中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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”息切れ倒産”と”諦め倒産”

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おはようございます。

昨日の新規感染者数は全国で961人で久しぶりに1000人を下回りました。東京は258人、愛知125人、大阪81人と減少していますが、土日休日のため検査数が少ないことが理由と考えられます(陽性率はほとんど変わつていません)。また、三重県三重大学、埼玉の所沢第一病院、滋賀の特別養護老人ホームなどでクラスターが発生しています。北海道でも若年層の感染が相次ぎ、札幌で21人(北海道全域で23人)の感染が確認され、再び増加傾向にあります。まだまだ予断は許しません。

特にGoToトラベルが始まった4連休の結果が今週あたりから出てきます。大幅増にならなければよいのですが・・・大阪で、感染者が宿泊施設から無断で外出しコンビニに買い物に出ていたという事件がありました。先日も、埼玉で新型コロナで入院中の男性が病院を無断で抜け出し行方不明になり、その間、自宅、温泉、勤務先、温泉施設と移動していたという事件があったところです。全く、自分勝手で無責任、「人にうつすかもしれない」ということをどう考えているのか、腹立たしさを覚えます。

また、国内で初めて、ペットの犬に新型コロナ感染が見つかったというニュースがありました。ペットから人にうつるかどうかは分かっていないようですが、もともとコウモリから人にうつったものなので、ペットから人にうつらないとは言い切れません。家族や高齢者にうつさないことはもとより、ペットの健康・命を守るためにも「うつらない・うつさない」という意識で、個々人が感染症防止対策を行う必要があると思います。

国内景気の動向ですが、経済界全体では、2020年1月―3月の国内総生産の再改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%減で、このペースが続くと1年で年率換算2.2%減となり、2四半期連続のマイナス成長となっています。しかし、4月―6月期はさらに落ち込むことが予想されます。

新型コロナ関連倒産が406件に達しました。都道府県別では東京95件、大阪41件、北海道23件、静岡・兵庫各19件、愛知18件、神奈川13件と続き、業種別では飲食54件、ホテル・旅館48軒、アパレル小売店・食品卸各25件、建設21件と各業種に広がっています。そして、負債額5億円未満が約8割を占め、中小零細企業が中心となっています。

東京を始め、大阪、名古屋などの各地域で、独自の自粛要請が昨日から発動され、感染拡大防止のために営業時短・休業要請などの対策が取られました。今回の要請に対し、一定の補償は出るようですが(東京一律20万円、大阪1日2万円など)、国は地方自治体任せで補償は出さないようなので、家賃や人件費を考えると1か月を乗り切るには心細い金額です。緊急事態宣言解除後、一向に戻らない客足にさらに追い打ちをかけ、今後も倒産や廃業を決断する経営者が増えるように思います。

日刊ゲンダイの記事によれば、9月に始まる”息切れ倒産”と”諦め倒産”がコロナ感染拡大で現実味を帯びてきているというのです。4月の緊急事態宣言発令で景気が悪化したにもかかわらず、4月、5月、6月の倒産件数は抑えられ予想外に低水準でした。その理由は裁判所の業務縮小で申立てが出来なかったことや政府の資金繰り政策、金融機関がリスケ(条件変更)に応じたことなどですが、一番大きいのは経営者の踏ん張り、「ここを乗り切ればそのあとには」と希望を抱いていて努力されたわけです。しかし、7月に入り再び感染者数が増加し、今週から各地で始まった営業時間短縮要請や休業要請で、経営者の希望は打ち砕かれました。観光やレジャー、観光地の飲食など7月・8月が稼ぎ時なのに、大きな痛手を被ります。9月になれば、息切れして”息切れ倒産”やあきらめムードになって”諦め倒産”が増加するというわけです。政府はGoToトラベルキャンペーンを行っていますが、アンケートによれば7割近い人が反対で、利用すると言う人は2割にも満たないようです。

こうした倒産は当然失業者の増加につながります。2020年の倒産は、コロナ倒産を含め5万件を突破するとの予測がなされています。5万社が倒産すれば、十数万人の人が職を失います。東京商工リサーチのアンケートによれば、中小企業27万社が廃業を検討していると回答しています。27万社が廃業・倒産すれば100万人近い人が失業します。

総務省によれば、5月時点で423万人の人が休業者となっています。休業扱いになっているものの、実質的には「退職を迫られている人」も含まれます。従業員を一時帰休させていた企業も短期間を予想していたのに、コロナ禍が長引き、売り上げが減少し、休ませたまま給料を支払い続けることはできず、解雇・退職勧告等の手続きに移行せざるを得なくなります。こうした形で、更に失業者が増えます。

政府の中小企業支援は、全く不十分です。新型コロナ感染当初には、いくつかの中小企業支援策が出されましたが、このように長期化すれば、それだけでは全く不十分です。あらたな支援策を出さなければ、”息切れ倒産”や”諦め倒産”が9月以降急増します。

早急に国会を召集して、感染防止に向けた法改正を行うとともに、新たな中小支援策を打ち出すべきです。政府は10月臨時国会召集で協議に入っているとのことですが遅すぎます。 時短や休業要請しながら十分な補償は行わず、これで倒産・廃業につながれば、これもまさしく人災です。政府は心してコロナ対策と中小企業支援に取り組んでもらいたいものです。