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「忘年会」をコロナ禍の今こそじっくりやるべき理由

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2066人で、日曜発表の感染者数としては過去最多となりました。その内訳は、東京418人、神奈川151人、埼玉139人、千葉75人、愛知155人、大阪381人、兵庫111人、福岡43人、沖縄47人、北海道192人などとなっています。

GoToトラベルの札幌市・大阪市除外となって初めての週末でしたが、空港や駅での人出は減っていたものの繁華街での人出は増えているようです。大阪市では北区・中央区の飲食店に対し営業時短を要請していますが、隣の福島区の飲食店街は人出が増えていました。道を一つ隔てただけで時短要請の対象となったり対象外になったりというのもいかがなものかと思います。東京23区のように一律の方が分断や差別につながらなくてよかったのではないかと思うのですが・・・3度目の時短営業の要請を受ける飲食店側の立場を思うと心苦しいところです。「勝負の3週間」と思い、ここさえうまく乗り切れれば何とか年末年始には客足が戻ると思いたいところですが、国民の行動変容に頼るだけの無為無策ではどうしようもありません。3週間で抑え込むために政府や自治体が何をするのか、何をしたいのかというところが一向に見えてきません。菅政権はそうした意味でも安倍政権を継承していると言わざるを得ません(国会で説明責任を果たさないという姿勢も安倍前首相と同じですが)。

昨日、「新型コロナ 7つの謎」という本を紹介し、「新型コロナウイルスとは何か」について書いてきましたが、今日の記事に「新型コロナの緊急性の高い症状厚労省資料)が載っていましたので付け加えておきます。

  • 本人が感じる症状・・・①唇が紫色になっている。 ②息が荒くなった(呼吸数が増えた)。 ③急に息苦しくなった。 ④生活をしていて少し動くと息苦しい。 ⑤胸の痛みがある。 ⑥横に慣れない。座らないと息が出来ない。 ⑦肩で息をしている。 ⑧突然ゼーゼーしはじめた。 ⑨脈が飛ぶ。脈のリズムが乱れた感じがする。
  • 周囲から見た症状・・・⑩顔色が明らかに悪い。 ⑪いつもと違う、様子がおかしい。 ⑫ぼんやりしている(反応が弱い)。 ⑬朦朧としている(返事がない)。

最近、医療機関の医師によれば、こうした症状があっても、コロナ差別、就職への影響や失職の恐れからPCR検査を拒否し、その後通院せず連絡が取れなくなるケースが増えているようです。こうした人たちが「見えない感染源」となっている可能性が指摘されています。こうした感染拒否が増えているのは、会社側の姿勢にも問題があると思います。なかなか難しいところではありますが、検査を申し出た人を称賛するような「空気」を創ること、コロナにかかった人を差別するのではなくむしろ早期に検査を受けたことで社内感染を広げなかったことを褒めたたえるような「空気」が必要でしょう。

さて、今日はダイヤモンド・オンラインの「職場での『忘年会』をコロナ禍の今年こそじっくりやるべき理由」という記事を取り上げます。

コロナ禍、第3波で感染が拡大し、GoToの見直し、飲食店の営業時間短縮要請が行われている現状に全く反するようなタイトルが目に付きました。

新型コロナが収束せず、むしろ逆に感染が拡大している中で、大勢で集まりワイワイと盛り上がり、1次会、2次会、3次会と飲み歩くような忘年会は論外です。

しかし、今年ほど仕事ぶり・働き方に大きな変化があった年はありません。経営者だけでなくすべての人が戸惑い手探りでこの難局を乗り切ろうと試行錯誤してきた1年だったはずです。「この1年を振り返り、状況を整理したうえで、来年以降どのように仕事を進めていけばいいかについて、いったん立ち止まり全員で考える、全員で考えを共有する機会を持った方がいいのではないか」とこの記事は言っています。

政府は新型コロナ禍で安倍政権時代から色々な施策を行ってきましたが、その検証を行わないまま菅政権に移行し、結局安倍政権時代と同じ轍を踏もうとしています。国は財政破綻はあっても潰れることはありませんが、企業は違います。コロナ禍で打ち立てた戦略や戦術が上手くいっているのか場当たり的でなかったか、その費用対効果を含めしっかりと検証し、その結果を来年以降に引き継ぎそれを生かしていかなければ潰れてしまうことさえありえます。

