中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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休日の本棚 プロフェッショナルマネジャー・ノート

f:id:business-doctor-28:20201024082336j:plainおはようございます。

昨日の新規感染者は全国で748人、そのうち東京186人、神奈川91人、埼玉40人、千葉54人、愛知43人、大阪100人、沖縄46人、北海道51人などとなっています。北海道と宮城(20人)では1日の新規感染者数としては過去最多となっています。政府の新型コロナ対策会議などでは下止まりあるいは微増と言っていますが、明らかに増加傾向にあります。北海道新聞は、札幌ススキノのホストクラブでクラスターが発生したことをとらえて、生き残りをかけて感染対策に取り組む店と、利益優先で対策がおざなりになっている店との「二極化」が進んでいると書いていますが、これは北海道・ススキノに限ったことではありません。政府自体が感染防止よりも経済優先でGoToトラベル、GoToイート、GoTo商店街、海外からの入国緩和と経済を回すことに躍起となっている以上仕方ありません。国民一人一人が気を引き締めて新たな生活様式をとりながら、ある程度の緊張感を持ってGoToを楽しむことです。

さて、ここしばらくは、経営関連の本の紹介はしていませんでしたので、今日は経営関係の本を紹介します。プレジデント書籍編集部編「プロフェッショナルマネジャー・ノート」(プレジデント社)を紹介します。この本にはファーストティーリング(ユニクロ)会長兼社長の柳井正氏が解説を書いています。柳井氏が、ボロボロになるまで読み「私の人生で最高の経営の教科書だ」というハロルド・ジェニーン&アルヴィン・モスコー著「プロフェッショナルマネジャー」(プレジデント社)という経営書がありますが、その経営書のエッセンスをまとめたのが本書です。本書の原典「プロフェッショナルマネジャー」は、分厚くかつアメリカのビジネス事情が分からないと理解しにくいところもありますが、日本のビジネス事情に合わせ優しく超訳されているので読みやすい内容になっています。

柳井氏は「プロフェッショナルマネジャー」に出会って「『経営とは目標から逆算して、その目標に到達するために考えられる限りのことをいいと思う順から実行していくことである』ということを学んだ」と言っています。

