中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

停滞する日本企業変革の処方箋

f:id:business-doctor-28:20201217082225j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で2992人で、そのうち東京678人、神奈川287人、埼玉179人、千葉123人、愛知248人、大阪396人、兵庫135人、北海道86人などとなっています。東京、神奈川、愛知、京都(97人)、群馬(63人)、福島(19人)で1日当たりの新規感染者数が過去最多となっています。また重症者も618人と過去最多を更新し、過去最多と並ぶ53人が亡くなっています。

昨日で「勝負の3週間」が終わりましたが、高止まりというか増加傾向で、この勝負は完敗だったように思います。口だけで「勝負の3週間」と言いながら具体的な対策は取らず国民への自粛要請だけでは勝ち目はありません。

今から言っても詮無いことですが、最初の段階でGoToトラブルを停止していたならば結果も変わり勝ち目が出ていたかもしれません。ここに至って、ようやくGoToトラブルの一斉停止、GoToイベント・商店街の停止が決定しました。遅きに失した感はありますがやらないよりはマシです。大阪市中央公会堂プロジェクションマッピングも中止が決定されました。残念ですが、仕方ありません。

西村担当相は、これまで「5人以上の会食は感染リスクが高い」として「5人以上の会食を控えるように」と言っていましたが、菅首相の大人数でのステーキ会食を受け「5人以上の会食、一律で駄目とは言っていない」とあたかも菅首相を擁護するかのような発言で全く一貫性がありません。5人以上でも気を付けて会食していればいいというのなら、GoToを停止したり時短営業を要請する必要はなかったのではないですか。菅首相は国会閉会後の会見で「感染リスクが高い場面が飲食です。お店の時間短縮は極めて重要です」と述べています。国民に対しては自粛を要請しながら、自らはそれを破り大人数で会食をし、側近がそれを擁護する、最悪の図式です。

さらに、菅首相は、「国民の誤解を招くという意味においては真摯に受け止めている」と言いましたが、自らの非を認めて謝罪するという基本的な姿勢が出来ていません。「国民の誤解」とは一体何ですか。誤解した国民が悪いということですか。

もはや菅政権は駄目です。まともな側近がいず、二階という古狸に操られているだけ、こうした老害を排除しないと日本の政治の浄化はできません。昨日書いた独メンケル首相をはじめ各国のリーダーとの差は大きく、これが日本の現状です。こういう政治家を選んだ国民にも責任はあります。しっかりと判断して日本の将来を任せられる政治家を選びましょう。また、派閥の論理だけで選ばれで国民が直接首相を選べないというのも問題です。

さて、政治の話はそれくらいにして、今日は、Forbes JAPANの「いまが成功と失敗の『分岐点』。日本は自己組織化モデルを目指せ!」という記事を取り上げます。

平成の30年、精彩を欠いた日本企業は、企業変革をしないまま進化を止めてしまったか、欧米流の企業変革モデルに飛びついて失敗したかのどちらかのケースが大半を占めています。

新型コロナの感染拡大で、企業が生き残るためには、これまで以上に企業変革が必要なことは間違いありません。ではどこを向いて走り出せばいいのか、多くに企業が岐路に立ち先が見えないまま模索を続けているというのが現状です。

ここでは、停滞する企業への変革の処方箋として4つの経営モデルが紹介されています。

1.シュリンク・トゥ・グロー

  これは、いったん無駄を削減して体制を立て直してから成長するというもので、コロナ禍では避けて通れない生き残り戦略になります。しかし、これには、①V字回復して元に戻れると安心して一過性になってしまう ➁その後の成長が難しくなる という副作用があるとされます。事業を小さくするのは比較的簡単ですが、成長に必要な資産まで捨ててしまい、結果的に「シュリンク・トゥ・ナッシング」になってしまうことも奥、注意が必要です。この経営モデルでは、立て直した後の成長に必要な資産は何かを見極め、それは捨てずに残しながら無駄を削減していくことが将来の成長へと結びつくように思います。

2.セルフ・ディスラプション

  これは企業が今までの伝統を覆すような大きな変化を行うことです。自己否定と創造的破壊ともいわれますが、自分のいいところをすべて捨てて、ゼロベースで始めるビジネスに勝算はありません。成功するためには全く新しい飛び地に行くのではなく「ずらす」ということが必要になります。自分の資産を新しい市場にずらすのか、今の市場に向けて新しい資産を活用するのか、この点を十分に理解しないまま創造的破壊に飛びつけば悲惨なことにもなってしまいます。

3.ポートフォリオ・オブ・イニシアティブ

  これは、時間を横軸に、リスクを縦軸にとってポートフォリオの奥行きを広げる戦略で、デジタル産業のように変化が常態化している産業や次世代成長を加速したい企業に向いています。ポートフォリオというのは、もとは金融用語で鞄に入れる有価証券の目録を意味していましたが、経営用語としては複数の事業や製品を展開する企業が全社的な観点から経営資源の配分が最も効率的かつ効果的となるような事業や製品の組み合わせを意味します。ポートフォリオ・オブ・イニシアティブでは、誰かと組んで実験を繰り返したり、異質なところや新しいところに宿主を伸ばし、ポートフォリオの新陳代謝を強くするものです。

4.「メビウス運動」モデル

  これは、「自己組織化」モデルで、自分を信じればできる日本流の自発的に変化できるモデルです。⑴顧客現場で変化する市場の現場をしっかり押さえ ⑵組織DNAで、自分たちの最も強い資産をどう生かせるかを考え ⑶客の想いと自分の強みを重ね、自分が提供できる新しい価値を発見再定義し、⑷規模を大きくできるビジネスモデルを作り込み、⑸事業モデルを作り現場に持っていき、顧客の反応を見て⑴の顧客現場につなげるのです。

以上の4つの経営モデルのうち、最初の3つは欧米型のモデルで、日本企業がやるには経営がよっぽどしっかりしていなければお勧めできない、日本企業には適していないと言っています。日本企業に最も適したのは4つ目の「メビウス運動」モデルだと言っています。

「現場重視」は日本企業の得意とするところですが、ここでいう現場は「事業現場」ではなく「顧客現場」です。「顧客第一主義」は口が酸っぱくなるほど言われていることですが、「顧客第一主義」と言っても口先だけで本当の意味で顧客のことを一番に考えているということは少ないのです。どうしても企業経営ですから会社利益が優先されてしまいます。

自分の資産をうまく他人のものとつなげ、それを顧客に下ろしていくかです。自分たちにとって重要な資産は有形資産だけではなくブランド・知識・人材・ネットワークといった無形資産も含まれます。そうした強みを暗黙知ではなく明確にして形式知化した形で磨いていくという仕組みが必要と言っています。まさにトヨタ生産方式セブンイレブンフランチャイズモデル、星野リゾートの「おもてなし」モデルがこの仕組みに当ります。

この記事では、「自己修正力があれば生き残れる。しかし、生き残ることと高い志で世の中を変えることとは違います。『何のために変革するのか』がすごく大事なのです。単に生き残るだけの変革でいいのか」と言っています。昨日も書きましたが、経営というのは「継栄」です。経営には、生き残るだけではなく継続して成長するという視点が必要です。