おはようございます。
昨日の新規感染者数は全国で587人、そのうち東京141人、大阪96人、神奈川76人、埼玉40人、千葉24人、愛知28人、福岡49人などとなっています。全国的には緩やかな減少傾向にありますが、それでも首都圏はまだまだ注意が必要です。逢坂近郊の兵庫、京都などは減少していますが、大阪では重症者・死者数ともに多く、専門家会議でも中止が必要との意見が出ました。吉村知事は、大阪での感染者が減少傾向しているとして、5人以上での外食自粛要請を解除し、また通天閣のライトアップもやめることになりました。また、感染防止宣言ステッカーがあり大阪コロナ追跡システムを導入している飲食店で、グルメサイトから総額5000円以上のメニューを事前予約した4人以下のグループについて一組に月1回2000円分のポイントを還元する飲食店応援キャンペーンを実施するようです。また大阪市のミナミでは市の負担でさらに上乗せして4000円分のポイント還元がされます。
営業時間の短縮や休業要請、コロナ自粛による外食・飲み会離れで窮地に立っている飲食店を支援する必要は感じますが、このような政策はいかがなものかと思います。うがい薬問題で人気に陰りが見える吉村知事・松井市長・維新の会の人気取りにしか見えません。これでどれだけの経済効果があるのかも疑問ですし、大人数の宴会も4人以下に分割して事前予約するケースも出てくるでしょう。5人以上の会食自粛の時に守っている4人以下のグループにポイント還元ならわかりますが、5人以上の会食自粛を解除しておいて4人以下だけポイント還元というのもどうかと思います。
さて、菅義偉氏が総裁選出馬を表明し、菅、石破茂、岸田文雄の3候補が争うという構図が決まりました。党員投票が実施されず、3派閥の支持を固めた菅氏が大幅にリードしていることは間違いありません。昨日の菅氏の会見では、自分の生い立ちや政治家を目指した理由などを語り実直な性格は分かりましたし、官房長官として官僚と渡り合うという激務を遂行され優秀な人物であることも分かります。先日も書きましたが、優秀の人物が必ずしもリーダーに向いているとはいえないということです。官房長官としての職務と総理大臣としての職務には大きな隔たりがあります。総理大臣は国民の負託を受けて日本丸のかじ取りをしなければなりません。このところの政治家を見ると全体的に小粒です。昔のような吉田茂、岸信介、田中角栄、小泉純一郎といった良しにつけ悪しにつけリーダーシップを発揮できる人材はいません。
さて、誰が新総裁になるにしろ、総理大臣に就任するのですから、新型コロナ対策とともに落ち込んだ経済をどのように立て直すかが当面の課題となります。その際に安倍首相が行ってきたアベノミクスを継承するのか、修正するのか、が重要になってきます。
菅氏は、昨日の会見で、安倍首相が行ってきた政策を承継するような発言をしています。アベノミクスの最大のエンジンは日銀による大規模な規制緩和と財政出動です。その結果、アベノミクスは富める者と貧しい者とに二分し、社会を分断しました。アベノミクスで日本経済は成長したというのは見せかけで、株価は大幅に上がったものの一般の国民には実感はありません。そうした効果も、新型コロナですべて吹き飛び、アベノミクスはマイナス評価しか残っていません。アベノミクスの功罪については多くの人が語っています。その批判を受け入れることなく、そのまま引き継ぐとしたら日本経済、社会は取り返しのつかない事態に嵌ります。アベノミクスの間違いは間違いと認め、それを修正することが重要です。
石破氏は、アベノミクスについて一定の評価をしつつも、「個人所得が伸び悩んでいる」とし修正を行うことを明言しています。そして、大規模緩和についても「コロナ禍では当面維持する」とシン柄も長期的には見直すと言っています。岸田氏も、アベノミクスについて「中間層や中小企業、地方にも成長の果実が届くと言われていたが、なかなか実感できていない」とアベノミクスの恩恵が一部にとどまっていることを指摘し修正する意向をにおわせています。
地方の活性化を目指すという点では3者ともに一致していますが、その中身が違うように思います。菅氏は総務相時代にふるさと納税を導入したこと、携帯電話の料金の引き下げを求めたことなど自己の実績を挙げ、「地方経済を元気にしたい」と意気込みを示しました。石破氏は地方創生が持論ですが、東京一極集中の是正を掲げ、低所得者の収入を引き上げて消費を盛り上げる「内需型経済」を目指し、低所得者ほど負担が重くなる消費税について、果たすべき役割を検証すると「減税検討」に含みを持たせた言い方をしています。一方、岸田氏は、日本経済の成長エンジンはビッグデータや5Gであると主張し、医療や教育農林水産業などに生かすことによって地方も盛り上がると主張しています。
3候補者の誰の見解が今後の日本をよりよくしてくれるかについては人それぞれの意見があると思います。日本の将来を担う総理を選出するのに、こうした各候補者の主張を耳にしても、国民に投票して選出する資格がないというのが問題です。国民が選ぶことが出来ず(国民が選ぶのであれば自分が支持する人が落選しても納得できますが)、派閥の論理で選ばれることに憤りすら覚えます。