中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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休日の本棚 エッセンシャル思考

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2442人、そのうち東京449人、神奈川188人、埼玉163人、千葉75人、愛知215人、大阪394人、兵庫129人、北海道212人などとなっています。重傷者505人と過去最多を更新し、1日当たりの死者数も45人で過去最多となりました。「勝負の3週間」が始まって1週間が経ちますが、高止まりした状況で収束の目途が立ちません。

昨日臨時国会が事実上閉会となり、菅首相が2か月半ぶりの記者会見を開きました。経済対策と自身の実績を強調するのみで、新型コロナの感染防止対策については具体的なものは全くなく失望しました。菅首相は、新型コロナの感染拡大について「極めて警戒すべき状況が続いている」とし「強い危機感で対応する」と言いながら、「飲食店の時短営業」と「マスク着用」を呼びかけるにとどまり、全く意味のないものでした。

分科会の尾身会長が「国民の努力に頼る時期は過ぎた」と言っています。国が積極的に具体的対策を行う時期です。この記者会見からも、口先だけで危機感や緊張感が感じられません。結局は、官僚が作成した原稿を棒読みし、記者からの質問も早々に打ちきり、記者の質問も前日の渡部の会見で渡部を追い詰めたような執拗さはなく馴れ合い的な記者会見で、心に響く言葉はありませんでした。菅首相には目に力もなく覇気が感じられず発信能力も欠けておりリーダーとしては致命傷です。

この新型コロナ感染再拡大という未曽有の危機的状況で、特措法の改正も行わず、具体的な感染防止策を示すことなく、国会を閉会するというのは、与野党ともに国民のことを第一に考えていない証拠です。猛省してもらいたいものです。

現代ビジネスに「『無能な上司』と『有能な上司』を分ける『決定的な違い』がわかった!」という記事が載っています。

ここで書かれているのは、有能なリーダーとは、「人の心を動かすリーダー」ということです。組織で働くうえで必要なスキルである「テクニカルスキル(業務遂行能力)」「ヒューマンスキル(対人関係能力)」「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」のうち「ヒューマンスキル」が重要だと言っています。「自分を動かす」のが「テクニカルスキル」だとすれば、「人を動かす」のは「ヒューマンスキル」だというのです。

菅首相には「テクニカルスキル」はあったとしても「ヒューマンスキル」が欠けているようなので「国民の心を動かす」ことは出来そうにありません。

さて、今日は本の紹介です。グレーグ・マキューン著「エッセンシャル思考 最小の時間で成果を最大にする』(かんき出版)を紹介します。

著者はシリコンバレーコンサルティング会社のCEOで、講演・執筆活動の傍ら、アップル、グーグル、フェイスブックツィッター、セールスフォースなどの各企業のリーダ-にエッセンシャル思考を指導しています。

エッセンシャル思考とは「より少なく、しかしより良く」を追求する考え方・生き方のことです。今、自分は正しいことに力を注いでいるか?」を絶えず問いかける行きからがエッセンシャル思考の生き方です。

非エッセンシャル思考は、「みんな・すべて」「すべてやらないと」という考え方・生き方のことです。

両者の違いは次のようになります。

1.エッセンシャル思考

  • より少なく、しかしより良く・・・①大事なことは少ない。②これをやろう。③何を捨てるべきか?
  • やることを計画的に減らす・・・①本当に重要なことを見極める。②大事なこと以外は断る。③あらかじめ障害は取り除いておく。
  • 充実感・・・①質の高い仕事ができる。②コントロールしている。③正しいことをやっている。④毎日を楽しんでいる。

2.非エッセンシャル思考

  • みんな・すべて・・・①どれも大事だ。②すべてやらなくては ③全部こなす方法は?
  • やることをでたらめに増やす・・・①差し迫ったものからやる。②反射的に「やります」と言う。③期限が迫ると根性で頑張る。
  • 無力感・・・①何もかも中途半端 ②振り回されている。③疲れ切っている。

先日も書きましたが、多くの人はブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)に追い回されています。何故多くの人、それも優秀な人が本質を忘れ、どうでもいいような物事にからめとられてしまうのでしょうか? 著者は、この問いに対し、「自分にとって何が大事か見分けられなくなってしまっているから」と言い、「断るのは悪いことという風潮」が原因の一つだと言っています。

人生も仕事もクローゼットと同じ、必要なものと不要なものを区別できなければ、どうでもいいことで埋め尽くされてしまいます。捨てる仕組みを作らない限り、やることが際限なく積み重なり、それに忙殺され、どれもが中途半端に終わってしまうのです。

著者が主張するエッセンシャル思考のクローゼット整理法は次のようなものです。

1.評価する。

 クローゼットの整理で、「いつか着る機会があるだろうか?」という問いかけは間違っています。「大好きか?」「すごく似合うか?」「しょっちゅう着るか?」と問いかけ、答えがノーならば捨てるのです。人生や仕事に置き換えれば、「これをやったら、ほかの何よりも重要な成果が得られるだろうか?」と問いかけるのです。

2.捨てる。

 クローゼットを整理して「いるもの」と「いらないもの」に分けたとしてもなかなか今すぐに捨てる決心はつきません。捨てるには努力が必要です。

「これをまだ持っていなかったら、今からお金を出して買うだろうか?」と問いかけるのです。仕事や人生では「もしもこの話が来なかったら、自分から積極的に取りに行くだろうか?」と問いかけるのです。

