経営危機を乗り越える4つの改革
おはようございます。
昨日の新規感染者は全国で2812人と過去最多となりました。その内訳は東京572人、神奈川245人、埼玉245人、千葉93人、愛知245人、大阪427人、兵庫158人、北海道197人などとなっています。群馬(49人)、愛知、京都(75人)、広島(76人)、鹿児島(40人)、大分(21人)で過去最多を更新しています。重症者数も555人と過去最多となり、死者も42人出ています。
東京では500人前後、大阪400人前後、北海道200人前後で高止まりし、各地方に広がっています。政府が訴えた(口先だけで)「勝負の3週間」の2週間が経過しても収束の目途は立たず、減少する要因は見られません。
日本医師会の中川会長は医療のひっ迫状況に危機感をあらわにし、「移動歴のある社会活動が活発な世代からの感染が多いことが明らかになっている」「GoToトラベルは今でなければならないのか」と国民に旅行の再考を求めました。また、中川会長は東京や大阪などでの自粛期限がいったん期限を迎えることについて「徹底した万全の感染拡大防止策が、結果として最大の経済対策になることは一貫して申し上げている」「しっかりと決断していただきたい。決断するのは今しかない。あるべきベストに近い、ベターな選択をしていただきたい」と政府や自治体に注文を付けました。
また政府の分科会の尾身会長も、医療崩壊の危機感を示し「すべての年代で一度、人の移動を止めることが効果的と思っている」と述べ、「分科会としては、少なくともステージ3相当の地域は、感染のこの状況を打開するには、GoToを含めて人の動き、接触を控える時期だと思う」と述べ、東京などステージ3の地域でのGoToトラベルの一時中止を提言しました。
しかし、菅首相ら菅政権にはこうした切迫した声が届きません(聞こえないふりをしています)。いまだにGoToを一時中止するどころか奨励する動きに出ています。
もはや今回の感染拡大は、天災ではなく人災です。
年末年始は医療が弱い時期になります。それまでに感染をある程度抑え込まないと本当に医療崩壊して、年明けには大爆発を引き起こします。そして救える命も救えなくなってしまいます。政府に踊らされることなく、これから年末までの3週間を「我慢の3週間」として一人一人が気を引き締めて密を避け、新しい生活様式を実践し、われわれの力で新型コロナに打ち勝つしかありません。政府や自治体は当てにできません。
今日は、幻冬舎GOLD ONLINE の「『日立製作所』は経営危機をどう乗り越えたのか?4つの改革」という記事を取り上げます。
コロナ禍で、どの業種・どの業態でもあらゆる企業が経営危機に見舞われています。
基本的に常に順風満帆で業績に問題はないという企業は存在しません。どの企業でも業績が順調な時期があったかと思うと経営が危うくなる時期も経験します。どのような企業でも、例え有名な大企業でも同じです。どんな会社でも、経営危機は訪れ、避けて通ることはできません。
このようにどのような企業であっても経営危機を完全に回避することは難しいのです。重要なのは、危機に陥った際に、その危機をどのように乗り越えていくかを考えることです。
日本の製造業史上で最大の級の赤字を出しそれを乗り越えた日立製作所の成功の歴史は、どの企業にとっても参考になるものです。
この記事では、会社は機械やコンピュータが動かすものではなく人が動かすものなので、経営上のミスや慢心が生まれると言っています。
嘗て東芝のように粉飾決算で経営危機を隠そうとしそれを契機に存亡の危機に直面した企業もありました。粉飾決算を未然に防ぎ、万が一発生した場合にはなるべく早い段階でその芽を摘むような仕組みを用意し、きちんと運用していく必要があります。
経営危機を回避するのが難しいように、企業内での不正を全く起こさないようにするのも難しいのです。会社は人が動かしているものなので、完全に不正を防止することは困難です。そこで、不正を早期に発見し、その芽をつぶしていくことで会社が傾くような大きな事態に発展するのを防止するシステムを作ることが重要です。
粉飾でごまかすのではなく、業績を立て直すにはどうすべきかを経営トップだけでなく全社員が一丸となって経営を改革していくことが重要になります。経営改革の努力を継続していくこと以外に、経営を立て直すことは不可能です。
それでは日立製作所が経営危機に陥った後立て直しを図ったケースを見ていきます。
日立製作所は、2009年3月期には当時製造業最大の赤字7873億円を計上、経営危機に陥り、「沈む巨艦」と呼ばれるようになりました。この時の株主資本比率(総資産に占める株主資本の割合)は11.2%でまさに崖っぷちの状況でした(70%以上が理想、40%以上あれば潰れないと言われています)。
日立製作所には優秀な連結子会社があって利益を上げていましたが、それでも連結決算で大幅な赤字となったのは、日立製作所本体と非上場の子会社が大赤字を出していたからです。つまり、「業績の良い事業を業績の悪い事業が食いつぶしていた」というわけです。
そうした状況で、日立製作所は4つの経営改革を断行します。
1.事業ドメインの再設定
- 「今後自社はどのように生きていくのか、会社の方向性を全社員に示す」ことです。日立製作所がドメイン(事業領域=競争する領域)としたのは「社会イノベーション事業」でした。ここに、ITと社会インフラをつなぐ事業をグループとして手掛けていくということを示しました。そして、このキーワードで、日立製作所は「総合電機メーカーの看板を下ろす」ということを現したのです。
- 電器産業においては、上流である研究開発や製品の基幹となる部品製造事業と、下流に位置するメンテナンス、ソリューション事業は付加価値が高く収益性も高くなる半面、中間に位置する組み立て事業は付加価値が低く収益性も低くなる傾向にあります。日立製作所は、高い収益性が見込まれるじょうりゅう(社会インフラ事業)と下流(ITを核としたソリューション事業)を自社のコア事業利中流の組み立て次号は自社グループの事業から切り離しました。
2.グループ事業の再構築
- 前述した自社グループのコア事業を手掛ける会社を完全子会社化、吸収合併する一方で、コアとならない事業に関してはグループ外へ切り離していきます。この事業再構築に聖域はなく、御三家と言われた日立化成、日立金属、日立電線も例外でなく、日立化成、日立電線は上場子会社から切り離されました。
- 事業の再構築には各事業部門やグループ会社にとって大きな痛みが伴います。痛みを伴う断行が出来たのは、日立製作所の経営に対する危機感がグループ全体で共有され、社長自身のリーダーシップによるところが大きいと言えます。
3.コスト構造改革
- グループ全体のコスト削減です。生産拠点の最適配置や集約、集中購買やグループ調達の拡大、間接業務の効率化などを通じてグローバルで勝つためのコスト競争力を強化しています。
4.取締役・執行役のグローバル化
- 取締役11名のうち、8名が社外取締役で、その半数は外国人、いずれもスリーエムやダウ・ケミカルなど海外企業の経営経験者です。こうした外国人の社外取締役からは厳しい意見が出されますが、日立製作所は、これらの意見に耳を傾け、積極的に受け入れようとしました。
このような経営改革を通じて、日立製作所は2018年、2019年と2期連続で営業最高益を更新し、完全復活を遂げたと言えます。
経営が順調な時期が続くとどうしても社内に危機感が薄れ、慢心が生ずるものです。
この危機的状況にあるコロナ禍をうまく乗り切ることが出来たとしても、その後に危機感の薄れや慢心で再び経営危機に陥らないようにしなければなりません。経営危機を乗り切ることができたとしても、より良い企業を目指し経営改革を続けていくことが必要です。