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道路交通法改正 あおり運転の厳罰化

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おはようございます。

昨日の新規感染者は東京で58人、全国で112人と高止まりしています。東京の感染者の傾向は、夜の街関連・若い世代・感染経路不明者ということです。菅官房長官は「直ちに再び緊急事態宣言や県をまたいだ移動を要請する状況ではない」との認識を示しましたが、西村担当大臣は「正直、嫌な感じです」と言っています。東京都は新たな基準を検討しているようですが、すでに東京アラート発動の基準に達しています。新たな基準では数値基準を設けないようなので休業要請や外出自粛要請をするつもりはなさそうです。結局は経済を回したいということです。あの東京アラートとはいったい何だったのかと首を傾げたくなります。大阪でも7人の新規感染者が出てそのほとんどが感染経路不明者だということなので、「嫌な感じ」です。

新型コロナウイルス感染予防と経済活動とのバランスです。今のところ日本では新型コロナウイルス感染対策が奏功しているように見えますが、世界の状況を見ると楽観視できません。WHOも「新型コロナウイルスは実際には終息に近づいてさえいない。パンデミックは加速しているのが現状だ」と言っています。アメリカでは経済再開を早期に緩めた州で感染が再拡大しています。日本でも経済の再開は必要ですが、感染予防とバランスをとりながら気を緩めることなく第2波に備えないと強毒化した新型コロナウイルスに太刀打ちできなくなってしまいます。ここのところ、政府や地方公共団体は緊張感が緩んできているように感じます。また、特に夜の街で遊んでいる若者の緊張感も緩んでいます。国民一人一人が新しい生活様式をしっかり理解し実践することが第2波への最善の備えのように思います。

さて、今日は道路交通法の改正について書きます。

世論の厳罰化を求める声に後押しされ、あおり運転に対する明確な定義と厳罰化を規定した改正道路交通法が今日(2020年6月30日)施行されます。

今までの道路交通法ではあおり運転を取り締まる規定はなく「車間距離保持義務違反」や「安全運転義務違反」、あるいは刑法の「暴行罪」「強要罪」「危険運転致死傷罪」などが適応されてきました。

改正道路交通法では、あおり運転を「妨害運転罪」として明確に規定しました。改正道路交通法で,あおり運転とされる行為は次の10類型です。

  • 車間距離不保持
  • 急ブレーキ
  • 割り込み運転
  • 幅寄せや蛇行運転
  • 不必要なクラクション
  • 危険な車線変更
  • パッシング
  • 最低速未満での走行
  • 違法な駐停車
  • 対向車線からの接近

通行を妨害する目的でこうした行為を繰り返すなど交通の危険を生じさせる恐れがある場合、あおり運転として、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

更に、高速道路や一般道で停止させたり、衝突事故を発生させるなど著しい危険を生じさせた場合には5年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

また、行政処分では、これらに違反すると事故を起こしていなくても1回で即免許取り消しとなります。違反点数は25点で欠格期間は2年、著しい危険があった場合は違反点数35点で欠格期間は3年となります。

次に、「あおり運転」の処罰の対象は自転車まで拡大されました。自転車についてはこれまで、①信号無視 ➁遮断踏切立ち入り ③指定場所一時不停止 ④歩道通行時の通行方法違反 ⑤制御装置不良自転車運転 ⑥酒酔い運転 ⑦通行禁止違反 ⑧歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反) ⑨通行区分違反 ⑩路側帯通行時の歩行者の通行妨害 ⑪交通安全進行義務違反等 ⑫交差点優先者妨害等 ⑬環状交差点安全進行義務違反等 ⑭安全運転義務違反 の14項目が危険行為として指定されています。改正令では、あおり運転に当たる「妨害運転」を第15項目として追加しました。具体的には「逆走して進路をふさぐ」「幅寄せ」「進路変更」「不必要な急ブレーキ」「ベルをしつこく鳴らす」「車間距離の不保持」「追い越し違反」の7項目が「妨害運転」に該当します。これらは、自転車が自転車や歩行者に行うものだけでなく自転車が自動車に対して行うものも含まれます。

14歳以上の場合、危険行為は3年間に2回の摘発で安全講習が義務となり、受講しないと5万円以下の罰金となります。

また、現行の「危険運転致死傷罪」は、大幅な速度超過や特に危険な飲酒運転など、クルマが動いている状態での危険運転を想定して規定され、そうした危険運転に起因した死傷事故に関してのみ適用されてきました。2017年に発生した東名夫婦死亡事故では本線上に停止させた行為を危険運転として罪に問うことが出来ませんでした。これを機に改正の動きが起きこれまでの類型に新たに2類型が追加されることになりました。こちらは2020年7月に施行される見通しです。

従来の危険運転

  • アルコールや薬物の影響で正常運転が困難な状態で運転
  • 進行を制御することが困難な高速度で運転
  • 進行を制御する技能を有しない運転
  • 進行中の車の前に進入するなど著しく接近し、危険を生じさせる速度で運転
  • 赤信号などを無視し、危険を生じさせる速度で運転
  • 通行禁止道路を進行し、危険を生じさせる速度で運転

です。それに次の二つが危険運転とされました。

  • 走行する車の前で停止するなど、著しく接近する運転
  • 高速道路や自動車専用道路で停車するなどの方法で、走行中の車を停止または徐行させる行為

上記に該当する運転により、人を怪我させた場合は15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上20年以下の懲役となります。

車の運転に伴う事故は時代とともに厳罰化されてきています。車の運転はくれぐれも慎重にお願いします。