転がり込んできたチャンスにノーと言うことが出来なければ、流されるだけです。「どれを引き受けようか?」ではなく「何にノーを言うか」です。

捨てるべきものを問う時に、自分の優先順位がはっきりと見えてきます。自分の本当の使命がはっきりとなり、個人だけでなく組織全体のために最高の仕事ができるようになります。

3.実行する。

 クローゼットをきれいに保つには日ごろからの整理整頓が必要です。「いらないもの」を入れる袋を用意して、どうしても必要なもの以外はそこに入れ、定期的に処分するのです。人生や仕事も同じ、習慣を身に着けること、捨てるという意思を振り絞らなくてもいいように、行動を仕組化することが必要です。

つまり、いったんやるべきことを決めたならそれを無意識に実行できるようにすることです。クローゼットがいっぱいになるまで放置してから片付けるのではなく、日々の行動に組み込んで散らかるのを未然に防止するのが重要です。

エッセンシャル思考で重要なものは、見極める技術です。考えるべきことは①正しいこと(何をやるか?)を②正しいとき(いつやるのか?)に③正しい方法(どのようにして?)でやるかを考えて最高の結果が出せるようにすることです。エッセンシャル思考の人は、たっぷりと時間をかけ、多くの選択肢を見比べ、人の意見を聞き、話し合い、熟考しています。無駄に悩んでいるわけではなく、本質的なことを見極めようと努力しています。

最高の成果を出すためには断ることも重要です。経営学者のドラッカーも「デキる人は『ノー』と言う。『これは自分の仕事ではない』と言えるのだ」と言っています。しかし、相手を傷つけず、うまく事悪には勇気と思いやりが必要になります。これには先ほどの「ヒューマンスキル」が必要です。「捨てる」のを決めるのは自分自身です。選択の権利を放棄すれば、他人が人生を決めること何ってしまいます。

何かをやり遂げるには強い意志と努力が必要だと言われます。エッセンシャル思考では、努力と根性でやり遂げるのではなく、すんなりと実現するような仕組みを作るのです。

非エッセンシャル思考ではほとんどすべてのものが重要だと考え、どの選択肢も同等に扱います。しかし、エッセンシャル思考では、逆に大多数のものは不要だと考え、決定的に重要なものに集中します。エッセンシャル思考では何かを選ぶということは何かを捨てるのだという意識が重要なのです。

努力せず、自動的にエッセンシャル思考を実現するために重要なのは、①最悪の事態を想定することと②準備と計画に全力を注ぐことです。どのようなことでも不測の事態が起こり得る可能性があることを念頭に置いて徹底的に準備することです。

非エッセンシャル思考の人は場当たり的に問題に対処し、困ったらそれを直し、別のところが困ったらそれを直すというように応急処置を積み重ねるだけです。このように非エッセンシャル思考では応急処置でつぎはぎだらけになりますが、エッセンシャル思考では本当に必要なところに1度だけメスを入れ、最小限の努力で最大の成果を得ます。

エッセンシャル思考の場合、人やお金や時間をかける代わりに制約や障害を取り除くことにを真っ先に考えます。そのためには

  1. 目指すことを明確にします。「最終的にどこにたどり着きたいのか?」具体的で明確な目標の設定です。
  2. 次に、「この仕事をやり遂げるうえで、邪魔・障害になるものは何か?」ボトルネックを特定します。
  3. 「完ぺきじゃないとダメ」という考えを捨てて「完ぺきを目指すより終わらせることがぢ時」と切り替え、最大の障害のみを取り除く。

非エッセンシャル思考は、多くを望み、結局は得るものが少なく、派手な勝利を追い求めますが、エッセンシャル思考は、小さく始めて大きな成果ウィえ、地道でも着実に勝ちに行きます。小さな達成を繰り返しそれを目で見える形にできれば目標までの道のりは楽しいものになり満足に満ちたものになります。

先ほども書きましたが、エッセンシャル思考は、習慣化できる仕組みを作ることが出来るようにすることが重要で、正しい習慣を通じて自然に達成できるようにすること、重要なことをやるのが普通の状態であるというところまで持っていくことです。

エッセンシャル思考では、過去や未来に囚われず、現在、目の前の問題に集中し、今を楽しむことが大切です。「今・ここ・自分」に集中することです。未来のことなど頭から排除して、物事に優先順位をつけ、優先順位の高いものから順次1点集中で取り組むことです。

本書では「非エッセンシャル思考 VS エッセンシャル思考」の比較が随所で行われていますが、それは、個人に限らずチーム運営にも当てはまります。エッセンシャル思考のリーダーシップに必要なものは

  1. 人選の選別のこだわり抜く・・・邪魔な人材は排除する
  2. 各メンバーの特性と目標にとって最良の配置を決める・・・マンバーの役割をあいまいにしない
  3. 「何か一つだけしかできないとすれば何をするか」を考える・・・優柔不断で方向性が決まらないというのは駄目
  4. 目的が完全に明確になるまで話し合う、他人の意見に耳を傾け本質を見抜く
  5. 正しい情報を正しい人に正しいタイミングで伝える
  6. 小さな進歩を重ねているかどうか、適切にチェックする
  7. チームが一つにまとまりこれと決めた方向で飛躍的な成果を上げる

です。菅首相にも、一国のリーダーとしてエッセンシャル思考を身につけてもらいたいものです。

エッセンシャル思考というのは、思いのほかシンプルです。

ここで重要なことは「必要なもの」と「不要なもの」を峻別し、「不要なものを捨てる」ということです。99%の無駄を捨てて、1%に集中することで、仕事だけでなく人生も大きく変わるように思います。読んで役に立つ本です。

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