この記事が言おうとしているのは、「年末に社員全員がこの1年を振り返り考えを共有する機会を持て」ということで、この機会を「忘年会」と称しているのです。

その「忘年会」での課題はさまざまです。

1.コロナ禍によるテレワークで組織の機能の多くが毀損

  1. 会社のミッション(使命)の明確化=会社はどこへ向かっているのか・・・会社のミッションやビジョンに向けて、自部署のやるべきことがどのような位置づけにあるのか、関係する他部署の業務とどのように関連しているのか、といったことがメンバーに明確に理解されていることが必要です。
  2. メンバーの役割分担の明確化=同じ部署のメンバーはどんな仕事をしているのか・・・自部署のゴール達成に向けて、メンバー個々の役割分担が明確になっており、互いの業務をつなぐ調整がスムーズに行われることが必要です。
  3. 異常探知と対応=ちょっと「変」なことはないか・・・計画の範囲を逸脱する事象などについて情報共有が行われ、原因究明と対応策が常に作られ実施されることが必要です。
  4. メンバーの能力把握とフォロー=皆ちゃんと仕事をこなせているか・・・個々のメンバーが自分の担当業務を行う上で、基本的に十分な技能と意欲を有しており、不足する部分については他のメンバーの支援や当人の努力によって充足される状況が作られることが必要です。
  5. メンバーの業務外情報の共有=知っておくべき家庭や個人の事情はないか・・・仕事を行う際に、影響や支障がある可能性のある個々のメンバーの個人的な事情について、必要な程度(プライバシー侵害にならない程度)においてメンバー間で情報が共有され、必要な場面で配慮されることが必要です。

2.コロナ禍の組織では、情報が決定的に不足している

  1. 会社のミッションの整理と明確化・・・一体自社はこれから何を主力ビジネスとして戦っていくのか、その中で自分の部署は何を目指すのか、他の部署と役割分担や調整の在り方はどう変わるのか、テレワークをしている間に、自分たちはどこにいるのか、何をすべきなのか、会社のビジョンがよく分からない状況になっています。今、業界や会社はどのような状態にあるのか、会社の向かう方向性と自部署に求められる変化は何か、などについて部署内で集まってそれぞれの仮説を共有し、今後の準備をしておくことが必要です。
  2. メンバーの役割分担や関係の明確化・・・メンバー同士のコミュニケーションにおいて、必要な調整がしっかりと行われているかどうか、問題が発生した場合に十分に対応できる状況が確保されているかを確認することが重要です。
  3. 異常探知と対応・・・コロナ禍でちょっとした異常、ちょっとした異変への探知力が下がっています。オフィス内の無駄話、雑談の類や会議中のちょっとした思い付きが異常探知に役立っていましたが、コロナ禍でこういうコミュニケーションが減少し、異常探知能力が低下し、気づいたときには大問題となっているケースが増えています。
  4. メンバーの能力把握とフォロー・・・業務を行う能力不足は職場の上司や同僚などからの色々な形の支援を受ける中で充足されていました。テレワークの普及などによって、そのあたりが見えにくくなっています。他メンバーへの関心度が大幅に低下すると危険な技能不足が放置されることにもなりかねません。技能の過不足状況についても全体で認識しておく必要があります。
  5. メンバーの業務外情報の共有・・・コロナは、家族の状況をも大きく変えています。高齢者と暮らすものは高齢者の健康に留意しなければなりませんし、オンライン授業で子供がいつも家にいる状況では3度の食事を用意しないといけません。テレワークで毎日顔を合わす機会が減るとこうした私的な情報についての情報交換の場が劇的に減少し、無理な負荷を個人にかけてしまうことにもなります。

皆がオフィスに出勤していれば、メンバー同士の関係の悪さは他のメンバーに何となくく分かり、第三者による調整が行われやすく関係改善が早期になされます。テレワークなどで、メンバー同士の交流が減少すると、個々のメンバー間の期待度の変化や感情面の関係悪化が知らないうちに進行し、業務の遂行に直接影響を及ぼす状況にまで達してきます。特に悪化した感情面での関係性の改善・修復は早めに行う必要があります。元々飲み会や「忘年会」の目的も本来はそうしたところにありました。

嫌なことを忘れて、取りあえず水に流して、新たな気持ちで協力関係を結ぶというのが「忘年会」の主要な目的です。現況にあった形で(オンライン形式など)忘年会を実施することはコロナ禍の組織において重要です。

この記事では、前述の多様な課題についてじっくりとフランクに、本音で話し合える「忘年会」を開催すべきだと言っています。

1年を振り返り反省するとともにコロナ禍での自社の課題を共有し、来年に向けて全員が力を合わせ協力し合い、この難局に立ち向かっていくための士気を高める「忘年会」は必要なように思います。企業の課題や問題解決方法を議論するのはほかのWeb会議に任せ、この記事でも言っているようにフランクに本音が言い合える「忘年会」にすべきです。