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休日の本棚 世界一「考えさせられる」入試問題

 

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おはようございます。

明日にもすべての緊急事態宣言が解除される見通しです。手洗い、三密を避けるなど感染予防対策を徹底し、「新しい日常」を送り、第2波の感染拡大を食い止めるしかありません。

新型コロナウイルスの感染者と接触したかを確認できるスマートフォンアプリの運用が6月から始まるようです。濃厚接触のあった人に健康状態の確認などを促すのが目的ですが、日本(欧米も)の場合、中国や韓国とは異なり、プライバシーに配慮して、具体的な接触日時や場所は知らせず、誰が感染したかもわからないようにします。

アプリは、ダウンロードする際に本人の同意を取ります。スマホの近距離無線通信「ブルートゥース」の技術を使い、「1メートル以内」かつ「15分以上」という濃厚接触条件を満たすと、無線通信で互いを判別し、双方のスマホに記録を残すのです。アプリ利用者が陽性診断を受けた場合、そのことをアプリを通じて申告すると、その人と2週間以内に濃厚接触のあったアプリ利用者に通知が届きます。その濃厚接触者がアプリで申告すれば保健所が接触者の拡大状況を把握できます。一方で、利用者の接触に関する情報は、暗号化したうえでスマホに格納され、政府などに報告もされません。そして2週間後にスマホから削除されます。

政府は、週明けにもこうした仕組みの詳細を公表するとしていますが、本当に政府に情報が行かないのか、プライバシーへの配慮が徹底的になされているのは疑問です。

さて、今日は、ジョン・ファーンドン著「オックスフォード&ケンブリッジ大学 世界一『考えさせられる』入試問題」(河出出版)を紹介します。オックスフォード大学、ケンブリッジ大学は言わずと知れた英国の名門エリート大学です。その入学試験では、超絶な思考実験が行われています。その難問奇問にどのように答えるのか?

日本の大学入試では、思考力よりも暗記力が重視されています。これが必ずしも悪いとは思いませんが、暗記により得られた知識が社会に出て役に立たないことも事実です。思考力に裏付けられた知識が重要です。世界大学ランキング2020のトップ200には、日本では東京大学36位、京都大学65位に2校がランクインしているだけです。中国が7校、韓国は6校ランクインしています。これも暗記力重視の弊害かもしれません。

