中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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休日の本棚 自分を変える教室

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おはようございます。

新型コロナウイルスの新規感染者が確認されているのは、北海道、東京、神奈川、そして福岡(北九州市)です。特に東京は第2波の入り口にあるのではないかと心配です。東京では歌舞伎町で「夜の街」見回り隊が出て注意を促していますが、ニュースで見る限り、かなりの人出で賑わっていました。緊急事態宣言解除後、各地で朝の通勤ラッシュが戻り人出は増えています。自粛ムードから通常モードに切り替わり気の緩みが見られるように思います。まだまだ気を引き締める時期だと思いますが、元来人間は意志の弱い生き物です。つい他の人を見て「人がやっているから自分もいいか」と流されてしまいます。外出自粛が解除され「出歩きたい」「遊びたい」という気持ちは分かりますが、第2波への警戒が必要である以上、今しばらくは意志を強くして耐え気を引き締めて頑張っていきましょう。

さて、今日はケリー・マクゴ二ガル著「スタンフォードの自分を変える教室」(大和書房・だいわ文庫)を紹介します。

著者のケリー・マクゴ二ガルは、スタンフォード大学の心理学者で、個人の健康や幸せ、成功及び人間関係の向上に役立つ実践的な講義は「一度きりの人生が最高の人生に変わる」と絶大な人気を博しています。この本では「意志力」について、ダイエット、禁煙、禁酒、税金の支払いという身近な例を用いて分かりやすく説明されています。

この本では、意志力を鍛えるための10のプログラムが用意されています。心理学・経済学・神経科学・医学の各分野から、自己コントロールに関する最新の見解を取り上げ、「どうしたら悪い習慣を捨てて健康的な習慣を身につけられるか」「物事をぐずぐず先延ばしにしないようになれるか」「集中すべき物事を決め、ストレスとうまく付き合うにはどうしたらよいか」などが説明されています。そして「われわれはなぜ誘惑に負けてしまうのか」「どうしたら誘惑に打ち勝つことが出来るのか」を解き明かしています。各章には2種類の課題が用意されています。1つは「マイクロスコープ(顕微鏡)」で、わたしたちの生活に当てはまることを気づくためのものです。何故なら何かを変えようと思ったら現状をありのままに見つめる必要があるからです。もう1つは「意志力の実験」で科学的な研究や理論に基づき自己コントロールを強化するための実践的な戦略です。この2つの課題を使って科学者のように客観的に自己を観察することが重要だとされています。

脳は1つですが心は2つ、私たちの心の中には2人の自己が存在します。一方の自己が衝動のままに行動して目先の欲求を満たそうとするのに、もう一方の自己は衝動を抑えて欲望の充足を先に延ばし長期的な目標に従って行動します。そのどちらも自己でありその間を行ったり来たりしているのです。意志力の問題はいずれも2つの自己のせめぎあいから生じます。このような対立する自己は、自分のことを知り、脳の中にある「やる」「やらない」「望む」を司る前頭前皮質灰白質を鍛えることでコントロールできるようになり、目標を達成できたりトラブルを回避したりすることが出来るというのです。以下が、各章のポイントです。

第1章 やる力、やらない力、望む力ー潜在能力を引き出す3つの力=意志力には「やる力」「やらない力」「望む力」の3つの力がある。これこそ、私たちがより良い自分になるために役立つものである。

  • マイクロスコープ…①できない理由を特定する(あなたの意志力のチャレンジにおいてやるべきことは何?なぜそれを行うのは難しい?)➁もう一人の自分に名前を付ける(せめぎあう2つの自己はどんな自分?賢いほうの自分は何を望んでいる?)
  • 意志力の実験…①選択した瞬間を振り返る(1日の間に行った決断をすべて振り返ってみましょう)➁5分で脳の力を最大限に引き出す(呼吸に意識を集中しましょう)

第2章 意志力の本能ーあなたの身体はチーズケーキを拒むようにできている=意志力はストレスと同様、自分自身から身を守るために発達した生物的な本能である。

  • マイクロスコープ…①なぜ「やりたくない」ことをしてしまうのか(自分の意志力のチャレンジにおいて、よくせいすべきしょうどうはなにかをあきらかにしましょう)➁ストレスでいかに自制心が落ちるかを試す(1日や1週間のうちどんな時にストレスを感じますか?それは自己コントロールに影響を与えていますか?欲求を感じたり、かっとなったり、やるべきことを後回しにしていませんか?)
  • 意志力の実験…①呼吸を遅らせれば自制心を発揮できる(呼吸の数を減らし生理機能を自己コントロールの適切な状態へもっていく)➁グリーン・エクササイズで意志力を満タンにする(外に出て活動する)③眠りましょう(睡眠不足の解消)④体にリラクゼーション反応を起こす(横になって深呼吸)

