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ココイチ流「行き当たりばったり」経営論

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2434人、そのうち東京460人、神奈川226人、埼玉173人、千葉119人、愛知216人、大阪306人、兵庫144人、北海道104人などとなっています。全国の重傷者は592人と過去最多、1日の死者も53人と過去最多になっています。

菅首相がGoToトラベルの一斉停止を決定したことは一応評価できると思うのですが、その会見直後に銀座のステーキ店で忘年会を開催し8人(基準では少人数ではなく大人数)で会食していたと報じられました。参加者は、二階幹事長らのほか、王貞治氏、杉良太郎氏、みのもんた氏と高齢で基礎疾患を有する感染リスクの高い人ばかりです。国民に対しては移動や会食を控えるように要請しながら自らは大人数で会食というのでは国民に示しがつきません。言っていることとやっていることとがまったく一致していません。リーダ-たるもの「範を示す」ことが大事です。日曜日の「リーダーのための仕事論」で書きましたが、リーダーたるものは、何かを伝えようと思うならば、まず自分の日常生活を厳しく律しなければなりません。

公明党の山口代表は「国民に対するメッセージ性もある。そこはよく配慮しながら、今後、検討していただきたい」と、立憲民主党の福山幹事長は「政治家といえども夜の会食は感染防止の対策をとり、なるべく自粛する。首相として模範になっていただくべきだ」とそれぞれ苦言を呈しました。一方で加藤官房長官は、「様々な方々と会い、多様な意見に触れることは政治家にとって大変重要」などと的外れな発言をしています。参加者によれば野球の話や秋田の話などで単なる忘年会だったとのことです。

ドイツのメンケル首相が、新型コロナの感染拡大について拳を振り上げて連邦議会で演説しました。普段はポーカーフェイスのメンデル首相が感情をあらわにしたのです。今日のドイツの異常さが現れています。ドイツでは9月29日の時点で、新規感染者数が1827人、重症患者が352人、死者12人でしたが、12月8日に新規感染者数2万815人、重症者数4257人、死者590人となっています。元科学者であるメンデル首相は客観的なデータを挙げて国民に接触を減らすようにさらなる協力を求めました。この身振り手振りを交えた情熱的なスピーチは世界的に拡散されました。「ガースーです」とニコ生に出演しへらへらしていた菅首相とは対照的です。ニューズウィークでは「メンケル演説が示した知性と『ガースー』首相の知性の欠如」と書かれ、日本の恥です。それはさておき、ドイツの数字を見ると、適切な対策が取られなければ、日本でもドイツのような感染爆発が容易に起こり得ることを示しています。日本でももう少し危機感と緊張感を持った対策が必要です。

さて、今日は、NIKKEI STYLEの「世界展開するココイチが成功したワケ 創業者の『行き当たりばったり』経営論」を取り上げます。この記事は、ココイチの創業者宗次徳二氏の著書「独断」の紹介になっていますが、ココイチ創業者宗次氏の独特の経営法は参考になると思うので取り上げます。

宗次氏は非嫡出子として生まれ、施設を経て3歳で養父母に引き取られ、極貧の幼少期を過ごし高校卒業後不動産会社に就職します。結婚を機に不動産業を開業しますが、妻が始めた喫茶店を手伝って飲食業に目覚め喫茶店業に転身します。

宗次氏は、「経営は行き当たりばったりが一番いい」と言っていますが、これは「いい加減でいい」という意味ではなく、「考えすぎず目の前のことに集中し、全力で取り組む」という意味です。

そして宗次氏が重視するのが本のタイトルにもなっている「独断」です。名古屋では、喫茶店には「モーニングセットは絶対必要」と言われていましたが、宗次氏は喫茶店開業に当たり全く導入しませんでした。また、ココイチでは外食産業の低価格競争の中でも一度も値下げは行っていません。「人に頼らない方が上手くいく」と言ってコンサルタントの助言は受けていません。

この記事では、こうした「独断」ともいえる経営で、ココイチが成功したのは「現場主義」「お客様第一主義」「率先垂範」の3つにこだわったからだと言っています。

経営のヒントはすべて現場にある」と言って、宗次氏は一店舗でも多くの店を回りスタッフの働きぶりを自分の目で見て改善点を見出し、フィードバックするということを繰り返していました。

また、「経営は継栄である」という信念で「継続して栄え続けることが本当の経営であり、太く短くでは意味がない」と、業績よりも「お客様のために最善を尽くす」ことが継栄につながるというのです。

先ほど述べましたが、ココイチは一度も値下げを行っていません。「お客様第一主義」から言えば値下げはその一つの手段ですが、顧客満足は価格だけではありません。「安かろう不味かろう」では客は寄り付きません。値下げを行わなくても味やサービス面で顧客満足が高ければ客は離れていきません。

「現場主義」「お客様第一主義」を徹底し、それを社長自らが実践していく、これが「率先垂範」です。リーダーや経営者は、率先垂範、背中で自らの行動を示さなければなりません。部下はリーダーの背中を見て、それを信じ従います。

宗次氏は53歳の若さで経営から身を引きます。後継者は息子ではなく、19歳の時にアルバイトとして入社して以来のたたき上げの副社長にスムーズにパトンタッチしています。引退後は、立ち上げたNPO法人社会福祉活動などを行い、地域社会活動を通じて利益を社会に還元するという宗次氏流のスタイルが貫かれています。

宗次氏のココイチ流経営法を「行き当たりばったり」経営論と銘打っていますが、全く行き当たりばったりではありません。経営の本質に「現場主義」「お客様第一主義」「率先垂範」という3つの柱がしっかりとしているので、目の前のことに集中できるのです。傍から見れば「行き当たりばったり」に見えても、本質がブレていないので「いい加減」とならず、その時々の状況に合わせ適切な判断が出来るのです。

経営にとって必要なのは、そのブレない本質的な部分をしっかりと作り上げることではないかと思います。それさえしっかりと確立できていれば、状況に合った適切な判断ができるはずです。