中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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コロナと労災

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おはようございます。

昨日の東京の新規感染者は48人で2日連続で40人を超えました。20台と40代が37人で、「夜の街」関連は23人でそのほとんどが無症状です。無症状がこれだけいるということは、目に見えないところで感染が広がっている可能性があります。政府は予定通り、19日に接待を伴う飲食店などの自粛要請の緩和と県をまたいだ移動の制限を解除します。これによってさらに地方への感染拡大が拡がらないか心配です。

さて、独米PR戦略会社「ケクストCNC」によれば、新型コロナウイルスに関する日米欧6か国の調査で、政府による支援の現状を評価する人の割合は日本が最低、失号への懸念は日本が最多という結果だったようです。「支援が必要な企業に届いている」という評価は日本が11%、他の5か国は30%以上でフランスは51%です。日本では、収入が減った中小企業などに対する持続化給付金の支給遅れや不透明な事務委託問題が批判され、こうした評価につながっているようです。安倍首相は、世界でも例を見ない膨大な支援と胸を張っていますが、他の先進5か国と比べても最低、それも断トツの最低です。

また、失業を懸念する人の割合は、日本が32%で他の5か国が9~19%と比較しても最悪です。各国首脳の「コロナ危機対応の適切さ」は安倍首相がダントツのマイナス33で最低、2番目がトランプ大統領のマイナス20です。メンケル独首相はプラス48です。

日本では、欧米に比べ感染者数や死者数が少ないにもかかわらず、政府や首脳への評価が低いのは「企業支援への不満や経済不安が要因だ」と結論付けています。

政府の中小企業に対する支援や個人への支援はスピード感がなく、かつ十分とは言えません。アベノマスクは昨日届きました。市場にマスクが戻っており、今なら使い捨てマスクを比較的安価で購入できます。今頃届いても、今更感が強いです。定額給付金は先日申請用紙が届き申請しましたが、いまだに入金はありません。

今日は、新型コロナと労災認定について触れます。

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言も全国で解除され、新たな日常がスタートし、働き方も変化しています。テレワーク・リモートワーク、時差出勤と言いながら、通勤ラッシュは戻りつつあります。仕事で新型コロナウイルスに感染した場合、労災認定は出るのでしょうか。5月に新型コロナウイルスによる初めての労災認定が出ました。

労働保険には、仕事が原因による「業務災害」と通勤時における「通勤災害」の2種類があります。業務災害と認められるためには、「事業主の支配下にあること」と「事業に起因して発生した災害であること」が要件となります。

労災給付の対象は、業務上の負傷に起因する疾病や法律で定める一定の疾病です。細菌やウイルス等の病原体による疾病は次の通りです。

  1. 患者の診療もしくは看護の業務、介護の業務または研究その他の目的で病原体を扱う業務
  2. 動物もしくはその死体、獣毛、かわしの多動物性の者又はぼろ等の古物を取り扱う業務によるブルセラ症炭疽病等の伝染病疾患
  3. 湿潤地における業務によりワイル病等のレプトスピラ
  4. 屋外における業務によるつつが虫病
  5. 1から4までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他細菌、ウイルス等の病原体にさらされる業務に起因することが明らかな疾病

新型コロナウイルスの罹患が上記の対象疾病に該当するか判断はかなり困難です。そこで、厚生労働省は、「調査により感染経路が特定されない場合であっても、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したと認められる場合には労災保険給付の対象とする」としました。

医療従事者については、上記1に該当し、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、当然労災保険給付の対象になります。

問題は、感染経路が特定できない場合です。新型コロナウイルスは目に見えず、無症状のケースもあるため、調査により感染経路が特定されない場合でも、感染リスクが相対的に高いと考えられるような労働環境下で働いていた労働者が感染した場合、事案に応じて判断する見解が示されています。

  1. 複数の感染者が確認された労働環境下での業務
  2. 顧客との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務

この際、新型コロナウイルスの潜伏期間内の業務従事状況や一般の生活状況等を調査したうえで、医学の専門家の意見を踏まえて、業務に起因するかどうかを判断することになります。

労働者が海外出張する場合、基本的に労災保険の対象になります。但し、すべての疾病が対象となるわけではありません。新型コロナウイルスに関して言えば、出張先国において明らかに高い感染リスクがあると客観的に認められる場合に、出張業務に内在する危険が具現化したものかどうかを個々の事案に即して判断することになるでしょう。

新型コロナウイルスに感染して業務災害と認定された場合には、労災保険から手厚い保証を受けることが出来ます。慰労機関で治療を受ける場合、病気が治癒するまで「療養補償給付」を受けることが出来ます。

また、療養で働くことが出来ず、給与も支給されない場合には、休業4日目から、1日につき給付基礎日額(直近3カ月間の平均賃金)の80%が支給されます。性急には、ホ飲人、医師及び事業主の証明が必要となり、労働基準監督署に提出することになります。

感染ルートが特定されないケースでも業務により感染した確実性が高ければ、労災保険給付の対象となる道が示されたことから救済の道は広がりました。ただ、通勤中の意新型コロナウイルスにり患したと思われるケース(通勤災害)については、ハードルが高くまだまだ労災認定は困難です。