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休日の本棚 恐怖に負けない技術

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おはようございます。

新型コロナウイルスの感染拡大、緊急事態宣言の発令、自粛要請と先の見えない今、私たちは見えない敵と戦い、不安や恐怖を感じています。そうした恐怖や不安にどのようにして立ち向かっていけばよいのでしょうか。

そこで、辻秀一著「ハイパーフォーマーは知っている 恐怖に負けない技術」(かんき出版)を紹介します。辻氏はスポーツドクター・メンタルトレーニング専門のドクターで、応用スポーツ心理学とフロー理論をもとにしたメンタルトレーニングによるパーフォーマンス向上を専門としています。

恐怖というのは妄想です。人間は脳が発達しているため、誰もが「恐怖を生み出すメカニズム」を持っています。しかし、一流と呼ばれる人々は、恐怖をうまく克服し、自分が本来持っている能力を最大限に発揮しています。実は、私たちも一流の人と同じように「恐怖を克服するための技術」をもともと有しているのですが、それをうまく使いこなせないでいるだけなのです。

本書では、心の痛みと向き合えば常に一流の結果が出せる!として最高の能力を発揮するタフな心を作る33の秘策が紹介されています。恐怖は誰もが抱く感情です。恐怖は人間が動物として生命を維持し、生き抜くために必要な感情です。恐怖を感じなければ危険を察知することができないので、生命の危機に直面することになります。誰もが同じように恐怖を感じます。問題は、恐怖によって沸き起こるノンフローの状態をうまくコントロールできるかという点にあります。人間は他の動物よりも思考が発達しているので、私たちの思考パターンがより多くの恐怖を生み出します。しかし、どのような思考パターンが、自分に恐怖思考を起こしているか、ということに気づくことで、恐れを鎮める方法が見えてくると言うのです。そして、13の思考パターンを知れば恐怖は克服できるとされています。

  1. 未来志向・・・不確実さへの恐怖⇒無我夢中で行動するには先を読まないことも大切(今、ここ、自分に集中する)
  2. 期待思考・・・妄想への恐怖⇒①周りに環境・出来事・人が存在しているという事実②その環境・出来事・人の情報に自分の脳が意味づけを行っているという事実③その意味付けによって自分の中に何らかの感情が生じているという事実を意識する
  3. 勝利思考・・・敗北への恐怖⇒他人・社会に認められたい、勝ちにこだわるほど敗北への恐怖が強まる
  4. 疑念思考・・・裏切りへの恐怖⇒理屈抜きでただただ人を信じてみる
  5. 過去思考・・・新しさへの恐怖⇒新しさを求めない人に未来はない=新しいことをする恐怖に気づく→過去思考に気づく→可能性を考える→実際に行動してみる→新しい体感を持つ
  6. 安定思考・・・変化への恐怖=安定志向がある人に限って心は不安定⇒外部の変化に対して、個人や組織が変化を起こしていくことが生き残りには必須→チャレンジ精神を持つ
  7. 獲得思考・・・喪失への恐怖⇒自分に自信がないから持っているもので評価を上げようとしている→何かを捨てるということは失うことではなく自由を得るということ
  8. 帰属思考・・・孤独への恐怖=帰属を求めれば求めるほど孤独への恐怖は強まる⇒他者に依存することでしか喜びを感じられなくなる→自分が幸せだと自分が考えれば、それが幸せなんだ
  9. 比較思考・・・他者への恐怖=人は劣っていても優れていても恐怖を感じる→他者との違いに面白さを感じながら行動し、自信を作る
  10. 評価思考・・・優劣への恐怖=他者からの評価をバネにする人は常にエネルギー不足→他人と全く別の人間であるということに価値がある→時には自分を愛することも一つの手
  11. ポジティブ思考・・・ネガティブさへの恐怖=ポジティブ思考至上主義がネガティブへの恐怖を生み心のエネルギーをそぐ⇒ポジティブもネガティブも人が勝手に物事に意味づけしたもの→あるがままの自分で立ち向かうのがベスト
  12. 成功思考・・・失敗への恐怖=成功を強くほど失敗の恐怖から逃れられない⇒成功も失敗も脳の認知機能による意味付けにすぎない→成功とは自分がベストを尽くした時に得られる満足感のことだ→自然体でやるべきことだけを一所懸命に満足できるようにやる
  13. 結果思考・・・不達成への恐怖=結果をイメージして自信を付けようとするのは逆効果→結果をイメージするのではなく心の状態をよくすることをイメージする→外界の出来事や人からの評価などに関係なく、自分の心の状態は、自分で切り替えられるという確信が自信を作る

人間は、恐怖や不安があるからこそ、生命の安全を維持できるのです。今回の新型コロナウイルスのことで言えば、新型コロナに対する恐怖や不安があることによって強制されなくても自主的に外出を控え自粛するのです。恐れの感情があるからこそ、秩序も保たれるのです。一人一人の中に無秩序への恐怖があることによって、社会の秩序を保持していくことができるのです。

著者は言います。

「恐怖や不安などの感情に気づく→そのような感情を生み出している自分の思考パターンに気づき受け入れる→新しい思考で心をフローな状態にする→やるべきことを考え明確にする→それを実行する。

これが恐怖とうまく付き合い、最高のパーフォーマンスをするために私が提案する最上のメソッドです。」

ビジネスマンにとって、恐怖を力に変えれば集中力や行動の質も高まり、最高のパーフォーマンスを発揮できるようになりますし、日常生活でも恐怖や不安を感じた時に上記13の思考パターンのどれに該当するかに目を向ければ、恐怖や不安をコントロールでき冷静になって物事に取り組めるようになると思います。

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