この本から、ビジネスさらに言えば人生に役立つと思える言葉をいくつか紹介します。

  • カッコつけて失敗を他人のせいにしているうちは、仕事もまだアマチュア。真正面から向き合ってこそ、プロフェッショナルではないでしょうか。
  • 事業はスポーツに似ている。例えばサッカーで言えば、監督はゴールの所在を告げ、ゴールにたどり着くためのルールと戦略を示し、選手の適性に合うポジションを割り当て、そして、厳しい練習を重ねるだけです。
  • お客様のためでないと、商売は成功しません。自分の好きなもの、好きなことをそのままやったらたいてい失敗する。なぜなら、”好き”に溺れて、ビジネスの基準があいまいになるからです。
  • 経営するということは、その事業計画と予算を決めたら、売上であれ、シェアであれ、達成すると誓ったことを成し遂げねばならないことを意味するのだ。…1つの対応がうまくいかなかったら次の対応を。それもダメならまた次の対応を、と、目標に達するまで試み続けること、それがまさに経営するということだ。
  • セオリーとは、紙を張った金輪のようなもの。どんなに頑丈そうな板に見えても一度破ってしまえばそれが紙に過ぎないことに気づいてしまう。…ビジネスどころかほかのどんなものでも、セオリーなんかで経営できるものではない。経営理論によって自分の会社を経営しようとしている人を見たことがない。「すべての問題を解決してくれる経営理論はない」と腹を決めて事に当たる。
  • なんだかんだ言っても、会社とその最高経営者、そして経営チームの全員は、”業績”というただひとつの基準によって評価されてしまう。業績より重いものなど経営には何もない。本を読むときは始めから終わりへと読む。ビジネスの経営はそれとは逆だ。終わりから初めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ。
  • 終わりから始めなさい。なぜなら、ゴールを設定すれば、「成功するためにすべきこと」が明らかになるからだ。…念願する終点にたどり着こうとしたとき、障壁は次から次へと目の前に立ちふさがります。先ずは終点を設定する。終点の前に立ちはだかる障壁こそ、目的地である終点に到達するために「しなくてはならないこと」です。
  • デスクに座って電話越しに「ノー」と言っていると判断を誤る。問題は現場で、顔と顔を突き合わせて処理しなさい。…組織の改革や改善を達成するためには、現場で顔と顔をるき合わせて問題を解決するしかない。
  • 私が発した最も短い命令は、「今後、長期計画は一切無用とする」だった。…現四半期、つまり現在を疎かにする者は1年先の目標を達成することなど不可能なのです。自分が何をしたいかをしっかり見定め、それをやり始めろということ。
  • もし、諸君がビジネスで成功したかったら、自分が属する場所で上位20%のグループに入ることが求められる。…パレートの法則(80:20の法則)=ビジネスでは売り上げの8割は全顧客の2割が生み出している。売上アップを考えるなら全顧客向けのサービスを考えるよりその2割の顧客に絞ったサービス戦略を展開する方が有利。
  • 危機や破局は一夜にして生じるわけではない。問題が長い間、隠蔽され、症状が悪化するまで放置された結果なのだ。
  • 企業の経営層たる人間の基本的な仕事は経営することだ。経営層は意思決定を行い、それらの決定が遂行されるようにすることによって経営するのだ。そして経営層がそのことに成功するただひとつの道は、会社の福利に影響を及ぼすあらゆる状況に関する事実を完全に把握することだ。…本当の事実をそれ以外のものから嗅ぎ分ける能力を持つことが重要。意図的であるにしろないにしろ、事実というレッテルを張られただけの事柄が独り歩きする危険を車内から一掃する。
  • 唯一の本当の間違いは”間違いを犯すこと”を恐れることである!…人間は誰でも誤りを犯します。その誤りを隠そうとする人や目から遠ざけようとする人は会社を経営するときの大きな障害になる。
  • 定められたゴールを目指して1つのチームとして会社が一体となって行動できるように、組織図に含まれるすべての人材を緊密に行動し結束させた状態で機能させたとき、初めて真の経営が始まるのです。組織事情では同じように見える会社でも、その人間関係の緊密さによって企業間に個体差が生まれるのです。なぜなら、会社の重要な政策、決定、活動とは、役割ではなく人間によってなされるからなのです。
  • 事実をチェックする。そのこと以上に重要な経営上の仕事はほとんどない。…揺ぎ無い事実を見つけ出すこと―つまり、そのためには終わりのない訓練が必要なのだ。「それは事実か?」と相手に訊いてから、忘れずにそれにプラスして「それは本当に揺るがすことができない事実なのか?」と、念を押して尋ねる習慣をつけろ。
  • 人間を類型化して判断しても何の役にも立たない。仕事をさせて初めてどんな人かが分かるのだ。…人間を判断するには、結局のところ実際に仕事をさせてみて、どのようにやるかをじっと観察するしかない。頭脳や勇気だけで判断するのは不可能だ。
  • 自分がどれだけ立派な仕事をしているか。その、最良の判定者は自分自身である。…いくら論理的に完璧でも何の意味もない。意味があるのは所期した目標を達成したか、しなかったかということだけだ。それを判定できるのは自分自身だ。
