中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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スガノミクスが中小事業者に与えるマイナスの影響

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で552人、そのうち東京は177人、神奈川88人、埼玉47人、千葉31人、大阪61人、沖縄20人、北海道20人などとなっています。このところはほとんで変化はなく首都圏と大阪で下止まりしているような感じです。東京では日本大学の運動部で、大阪で堺市の病院、埼玉ではフィリピンパブなどでクラスターが発生しています。

WHO(世界保健機構)の葛西健西太平洋地域事務局長は、「世界のどこかで感染が続く限り、日本も安全ではない」と述べて、すべての国が協力することの重要性を訴えました。アメリカ、ブラジル、インドで感染者が増加し、ヨーロッパでは再拡大によりロックダウンの動きがある中、日本だけが安全というわけにはいきません。いつ再拡大が起きてもおかしくないということを肝に銘じて万全の対策をとる必要があります。

全世界で、新型コロナウイルスのワクチン開発が進んでいますが、藤田医大は、京都大発医療ベンチャー「リバーセル」と共同で、ips細胞を使った新型コロナ感染症の治療法の開発に乗り出すことを発表しました。新型コロナに感染した細胞を攻撃する免疫細胞「キラーT細胞」をips細胞から作製し患者に投与するというものです。こうした新しい治療法が日本発で開発されることを期待します。

さて、今日は週刊朝日「『GoTo』で本当に救済が必要な中小事業者は・・・スガノミクスのマイナスの影響」という記事を取り上げます。

デジタル庁創設携帯電話料金値下げに象徴される「スガノミクス」ですが、この記事は、そうしたスガノミクスが社会に与える影響はどのようなものか、またその中で生き残れる会社はどのようなものかを探っています。

10月からGoToトラベルに東京が追加され、業績悪化に苦しむ宿泊業者にとって政府の政策に寄せる期待は多いものがあります。AIがはじき出したスガノミクスで業績が上がると見込まれる会社の上位に位置付けられているのもホテル業界です。上位20社のうち14社にも及んでいます。しかし、ホテル・ニューグランド(1位)、鴨川グランドホテル(2位)、価値開発(3位)、帝国ホテル(4位)など大手ばかりで、本当に救済が必要な中小の事業者に恩恵がいきわたるかは疑問です。GoToトラベルの割引額は宿泊料金が高い高級ホテルほど大きくなる仕組みで、利用者は”お得感”から、普段は泊まれない高級なホテルに集まり結局は救済されなければならない中小事業者が救済されません。また、旅行先も人気がある所が選ばれ、そこに集中する結果、地域によって大きな格差が生じています。本当に困っている事業者や地域を救済するにはどうすべきかを考えず、GoToイーツの錬金術でも見られるような税金をばらまく仕組みを作った政府や官僚の責任は大きいと思われます。今からでも遅くはないので、困っている中小事業者を救済・支援する政策をとってもらいたいものです。

今朝、自民党の若手議員が菅首相に消費喚起策として、再度の定額給付金(5万円)の支給を提言する要望書を提出し、菅首相も「そういう方向で頑張る」と回答したというニュースがありました。消費が落ち込んでいる今、消費を喚起する政策は必要ですが、直接苦しんでいる中小事業者への支援が先です。しかも、定額給付金は貯蓄に回される割合も高く、消費喚起には期限付きの消費税減税の方が公平で効果的だと思います。

スガノミクスの恩恵を受けるのはホテル業界ばかりではありません。9位には航空券予約サイトのエアトリが入り、10月以降利用者が2~3倍に増えていると言います。そのほか、旅行予約サイトも、GoToトラベルの割引率の引き下げ騒動が起きるほどに好調です。しかし、ここでも大手の旅行サイトや旅行会社のみが好調というところで、中小の旅行サイトや旅行会社は団体旅行が組めないために悪戦苦闘しています。

一方で、スガノミクスでマイナスの影響を受けるのは携帯各社です。AIが選んだスガノミクスでマイナスの影響を受ける企業の上位4社は、KDDI(1位)、NTTドコモ(2位)、ソフトバンクグループ(3位)、ソフトバンク(4位)と携帯各社が占めました。菅首相の目玉政策である携帯電話料金の値下げが行われれば、利益率は大きく落ち込み研究開発投資に回す余裕がなくなり、米国や中韓に後れを取っている次世代通信規格5Gの普及や、次々世代の6Gの技術開発もさらに遅れが生じます。こうなれば、菅首相が掲げるデジタル化DXにもマイナスの影響が出てきます。値下げと国際競争力の維持・拡大とのバランスが重要です。

そのほかにも5位に紳士服のコナカが入っています。テレワークや働き方改革に伴いスーツなどの紳士服の需要が落ち込むことが予想されるからです。コロナ発生後はカジュアルで安価なユニクロしまむらが業績を伸ばしている一方で、百貨店での販売割合が大きかったレナウンが倒産し、オンワードの業績は落ち込んでいます。小売・流通業界にとっても、高価格帯の商品が柱の企業ほど深刻な影響を受けています。

テレワークの影響は、オフィス用品や輸送機関連(鉄道車両製造)、オフィスビル賃貸業にもマイナスの影響を与えそうです。

新型コロナによって働き方も変わりそうした環境の変化にうまく対応しきれない会社が倒産や廃業の憂き目に遭うように思います。

菅首相地銀の再編をももくろんでいます。地銀も長期に続く低金利の影響を受け経営は悪化しています。こうした地銀を統合しようというのが菅首相の考えですが、地銀の多くは地域に密接し地域の中小企業を支えてきました。地銀の再編が行われると地域の中小企業にも大きな影響を与えます。菅首相は、生産性の低い中小企業をぶち壊し淘汰することを主張するデビッド・アトキンソンの信者で、中小企業をぶち壊すことや中小企業がつぶれることなどなんとも思っていません。地銀の再編も中小企業淘汰の布石でしょう。2,3日前にこのアトキンソンは成長戦略会議のメンバーに選出され、菅首相のブレーンの一人になりました。

菅首相アトキンソンの主張通りの政策を進めていくとすれば、スガノミクスは、中小企業にとっては更に大きな試練を与えそうです。新型コロナで壊滅的なダメージを受けている中で、更にスガノミクスが追い打ちをかけてきます。これに耐えて打ち勝つしかありません。

「ピンチはチャンス」と軽く言うつもりはありません。しかし、自分の身は自分で守るしかないのです。それが出来なければ潰れるだけです。「必死になって、がむしゃらに、何でもやってやる」という心意気です。精神論のようですが、中小企業は大企業と異なり、フットワークは軽く、すぐに行動に移すことが出来ます。違法なことに手を染めるのは論外ですが、何でも手を出してやってみればいいのです。以前紹介したことがありますが、大阪府下の会社で、製造業でありながら仕事がないのでがむしゃらに他社製品を販売する会社とか、吉村人気にあやかって吉村グッズを製造販売するとか、考えれば色々なアイデアが出てきます。要はそれを行動に移すことができるかどうかです。大企業なら二の足を踏むようなことでも中小企業ならできます。「だめもと」でもやってみればそこから何かが生まれます。それを改良すればよいものが生まれるかもしれません。それもイノベーションです。

中小企業に追い打ちをかけるスガノミクスに打ち勝つべく頑張っていきましょう。