中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

今「指定感染症」の解除は必要か

f:id:business-doctor-28:20200914081410j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で441人、そのうち東京146人、大阪78人などで死者は東京、大阪、神奈川などで計6人となっています。休日の検査件数の少なさも一因で新規感染者数は少なくなっています。

山形県衛生研究所は、人に感染するコロナウイルスのうち、風邪の症状で流行する従来のコロナウイルス4種類は冬に突入して流行するという研究結果を論文にまとめました。10年間にわたる研究で、コロナウイルスに季節性があることを実証したものです。こうしたコロナウイルスの傾向から、新型コロナウイルスも同様の傾向を示す可能性があり、医療関係者も秋以降、季節性のインフルエンザとの同時流行に備える必要がると指摘しています。

人に感染するコロナウイルスは全部で7種類が知られており、そのうち今回の新型コロナウイルスと、2003年に中国で大流行したSARS,2015年に韓国で38人の死者を出したMERSの3種類が重篤化するとされています。他の4種類は「ただの風邪」で済まされていたケースが多く、医療現場でも経験的に冬場の流行が知られていましたが、実証的な研究はなされていませんでした。今回の研究に従事した本郷誠治教授によると、「くしゃみや咳などの飛沫を介して感染するウイルスは、冬場になると飛沫の水分が少なくなり軽くなるために遠くまで拡散し、またウイルスを体内から排出する鼻やのどの動きも寒さや乾燥で鈍くなるからだ」と言われています。インフルエンザの流行期に向けて、手洗いやうがいなどの基本的な予防対策を引き続きとることが必要です。政府も、2つのウイルスの検査を可能とする検査体制の整備を目指すようですが、早急に検査体制を準備する必要があります。今日、自民党の総裁選の結果が出ます。菅義偉氏に決定でしょうが、菅氏自身も言われているように新型コロナ対策が最重要課題です。

東洋経済オンラインは「新政権はまず新型コロナ『指定感染症』の解除を」という記事を載せました。現在、新型コロナは「指定感染症」に指定されていますが、この記事では、「指定感染症」を解除して季節性インフルエンザと同レベルの対応に変えるべきだと言っています。要約すれば、新型コロナは大した危険性がなく、経済を止めてまで対応する必要はないということです。経済誌ですから経済優先の記事は納得できますが、あまりにも現状認識が甘いと言わざるを得ません。確かに日本では思いのほか感染者数も爆発的に増えず死者数も奇跡的に少なかったのは事実です。しかし、ヨーロッパ、アメリカ、ブラジル、インドの例を見れば、新型コロナの脅威・危険度はSARSやMERSに匹敵するものです。本日も世界では新規感染者数最多(30万7980人)を更新しています。SARSは日本にほとんど影響はありませんでしたが、指定感染症の第2類に分類されています。日本で流行している新型コロナウイルスと欧米やブラジル、インドで流行している新型コロナウイルスとが同じものなのか、その検証も必要です。海外での感染者数や死者数を見れば、日本人は遺伝的にこの新型コロナに耐性がある(ファクターX)との議論もありますが、新型コロナウイルスには何種類か型があって海外で流行している型は強毒化しているものと見た方がよさそうです。日本は島国なので強毒化したウイルスの海外からの流入を阻止できていると言ってよいのではないかと思います。「指定感染症」から解除するということは14日間の経過観察は不要になります。このことは、海外からの入国者も同様です。それでは強毒化したウイルスが流入すれば一気に拡散します。山中伸弥教授も、ご自身のコロナホームページで、「新型コロナウイルスは2つの顔を使い分ける狡猾なウイルス」と指摘された上で「インフルエンザと違う恐ろしさを持っている」と言われています。新型コロナを経済を回したいがためだけに「指定感染症」から外すのは時期尚早と言わざるを得ません。

そうは言っても、経済を回すことも重要です。新型コロナ関連倒産が500件を超え、コロナ関連以外を含めると全倒産件数は6年ぶりに9000件を超す勢いです。2008年のリーマンショックは金融破綻に伴い上から下へと影響が出た結果大手の倒産が相次ぎました。今回のコロナショックは下から上への影響で大手はレナウンのみで中小企業が中心となっています。これまでは政府の助成金や給付金、特別融資などで何とかやりくりをしていた中小・零細企業も、今後資金繰りが行き詰って倒産や休廃業に進むケースが増えていきそうです。このような「倒産・休廃業予備軍」も多く、これらが倒産や休廃業へと舵を取るとすれば年末には急増します。倒産以外の休廃業、解散を含めると5万件を超えるとの見通しもあります。一つの企業が倒産すると取引先へと波及し連鎖倒産が続き、最悪大企業の倒産へと火花が広がります。

明後日には決まる新首相にはこうした点にも目を向け中小企業の支援策に乗り出してもらいたいものです。新首相が日本丸のかじ取りをどのように行われるのか、批判的な目を向けながらも期待したいと思います。