中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

コロナ禍のリーダーシップ

f:id:business-doctor-28:20200420083311j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で992人と過去最高で、1000人を超えるような状況になってきました、そのうち東京は266人で、品川区の飲み屋街で複数の店舗従業員と客に感染者が出てクラスターが出来ています。客が数店舗を飲み歩いたことによって感染が広がったようです。「地域クラスター」と呼ばれています。大阪では155人、愛知では110人、京都31人、岐阜25人、沖縄21人といずれも1日当たりの感染者数が過去最多となっています。山口県で感染が確認された女性は、沖縄旅行に行っていたようで沖縄で感染した可能性もあるとのこと、また、沖縄では千葉からの旅行者が重症になっています。今後このようにGoToトラベルなどで旅行に行った人から感染者が多数出るのではないかと心配です。

大阪府は、新型コロナウイルス感染防止対策として、独自基準「大阪モデル」で新しく「黄信号2」の基準を定めました。これは重症病床35%か軽症・中等症病床50%に達した場合が対象となり、「黄信号2」になると一部施設に休業を求めることになります。また、8月1日から20日までの20日間、「5人以上の飲み会」の自粛を要請することになります。大阪の現時点の重症病床使用率は約7%、軽症中等症病床使用率は24%で、吉村知事は「医療体制はひっ迫していない」と説明しています。しかし、沖縄では1週間前にはコロナ病床使用率が10%レベルであったのが27日現在53%に跳ね上がり医療体制はひっ迫してきています。沖縄の例から明らかなように、感染者数が増加すれば一気に病床利用率は上昇し、医療崩壊につながりかねません。感染者数をこれ以上増加させないためにも感染源にピンポイントで対応した対策をしっかりと取ることが必要です。場合によっては再度の外出自粛要請や休業要請を出すということも視野に入れて対策をとることです。経済を回すことも重要ですが、経済ばかりに目が向いていれば感染防止対策が後手後手に回って政府と同じ失敗を犯すことにもなりかねません。吉村知事には勇気ある決断とリーダーシップを期待します。

「リーダーシップ」という言葉が出ましたので、Harvard Business Review の「コロナ禍で優れたリーダーシップを発揮する人は何が違うのか」を取り上げます。この記事では世界の政治家のリーダーシップに焦点を当てコロナ禍で見せた世界のリーダーの資質を検討し、危機を乗り切るために必要な4つの教訓を示しています。

コロナ禍が拡がる速度と規模は、重要組織のリーダーに途方もない課題を突き付けています。そして、多くのリーダーが断固たる決断と誠意あるコミュニケーションの機会を逃しています。このことは安倍首相を見ていれば分かります。「これほど厳しい時期だからリーダーシップが破綻するのは無理もない」と考えるのは過ちだといいます。こういう厳しい時期だからこそリーダーは勇気ある決断と誠意あるコミュニケーションをとらなければならないのです。それがリーダーの最低限の使命です。

状況が不透明な時には、得てして、リーダーは「人間の本能」と「マネジメントの素養」が原因で、状況がもっと明確になるまで事態を先延ばしして脅威を軽視する傾向にあります。これでは「リーダーシップテストでは落第」の刻印が押されます。なぜなら脅威の程度が明らかになるまで放置すれば、そのころには危機管理で後れを取ってしまうからです。

リーダーが、リーダーシップテストで合格点を取るには、緊急性と正直さをもって反復的に行動することが求められます。その際、間違いは不可避であることを認識し、失敗時には責任の追及ではなく、軌道修正によって対処すべきであるということを心掛けている必要があります。

また、前兆が見えにくく潜在的な脅威が大きい時、リーダーは経営学で言う「不透明な脅威」に直面します。その時、脅威は小さくあってほしいという願望から、あたかも実際にそうであるかのように行動します。

この記事は、軽視と先送りという、人間の生来の性質を抑え込むにはある種独特のリーダーシップが必要だと言っています。それにもかかわらず、多くのリーダーは、すべては順調だと請け負い、楽観的なメッセージを発しようとします。最近の菅官房長官、西村担当相などの発言はまさにそのようなものです。

現在の悲劇的状況で、こうした軽視と先送りが防げたはずの感染拡大や死を招いています。

この記事は、これは避けられない道ではないとして、かつてない危機に臨むリーダーのために4つの教訓を提示しています。

本能を抑え込むことが優れたリーダーシップにつながる

 リーダーが持つ人間的な本能と、マネジメントの素養が作用すると、危機において間違った行動が生じやすいのです。

 緊急に行動する

   不確実な状況に直面した時、人は追加の情報を待って先送りしようとします。貴重な時間を無駄にすることは危険です。パンデミックが指数関数的に拡大している状況では、一刻の躊躇や意思決定の遅れが被害を増大させます。先延ばしという生来の傾向を抑え込み、緊急に行動する、つまり切望している情報がすべてそろわなくても渦中に飛び込むことが重要です。

2 透明性をもってメッセージを伝える

 透明性のあるメッセージとは、現実を正直に正確な説明によって伝えることです。自分が何を知っているか、何を予測しているのか、それが人々にとって何を意味するのかについて、人として可能な限り説明することです。そして、人々が理解できる形でメッセージを伝えなければなりません。但し、希望のないメッセージは、人々を自暴自棄に刺せるので避けなければなりません。メッセージのどこかに人々がエネルギーを注ぐ対象となるような希望が持てる将来展望を含めるべきです。日本政府の政治家の発言は嘘にウソを重ねたような発言で、透明性のある発言とは到底言えません。

3 過ちには生産的に対応する

 危機的状況では、リーダーの行動がどれほど賢明でも問題は否応なく発生します。避けられない失敗と予期せぬ困難にリーダーがどのように対処すべきかは重要です。まず、失敗が生じたら、リーダーは後ろ向きな自己防衛・言い訳や非難をしてはいけません。目標への集中を維持し、次に来る差し迫った問題の解決に取り組むために、先を見越しておく必要があります。いかなる失策においても重要なのは、失敗を認め、批判に耳を傾け、すべての人々を問題解決に向かわせることです。

4 常にアップデートする

 「優れたリーダーは揺るがず徹底的に方針を貫徹すべき」というのは間違いです。リーダーは、事前確率(条件付確率の一種で、証拠がない条件で、ある変数について知られていることを確率として表現するもの)に関する自分の理解を、常に、毎日でもアップデートしなければなりません。そのためには、周到に戦略を駆使して新たな情報を引き出し、事態の進展と新情報の浮上に応じて学ぶ必要があります。新たな情報の多くは新たな問題の表面化を意味し、それに応じて必要な専門知識も変わってきます。問題の進展に応じて適切な人材を見つけ活用することもアップデートの取り組みの一つです。先が見越せない危機的状況では、臨機応変に対応し軌道修正していくことも重要です。

この記事の最後に、「不確実で変化の厳しい危機におけるリーダーシップとは、他者の身になって感じ取れることになること、つまり共感を持って導けること」であると言い、リーダーに課せられる義務は「みずからを他者の困難な立場において共感を持ち、気勢を駆使して考えること。そして、権力者としての自分の地位を使ってすべての人々が前に進めるように道を切り開くこと」と言っています。

ここにあげられている4つの教訓とleadershipの在り方は、政治家だけでなく企業経営者やビジネスリーダーにとっても役立つものと思います。参考にしてください。