中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

休日の本棚 「読まなくてもいい本」の読書案内

f:id:business-doctor-28:20201115082821j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1737人となり、3日連続で過去最多を更新しました。内訳は、東京352人、神奈川147人、埼玉104人、千葉88人、愛知152人、大阪285人、兵庫79人、北海道230人などとなっています。大阪は2日連続で過去最多を更新し、神奈川、茨城、静岡も過去最多となっています。早急にしっかりとした感染防止対策をとらない限り、感染拡大を止めることは出来そうにありません。しかし、菅政権はまともに動こうとしていません。国民のための内閣を作ると言いながら、国民に対して明確なメッセージを発することもなく、握った権力を振りかざし強権政治を行っているだけです。安倍政権以下です。もはや期待はできません。国民一人一人が自分の責任で身を守るしかありません。赤羽国交相も西村担当相も、GoTo利用について「国民が自分の判断でやっている」と発言し、国民に責任転嫁しようとしているわけですから、政府を当てにせず一人一人がしっかりと自分が出来る範囲の対策をとるしかありません。

さて、休日は、「休日の本棚」と称し、本の紹介をしてきました。私自身が興味のある分野やビジネスに役立つと思える本を紹介しているつもりです。できる限り、本のエッセンスを書いて、(本当は読んでほしいのですが)読まなくても内容は分かるようにしているつもりです。

総務省の統計によれば、日本では年間約7万点の本が出版されています。そのれらの本をすべて読むなどと言うことは到底できることではありません。それではどのような本を読めばよいのか、それも悩むところです。

そこで、今日は橘玲著「『読まなくてもいい本』の読書案内」(筑摩書房という本を紹介します。と言っても、この本が「読まなくていい本」を紹介してくれているわけではありません。橘氏と言えば、「マネーロンダリング」や「タックスヘイヴン」などの国際金融情報小説だけでなく、投資や経済、社会時評などのノンフィクションも手掛ける作家です。

橘氏は、「何を読めばよいのか」と悩む人は真面目で、「読むべき本」のリストはすでに持っていてそれに追加する本を探しているというのです。その結果、「読むべき本」がどんどん増え、「読むべき本がこんなにある」→「まだ全然読んでいない」→「自分はダメだ」というネガティブ・スパイラルに嵌っていくというのです。むしろ、「読むべき本」を探すのではなく、「読まなくていい本」を見つけて、「読むべき本」のリストからどんどん削っていけばいいのです。

私も、書店で本を見ていると、つい「これも読まなきゃ」という気になってしまいますが、「読むべき本」を探すという姿勢よりも「読まなくていい本」を探すという姿勢の方が楽な気がします。昨日も書いたように、人間の人生なんて、一瞬の「間」で短いものです。その間に読める本の数も知れています。思い切り「読まなくてもいい本」を削り取り、本当に「読むべき本」に限定すればいいのです。

何が読むべき本なのか、何が読まなくてもいい本なのか、の指標というか基準については人それぞれではないかと思います。本を読むということについても、娯楽(趣味)として読むこともあれば、情報収集もあれば、スキル向上もあれば、知識を広げる目的もあれば、さまざまです。それぞれが自分に合った基準で読まなくてよい本を見つけ、自分の読むべき本リストから削ればいいのです。

橘氏の基準は」と言えば、次のようなものです。

20世紀半ばからの半世紀で「知のビッグバン」というとてつもなく大きな変化が起きたというのです。これが従来の学問の秩序を組み替えてしまうような巨大な潮流で、「人文科学」「社会科学」と呼ばれる分野に甚大な影響を及ぼすというのです。その原動力になっているのが、複雑系、進化論、ゲーム理論脳科学などです。この「知のビッグバン」の以前と以後を分け、ビッグバン以前の本は読書リストから外してしまおうというのです。古い理論や古い思考で書かれた本は費用対効果で読む意味がないということです。

本書では、複雑系 ②進化論 ③ゲーム理論 ④脳科学 ⑤功利主義 という5つの分野で現在と到達点を示し、それ以前に書かれた本は読まなくてもいい本として除外するという方法が採られています。 そして各章のブックガイドで、その分野の到達点を示すにふさわしい本が紹介されていますが、はっきり言って難解な書物ばかりで、読むのに一苦労も二苦労もする本です。私自身はあまりお勧めいたしませんが、過去に私が紹介した本も含まれています。取り敢えず、ブックガイドの中から読みやすい本をいくつか挙げておきます。

  1. 複雑系・・・複雑系とカオス論自体が哲学的かつ数学的で難しすぎます。グリックの「カオス論」(新潮文庫)、ワールドロップの「複雑系」(新潮文庫)、以前紹介したダンカン・ワッツの「偶然の科学」(ハヤカワNF文庫)など
  2. 進化論・・・長谷川眞理子「進化とはなんだろうか」(岩波ジュニア新書)、ドーキンス「進化とは何か」(早川書房)など
  3. ゲーム理論・・・松井彰彦「高校生からのゲーム理論」(ちくまプリマ―新書)、友野典男行動経済学」(光文社新書)、以前紹介したカーネマン「ファースト&スロー」(ハヤカワNF文庫)など
  4. 脳科学・・・池谷裕二「進化しすぎた脳 中高生と語る『大脳生理学』の最前線」(講談社ブルーバックス)、以前紹介したミチオ・カク「フュ―チャー・オブ・マインド 心の未来を科学する」、オリヴァ―・サックス「火星の人類学者」「妻を防止と間違えた男」(いずれもハヤカワNF文庫)など
  5. 功利主義・・・マイケル・サンデル「これからの「正義」の話をしよう」(ハヤカワNF文庫)、森村進「自由はどこまで可能か リバタリアニズム入門」(講談社現代新書)など

自分の基準で「読むべき本」を見つけ、自分の基準に合わない本は「読まなくていい本」とすればいいように思います。

重要なのは、自分の基準をどのように築くかです。先ずは、どのような目的で読書をするかです。その目的に合った基準があるはずです。趣味や娯楽ならば、自分の好きな分野の本を選んで読めばいいわけですし、専門的な知識を得たいというなら特定の分野の本を入門書から順次専門書へと切り替えていけばよいわけdす。幅広い知識を身に付けたいというならあらゆる分野の入門書から始めればいいわけです。

私が「休日の本棚」で挙げている本も私の基準で選んだ本にしかすぎません。いろんな分野の本を挙げているつもりですが所詮は私の基準にあった本です。

参考にするなり無視するなりしていただいて結構です。 

f:id:business-doctor-28:20201115100919j:plain