中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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後継者選び

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おはようございます。

新型コロナウイルスについては、先週末に新型コロナウイルス特措法の成立を受けて、安倍首相が記者会見を行いました。その中で、緊急事態宣言については「現時点で宣言する状態ではない」とし、打撃を受けている経済について『成長w軌道に戻し、国民の笑顔を取り戻すために思い切った策を講じる」「具体的な中身は政府、与党で練り上げたい」と言いつつ具体的な内容については明言を避けました。今必要なのは、感染拡大防止対策と共に経済の落ち込みに対する景気対策、特に迅速かつ充実した内容の中小企業支援対策です。アメリカのトランプ大統領は早急に新型コロナウイルス対策に500億ドル(約5兆4000億円)の支出を可能とする国家非常事態宣言を発動し、さらに83億ドルの緊急予算に追加する形で経済対策を実施することで野党民主党とも合意しました。また、米連邦準備理事会(FRB)は、1.0%の大幅利下げに踏み切り量的緩和も再開しました。一気呵成な対策で新型コロナウイルスを抑え込み、さらに経済の落ち込みをも抑え込もうとしているように思います。

日本の安倍政権がチマチマと小出しにしているのに対し、ここまでやるかというような新型コロナ対策・経済政策を一気に打ち出しています。さすがアメリカ、見習ってもらいたいものです。

さて、新型コロナ関連の話はこれくらいにします。今日は、東洋経済オンラインの「稀代の名経営者ほど『後継者』が決まらない理由」を取り上げます。この記事では、日本電産永守重信会長、ファーストリテイリング柳井正会長、ソフトバンクグループの孫正義会長が取り上げられています。

永守氏は職業訓練大学校電子科卒で音響機器のティアックに就職、28歳で日本電産を創業し、「ヒト、モノ、カネのどれをとっても大企業には勝てる要素はない。あるのは平等に与えられた24時間。だから競争相手の2倍働く」とがむしゃらに働き今日の日本電産を作り上げました。人の採用方法もユニークで「食事が早ければ仕事も早い」と試験会場で弁当を先に食べ終えた順番で採用したり、「大声テスト」や「便所掃除」で人を選んだりしました。そして採用した人を「叱ったり、怒鳴って、ボロクソに言って、皆の前で恥をかくことによって闘争心や反発心を呼び起こす」方法で育てたと言います。永守氏は後継者にも自分と同じようなたたき上げの人材を求めているのです。

柳井氏は、早稲田大学卒業後ジャスコ(現イオンリテール)に入社、9か月後に退社し父親が経営する紳士服小売りの小郡商事に入社します。しかし、青山やAOKIといった郊外型紳士服店の影響を受けるようになったことからカジュアル衣料の販売を思いつきユニクロへと発展していきます。柳井氏は「支持されるリーダーというのは好き嫌いではない。この人の言うことなら聞いてもいいと思える人。そのためには部下に具体的で的確な指示を出せなければなりませんね。経営はぼんやりとした概念や方針じゃ回りません。具体性、個別性がないと経営は上手く行かない」と言っています。柳井氏も自分と同じような人材を後継者に求めています。

孫氏は、カルフォルニア大学卒業。大学時代に自ら開発した自動翻訳機をシャープに売り込み1億円を手にします。コンピュータ卸業を手始めにアメリカのヤフーへの投資、合弁で日本法人のヤフーを設立し大成功をおさめます。その後日本テレコムを買収し通信事業への布石を打ち、ソフトバンクグループを作り上げていきます。孫氏には、壮大なビジョンを掲げてそれを達成するために全力を傾ける人というイメージが出来上がります。後継者にも自分と同じスーパーマン級の理解力、洞察力、実行力を求めているはずです。

彼ら三人は、世襲を求めていません。永守氏は「同族会社を否定しているので息子には譲らない」といい、柳井氏も「絶対に世襲はない」と公言し、孫氏も「60代で引退する」と語っています。

後継者をサラリーマンの中から選ぶのは至難の技です。永守氏、柳井氏、孫氏のようなスーパーマンはサラリーマンの中にはいません。もしそのような人物がいたなら自ら起業して第二の永守氏、柳井氏、孫氏になっているはずです。オーナー経営者の場合、自分の立場は盤石でリスクをとって思い切った決断ができますが、雇われ社長の場合リスクの大きい決断をしたらオーナーに解任されるのではないかと恐れ当たり障りのない決断しかできなくなるのです。

その意味では、世襲というのも後継者選びの一つの選択肢です。例えば、トヨタ自動車豊田章男社は2009年に社長就任後長期政権を樹立し大きな改革を進めていて、世襲の成功例でしょう。

中小企業の場合、どうしても後継者を世襲あるいは身内からというケースが多くなります。この場合、しっかりとした後継者を育成しないと会社の存続、成長が望めません。中小企業の後継者の育成については2019年12/25に書きましたので参考にしてください。また、後継者を社内従業員からという場合はしっかりとした教育を行い、任せることが必要になります。オーナーの顔色を窺い決断できないようでは経営者として失格です。むしろ後継者がなかなか見つからない場合には社内従業員を無理やり社長に据えるのではなくM&Aを利用した事業承継が良いのではないかと思います。こうした点も視野に入れて後継者選びをしてください。