  • ある問題を解決するために22通りの方法を試み、それでもまだ成功しなかったら、23番目の方法を試さなければならない。…何かうまくいっていないことを見つけたら、原因が分かるまで究明し1つの解決法が効果を挙げなければ別の、また別の、更にまた別の方法を試みるのだ。それが経営するということなのだ。
  • 何かをするなと命じるのは構わない。しかし、本人が納得しないことをさせたかったら、納得するまで説得しなければならない。…「われわれは君が間違っていると思っている。しかしわれわれの方が誤りで君の方が正しいという考えが変わらないのなら、君のやり方でやって見たまえ。但し、進行状況は知らせてくれ。それからわれわれが言うことから正しいと思うことを取捨選択してくれ。われわれは君に命令しないし、裏切ることもしない。但し君が闇雲に何かをやっておかしくなったら君が困った立場になる。その了解のもとでやりたまえ」
  • 人を解雇すること。それはリーダーシップに課せられる最も厳しいテストである。…組織の貢献していない人間、他の全員の努力を妨害している人間はどの組織にもいます。こうした人間をどのような基準で処理するかは解雇する側と解雇される側だけの問題ではなく、ピラミッドのすそ野に広がるラインに属する全員に余波を及ぼすことをリーダーは知らなければならない。
  • 社内政略というものは、会社の式と前進力を損なう不公正な自己権力拡大の一形態だ。だからこそ絶対に許すべきではない。
  • 机の上に何も出ていない綺麗な机のエグゼクティブは、ビジネスの現実から隔離され、他の誰かに自分の仕事をしてもらっているにすぎない。エグゼクティブの職業生活そのものは、散らかった、雑然としたものなのだ。
  • 新しいアイデアはほとんど必ず会議が終わりかけたときに、生まれてくる。…そもそも会議を厳密な予定に従ってやろうという試みること自体が非生産的で、時間に制限を設けたら、何かを言い出そうとしても口に出して言うことを控える人が出てくる。本来重要なアイデアが口に出される終わってしまうことにもなる。
  • ビジネススクール出身者は、同じ教育を受け、同じ情報を共有し、同じ結論に同時に到達する。だが、そんな結論を実行したところで功を奏さないと決まっている。ビジネススクール出身者の思考回路では、誰もが目を付けていないがアイデア次第では大化けしそうな儲け口を見逃すことになる。
  • 訪れた機会をしっかり認識し、それ以前に誰もやらなかったやり方で、その機会を生かしなさい!…信頼できるのは机の綺麗なエグゼクティブの科学的経営より、散らかった机のエグゼクティブが備えている柔軟性豊かな行動力です。
  • エゴチストは、歩くのも喋るのも笑うのも普通の人と変わらない。しかし、マティ-二に酔うように、ナルシズムに酔っている。…エゴチストのエグゼクティブの気まぐれが原因となっている業務遂行、生産性、収益に生じるロスは、少なくとも40%ちかくになっているのではないか。
  • 人々とその職業的生涯は、失敗よりも成功によって破滅させられることが多い。…人は失敗から学ぶ。しかし、成功は、成功を支えた努力や思考を忘れ、手に入れた地位に安住し、それどころがエゴチスムを発揮する。成功は失敗よりも、ずっと扱いにくいものだ。
  • 数字は企業ではない。企業の絵に過ぎない。…数字は大事だが、会社を成長させ、利益を上げる経営のために必要なのは、事実を正確に伝える”上等な数字”である。一見無機質に見える数字な中に含蓄される意味を読み取ることが重要。
  • 数字というものには数そのものと同じくらい重要な個性がある。…数字には個性や性質がある。そういう個性はその会社の経営者とその部下が何を期待しているかによって決まってしまう。数字の個性―信頼性や正確性という者は、数字に対する関心のあるなしで決まる。
  • 重要なのは”個々の数字”ではない。それら個々の数字を、全体的な相互関係において眺めようと努めることだ。…数字の背景にあるものを考えて、その要素を変えれば、その数字自体が大きく変わる。
  • ”数字を通して読む”ことを学べば、あらゆる物事が、見ようと努力しなくてもひとりでに見えてくる!…企業の数字は”体温計があらわす体温”のようなものだ。”その企業の”体温表”に現れる変化を常に観察し見逃さないことこそ、経営における早期警戒システムである。数字という者の読み方をマスターする域に達するには苦痛を伴う”苦行”が必要だが、数字の読み方をマスターすることは必要なことだ。
  • 起業家精神とは他人が気付かない何かを自分だけが知りうるということ…すべてを賭けて大きな見返りのためにリスクを冒すのが起業家なのだ。他人が気付いていない何かを知るということにすべてを賭ける。
  • 良いマネジャーになりたかったら、選んだ仕事に向き合ってただ努力し始めることだ。何をやりたいか見極め、それをやり始めることだ。

「何かゼロから始めて何か人るの形を作っていくというのが経営だ」という考えは間違いなのです。それは経営ではなく、単なる作業です。目標を決めて、その前に立ちはだかる障害を見据えれば、その障害を取り除くために「次に何をやるべきか」は見えてくるはずです。これはビジネスに留まらず、人生でもそのように思います。

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