中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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休日の本棚 ハーバードメディカルスクール式人生を変える集中力

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で681人、うち東京249人、神奈川63人、埼玉100人、千葉36人、大阪52人、京都20人、北海道24人、沖縄20人などとなっています。埼玉では劇団の出演者やスタッフら62人の感染が確認され1日当たりの感染者が過去最多となり、北海道では専門学校や接待を伴う飲食店2店舗、陸自東千歳駐屯地の計4か所でクラスターが発生しています。GoToトラベルの東京追加、GoToイートのスタートなどから気が緩み各地で緩やかな減少が下止まりして再び増加に転じようとしているようにも思えてきます。まだまだ気を抜くべきではありません。GoToトラベル、GoToイートを楽しむにしても密を避け新しい生活様式を行いながら緊張感を持って楽しんでもらいたいものです。政府や自治体は、今後、感染者数が増加するようならば、地域を限ってGoToトラベル、GoToイートを中止することも視野に入れて対策を行っておくべきです。

またしても日本学術会議関連ですが、学術会議に関する誤情報が拡散されています。

その一つは「学術会議の会員になれば学士院行きで年金が年額250万円がもらえる」とフジテレビの「バイキング」に出演した平井フジ解説委員の発言がネットで拡散し「学識会議は優遇されている」との批判が相次ぎました。平井解説員の発言は事実に反する誤情報です。

2つ目は、拒否された6人について、理系の大学教授が「論文の引用件数が極めて低く、思想以前に学者としてのレベルが低い」とツイッターに投稿し、それがリツイートされ拡散されました。日本語の論文が多い文系の論文が海外で引用される割合が低いのは当然のことで、被引用数などの数値は文系の学者を評価する指標とならないことは明らかです。投稿した大学教授が「軽率な投稿だったと反省している」と投稿を削除していますが、すでに拡散した後です。

コミュニケーション論が専門の大阪大学辻大介准教授は「人は信じたいものを信じる傾向がある。同じ考えの仲間の中で特定の意見がこだまのように増幅され、信じ込みやすくなる」と説明されています。昨日の「『超』思考法」が言っているように、これも自分の頭で考えないからです。物事の隠れている本質に目を向けず、表面だけを掴まえてそれが真実だと錯覚してしまうのです。そして誤情報を何の検証もせずに真実と信じ、あるいは面白がって拡散させてしまう。それによって被害を受ける人もいます。全く困ったものです。しっかりと自分の頭で考えてから行動に移してもらいたいものです。

さて、今日は、ポール・ハマーネス&マーガレット・ムーア&ジョン・ハンク著「ハーバードメディカルスクール式人生を変える集中力」文響社)を紹介します。

著者の一人ポール・ハマーネスはハーバード大学医学部精神医学准教授、マーガレット・ムーアは米国有数のコーチ養成学校ウェルコーチズ創業者です。

本書は、思考を整理し、仕事や人間関係、自分との接し方や考え方を変えることによって集中力を高め生活全体を整理するための処方箋となりうるものです。ハーバード大学の研究者ポール・ハマーネスと心身の健康を高めるコーチングを手掛けるマーガレット・ムーアの協力体制を組み、医師が問題を診断し何が必要かを解説し、次にコーチが変化の実現に向けて読者を導くという方法が取られています。

①やるべきことが目の前にあるのにスマホばかり見てしまう ②3つの仕事を同時に進めようとして、1つも終わらない ③そそっかしい単純ミスばかりして実力を発揮できない こうした「注意散漫の病」に多くの人が罹っています。あらゆる情報が氾濫し、やるべきことが山のごとくある現代、気が散るのは仕方のないことかもしれません。しかし、注意散漫がもたらすリスクは極めて大きく、「ながら運転」のように命にかかわることさえあります。

最新の脳画像検査や神経画像検査により、脳の思考を司る部位(前頭前皮質と前帯状皮質を含む)が、感情を生み出す部位を操っていることが判明しました。感情をうまくコントロールすることが出来れば、脳内のさまざまな思考を司る部位を調整して一つの仕事に集中させることが可能になります。

この本のイントロダクションで「整理整頓は得意ですか?A,B,Cどれが一番あなたに近いですか A:整理整頓は完璧 B:そこそこ片付いている C:いつもグチャグチャ 」という質問から始まります。

あなたは整理整頓が苦手でも、あなたの脳は違います。脳は、もともと、さまざまな部位が調和的に機能するかけがえのない組織であり機構です。この脳に生まれながらに備わった自己調整機能を呼び覚ませれば、集中力が高まり整理整頓ができるようになります。整理整頓というのは、まずは思考の整理から始まります。感情を抑え、脳内の思考を司る各部位を連携させて集中できれば、整理整頓能力が高まり、ストレスも減り、生産性が向上し、注意散漫になることもなくなります。

ハマーネスは医学の知識や知恵を与えてくれますが、マーバレット・ムーアは「何か実行するには、まず自分が変わり、古い習慣を捨てて新しい習慣を身に付けなければならない」「変化を起こせるのは自分しかいない」と言います。やる気を引き出す一番良い方法は「変化を崇高な目的(心の揺さぶり、目に自然と涙が浮かぶような目的)と結びつけることだ」と言っています。「弱点を克服し変化を起こす自信はあるか」と問いかけ「自分はできる」と思うことが大切のなです。ティモンディの高岸ではありませんが「やればできる」です。ポジティブな姿勢が重要です。誰でも、少し探せば自分の強み、才能、能力がある分野が見つかるはずです。過去の失敗を手放すこと―過去の失敗を許すことがポジティブな姿勢につながります。ムーアは、まず自分の今の位置を正確に把握すること・自己認識は変化に欠かせない前提として、「あなたはどんな人間になりたいのか、どんな人生を送りたいのか、デキる人間になるメリットは何だろう」と自問することを要求しています。

