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「日中ビジネス往来」近く再開 「中国依存」でいいのか?

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で318人、そのうち東京78人、神奈川23人、埼玉22人、大阪41人、沖縄36人、北海道17人などとなっています。休日で検査件数が少ないことが理由ですが、その中で沖縄が群を抜いて増加しています。特に離島での感染拡大が目立ち、離島の医療体制は脆弱なため非常に危険な状況にあります。また、北海道では今月に入り感染者が増加傾向にあり、「第3波」の懸念が高まりつつあります。特に、これまでは札幌が中心でしたが、地方に広がり地方でのクラスターも増加しているようです。

世界中での新型コロナ感染者数が4000万人を超えました。ヨーロッパでは第1波を上回る新規感染者が確認され、EUとイギリスを含む1日の感染者数がアメリカの感染者数を上回りました。ヨーロッパでは再度の規制強化に乗り出していますが、感染拡大のスピードが速く感染拡大が止まりません(少なくとも第1波のように死者数が多くないのが救いです)。

中国国家統計局は、7月~9月期の国内総生産(GDP)が物価変動を除いた実質ベースで前年同期比4.9%増加したと発表しました。2期連続のプラスで、4~6月期の3.2%を上回るぺースで加速しています。世界各国が新型コロナ禍で苦しむ中、主要国で唯一、景気回復が順調に進んでいることを示しました。

中国当局が発表する数字をそのまま信用することはできませんが、景気回復傾向にあることは間違いないところです。ただ、まだ個人消費の回復力は弱く、コロナ前の8~9割程度の水準にとどまっている点です。しかし、これも日本をはじめ先進国の状況からすると高水準です。コロナ禍で中国人民銀行は未曽有の金融緩和を行い、有り余った金の行き場がなく、再び不動産市場に流れ込んできています。沿岸都市部を中心に再度不動産バブルが起きつつつある状況で、この点も今後の中国を見るうえで注意が必要です。

こうした中、日中両政府は、短期と中長期滞在のビジネス関係者らの往来を近く再開することで合意を行うようです。往来再開によって新型コロナで落ち込んだ景気の回復を後押しする狙いがあります。

日本政府は、6月18日に、ビジネス上必要な人材等の出入国について例外的な枠を設定し、現行の水際措置を維持したうえで、追加的な貿易措置を条件に認めました。

また、10月1日から順次、留学、家族滞在等のその他の在留資格を対象として、原則すべての国・地域から新規入国を許可することを決定しました。

こうした流れの中で、今回中国との間で合意ができるようです。

短期滞在の往来再開は、ビジネスの出張者が対象となり、出国前と相手国への入国時にコロナウイルスの検査を受け、滞在先を事前に届け、移動を仕事先などに制限することを条件に14日間の待機を免除します。中長期滞在は駐在員らが対象で14日間の待機の免除はありません。

既に、タイ、ベトナムシンガポール、韓国などとは、実際に双方向の往来を開始していますが、短期滞在の場合も14日間の自宅等待機は原則維持されています。今回の中国との合意では短期滞在の場合に14日間の待機免除になるので新しい試みです。

国内の経済を回すだけでは不十分なことは分かります。国際的な観点で経済を回すためには外国との入出国制限の緩和は必要ですが、世界的に感染が再拡大しつつある現状では、相手国の状況を十分に分析したうえで段階的に緩和すべきですし、14日間の待機を安易に免除するのはどうかと思います。

このように中国とのビジネス往来を早期に実現しようという動きとは対照的に、ベトナム訪問中の菅首相が医療物質などのサプライチェーンの強化に向けて協力を確認した背景には、新型コロナによって明らかになった中国依存の危うさや米中対立の激化による経済の切り離しなどがあるようです。いち早く新型コロナを収束させた中国が経済力を武器に覇権主義を強め、各国の医療品などの提供に乗り出しています。こうした中国の動きに警戒感を強めるアメリカは安全保障を理由に通信分野での中国企業の排除など経済の切り離しを図っています。ヨーロッパでも中国への不信感が強まり、中国離れが起きています。しかし、中国と地理的に近く経済的な依存度も高い日本としては、日米同盟でアメリカに歩調を合わせるとしても完全に中国経済を切り離すのは難しいところです。日本としては東南アジアなどとの連携を強め、中国依存度を少しずつでも低めていかなければ、これからの国際社会から取り残されることになるかもしれません。コロナ後の世界について秩序が大きく変わっていくように思います。日本がその中でどのようにかかわっていくのかを考えなければなりません。

このことは国家だけの問題ではありません。ビジネスにおいても、秩序が変わった国際社会の中で、どのようにビジネスを展開していくのかを真剣に考えなければならないように思います。