中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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GDP年27.8%減 戦後最悪

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で647人と5日ぶりに1000人を下回り、東京161人、大阪71人、神奈川51人、埼玉35人、千葉32人、愛知43人、福岡50人、沖縄38人と大幅に減少しています。ただこの数字は、お盆休みで検査件数が大幅に少なかったことが要因です。まだまだ気が抜けません。特に大阪では、重症者が約半月で3倍以上の72人となり他都市(東京では27人、愛知では13人、福岡では21人)に比べ突出しています。この結果、重症者病床の4割が埋まっている状況です。また大阪では昨日の死者数は5人で、全国の死者数の半数近くを占めています。これは重傷者リスクの高い高齢者施設や病院でクラスターが発生していることが原因です。吉村知事は、こうした重症者の増加について「大阪では死者を減らすため、できるだけ早めに人工呼吸器をつけているからだ」と述べていますが、この吉村知事の発言に対し、医療関係者からは「そのような事実はない。高齢者施設や医療機関での感染拡大が要因だ」と知事の発言の誤解を指摘する声が上がっています。やはり、「夜の街ミナミ」にばかり関心を置き市中感染の広がりを見落とした感染防止対策の失敗が一因です。

さて、内閣府は、4月~6月期のGDP(国内総生産)の第1次速報として、物価変動の影響を除いた実質で前期(1~3月)より7.8%減り、3四半期連続のマイナスとなったと公表しました。年率換算では27.8%減で、リーマンショック時の17.8%減よりもさらに10%減となり戦後最大の落ち込みとなっています。

記録的なマイナスに陥った最大の要因はGDPの半分以上を占める個人消費が、緊急事態宣言による外出自粛や休業要請の影響で、レジャーや外食をはじめ幅広い分野で支出が抑えられたためです。もう1つの内需の柱である企業の設備投資も、企業が事業環境の不透明さから慎重な姿勢を強めたために減少しました。また、世界的な景気後退から日本製品の輸出も急落し、渡航制限の影響で訪日外国人客の消費もほぼゼロになりました。

緊急事態宣言が解除された5月下旬頃から消費は徐々に回復傾向にあります。1人10万円の定額給付金の影響もでてきていますが、旅行や外食は今なお低迷したままの状況です。政府は、「GoToトラベル」でテコ入れを図ろうと躍起になりましたが、再び感染が拡大し、旅行や観光の伸びはままならない状況です。また、今後各地域での飲食店の営業時間短縮や休業要請の影響も出てきます。

7月~9月期の見通しについては、前期(4~6月)の記録的落ち込みの反動から年率10%前半の成長を予想する専門家が多いのですが、それでも落ち込みの半分程度の回復にしかなりません。しかし、その先は回復にブレーキがかかり、コロナ前の水準に戻るには3~4年はかかるという見通しが大半を占めています。しかし、この予想も、新型コロナウイルス感染がある程度落ち着くことを前提としています。今後も感染拡大が拡がり、今秋から第2波、第3波が襲来してくるようになると、先行きは全く不透明で、更なる長期韓の落ち込みが懸念され、回復まで更に長期間を要します。政府が挙げていた「V字回復」は夢のまた夢、緩やかな回復が見込まれる「レ字回復」も困難な状況です。場合によっては「W字」、最悪の事態となれば「L字」で回復できないまま日本丸は沈没してしまいます。こうした事態が生じないように、政府には、感染防止対策をとりながら十分な景気回復策を講じてもらいたいものです。

安倍首相は7月末の経済成長戦略を議論する会議で「未来に向けた社会変革の契機としなければならない」と発言し、感染防止と経済活動が両立するビジネスモデルや働き方の見直しなどを成長の原動力とすることを宣言しました。今すぐ取り組んでもらいたいものです。また、西村経済再生担当相は、17日のGDP発表の場で「厳しい状況だが、『以前の日常』には戻らない。一人一人が考えていかないといけない」と述べました。国民一人ひとりが考えることは必要ですが、国民に押し付けるのではなく、政府がきちんとした将来のビジョンを描き国民にそれを提示することが大事です。今の状況では国民に未来の希望はありません。以前「コロナ禍のリーダーシップ」の所で書きましたが、リーダーに必要なことは、「現実を正直に誠意をもって伝えること、そしてそのメッセージの中に人々がエネルギーを注ぐ対象となるような希望が持てる将来展望を含めること」です。

政府が、コロナ感染症対策と経済対策のはざまで、何をして、どこに向かおうとしているのかが全く見えてきません。政府、ひいては国民が向かうべき道筋・ビジョンを提示し、国民が希望が持てる未来の展望を示すことが政府・安倍政権の責務です。国会も召集せず、まともに会見も開かないようではリーダーとしての責務を放棄していると言われても仕方がありません。

安倍首相については「臨時国会を開かない」「閉会中審査に出ない」「記者会見しない」の「3ない」に「やる気がない」を加え「4ない」とマスコミから批判されています。海外でも「日本がコロナの大波と戦っているなかで『AWOL』批判されている」(英紙ガーディアン)、「これまでにないほど強いリーダーシップが求められているときに、首相は『AWOL』状態だ」(米紙ワシントンポスト)と書いています。「AWOL」というのは「absence without leave」の略で「許可がない離脱」「職場放棄」「無断欠席」のことを意味します。他国の感染状況に比べ、日本の感染拡大は「第2波の到来」を強く各国に印象付け、ワシントンポストは「日本には第2波が迫っている。安倍晋三首相は行動するのか?」という挑発的な見出しで、「相変わらず『緊張感を持って見守る』と言い続ける安倍首相に、『見守るだけでなく行動すべきだろう』」と痛烈な批判をしています。

さらに海外メディアは数か月前に「1か月半で感染をほぼ終息させた」と「日本モデル」をドヤ顔で世界にアピールしていた安倍首相が緊急事態宣言解除後の感染拡大に沈黙を守っていることについても、「首相は日本の対策は世界のモデルだと主張していたのに、感染数が増える中でほとんど沈黙している」(ガーディアン)、「日本政府は、コロナウイルスが消滅したかのような振る舞いだったが、今やそこら中にコロナは広がっている」(米ブルームバーグ通信)と言っています。また、ワシントンポストはコロナ対策で痛烈に批判されているトランプ大統領について「安倍首相より支持率が高い」「安倍首相と違い、記者会見するなど『沈黙』はしていない」「トランプの方が安倍よりマシ」といった論調をしています。これらを読むと安倍首相は日本の恥です(失礼!)。体調が悪いようなら早めにお辞めになった方がよいのではないでしょうか。長期休養で麻生副総理が総理代理を務めるなら最悪です。「8月24日に総理辞任」と書いているニュースもありますが、信憑性はどうなのでしょうか?

新しい総理大臣の下で新しい対策(感染防止と経済対策のバランサが取れた政策)を行われ、国民が未来に希望が持てるような世の中になればよいと思います。

政治批判をするつもりは全くなかったのですが、戦後最悪のマイナス成長に無為無策の政府を見ていると腹立たしさが沸き起こり、筆が滑ってしまいました。

つまらない政治批判はこれくらいにして今日は終わります。