からすればあと数か月で終息に向かうはずです。それまで耐えることです。日本経済の立て直しはそのあとにじっくりと取り組めばよいのではないかと思います。ただ、安倍政権にそれができる能力と意欲があるとは思えませんが・・・

企業も政府の支援策を最大限活用し、今を乗り切りましょう。