この本から、いくつかの問題を紹介します。考えてみてください。

  • あなたは自分を利口だと思いますか?ケンブリッジ・法学) 実な意地悪な問題。謙虚に「いいえ」と答えれば、ここは利口な人間しか合格しないケンブリッジ大学。落とされるかもしれない。「はい」と答えれば、正真正銘のバカと一要るようなもの。面接官は受験生よりも利口であることは間違いないし、真名う姿勢が欠如していると思われるかもしれない。では、どのように回答すべきか。「自分は知らないことを知らないと言う。そのことで優っているらしい(無知の知)」(アリストテレス) 「自分が利口であることを隠すべき時を心得ている者こそ利口である」(ラ・ロシュフーコー)「私はあまりにも利口だから、時として自分が何を言っているのか一言も理解できなくなる」(オスカー・ワイルド)「もし善良な人がみな利口なら、もし利口な人がみな善良なら、世界はずっといいものになる。そうなるかもしれないと思っていた。ところがどうしてこの両者、手に手を取って歩みはしない。善良は利口に厳しすぎる。履行は全量に失礼すぎる」(エリザベス・ワーズワース
  • 過去に戻れるとしたらいつにしますか、それはなぜですか?(オックスフォード・法学) ここではどのように答えるべきか。自分の過去に戻って自分の人生をやり直すだけでよいのか、歴史の重大事件に立ち会いそれに介入してよりよい社会を作るのか。過去の出来事に介入できず、目撃することしかできないとしたらどうなのか。
  • もし全能の神がいるとしたら、神自身が持ちあげることが出来ない石を造ることはできるでしょうか?(オックスフォード・古典学) 神学者にとって、全知全能の神は人間の論理を超えた存在だ。「神自身が持ちあげられない石を造ることはできる。そして神はそれを持ち上げることが出来る」。これは「石の逆説」と呼ばれている問題。神学者や哲学者は何百年もこの問題を真剣に考えてきた。しかしこの問題は逆説ではない。全能者によって持ち上げられない石はそもそも存在しない。四角い円、既婚の独身男性などと同じ、この質問は最初から意味がない。
  • 自分の腎臓を売ってもいいでしょうか? (ケンブリッジ・医学) 本当に難しい判断を伴う問題。移植される腎臓の多くは死亡したドナーから提供されるが、人間は片方の腎臓だけでも生きていけるので、生きているドナーから提供される場合もある。腎臓を提供して助けてあげたいという人のどこがいけないのか?無償ならいいのか、有償ならダメなのか? しかし、腎臓を売るのはほかの物を売るのとは違う。身体を傷つけ命にかかわることもある。自分がドナーとなって家族や友人を助けることが出来るなら「イエス」という回答もいいが、自分を危険な目に合わせ却って家族や友人を悲しませ苦しませることになるなら「ノー」という回答になるだろう。悩ましい問題だ。
  • あなたならリンゴをどう説明しますか? (ケンブリッジ社会学政治学) 植物学者ならバラ科リンゴ属の木になる仁果果実と説明するだろうし、有機化学者なら水分、果糖やブドウ糖などの糖分、リンゴ酸などの弱酸、ビタミンC、ミネラル、アミノ酸を含む細胞内におけるセルロースの配列と説明するかもしれない。八百屋なら「そのままがぶりとやりたくなる、甘くてサクッとした歯ごたえがあってうまい」というかもしれない。中世の芝居見物の客は役者に落胆すると「(腐った)リンゴ」(日本なら大根役者)と言ったようだ。ニュートンなら「万有引力を発見したもの」というだろう。説明する人がどのような職業か立場かで説明の仕方・内容がは異なるのだ。
  • タツムリには意識はありますか? (オックスフォード・実験心理学) 意識をどう定義するのか、いかにして動物(カタツムリ)の中に入り込み、いかにしてその思考経路を知るか、といった難問がある。意識というのは非常に個人的な経験だ。人間同士なら言葉やその他のコミュニケーションで意思疎通はできるが他人の意識がどうなっているかを知るのは難しい。相手が人間以外となればほとんどお手上げだ。人間は自分たちが特別だと考えたいから意識があるのは人間だけと思いたい。しかし、カタツムリに意識がないとは証明できない。
  • 地球には人が余計にいるのでしょうか?(オックスフォード・人文科学)現在約70億人の人間が世界にいる。これは「人口過剰」なのか。世界は地球資源への圧迫に起因する数々の深刻な問題に直面している。自然界では多数の種が絶滅の危機に瀕し、水資源や食料資源のひっ迫が世界中のいたるところで危機的局面を迎えている。地球には既に人が多すぎるのか?そうなると「余計」なのは誰なのか?自分は「余計」な人間だと言う人はいるだろうか。どれほど不利な立場にいようとも、不幸な目に遭っていても自分を余計」と考える者はいないだろう。大切なのは、お互いをどう扱うか、そしてこの地球をどう扱うかだ。
  • 火星人に人間をどのように説明しますか?ケンブリッジ・医学) 火星人が人間に似ていれば説明するのは簡単だ。だが、火星人がタコ型生物なら難しい。火星人にも理解できる説明の基準を考えねばならない。まず、人間の体の本体の説明からだ。地球の長い歴史から見れば、人間はごく最近になって、進化を遂げた複雑な動物だ。日本の足で直立歩行し、手で物を掴むことが出来る。人間はほかの動物と違って真似ができない方法で地球を支配し、環境を操作する。複雑に進化してきた脳があり、言葉を使って高尚なメッセージを伝えることが出来るし、ほかの動物よりも自己認識能力に優れている。人間には抽象概念があり想像力がある。多様な音楽や絵画など、娯楽や刺激や美の喜び以外に何の目的もない芸術作品を創り出す。人間同士で残虐行為に及ぶこともあるし、感動するほどの思いやりを見せることもある。見た目だけでなく一人ひとり思考や欲求など微妙に違う。単純なようで複雑な生き物だ。宇宙戦争が勃発しないように地球人が平和を愛する人間であること、敵意がないことを説明しなければならない。

全部で60の入試問題が示されています。どれもが難問奇問です。もし自分が受験生ならどのように答えるか、考える力を養うのには役立つ本です。

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