中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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新しい働き方とリーダーシップ

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おはようございます。

昨日の新規感染者は、更に最多を更新し、全国で1308人となっています。東京では367人と過去最多となり、家庭、職場での感染者が夜の街関連を上回り、56%が感染経路不明者です。小池都知事は、「感染拡大特別警報」と言い、「都内全域の酒類を提供する飲食店と、全カラオケ店を対象に8月3日から31日までに官、営業時間を午後10時までに短縮する」ように要請しました。大阪では190人、愛知では160人と過去最多に次ぐ数字となり、福岡で121人、兵庫53人、沖縄55人(石垣島4人含む)と過去最多、神奈川では76人と過去最多と並ぶ数字になっています。東京から地方へと感染が広がり、全国的な感染は留まることを知らず、危機的状況にあります。政府は、緊急事態宣言を出す状況にないと言い続けています。感染者数や死亡率が欧米と比べ低く、日本のコロナ対策は成功したと称賛されたのは過去のこと、7月23日時点で、日本の100万人当たりの死亡率は7.8%で、東アジア諸国の中では最悪、台湾の27倍、中国の2.4倍、韓国の1.4倍となっています。

東京都の小池知事は「現状は一刻の猶予も許されない」と言い、大阪の吉村知事をはじめ各知事も危機感をあらわにしていますが、自治体としてはなす術がなく限界といったところです。

東京都医師会の尾崎治夫会長は、「今すぐ国会を召集して、法改正の検討をしていただきたい。ここ何日間かの流れを見ていると、人口比で東京をはるかに上回る感染確認者が愛知、大阪、福岡、沖縄でも出ている。ぜひこうしたことを、夏休み中だから同行ではなく、本当にこういうことを、国会を開いて議論してもらいたい。私は今が感染拡大の最後のチャンスだと思っている」と語気を強め訴えています。コロナウイルスに夏休みはありません。見識ある国会議員の方々は、尾崎会長の言葉をどのように受け取ったのでしょうか。無策の政府はいりません。以前のような全面的な自粛要請・休業要請は必要ありません。エリヤや業態を絞ったピンポイントでの自粛要請・休業要請、それもガイドラインを守り(ガイドライン自体厳しすびますが)感染予防対策をとっているところには補償とセットで行う、応じないところには罰則を科す、これは自治体では出来ず国が法改正で行うべきことです。

さて、今日は、ここ数日の内容とかぶりますが、JBpressの「コロナが炙り出した新しい働き方とリーダーシップ」を取り上げます。

日本の組織や働き方には課題が山積みです。日本の労働生産性は時間当たりの数字で比較するとアメリカやドイトの3分の2以下です。ビジネスパーソンのやる気に関する調査では140か国中135位、男女平等の進捗度は151か国中121位、いずれも最下位レベルです。要するに、生産性が低いばかりか、やる気もなければ、多様性を受容して人を生かすという姿勢も示せていないのが日本です。これでは中国や新興国に後れを取り国際競争に勝てるはずがありません。

未来は読めず、政界は見えず、そうした複雑化するグローバル競争が激しさを増す中で起こってきたのが新型コロナウイルスによるパンデミックです。

コロナ以前から「働き方改革」が叫ばれていましたが、環境変化に対応せず対応できない日本企業では遅々として進んでいませんでした。今回のパンデミックによって、否応なくオンラインを駆使せざるを得なくなり、「オンラインは意外と使える」とい発見に至り、これを機にオンラインによる働き方に移行しようとする企業もあります。しかし、本当に目指すべきは、生産性の向上や新たな企業価値の創造でって、オンラインの働き方はそのためのツールにすぎません。テレワークやオンラインそれ自体が目的ではないということです。ポストコロナ、ウイズコロナの時代に、どのような働きをすることが経営に資するか、リアルとリモートのベストミックスを考えることが重要なのです。

オンラインという1つの手段について考えるよりも先に「生産性を真に向上させていき、人々のやる気を喚起し、多様性ある社会と組織にしていくための働き方」を考えなければならないのです。

この記事では、「Well-Living=Well-Being+Well-Doing]」という方程式を提示しています。すべての人が「Well-Living(よりよく生きる)」ためには「Well-Being」と「Well-doing」の足し算が必要だというのです。「Well-Being」とは「働く人の視線で、『どうあるべきか』を考え抜くこと」であり、「Well-Doing」とは「会社の視点で収益向上や労働生産性の改善を目指し、前例主義を排し無駄や不合理を正す姿勢を持ちながら、社員ときちんと向き合っていくこと」だと言っています。要は、経営の原点に立ち返り、強烈な反省をして、過去を捨て未来を創る覚悟を持つことが新しい働き方への道だというのです。先が見えない、正解がない時代だからこそ、光輝く未来を頭で考え、予測し、シナリオを描き、行動を起こさなければならないということです。

ともかく、強烈な反省の下で制度や仕組みを大胆に変えていかなければ、真の働き方改革など到底達成できません。政府の働き方改革に渋々対応していたのでは、これまでと同じで遅々として進まず、結局は覚悟を持って取り組んだ企業に後れを取ることになります。働き方改革とは、それ自体が目的ではなく、自社の生産性を上げ、新たな企業価値を創造する手段なのです。

こうした時代におけるリーダーとはどのような人物なのでしょうか?先日「コロナ禍のリーダーシップ」でも書きましたが、この記事では「自分をリードできる人こそリーダーにふさわしい人物」と言っています。他者に依存することなく「自分をリードする」ためには、強い想いとぶれない軸を持ち合わせていなければならず、非常に希少な存在だから、リーダーとなる人材の育成が重要だと言っています。この希少な人材を獲得してリーダー育成のための環境を整えていくためには、ダイバーシティが必要です。ダイバーシティが定着しない社会では、魅力ある人材はどんどん海外の企業に流れてしまうからです。

また、この記事ではストーリーを語ることの重要性にも触れています。ストーリーを語ることが大事だということは、これまでも楠木建著「ストーリーとしての競争戦略」を紹介した時にも書きました。ロジックだけでは人は動かず、心に響くストーリーに基づいたコミュニケーションが人や組織を動かすのです。このことは政治においても同じだと思います。安倍首相や菅官房長官らの話にはストーリーがなく国民の心を動かす要素がありません。これでは国民は政府を信頼して動きません。まだ、小池知事や吉村知事の発言の方がストーリー性があります(ただ最近は、ストーリーがブレてきているようですが)。

この記事は、最後に、「個人も組織も目覚めなければいけません。会社が、リーダーが、個が、本質を求めて動き出すこと。しれがシンの働き方改革への第一歩なのです」と締めくくっています。

働き方改革は政府から押し付けられるものではなく、自社にとって生産性向上や新たな価値創造にどのような働き方が適しているかを、各社が自ら模索・検討しなければならない課題です。ポストコロナ・ウイズコロナの時代に向けて積極的に取り組むべきものです。