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「原則出社」に戻った企業 テレワークを阻む5つの壁

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で632人、そのうち東京が237人、大阪72人です。東京では夜の街関連で足立区のフィリピンパブで従業員と客21人が、江戸川区のクリニックで職員と利用者19人が感染し、新たなクラスターが発生しています。大阪では46人が感染経路不明者で、全体の約7割が30代以下です。また愛知と福岡でそれぞれ53人が感染しいずれも過去最多となっています。これまで全国感染者の大半が東京であったのが徐々に地方での感染者が増え、今では東京以外の感染者が全体の62.5%となっています。

また、感染経路不明者が増加し、東京でも「夜の街」関連は3割程度となっています。昭和大学客員教授の二木芳人教授は「すでに感染者は夜の街からあふれ出し、市中感染が広がっています。特に症状のない20~30代の若い世代が友人と食事をしたり買い物に出かけたりすることで、『昼の街』が新たな感染源になっています」と言われています。また、国際医療福祉大学病院の一石英一郎教授は「最近はウイルスが飛沫より小さな粒子となって空中を漂う『エアロゾル感染』の可能性が指摘され、更に感染力の強いウイルスが海外から流入すれば、これまでの想定より広い範囲でウイルスが飛散するとされます」と空気感染の可能性を指摘し「ソーシャルディスタンスをとっても安心できない」と言っています。

小池都知事がやり玉に挙げる「夜の街」から「昼の街」へ、職場内、家庭内へと市中感染が広がっているのが現状でしょう。

このように全国的な感染拡大がみられる中、「GoToトラベル」がスタートしました。今回の「GoToトラベル」では東京が除外されましたが、多くの抜け道があり実効性が乏しいようにも思います。小池都知事は「この4連休の不要不急の外出を控える」ように呼び掛けていますが、いったん緩んだ気を引き締めるのはなかなか難しいことです。

この4連休が終わった2週間後にどの程度の感染者が出るか心配です。旅行に行くならしっかりとした感染防止対策をとっていってもらいたいものです。

こうした中、政府はさらに「GoToイーツ」を8月末にもスタートさせたい考えです。「GoToイーツ」は客足が戻らない飲食店の支援が目的ですが、感染防止対策を十分に行わずに客が増えれば密になり感染拡大の危険が高まります。万が一、飲食店で感染者が出てクラスターが発生すれば、その店のみならずその地域の他の飲食店にも影響を当たます。飲食店の支援のはずが却って飲食店の首を絞めることにもなりかねません。十分かつ慎重な対策が求められます。

またしてもテレワークの話ですが、日本生産性本部が発表した新型コロナウイルス感染拡大に伴う働き方の変化調査で、7月時点のテレワーク実施率が5月時点に比べ10ポイント低下したことが判明しました。5月の調査では31.5%だったのが7月には20.2%に低下しています。同時に、時差出勤も16.3%から14.1%へ、短時間勤務も15.4%から9.0%に低下しています。このように緊急事態宣言の解除に伴い通常の出社形態に戻りつつある実態が明らかになっています。

新たに感染者が増加している現況で、将来のウイズコロナの働き方を見据え、テレワーク・在宅勤務など新たな働き方の定着に向けて考える時ではないでしょうか。

今日は、ダイヤモンド・オンラインの「なぜ『原則出社』に戻ってしまったのか、テレワークを阻む5つの壁」を取り上げます。

新型コロナウイルス感染が再び拡大する今、「原則テレワーク」「出社とテレワークのブレンド」という会社がある一方、「原則出社」に戻ってしまった企業も少なくありません。この記事は、こうした違いは、緊急事態宣言中あるいはその前に、テレワーク下で起こる「5つの壁」を乗り越えテレワークに適した組織になっていたかどうか、によるとしています。

その5つの壁とは、

1 メリット不在の壁・・・経営層がメリットがないと考えていること。

 このような企業においては緊急事態下で行われたテレワークはあくまでも”非常時の時限的な対応”ということで、非常事態が終われば元に戻すという前提があったということです。こうした会社の経営層には「テレワークでは当社の良さが失われる」「業績に悪影響が出る」といった漠然とした不安を抱いています。こうした場合には「実際にテレワークでも組織運営が可能だと示す」ことで経営層が抱く不安を払拭することです。今回の緊急事態宣言下のテレワークは、急激に、一斉に、大規模に行われました。いったん原則出社となった企業でも緊急事態宣言下のテレワークで見えてきた課題と解決策と副産物を、定量、定性情報で示し「このような極端なテレワークでも組織運営できた」と示すことで、仕事内容や状況に合わせて最大週何日までなら可能か、出社とテレワークのバランスを考え議論し「出社とテレワークのブレンド」を検討すべきです。

2 業務切り分けの壁・・・「業務を切り分けられない」と言う思い込み

 「当社は個人情報や機密情報を扱っている」「お客様が対面のアポイントを期待している」「リモートでできる仕事ではない」といった理由でテレワークは無理という者です。こうした理由でテレワークが進まない企業は、テレワークの実施を「0か100か」で考えがちです。重要なのは、「この業務はテレワークでも可能ではないか」「この業務をテレワークで実施するには何を解決したらいいか」と業務の性格を知り、テレワークでできる仕事とテレワークで出勤倍仕事を切り分けることです。そうすることで、テレワーク出来ない仕事は出社で、テレワーク出来る仕事はテレワークでと、「出社とテレワークのブレンド」が可能になります。

3 コミュニケーションの壁・・・上司と部下のコミュのケーションの負荷

 主にマネジメント(管理職)の負荷が増えることを言います。目の前に部下がいた状況で行っていたマネジメント方法がテレワークによって転換が迫られています。テレワークにより上司の管理が出来にくくなるということです。テレワークが拡大・定着すると部下自身が自律的に業務遂行できることが求められます。テレワークをソロワークとせず、会社や組織の方向性に共感しながら自律的に業務遂行する部下を増やすための管理職の関わりが求められるようになります。

4 IT化の壁・・・IT化、モバイルツールの未整備

 テレワークを実施する準備がツール面で十分でないということです。「個人情報や機密情報が多いのでテレワーク出来ない」というのもIT化の壁になります。この壁は、ペーパーレス化とIT環境・モバイルツールの展開によって解消が可能です。個人情報や機密情報を取り扱っている多くの企業がテレワークを実施しています。個人情報や機密情報がテレワークを実施できない理由にはなりません。問題は機密漏洩をいかに図るかといった対策をとることです。また、確かにIT化・モバイルツールの整備にはコストがかかります。しかし、中小企業の場合助成金も用意されています。IT環境やモバイルツールの整備がテレワークの推進を後押ししてくれます。

5 「社員を一人の大人として扱わない」という壁

 「部下がさぼっていないか気になる」「過大な残業をしていないか心配」といった声がこれに当たります。これは、部下を「心身の健康を保ちながら、自律的に業務遂行できる人物だ」と認めていないことを意味します。部下に「日々の業務の進め方を事細かく指示し進捗状況を確認する」のではなく「必要な支援を行いつつ、できるだけ自律的な業務遂行に任せる」というので良いのです。

テレワークには多くのメリットがあります。半面デメリットもあります。デメリットを解消して、テレワークを取り入れ、出社とテレワークのバランスを図ることがウイズコロナの働き方として最適ではないでしょうか。