中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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良い倒産 悪い倒産

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おはようございます。

政府は、検察庁法改正の今国会成立を断念しました。芸能人・著名人をはじめツイッターで多くの人が強く反対を表明したからです。この意味では、ネットという新たな形式のデモによる国民の勝利です。しかし、今国会での成立を断念しただけで、撤回・廃案されたわけではありません。ほとぼりが冷めた時点で再び俎上に上がってきます。今後も注意して見守らなければなりません。

今回の黒川弘務東京高検検事長の定年延長に至る経緯など多くの問題点がありますが、特に検察庁法改正で問題なのが、「内閣が定めるところ」によって検察官の役職定年が延長されるというところにあります。検察は時の総理大臣をも捜査対象とすることが出来ます。内閣に都合のいい人物を検察最高幹部に据える余地を作る仕組みでは、検察の独立性を損ない、汚職などの政治犯罪への追及も鈍ります。そこで、今回の検察庁法改正は三権分立の危機だと批判されるのです。しかも「森友・加計事件」「桜を見る会」の渦中の人が新型コロナウイルス問題で大変な時期に火事場泥棒的にやろうとしたから、安倍内閣に近しい黒川を次期検事総長に仕立て自分の犯罪に対する追及をかわそうという目論見だと邪推されるのです。弁護士有志が「桜を見る会」で安倍首相を告発しました。国民によるさらなる監視も必要です。野党も先送りに満足していたのではだめです。撤回・廃案に持ち込んでこそ勝利です。

さて、朝日新聞に「スタートアップ企業の4割が倒産危機」という記事がありました。スタートアップ企業というのは、起業して間がない企業です。持続化給付金は前年の同月と比較して売上が半減している企業に給付されますが、起業して1年経たないスタートアップ企業はその対象外になります。政府は、これまで、働き方改革などで積極的に起業を勧めてきました。それに応じて起業した人たちの多くが倒産の憂き目を見ているのでは救われません。新型コロナウイルスによって売上が落ち苦労しているのはスタートアップ企業も同様です。他の企業以上かもしれません。昨年度の同月と比較をするという持続化給付金の条件に問題があるように思います。コロナの感染拡大前(令和2年1月or2月)と比較して売上が減少していれば給付金が支給されていいはずです。スタートアップ企業に対する支援の重要性に気づいてもらいたいものです。

今日は、現代ビジネスの「コロナ大不況、万が一『倒産』するときに絶対やってはいけないこと」を取り上げます。

新型コロナの影響で先行きが不安定で、大企業も倒産する時代に突入しそうです。先日来述べていますが、あらゆる手を使っても是が非でも倒産という事態は避けるように頑張るべきです。「あらゆる手を使っても」と言っていますが、違法なことはしないでください。あらゆる手を尽くしても、やむなく倒産せざるを得ないという場合もあるかもしれません。そうした時にこの記事は参考になります。倒産には「良い倒産」と「悪い倒産」があるのです。倒産するなら「良い倒産」を目指しましょう。

この記事では、「悪い倒産」の例として、①企業経営者が自殺や夜逃げをする ➁返済の目途がないのに借金する ③家族や友人から返す当てのない金を借りる ということが挙げられています。

①自殺や夜逃げをするというのは論外です。「倒産」といっても、所詮はお金の問題です。生きていればまたやり直しができます。自殺や夜逃げをすれば、家族、従業員にも多大な迷惑をかけます。取引先にも迷惑が掛かります。経営者の責任の取り方は、手続きをと滞らせることなく、企業をしっかりと倒産させることです。自分の手で成仏させてやることです。それによって、従業員は、労働者健康福祉機構から未払い金の立替えを受けることが出来ますし、失業保険の手続きも容易に行えるようになります。また取引先も、貸倒損失の手続きを容易に行うことができ、破産配当を受けたり回収のための手続きを取ることもできます。責任をもって「倒産」させることです。

②返済のめどがないのに借金することが「悪い倒産」として挙げられていますが、私は、特に今回のような非常時には返済の目途がないのに借金することが悪いとは思いません。新型コロナウイルスで先が見えない中で、将来を見据えて返済の目途が立っている経営者は少ないと思います。多くの経営者は、先が見えない中で、融資を受けてこの危機を乗り越えようと頑張っています。それでも持ちこたえられなくなって「倒産」への道を進むのはそれは結果にしかすぎません。今は非常時です。返済の具体的な目途が立たなくても、この事態を乗り越えようという意欲の下で借り入れを行うことは悪くはありません。むしろ良いことだと思います。悪いのは、意欲もなく、自転車操業で「倒産」を先延ばしするために借り入れを行っている場合です。こうした場合にはすっぱりと倒産させるべきです。

③家族や友人から返す当てのない金を借りるということが悪い例に挙げられていますが、これについても②と同様のことが言えます。以前も書きましたが、今回の新型コロナウイルスの特別融資がなかなか下りず、家族や友人から借り入れをするというケースが増えています。これも必ずしも悪いとは思いません。特別融資のスピードが遅いためにやむなく家族や友人から借りなければならないのです。返すつもりもなくだまして借りるというなら「悪い倒産」ということになりますが、事業を立て直すべく努力した結果倒産せざるを得なくなったというのであれば「悪い倒産」ではありません。

この記事も言っていますが、「事業は生もの」です。タイミングも大事です。倒産しかないというのであれば、早めに倒産させることです。事業は「生もの」なので事業を停止した瞬間から「腐り」始めます。完全に腐敗すれば手の施しようはありません。まだ息をしていれば、その中に売れそうな事業があるかもしれません。また、破産ではなく民事再生という手が打てるかもしれません。うまくいけば、従業員の雇用を守り取引先の損失も最小限にとどめることもできます。

倒産する事態になる前に弁護士などの専門家に相談しておくことも必要です。「倒産」「破産」と言った企業を殺す道だけでなく生かす道についてのアドバイスを得られるかもしれません。