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コロナの検査技術

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おはようございます。

緊急事態宣言の延長とともに学校の9月入学案が取りざたされています。緊急事態宣言の延長は現状ではやむを得ないと思いますが、いつまで延長になるのかが問題です。1か月延長ともなれば、子供だけでなく大人のストレスも半端ないものになり「自粛疲れ」でフラストレーションが別な方向に向かうことにもなりそうです。ストレスをため込まず自宅にいて適度に発散する方法を見つけるしかありません。9月入学案ですが、グローバル・スタンダードに合わせるという点では良いことだと思いますが、果たして今このタイミングで行うべきことかというと違うようにも思います。単に学校だけの問題ではなく経済界や法律、社会構造をも変えてしまうようなものなので、十分な議論もなく安易に変更することは将来問題を残すようにも思います。ただ、問題提起されたこの時期にやらなければいつまでたってもできないのではないかというジレンマはありますが。しかし、今は感染拡大防止対策、経済対策に全力を注ぐべきです。

さて、今日は、AERAの福岡伸一「いったんここでコロナの検査技術を整理しよう」を取り上げます。福岡伸一氏は、以前「休日の本棚」でも紹介しましたが、生物学者青山学院大学教授です。

新型コロナウイルス対策として、これまでは感染者を見つけ出し隔離することで感染拡大を防ぐという方法がとられてきました。世界的に感染が広がった今、むしろ発症者と非発症者を含め、どれくらいが免疫を獲得したかを把握した方が、社会的・経済的な抑制を緩和する手掛かりが得られるのではないか、という方向性が模索されるようになっています。このため、欧米では抗体検査が実施され、米ニューヨーク州では約20%というかなりの高頻度で抗体を持っている人が見つかっています。以前書きましたが、「集団免疫率」という考え方では、人口の50~70%が免疫を獲得すれば感染拡大を食い止めることが出来るので、抗体検査は重要です。

この記事では、福岡教授が、コロナの検査技術についてわかりやすく説明してくれています。コロナ対策を知るうえでわれわれもこれらの検査技術や用語を知っていた方がよいように思います。

まず、PCR検査です。これは、ウイルス感染の有無を診断する方法で、ポリメラーゼ連鎖反応の略で、目的とする遺伝子を倍々に増幅して検出する画期的なバイオテクノロジーです。非常に鋭敏にかつ特異的にターゲットを検出できるのです。特異的というのは、新型コロナウイルスの場合であれば、類似のSARSやMERS、あるいは従来のコロナウイルスと区別して検出できるということです。遺伝子配列の微妙な差を利用して、新型コロナウイルス遺伝子だけをピックアップできるのです。

これに対し、検体検査は、ウイルスの有無を調べるのではなく、感染の履歴を調べるものです。病気から回復した人や感染しても症状が出なかった人にはウイルスはほとんどいません。ウイルスと戦った証として血液中に抗体が生産されています。この抗体の有無を調べるのが抗体検査で、抗体=たんぱく質をターゲットとした検査です。原理はPCR検査よりも単純で、ウイルスたんぱく質を固定した紙の上に血清を垂らします。もし抗体が血清に含まれていれば、ウイルスタンパクと抗体の複合体が出来るので、今度は別の抗体を使ってその複合体を検出するのです。しかし、たんぱく質の検出は、PCR検査ほど特異的でないので他のコロナウイルス(例えばこれまでの普通のコロナウイルス)に対する抗体を持っている人も陽性と判定してしまうという欠点があります。より鋭敏なキットの開発が急がれています。

福岡教授は、抗体検査について原理的な問題が存在するといいます。一つ目は、抗体を持っているからといって二度と新型コロナウイルスに感染し、発症しないかどうかわからないことです。二つ目はウイルスに感染して免疫を付けた人がみんな抗体検査で陽性になるか分からないことです。そして三つ目として、一度得た免疫がどれくらいの期間持続するかもわからないことです。新型コロナウイルスの免疫反応は、まだまだ分からないことだらけで、今後の課題だということです。

福岡教授の言われるように、「免疫学の一般論からすれば抗体検査陽性ならかかりにくいと言えても、それが社会的・経済的パスポートみたいに通用するかは今のところ難しいし、抗体陽性が人々との管理や分断の道具に使われるのも好ましくない」のです。また、「ワクチンや特効薬が出来て認可され普及するには数年以上かかる」といいます。

つまり、新型コロナウイルス問題は長期的な共存戦略しかないようです。一人一人が感染しないように、また人に移さないように注意しつつ、不要不急の外出は控えて一日も早く収束できるように努力するしかありません。