中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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ROE重視よりROA重視の経営を!

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1048人、そのうち東京269人、神奈川109人、埼玉32人、千葉58人、愛知79人、大阪125人、兵庫43人、滋賀21人、北海道119人、などとなっています。1000人を超えるのは8月21日以来で、相変わらず、首都圏、関西圏、愛知、北海道での感染者が増加しています。都内感染者では家庭内感染が多く、次いで会食となっていますが、ハロウィンパーティー参加者にも感染者が出ています。イベントに参加し気が緩んではしゃぎ過ぎることが原因でしょうが、こうした若者が家庭にウイルスを持ち込み家庭内感染につながっていくように思います。楽しむことはストレスをため込まないためにも必要ですが、節度を持って行動することが大事です。

さて、アメリカ大統領選は一向に決着がつきませんが、バイデン候補が優勢でほぼ決まりのようです。これから法廷闘争を含めたトランプの逆襲が始まるようですが、敗北が決定した暁には、アメリカを分断させないためにも潔く敗北を認め「敗北宣言」を出してもらいたいものです。アメリカの分断はロシアや中国の思う壺です。

少し気が早いですが、バイデンが大統領になってアメリカはどのように変わり、日米関係はどうなるのでしょうか。

トランプはリバタリアニズムの思想の持ち主です。リバタリアニズム(自由原理主義)には、「誰の権利も侵害していない者に対する権利の侵害は正当化できない」という思想が根底にあります。例えば税金はリバタリアンの思想に反します。税金というのは、善良な市民に対する国家による暴力的な権利・財産の侵害となるわけです。トランプは。過去15年のうちの10年間連邦所得税の支払いを行っておらず、2016年に支払った額はわずか750ドル(約8万円)にすぎません。トランプは、この4年間、富裕層を優遇する政策を展開し、経済的な分断を引き起こしてきました。そのことがホワイトプアの増加や黒人差別を助長させました。

バイデンは富裕層に対する増税を行うと思われ、トランプによって広がった格差や黒人差別が是正されるように思います。

確かにトランプの富裕層優遇策は、株価を引き上げ経済成長を加速したように思われますが、その大半は見せかけにすぎません。日本のアベノミクスと同じです。トランプが再選されれば、新型コロナ対策を無視して経済重視にかじ取りし経済政策を推し進めることは明らかで、経済は一時的は復活するでしょう。しかし、新型コロナ対策がおろそかにされ、1日当たり7万人ともいわれる新型コロナの新規感染者がさらに増加し、経済の動きを押しとどめることにもなりかねません。

バイデンは新型コロナ対策にも目を向けており経済対策とのバランスを考えて様々な施策を行うように思われます。新型コロナ対策で経済回復の速度は落ちますが中長期的に見ればこの方がよいのではないかと思います。

アメリカファースト」を掲げていたトランプは、かつてのモンロー主義のごとく国内回帰を標榜し、パリ条約をはじめいくつかの国際条約からの脱退を表明、破棄してきました。バイデンは、パリ条約への復帰を宣言しており、国際関係から見てもバイデンの方がよいように思います。ただ、米中対立、北朝鮮との関係がどうなるかは未知数です。

バイデンが当選した場合、日本への影響は未知数ですが、バイデンはオバマ前大統領時代に副大統領を務めており、日本に突飛な要求はしてこないと思われます。むしろ、トランプ大統領が再選されると米軍基地の費用負担を要求してくると思われます。

日米関係は、外交下手の菅首相が、どこまで新大統領と信頼関係を築けるかにかかってきます。

アメリカ大統領選の結果、更にその後の情勢から目が離せません。

ガラッと話は変わって、今日は、ダイヤモンド・オンラインの「ROEをひたすら追求する経営がコロナ下で危険だという理由」という記事を取り上げます。

今、多くの経営者や投資家が、ROEという指標に注目しています。ROEは「Return On Equity」の略で自己資本利益率のこと、「株主が会社に預けているお金を使って、どれだけのリターン(利益)を稼いでいるか」を見る指標です。次の式で表されます。

       ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 (%)

株主、特に機関投資家は、「企業が株主から預かったお金(自己資本)でどれだけ効率よく経営しているか(利益を上げているか)」という点を重視しています。ROEが低いということは、株主から預かっているお金を効率よく運用していないというわけですから、当然ROEが高い会社に比べれば株価も低迷します。株価が低迷すれば企業の資産総額も低下するので、経営者もROEを無視することはできません。

日本企業は利益効率が悪くROE8%を最低ラインとして、その上を目指すべきと言われることがあります。

このようにROEは重要な指標ですが、ROEが高い企業が果たして優良企業かと言うとそうとは限りません。先ほどの方程式を見ると分かりますが、ROEを高めるには、①分子である「当期純利益」を上げる以外に ②分母である「自己資本」を下げることでもできるのです。つまり、「自社株」を購入して「自己資本」を減らせばいいわけです。しかし、「自社株買い」をやりすぎると、純資産が減少して企業の安全性に問題が出てくる可能性があります。また、①「当期純利益を上げる」ためには経費を減らせばよいわけですからリストラを行い人件費を減らすことでもできます。ROEだけを考えた経営を行うと、中長期的な会社の安定性や、従業員・雇用の問題に十分に配慮した経営が出来なくなります。

一方でROAという経営指標があります。ROAは「Return  On Assets」の略、資産利益率のことです。これは、「会社が資産に対してどれだけ利益を上げているか」を示す指標で、次の式で表されます。

       ROA  = 当期純利益 ÷ 資産 × 100 (%)

これに 売上高/売上高 をかけると

       ROA = 当期純利益/売上高 ÷ 売上高/資産 × 100

という式が出来上がります。この当期純利益/売上高」は売上高利益率「売上高/資産」は資産回転率を表します。これを見ればわかるように、ROAは利益によって資産が増えるスピードを表すサイクル(利益⇒資産⇒売上⇒利益)になっています。つまり、ROAが高い企業は資産から生み出される売上や利益の成長が早いということです。株主からすれば、積極的な投資により成長が期待される会社であり、債権者からすれば、貸付金回収の確実性が高く、従業員からすれば、倒産リスクが低く給料アップが期待できる会社となるわけです。ROEのように収益性だけを示す指標ではなく、収益性に加え、安全性や成長性にもかかわる指標と言えるのです。

その意味ではROEよりも重要な指標と言えます。

この記事でも、ROAを追求することが経営者の最も重要な役割と考えても良いと言っています。今回の新型コロナのような突発事案では、どのような企業も突如売り上げが蒸発・消滅してしまうリスクを抱えていることが判明しました。収益性重視というROEよりは安全性への配慮が必要だということを思い知らされました。

東京商工リサーチは、11月5日、新型コロナ関連倒産が700件を超えたと発表しました。負債総額が10億円を超える大型倒産が減る一方で、体力の乏しい中小・零細企業の倒産が増加しているようです。政府の支援や無利子融資で生き延びてきた企業が耐えきれなくなって倒産の道を選ばざるを得なくなったようです。生産性の低い中小企業を潰そうともくろむ菅首相にはあまり期待できそうにありませんが、更なる中小企業支援策を行ってもらいたいものです。

ROEを高めるために自己資本比率を引き下げる、あるいは当期純利益を上げるためにリストラをするようなことを行えば、結局は自分の首を絞め倒産リスクを増加させます。そのことを十分に認識したうえで、今後も新型コロナのような突発的な事態が起きても生き残れるように安全性重視の経営を心掛けることが重要です。そのためにもROE 重視からROA重視に切り替えるべきだと思います。