中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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倒産防止・企業支援のための「〇〇キャピタル」

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おはようございます。

昨日の新規感染者は、全国で699人にとどまり、そのうち東京188人、大阪102人、愛知67人、福岡54人、沖縄64人と減っていますが、連休のため民間検査機関が休みでPCR検査数自体が少なかったことが要因と思われます。沖縄では感染者の急増で病院や療養ホテルが受け入れできず、301人が待機を余儀なくされ医療体制がひっ迫していることから、玉城知事は最大警戒レベル4の「感染蔓延期」にあるとの認識を示しました。こうした状況でも沖縄への旅行者は後を絶たず、更に沖縄を窮地に陥れています。旅行先の沖縄で感染し現地で入院となれば沖縄の医療体制をさらにひっ迫させ、自宅に戻った後に感染が発覚すれば地元で感染を拡大させそこでの医療体制にも影響を与えます。帰省もそうですが、旅行にも節度を持った行動が必要です。

7月の企業倒産件数が発表されました。7月の倒産件数は847件で、2カ月連続で前年同月を上回り今年度最多となりました。また、7月としては6年ぶりに800件を上回りました。業種別では、繊維製品や食料品をはじめとした製造業が105件と9カ月ぶりに100件を超え、サービス業が210件で2カ月連続で200件超え、自動車販売や飲食店を含む小売業が205件で12カ月ぶりに200件を超えました。コロナ禍の影響が経営不振に追い打ちをかけ、医療機関第三セクターの倒産が初めて発生しています。飲食店の倒産も、7月80件で1月~7月で478件と過去最多となるペースで進んでいます。コロナ禍での自粛・休業要請の影響で客足が減り資金繰りが行き詰るというケースが増えています。更に東京・大阪をはじめ各地で営業時間短縮の動きが広がり、協力金が出るとはいえ十分と言えず、更に倒産件数を増やすことになりかねません。

新型コロナウイルスの影響で売り上げの大幅な減少などを強いられている中小企業や個人事業主などへの資金繰り支援を目的とした「家賃支援給付金」の給付が8月4日から始まっています。8月3日までに289万件実行とされる「持続化給付金」とともに中小企業や個人事業主の急場の資金繰りを支えるものですが、まだまだ不十分ですし、条件を満たさず支援を受けられない企業も多数存在します。金融機関の返済猶予等の条件変更への対応や実質無利子・無担保融資も、形の上で中小企業の資金需要を支援していますが、条件が厳しく融資を受けれない企業も多くあります。政府の給付金を受けられず、金融機関からの融資も受けられない企業は、現在の状況がさらに続けば、倒産・休廃業するしか道がなくなります。今後ますます倒産件数は増えていくでしょう。

他方、新型コロナ感染者が再び増加する中で、人々の消費マインドは低下しています。業種によっては業績回復に水を差しかねず、影響が危惧されます。観光関連業界の需要を喚起する目的で強引にスタートしたGoToトラベルも東京除外と感染拡大に伴う自粛ムードで想定された経済効果には程遠い状態となり失敗で終わる可能性すらあります。夏季の季節需要を見込む業界の売り上げや資金繰りの下振れリスクにも注意が必要です。7月の豪雨による被害や天候不順による農作物への影響も懸念材料となります。

コロナ禍に起因する倒産も、消費者に近い小売・サービス業に加え、製造業にも広がりを見せています。今後も経済が停滞を続けるならば、あらゆる業種で中小に留まらず大企業の倒産も現実味を帯びてきます。

経済を停滞させないためには経済を回していくしかないのですが、それでは感染防止がおろそかになります。経済と感染防止のバランスが重要ですが、これはなかなか難しいものです。現在経済優先にかじ取りしたために感染が拡大していますが、再び緊急事態宣言で休業要請・外出自粛要請すれば経済が回らないことになります。全国一律ではなく、感染者が拡大し医療体制がひっ迫している都道府県、あるいはさらに地域を絞って地域限定で緊急事態宣言を出すということしかありません。正解は分からないので、まずは行動を起こし、結果を見て臨機応変に軌道修正していくしかありません。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を強く受けている沖縄で、県内企業が連携して設立した「琉球キャピタル」がファンドを組成し、コロナ禍で危機にある地元企業への支援を本格化させています。経営悪化によって、県外資本による買収が増える可能性があることに対し、県内の資産を地元企業が守り、育てることで、地域経済の発展にも寄与できるというわけです。沖縄では後継者不足が全国1位で、事業承継は大きなテーマですが、資産の承継も重要です。東京などからの大手資本や海外、特に中国資本による買収から地元資本、地元資産を守ることの重要性からファンドを立ち上げ、それにできるだけ多くの地元企業や金融機関が出資し、地元企業を支援するのです。こうした動きは、今後、各地方に広がっていくようにも思います。コロナ禍で政府がアテにならないことが明らかとなり、それぞれの地域に応じた対応の重要性が認識されました。政府は金すら出さず、各都道府県が地域の状況や特性に応じて協力金を支給するという仕組みが作られ、地方の産業は地方で守る・地方の経済は地方で回すという考えが出来てきました。地方の地場産業は地方で守るという考えが出てくると、「琉球キャピタル」と同じように各地方ごとに「○○キャピタル」という投資ファンドが出来てきてもおかしくはありません。こうしたファンドによる企業支援が拡がるならば、倒産防止につながるかもしれません。期待したいと思います。