中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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人の移動の緩和

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おはようございます。

緊急事態宣言が全面解除され、新規感染者数は、東京10人、北海道9人、全国で30人ですが、近畿では感染者数が0人です。そうした中、気になるのが北九州市の現状です。北九州市は、4月30日以降23日間連続で新規感染者0を記録していましたが、5月23日、24日に各3人ずつ、25日に6人、26に2人の感染が判明しています。北橋健治市長は、「第2波の入り口」と警戒を強めています。もし第2波が来るなら、5月14日に緊急事態宣言が先に解除された県(8都道府県を除く)からではないかと危惧しています。何故なら、先に解除された地域では先に気の緩みが生じているからです。地方から第2波が拡大するようになれば、病院や病床が少ない地方ではすぐに医療崩壊が始まります。そうした事態にならないことを、北九州市の感染拡大が第2波の入り口でないことを願います。

アメリカのワシントン・ポスト誌も「日本のアプローチは独特で、政府の命令や制裁よりも要請・合意・社会的圧力によって封じ込めた」と論評しています。その上で、「日本社会は、大声を上げたり、過剰な感情表現や身体接触をしない傾向がある。今後、更にそうした風習が加速するかもしれないが、それはより安全になるということだ」と解説しています。WHOのデドロス事務局長も「日本は成功したが、引き続き、感染の特定や追跡、治療や隔離を続けていくだろう」と評価しています。しかし、デドロス事務局長は、外出自粛・外出禁止の緩和に踏み切る各国に対し、対策の継続と第2波への警戒を呼び掛けました。

ネットニュースによれば、企業の人手不足感が新型コロナウイルスの影響で急激に低下しています。2019年の人手不足倒産は過去最悪で4年連続で過去最高件数を更新し、人手不足が企業活動に及ぼす影響が深刻化していました。新型コロナウイルスの影響で企業活動が制約され景気が悪化し、人手不足割合が低下しています。多くの業種で人手不足感が低下している中、「電気通信」だけは、逆に人手不足感が増加しています。在宅勤務の機会が増えたことで受注が増加しているからです。また、一方で、「旅館・ホテル」「飲食店」「娯楽サービス」などインバウンドに支えられてきた業種では「過剰」と感じている割合が急増しています。

国内景気は、新型コロナウイルスの影響で外出自粛や休業が広がったことで、ヒト・モノ・カネの流れが停滞し、急激な悪化が続いています。今後、社会活動が再開していけば人手不足割合が再び高まる可能性がありますが、コロナ後の働き方の在り方と相まって採用の見送り、失業者の増加、雇用者の減少といった問題が出てきて人手不足感が元に戻らず「過剰」となってしまうことを危惧します。

政府は緊急事態宣言を全面解除しましたが、6月19日までは県をまたいだ移動について改めて自粛を要請しています。

観光を含む経済活動を完全に再開させるには「新しい生活様式」に合わせ、国内での移動と国を越えた移動の容認が不可欠です。世界的にも国境を越えた移動の試みが徐々になされているようです。

中国と韓国両国は、新型コロナ対策で厳格化された入国手続きを、企業関係者に限り簡素化することで合意しました。中国の地方政府の許可を受けた韓国企業関係者はPCR検査を受けることを条件に中国入国後2週間の自主隔離が免除されます。これにより、韓国は中国での企業活動を再開しました。ただ、中韓でも第2波が現実化しており、本格的な観光客の往来までは見通せない状況です。

欧州連合(EU)各国も、出入国制限などの緩和に動いています。経済的打撃が深刻化する欧州において、GDPの約1割に当たる観光業の再開は急務で、イタリアも6月3日から観光客の受け入れを解禁します。第2波を避けるためにEU欧州委員会スマホ接触者追跡アプリの活用を重視し、また抗体検査を進めるようです。これらは欧州地域内の移動の自由の回復であり、EU以外の外国人の入国を認めるまではまだまだ時間がかかりそうです。

日本においては、まず6月19日に日本国内での県をまたいだ移動の自粛が解除されます。これによって国内旅行が自由になります。観光業や飲食業などが少しでも活気を取り戻せればいいと思います。こうした観光業や飲食業に対するさらなる支援も必要です。観光立国を標榜していた政府としては、国外からの観光客を呼び戻すことも重要です。段階的に入国制限を緩和していかなければなりません。ここで重要なのは海外からの新型コロナウイルスの再流入です。これを食い止めるために、欧州のように接触者追跡アプリの活用、PCR検査、抗体検査も必要になってくるでしょう。まずはビジネス面での人の移動から観光客への移動と段階的に進めていくべきです。そして痛手を受けている業種に充実した支援を求めます。