中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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生き残る企業、心停止する企業

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おはようございます。

今日から6月です。今日から東京ではステップ2に入り、大阪では休業要請が全面的に解除されます。今日から解禁されるライブハウスや夜の接待を伴う店についてかなり厳格なガイドラインが示され、かなり大変そうです。ライブハウスと言いながらライブ感がなく、接待と言いながら接客もままならないようです。これが「新しい日常」「新しい生活様式」になるのかは分かりませんが、慣れるしかなさそうです。

今日の朝日新聞に「先行きの見えない経済」という論説が載っていましたので、要約して紹介します。

  • コロナ禍は、すでに起きたショックの大きさと性格を見ると、単なる需要の変化や個別企業の盛衰では済まないかもしれない。今の時点で目に付くことは、政府による介入の規模の大きさである。それは日本だけでなく、アメリカをはじめ主要国すべてにおいて顕著だ。それはリーマンショック時以上である。ウイルスは経済の外から来ており、大企業や経営者の行為が原因ではない。市場経済が危機に対応しきれず、「お手上げ」の姿をさらしたと言っても過言ではない。生命と生活を守るためには、政府や社会の強い支えが必要なことが認識されたと言える。ウイルスの危機は万人を押しよせるが、それによる経済危機の痛みは失業者ら弱者に集中する。今後、社会的公正への意識が強まり、富裕層や大企業への負担増を求める声が増すのではないか。
  • 一方で、企業側も政府に頼っているばかりではない。トヨタは「リーマン時には3兆円しか手元現金はなかったが今回は8兆円ある」と言い、来年には販売がほぼ復調するとの見通しを示し、「『未来への投資』と雇用を守る」と明言する。今回の危機を乗り切った企業が守りの姿勢を固め、新しい芽を伸ばせなければ、資本主義の長所である変化への対応力が鈍る。それでは長期停滞の様相になりかねない。
  • もう一つはグローバル化の行方だ。今回の危機は国境を強く意識させた。また医療や防疫の必需品について中国への依存から脱しようとする動きを見せている。農産物の輸出制限を打ち出した国もある。それに米中対立が拍車をかける。貿易がもたらした富の大きさや生産体制のの国際分業の深まりを見れば、グローバル化に対する極端な逆行はどの国にとっても得策ではない。今後、国際協調が模索されると信じたい。

さて、次は現代ビジネス「大企業50社を実名公表 コロナ不況『生き残る会社・心停止する会社』」を取り上げます。

日本経済は瀕死の状態にあります。新型コロナウイルスによってあらゆる産業が壊滅的なダメージを負いつつあります。コロナとの戦いは、まだ1年以上続く可能性があり長期化します。緊急事態宣言は解除されましたが、すぐに経済は元に戻りません。消費も低迷します。そうした状況が半年、1年続くかもしれません。そうなれば、名だたる大企業も手持ちの現金がみるみる減少していきます。どんな有名企業もマネーという血液が停まれば、破綻は免れません。

本記事は、大手50社を対象に、コロナ禍における売り上げの減少(1か月の売り上げが30~50%下落したケースを想定)が、企業の現預金をどれだけの速度で食いつぶすのかを試算したものです。実際には8割減や9割減といった業界もありますが、30~50%減としても1年以内に預貯金が底をつく企業が多数あります。特にコロナの影響が大きい業界を見てみます。

1.自動車

トヨタは1兆円、日産は5000億円の融資をメインバンクに要請しています。日本を代表する自動車メーカーですら運転資金が枯渇する危険を強く感じているということです。自動車業界のさらなる問題は、自粛要請期間中、店舗が営業できず新規受注が出来ていないことです。そのため、仮に工場が再開できてもラインを100%稼働できないのです。人件費がかさみ、リストラすれば生産能力が落ちて製造が停滞するという負の連鎖が目前に迫っています。

2.エネルギー

工場や物流が停滞すると、資源を供給する商社やエネルギー業界が成り立たなくなります。4月20日原油先物取引価格がマイナスに転じ、JXTGホールディングは3000億円の赤字に転じ、商社の丸紅も赤字転落しました。コロナの影響で製造全般が停まっているため、石油のみならず石炭や鉄鉱石など資源全般の需要が下がり、製造業が動かなければ、商社やエネルギー業界の売り上げもどんどんと減っていきます。

3.鉄道・航空

その資源を使う鉄道や航空業界も外出自粛の影響をもろに受けました。鉄道は、もともと「不況に強い業界」と言われており乗客がほとんどいなくなる事態を想定していませんでした。そのため手持ち現金が非常に少ない傾向にあります。圧倒的な利用者数と現金収入が補償されていたため手元で動かせるキャッシュは必要なかったのです。列車の維持費や人件費、線路の保守管理費用などの費用が掛かる反面、駅ビルが営業自粛となり、今後テナント料の収入が減少する可能性があります。また、緊急事態宣言が解除されてもテレワークやオンライン会議などで乗客数が減り収入減となることは必至です。航空業界も同じです。馬鹿にならない停留料を支払い国交省などの規定により一定の飛行機は乗客がどれだけ少なくとも運行しなければなりません。乗客が戻らなければ赤字覚悟で運行させなければならなくなるのです。

4.百貨店

インバウンド需要のみならず、店舗休業で一般客の集客も見込めなくなった百貨店業界は最も大きな痛手を被っています。売上が半減した場合、手許現金はわずか1~2カ月で消えてしまう計算になっています。大手百貨店は一等地に多くの不動産を持っており、これを売る決断が出来れば、当座はしのぐことはできると言っています。国際間の移動が自由になりインバウンド客が戻ってくるまでしのげるかがポイントです。

5.旅行

コロナの影響を最も強く受けている業種ですが、材料や部品を調達する必要がなくコスト負担は他業種よりも軽いと言えます。HISは実際の数字以上にキャッシュを持っていると言ってよいのですが、直面している現状は本当に厳しいのです。「近畿日本ツーリスト」を運営するKNT-CTホールディングは、3月期の通気予測を20億円の黒字から98億円の赤字に下方修正しました。

大企業においては毎月数百億円から数千億円単位の固定費が流出していきます。大企業が潤沢な手元資金や内部留保を有しているからと言って、1年は持ちません。中小企業においては日々の業務・資金繰りに追われ潤沢な手持ち資金はなく、数か月持てばいい方です。このまま日本経済がストップすれば、中小企業だけでなく大企業も倒産への道を突き進み、大倒産時代・大失業時代に突入してしまいます。政府の早急・迅速な経済支援とともに、経済を段階的に回していかなければなりません。

今日から東京はステップ2へ、大阪は全面的な休業要請解除と、新たな局面に入りました。「コロナで死ぬか。大恐慌で死ぬか。」ー コロナ収束に向けた対策と経済のバランスをとりながらあらゆる対策を迅速に行ってもらいたいものです。

ようやく、先週土曜日(5月30日)に特別定額給付金の申請用紙が届きました。給付は申請から1~2か月後と書いてあります。今申請しても7月~8月になります。遅いですね。それにいまだにアベノマスクは届きません。緊急事態宣言が解除され、またマスク不足は解消されて市中で売られています。届いたとしても今更感が強くなります。466億円ともいわれるアベノマスク。本当に無駄遣いです。それを医療従事者支援に充てていればと改めて思います。