第3章 疲れていると抵抗できないー自制心が筋肉に似ている理由=自己コントロールは筋肉に似ている。使えば披露するが、定期的なエクササイズによって強化できる。

  • マイクロスコープ…①意志力の増減を観察する(どんな時に意志力が最も強いと感じるか、どんな時に誘惑に負けたり諦めるか)➁疲労感を気にしない(最初の疲労感を乗り越えて、もうひと踏ん張りできるかどうか試す)
  • 意志力の実験…①お菓子の代わりにナッツを食べる(体に持久力を与えてくれそうなものを食べる)➁目標に関係のある強化法をやってみる(やるべきこととやってはいけないことを一つずつ決め自己コントロールを鍛える)③「望む力」を創り出す(自分にとって最大の「望む力」を発見したら、誘惑に負けそうなときや諦めそうになった時に、その力を)思い出す

第4章 罪のライセンスー良いことをすると悪いことをしたくなる=道徳的に良いことをしている気分になると、良いことをした分、悪いことをしてもかまわないような勘違いを起こしてしまう。自己コントロール力の向上には、道徳的な良し悪しよりも自分の目標や価値観をしっかり見極めること。

  • マイクロスコープ…①自分の「言い訳」を知る(成功すると「よくやった」とほめ、次に悪いことをしてもいいと開き直っていませんか?)➁「あとで取り返せる」と思っていませんか?(「今日は駄目でも明日は大丈夫」と言い訳ばかり)③誘惑の「キーワード」を見つける(いいところだけに注目して(ディスカウント、脂肪ゼロ、環境保護など)悪いことを正当化していませんか?)
  • 意志力の実験…①「なぜ」を考えれば姿勢が変わる(良いことをしたら自分を甘やかしてもかまわないと思っていると気づいたら、ちょっと落ち着いて、それがご褒美に値するかではなく、自分は「なぜ」良いことをしたのかを考えてみる)➁「明日も同じ行動をする」と考える(二日によって目標をかなえるための行動にばらつきがないように注意する)

第5章 脳が大きなウソをつくー欲求を幸せと勘違いする理由=私たちの脳波報酬を期待すると必ず満足感が得られると勘違いするため、実際に満足感を得られないものでも必死に追い求めてしまう。

  • マイクロスコープ…①ドーパミンの引き金を引く(あなたがどうしても手に入れたくなるほど、報酬への期待を掻き立てる者は何ですか?)➁心を動かすものの正体を暴く(小売店マーケティング担当者が、どんな穂y法で顧客の報酬への期待を掻き立てようとしているかを観察する)③欲望のストレスを観察する(何かを欲しいと思う気持ちのせいで、ストレスや焦りを感じているのに気づこう)
  • 意志力の実験…①「やる力」とドーパミンを結び付ける(ずっと先延ばしにしていることがあるなら、あなたのドーパミン神経細胞を活性化させるものとうまく結びつけてやる気を起こしましょう)➁会館の誘惑に負けてみる(楽しい気分になれるはずなのになぜか満足感が得られないことをやってみよう(スナックガシ、っピング、テレビ・ネットの暇つぶし)実際やってみて期待通りに楽しいと思いましたか?)

第6章 どうにでもなれー気分の落ち込みが挫折につながる=落ち込んでいると誘惑に負けやすくなる。罪悪感を拭いさえば、自信が持てる。

  • マイクロスコープ…①「あなたが怖れているもの」は何ですか?(テレビ・ラジオ・インターネットで見聞きした情報でストレスを感じる者に注意しましょう)➁つまづいたときに自分に「何」を言っていますか?(失敗した時、罪悪感を覚えたり自己批判したりしていませんか?)③「決心するだけ」を楽しんでいませんか?(自分の行動を変えるために具体的な努力をするより見事に変わった自分を想像していい気分に浸っていませんか?)
  • 意志力の実験…①根拠のある方法を実行する(本当に効果のあるストレス解消法を試してみる)➁失敗した自分を許す(失敗しても、自分に対して思いやりを持つ)③決意を持続させるためのシミュレーション(自分がいつどんな風に誘惑に負け、誓いを破ってしまいそうか予想してみる)

