中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

ウイルスとの付き合い方「ウイズコロナ」

f:id:business-doctor-28:20200521083416j:plain

おはようございます。

新型コロナウイルス感染症による死者が世界で40万人を超えたようですが、昨日の国内感染死亡者は3カ月ぶりにゼロでした。先日も書きましたが、日本において感染者数や死亡者数が少ない原因について色々憶測が出ています。原因を明らかにすることが今後の感染を抑えることにつながります。ただ、日本の感染者数や死亡者が少ないと言われているのは欧米に比べてのことで、他のアジア諸国と比較すれば、死亡者数はアジア内ではワースト2です(ワースト1はフィリピン。中国や韓国よりも人口10万人当たり死者数は多いのです)。日本において感染者数・死者数が少ないというのではなく、アジアにおいて感染者数・死者数は少ないということです。麻生財務大臣が言うように「日本人は民度が高い」というわけではありません。何故アジアにおいて少ないのかという原因を突き止めるべきです。それはアジアにおける生活様式、あるいは山中伸弥教授が言われる「ファクターX]かもしれません。ただ、最近、アジアでは2002~3年のSARS の大爆発からウイルスの感染リスクに対する対策がとられてきたことに加え、中国からの旅行者などが中国から弱いウイルスを持ち込みそれに対する集団免疫が予めできていたので重症化する割合が低かったという説が有力に唱えられています。

京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と吉備国際大学の高橋淳教授らの研究グループは「日本人には新型コロナウイルスの免疫があったので死者数を抑えこむことができた」と発表しました。

研究グループによると、新型コロナウイルスには、S型、K型、G型の3種類あって、最初に発生したのがS型、それが変異したのがK型、武漢でさらに変異し感染力が強くなったのがG型です。今年、日本でインフルエンザの感染者は少なかったのですが、これは日本人が早期に新型コロナウイルスに感染していたためインフルエンザにかからなかったというのです。インフルエンザに感染すると新型コロナに感染しなくなり、逆に新型コロナに感染するとインフルエンザに感染しなくなるというのです。日本政府が行った入国制限は3月9日までは武漢からに限定され、S型とK型が武漢以外からの中国本土から日本に流入し多くの日本人が感染し免疫ができたのです。更に強毒性のG型が流入する前に入国制限し、G型の流入をある程度食い止めることができたのとともに、K型に対する集団免疫が出来ていたのでG型による感染者数・死亡者数を少なくすることが出来たというわけです。一方、欧米では中国からの渡航を日本より1か月以上早く制限したためにK型の流入を大幅に防ぐことが出来たのですが、そのためにかえって免疫が出来なかったのです。その状況で強毒性のG型が流入し、K型に対する免疫がないために爆発的な感染拡大につながり、多くの死者を出したというのです。

この見解によれば、日本政府の対策の遅れが功を奏したということになります。

こうして、日本人の中にはK型に対する免疫を保有している人はかなりいるようですがG型に対する集団免疫はできておらず、これからも新型コロナウイルスとの付き合いは続きます。プレジデントオンラインに「歴史が教えてくれる新型コロナの意外な終わり方」という記事がありました。

人類はウイルスや細菌との長い共存の歴史を歩んできています。ウイルスや病原体との戦いは未来永劫続くことになります。ウイルスがなければ人類の繁栄はなかったともいわれています。われわれ人間の身体を設計する役割を持つゲノムの半数はウイルス由来で、進化の途上で人の遺伝子にもぐりこんだウイルスなのです。また、我々の身体には無数の細菌が付着し、共存することで健康が維持されています。特に100兆個もの細菌が住み着く腸内は、細菌によって腸内環境が維持されているのです。

ウイルスと人類の付き合い方には4パターンあるとされています。

  1. ケース1:「宿主が微生物の攻撃に敗北する」…宿主が死亡すれば微生物も死滅するので微生物にとってもリスクは大きい。
  2. ケース2:「宿主の攻撃が功を奏して、微生物が敗北して絶滅する」…ワクチンや治療薬が完成し、予防や治療が可能な感染症と言える。
  3. ケース3:「宿主と微生物が和平関係を築く」…大腸菌・乳酸菌などパートナーとなった常在菌も多い。宿主の免疫が低下した場合に牙を剥く「日和見菌」もある。
  4. ケース4:「宿主と微生物がそれぞれ防御を固めて果てしない闘いを繰り返す」…代表的なのはヘルペスウイルス。症状が治まっても、ストレスや疲労、免疫力低下などをきっかけに再び暴れ出す。

今回の新型コロナウイルスの場合、致死率はそこまで高くなくケース1の人類の滅亡は免れそうです。しかし、ケース2のウイルスの完全なる根絶は難しそうです。予防ワクチンや治療法が開発され、自然感染によって集団免疫が獲得できればケース2もありうるかもしれません。ワクチンの開発や集団免疫には数年かかるとも言います。スペイン風邪の時は流行から3年で嘘のように去ってしまいました。こうなってほしいものですが、そのためにはあと数年自粛生活を過ごさなければなりません。

感染症の世界史」の著者である石弘之氏は、「病原体が宿主の動物に感染してから長い年月をかけて共進化すると、ついに宿主に重大な病気を引き起こすことなく共存状態になる。病原体が強いままだと宿主を殺して共倒れになる危険性があり、平和共存は両社にとって有利だ」と言っています。ウイルスにとって最も有利な寄生方法は宿主を殺さずいつまでも自己の複製をさせることなのです。だとすると、新型コロナにおいても「ウイズコロナ」、新型コロナウイルスとの共存(ケース3)が人類の宿命なのかもしれません。ケース4のように未来永劫闘い続けるのは嫌ですね。