中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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日本株弱体化の理由

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おはようございます。

昨日の新規感染者数は全国で649人、そのうち東京211人、神奈川81人、大阪75人、福岡36人、愛知18人となり、累計感染者数は7万人を超えました。しかし、5万人から6万人に達するのに9日間であったのに対し、6万人から7万人への1万人増には14日かかっており、増加ペースがやや緩やかになっています。このままいわゆる「第2波」を収束へ導くのは政府・地方自治体のしっかりとしたコロナ対策と国民一人一人の意識です。吉村知事は「ピークを越え感染を押さえつつある」と大阪モデルの「通天閣ライトアップ」も終了しました。東京では、都庁のライトアップはまだ続けるようです。大阪スカイビル(空中庭園)は、写真のように黄色くライトアップされていました。まだまだ大阪でも「黄信号」で注意喚起が必要なように思います。

コロナ下で経済が落ち込んでいる中、日本やアメリカの株式市場はV字回復し、日経平均はコロナ前の水準にまで回復しました。その結果、コロナショックに乗じ、株式投資で大もうけした人もいます。富める者と富まざる者との分断・格差が広がっています。世界市場が活発な動きを見せる中、日本市場の動きは鈍く日本株は弱体化しています。日本では投資家が育たず、9割以上の一般投資家は損をしていると言われています。今や日本市場を動かしているのは約7割ともいわれる海外投資家です。アベノミクス前半の2013年から2015年5月にかけて約20兆円を買い越していますが、2015年6月以降は約17兆円を売り越しています。ここに海外投資家の日本株、ひいては日本経済・日本企業に対する失望が見えてきます。その1つは政治の貧困さの長期化であり、もう1つが日本企業の国際競争力の低さです。これらを何とかしないと日本の将来はありません。コロナ禍で日経平均もV字回復したのは、少しでも利ザヤを稼ごうとする海外投資家たちです。

安倍政権時代、「アベノミクス」ともてはやされましたが、結局はアベノミクス時代前半は海外投資家により株価が急上昇しただけなのに、あたかも安倍首相の政策が日本を底上げしたかのような錯覚を生み出し、国民はそれに安住してしまったのです。アベノミクスで言われた3本の矢(第1の矢:量的金融緩和 第2の矢:公共事業投資 第3の矢:民間投資喚起による成長戦略)はすでに折れていて、経済成長などまやかしに過ぎなかったのです。安倍政権下では、構造的問題である少子高齢化財政赤字は解決されず、さらなる財政赤字を引き起こし、新型コロナ対策でもこれといった対策は取られず、コロナ後の社会や政治に対する明確なビジョンを示すことなく辞任という形で幕を閉じました。森友・加計問題や桜を見る会などにしても明確な説明もなく、頬被りをしたままです。国民の政治不信は払しょくされることなく続いています。

次の総理総裁も、結局は派閥の論理・村社会の論理で選べれるのは確実です。くしくもアメリカの大統領選と比較すれば、日本の総理総裁選びが茶番であることがよく分かります。

2020年世界競争ランキングでは、64国中過去最低の34位で、「ビジネスの効率性」特に起業環境では最下位です。国内での起業を躊躇わせる要因は、規制強化、法人税率の高さ、行政手続きの複雑さや煩雑さ、などが挙げられます。デジタル技術の分野が62位です。別の調査でも5Gの展開ではトップ韓国の5分の1と極めて低い評価です。何年も前からIT国家を目指すと言いながら、一向に成果が上がっていないのが現状です。

日本の債務残高は対GDP比で238%と主要先進国ではとびぬけて高く(主要先進国で最も借金が多い)、政府は名目GDPの年率3.4%成長を目標に掲げて2029年度の基礎的財政収支を黒字化すると言っていますが、ここ30年で経済成長率が3%を超えたことはありません。目標は達成できず、目標年度を先送りするのは目に見えています。

次期総理になる人には、日本の構造問題についてしっかりとしたビジョンを持ち、年金問題を含めて次世代に引き継ぐ社会保障の抜本的改革、IT国家に向けての官民協力の腰の据わった対応など、取り組むべき課題は山積みです。国民自身が直接選出できませんが、国民の前でしっかりとしたビジョンを示し論争を行い、それに応じ国民が声を上げて国会議員に影響を与えることが出来れば(全く期待できませんが)、日本の政治も変わっていくように思います。

本当にこのままでは、日本は政治のみならず経済でも更なる低迷を続け後進国の仲間入りです。

本日は、朝日新聞の「兜町半世紀 投資透視」の「日本株が弱体化する原因」をベースにして書きました。