第7章 将来を売り飛ばすー手軽な快楽の経済学=将来のことを思い描けずにいると、足たちは誘惑に負けたり物事を先延ばしにしたりしてしまう。

  • マイクロスコープ…①将来の報酬の価値を低くみていませんか?(あなたが誘惑に負けたり先延ばしにしたりするたびに、将来のどんな報酬をふいにしているのでしょうか?)➁「万能の自分」を待っていませんか?(今より意志力の強い自分が現れて大きな変化を起こしたり重要なことを行ったりしてくれるのを待っていませんか?)
  • 意志力の実験…①「10分待つ」と何が起こるか?(どんな誘惑を感じても10分待ちましょう。その10分の間、誘惑に打ち勝ったら手に入る報酬のことを考えましょう)➁割引率を下げる(長期的な利益を妨げるようなことをしたくなったら、いつか手に入る最高の報酬を諦めることになるのだと自分に言い聞かせましょう)③逃げ道をなくす(決めたことを実行するためのタオ策を講じ、自分の本当の望みに反することをやりにくくする)④未来に行って「未来の自分」に会う(将来のことをまざまざと思い描いたり、将来の自分に手紙を書いたりしましょう)

第8章 感染した!-意志力はうつる=自己コントロールはソーシャルプルーフの影響を受ける。そのせいで、他者の意志力にも誘惑にも感染する。

  • マイクロスコープ…①あなたの「感染源」を発見する(仲間内に、あなたと同じ意志力に関する問題に取り組んでいる人はいますか?)➁誰の「まね」をしていますか?(自分が誰かの行動をまねしているのに気づきましょう)③誰の影響を最も受けていますか?(あなたにとって「親しい他人」は誰でしょうか?その人たちと同じことをあなたもやっていますか?その人たちがあなたと同じことをするようになりましたか?)
  • 意志力の実験…①意志力の「免疫システム」を強化する(他の人たちの失敗に感染しないために、1日の始まりに数分間自分の目標について改めて考える時間を持ちましょう➁「鉄の意志を持つ人」のことを考える(お手本にしたい人のことを思い浮かべましょう。鉄の意志を持つ人ならこんなときどうするか考えましょう)③「認められたい力」を作動させる(皆に宣言しましょう)

第9章 この章は読まないで―「やらない力」の限界=思考や感情や欲求を抑えつけようとするのは逆効果で、そうするとかえって自分がどうしても避けたいと思っていたことを考えたり感じたり、行ったりしてしまう。

  • マイクロスコープ…①「皮肉なリバウンド効果」を検証する(何か考えないようにしていることはありますか?思考を抑えつけようとして効果はありますか?ある考えを頭から追い払おうとするとかえってそのことを強く意識しますか?)➁自分に禁じている者はありますか?(自分に対して何かを禁止したことで、かえって欲しくなったことはありますか?)
  • 意志力の実験…①欲求を受け入れる。但し、従わないで(欲求を感じたら、落ち着いてそれを認める。欲求に負けないように自分にとって大事な目標を思い起こしましょう)➁「やらない力」を「やる力」に変える(「~しない」というチャレンジを「~する」という「やる力」のアプローチに変える)しない③「欲求の波」を乗り越える(欲求を感じたら、体でどのような反応が起きているかに意識を向ける)

第10章 おわりに―自分自身をじっと見つめる

著者は、「しっかりと自己コントロールができる人は、自分と戦ったりはしません。じぶんのなかでせめぎあう様々な自己の存在を受け入れ、うまく折り合いをつけているのです」と言っています。自分自身を科学者のような目で見つめ自分自身を理解することです。

自己コントロールを強化する秘訣は次の通りです。

  • 行動を選択すべき時はそれをしっかりと意識して、ただ漫然と惰性に従って行動しないこと
  • 言い訳をして物事を先延ばしにしたり、良いことをしたのをいいことの維持分を甘やかそうとしているのに気づくこと
  • 身の周りのどんなものが自分の行動に影響を与えているかを見極めること
  • 誘惑に負けてしまいそうなときは、ぐx血と踏みとどまって自分の中の欲求を静かに見つめること
  • 自分が本当に望んでいる者を忘れず、どうすれば心から嬉しく思えるかを弁えていること

さて、自己をコントロールして強い意志を持つ努力をしましょう。

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