本書では、思考を整理する6つの法則が紹介されています。

1.動揺を抑える=感情の管理・・・自分の感情を意識しコントロールすること。不安・悲しみ、怒りと言った心の動揺を素早く手なずけられれば、それだけ早く仕事を終えられ、気落ちよく過ごすことが出来る。

<具体的な方法>

  • 生活の中で平静と動揺のパターンに気づく。
  • とにかく行動する。
  • 興奮状態の根本的な原因を探る。
  • 外的な原因を排除する。
  • どう対応するかは自分で選べる。
  • やる気の炎を掻き立てる。
  • 思いついたアイデアを試してみる。
  • 動揺を抑える小さなスキルを身に着ける。
  • 自分の小さな進歩を褒める。

2.集中力を持続する・・・集中力は思考の整理に欠かせない土台である。自分のやるべきことに注意を向けるための、目的志向型の集中力を高める必要がある。

<具体的な方法>

  • 自然に集中できることを見つける。
  • フロー体験を存分に味わう。
  • 今この瞬間を意識する時間を作る。
  • 自分の強みを理解する。
  • 何事もフロー体験に変える。
  • 集中した後は一定のスパンで脳を休ませる。
  • ささいなことを満ち足りた体験に変える。
  • 余計な刺激への対処法を学ぶ。
  • 瞑想など集中力を鍛えるトレーニングをする。
  • 時にはぼんやりする。

3.ブレーキをかける・・・外部からの刺激に対する反応と衝動を抑制する。脳のブレーキ機構を使いこなすことで、やるべき作業に集中できる。人間は抑制を通じて周囲に適応し、やる必要のない行動を中止できる。

<具体的な方法>

  • 思考と感情の力を合わせる。
  • 理性と感情を対話させる。
  • 自分を知る。
  • 運動、睡眠、栄養でエネルギー不足を防ぐ。
  • 日常のピンチを訓練として活かす。
  • 深呼吸名地の自分なりのブレーキのかけ方を見つける。
  • 衝動と向き合い仲良くする。

4.情報を再現する・・・脳には新たに仕入れた情報が目の前から消えても、その情報を脳内に再現しそれを処理する能力がある。これには脳内の作業スペースの言うべき作業記憶が関わっている。この記憶は仕事だけでなく日常生活のあらゆる場面で必要とされるとても実用的なものだ。

<具体的な方法>

  • しっかり睡眠をとる。
  • 寝る前に覚える、反復する。
  • 普段読まない類の本を読むなど、新しいことを学ぶ。
  • メモに書き留める。
  • 誰かと議論する。
  • 身ぶりを交えてしゃべる。
  • ウォーキングなど定期的に運動する。

5.スイッチを切り替える・・・脳は同時に2つ以上のことを進めるマルチタスクには向いていない。むしろ、ひとつの物事に深く集中する一方、早急な対応が必要と判断したら素早く注意を喚起し、新たな対象に前と同じだけの集中力を発揮する力、注意転換能力を備えている。

<具体的な方法>

  • 思考のフットワークを軽くする。
  • 意識的にサイロを破壊する。
  • ストレッチなどで体を動かし頭をすっきりさせる。
  • 新たな状況の良いところを探す。
  • 適切な判断をする。
  • マルチタスクはしない。
  • 自信をもって新たなチャンスに飛び乗る。

6.スキルを総動員する・・・思考を整理する法則1~5で学んだスキルすべてを実践し連携させることで、脳の資質を最大限活かし、目の前の問題を解決することが出来る。

<具体的な方法>

  • 自信がある得意な分野ひとつから始める。
  • 信念を持つ。
  • 何でも挑戦と考える。
  • 人生の絶え間ない変化を受け入れる。

この本の最後には付録として、うまくいかない人の悩みトップ10と解決法が載っています。悩みトップ10とは①うっかり癖「鍵、どこに置いたっけ?」 ②すぐ気が散る「あれ、面白そう」 ③散らかってします「何てありさま」 ④集中できない「今はこれに集中すべきなのに」 ⑤いつも遅れてしまう「ごめんなさい」 ⑥同時進行できない「全部やっているつもりだったのに」 ⑦いつまでも足踏み状態「ここで踏ん張るのに必死で」⑧疲れ果てている「あまりに大変すぎる」 ⑨効率が上がらない「もっと手際よくできたはずなのに」 ⑩破綻寸前「パニック!何が何だか」 これらも面白いです。

現代人は情報過多で情報に振り回されています。これが自分の頭で考えられない要因の一つですが、気が散って物事に集中できない要因でもあります。この本によれば脳は優れた思考整理機能を有しているのですから、この思考整理機能を最大限活用し、思考を整理して集中力を高めることが出来れば、自分の頭で考えることも可能になりそうです。また、思考が整理され物事に集中できれば仕事がはかどり生産性を高めることが出来ます。こうしたスキルはこれからの情報社会には必要なように思います。思考を整理する6つの法則を実践していきたいと思います。

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