中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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大恐慌以来最悪の不況

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おはようございます。

新型コロナウイルスの感染者数が、昨日は東京で161人、大阪で59人、全国で482人と相変わらず高い水準にあります。これまでの感染者数は8892人(クルーズ船を除くと8169人)となり、このまま推移すると近々1万人を超えることになりそうです。早く終息することを望みますが、医療現場が大変な状況で医療崩壊が心配です。

今日は、朝日新聞の「大恐慌以来 最悪の不況」を取り上げます。国際通貨基金IMF)は、2020年の世界全体の成長率を前年比3.0%減とし、1月の予測(3.3%増)から大きく下方修正しました。新型コロナウイルスの感染拡大で、世界経済は1920~1930年代の大恐慌以来最悪の同時不況に直面しています。当初この新型コロナショックはリーマンショックと対比されていましたが、もはやそのレベルではなく世界大恐慌に匹敵するようになってしまいました。世界の成長を引っ張ってきた米国が5.9%減と1月予測(2.0%増)急減し、中国も1月予測6.1%増から大幅に下回り1.2%増にとどまる見込みです。日本は0.7%増から5.2%減になる予測で景気減速が見込まれています。ただ、この予測自体は感染拡大が2020年前半で峠を超すとの想定に基づいており、収束に時間がかかり2021年にまで持ち越すことになればさらに大きなマイナス成長となるでしょう。現在、先進国は未曾有の政策対応を取り、世界で8兆ドル(約870兆円)という巨額の財政出動が決まり、各国とも中央銀行の金融政策と一体化する形で大量の資金を流し込んでいます。昨日書きましたが、今は財政均衡より人の命が大切です。各国は財政均衡を無視して人の命を守るために大量の財政出動を行っています。日本・安倍政権だけが財政均衡にこだわり、結局は「真水約15億円程度」の財政出動しかしていないのです。

日本経済研究センターによる民間予測の集計では4~6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は年率11.08%と2桁の大幅なマイナスが予想されています。厚生労働省によると、13日時点で新型コロナウイルスで職を失うか失う恐れのある労働者は1830人、従業員の休業を検討する事業所が7178に上り2週間前と比べ倍増しているというのです。今後さらに休業要請が行われればますます増えていくでしょう。休業補償もなく、収入減となっている世帯も多く、今こそ世界の流れに乗って人の命の大切さを再確認し、赤字国債を発行し財政出動して休業補償や給付金を支給すべきです。

また、朝日新聞の「新型コロナ ここが政治の分かれ道」、これはユヴァル・ノア・ハラリ氏へのインタビュー記事です。ハラリ氏は、ヘブライ大学教授の歴史学者、以前休日の本棚で紹介した「サピエンス全史上・下」「ホモ・デウス上・下」「21Lessnns-21世紀の人類のための21の思考」の著者です。要約して紹介します。

  • 新型コロナの脅威によって世界は政治の重大局面にある。独裁と民主主義のうち、どちらが感染症の脅威にうまく対応しているかは一概に言えない。
  • 日本・韓国、台湾などの東アジアの民主主義は比較的うまく対処してきたが、イタリアや米国は同じ民主主義でも状況ははるかに悪い。独裁体制でも中国はうまくやっているが、イランやトルコといった他の独裁や権威主義体制は失敗している。
  • 長い目で見ると民主主義の方が危機にうまく対応できる。その理由は①情報を得て自発的に行動できる人間は警察の取り締まりを受けて動く無知な人間に比べて危機にうまく対処できる②独裁の場合間違った判断をしたら問題を隠蔽したり間違った政策に固執するが、民主主義体制では政府が誤りを認めることがより容易になる。
  • 新技術を使った監視に反対しないし感染症との戦いには監視も必要だが、独裁体制では監視が一方通行になる。民主主義では市民が政府を監視する機能がある。
  • 感染症ははるか昔から存在していた。グローバル化がなければ感染症は流行しないと考えるのは間違い。むしろグローバル化感染症との戦いを助ける。必要なのは国家間で感染拡大やワクチン開発についての信頼できる情報を共有すること。国境封鎖とグローバル化は矛盾しない。封鎖と同時に助け合うことができる。憎しみや非難の心で隔離するのではなく協力の心の下で隔離する。
  • 欧州連合(EU)では、人工呼吸器やマスクの製造、配分に向けた協力の試みが見られ、ドイツが周辺国の患者の受け入れを行っている。専門家が行き来し治療薬を開発しようとしている。危機の中でこそ、EUは価値を証明できるかもしれない。米国の自国第一主義アメリカがリーダーシップをとらないなら、EUや日本、中国、ブラジルその他の国が一緒になって立ち上がることを望む。
  • 感染症は全世界が共有するリスクだと考える必要がある。最悪の事態は南米やアフリカに感染拡大した時に起こる。ウイルスが突然変異しより致死的になったり感染力が強まって戻ってきてさらに深刻な流行を引き起こす。1918年のスペイン風邪の流行も、春に第1波が起きこの時は死亡者は少なかったが、夏からの第2波で突然変異して死亡率が一気に高まり、さらに第3波もあった。このような事態が起こらないとも限らない。これが我々が直面している脅威だ。
  • 危機の中で社会は非常に速いスピードで変わる可能性がある。良い兆候は世界の人々が専門家の声に耳を傾けるようになったことだ。科学者たちをエリートだと非難してきたポピュリスト政治家が科学的な指導に従いつつある。
  • 悪い変化も起きている。最大の敵はウイルスではなく心の中にある悪魔だ。憎しみ、強欲さ、無知。この悪魔に心を乗っ取られると、互いに憎しみあい、感染を巡って外国人や少数者を非難し始める(コロナ差別)。これを機に金儲けを狙うビジネスがはびこり(違法なファクタリング・コロナ詐欺など)無知によって馬鹿げた陰謀論を信じるようになる(例えば、中国の生物兵器説など)。
  • この危機の中、憎しみより連帯を示す。強欲に金儲けするのではなく、寛大に人を助ける。陰謀論を信じるのではなく、科学や責任あるメディアへの信頼を高める。それが実現できれば、危機を乗り切れるだけでなく、その後の世界をより良いものにすることができる。われわれはその分岐点に立っている。

 自国のことだけにとらわれていては、スペイン風邪のように一旦終息した後に第2波、第3波が襲ってくるかもしれません。世界各国が手を携えてこの新型コロナウイルスに対処する必要があるでしょう。お互いが連帯して助け合い、感染しない、感染させないために8割人との接触を減らすように努力しましょう。