中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

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リモートワークによるコミュニケーション減少の問題点

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おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で4919人と過去最多を更新しました。その内訳は、東京1278人、神奈川622人、埼玉369人、千葉261人、愛知273人、大阪394人、兵庫222人、京都102人、福岡187人、北海道79人などとなっています。死者も72人と過去最多、重症者数も771人と過去最多となっています。神奈川、埼玉、千葉、栃木(111人)、長野(44人)、岐阜(98人)、三重(30人)、和歌山(17人)、長崎(55人)、宮崎(38人)の10県で過去最多となり、感染拡大が全国的に広がっています。こうした全国的感染拡大の中で1都3県だけの緊急事態宣言、それもかなり中途半端な緊急事態宣言で感染拡大を食い止めることができるのでしょうか。特に関西圏での感染者数、重症者数、死者数を見ると「緊急事態宣言を要請する段階にない」(吉村知事)と言える状況ではないと思います。関西広域連合は、首都圏との往来自粛を要請するようですが、他の地域と関西圏との往来自粛を要請する必要はないのでしょうか。首都圏が、大阪・北海道のGoTo一時停止に乗っからずに感染拡大させたのと全く逆の状況で、関西圏で再び感染拡大し後手後手で緊急事態宣言を要請するというような事態にならないことを祈ります。

政府は、明日にも1都3県を対象に緊急事態宣言を発令するようですが、分科会の尾身会長は、「東京など1都3県はステージ4の対策が必要な段階に達している」としたうえで「緊急事態宣言そのものが感染を下火にする保証はない。1か月未満でステージ3にまで下がるのは至難の業」との認識を示し、行政機関や大企業での極力7割のテレワーク実施、飲食店に時短営業の徹底やイベント開催要件の強化などを求める提言を行いました。

以前、尾身会長が、「感染者の感染経路不明者の多くは飲食店での感染の可能性が高い」と言い、「飲酒の有無や場所、昼夜を問わず、食事の場(例えば、フードコートなど)で感染が起きている」と発言しました。尾身会長が時短要請の根拠に挙げているのが札幌・大阪の時短要請後の感染者数の減少傾向、飲食を通じたクラスターの多さと海外研究報告で、尾身会長自身述べている通り、直接的なエビデンスはありません。菅首相は、尾身会長の発言のうわべだけを捉え、「専門家は、飲食の場で感染拡大が起きていると言っている」として、緊急事態宣言も飲食店の時短要請重視にかじ取りしています。更に、政府は、時短要請に応じない店舗の公表ができるように政令を改正する動きを見せていますが、これには十分な補償が前提でなければなりません。これは憲法で保障されている営業の自由をあまりにも軽視するものです。「何でも罰を与えれば国民は従う」というのでは警察国家です。

これまでGoToで優遇してきたかと思うと一転手のひらを返してまるで飲食店が悪者のように締め付ける、一貫性のない政策としか言いようがありません。多くの飲食店は感染防止対策をとって営業されています。マスクを外し、大声で会話をするなど、悪いのはそこで飲食する客の態度です。飲食店も従業員を含めた生活がかかっています。十分な補償があれば、要請に応じることができます。先ずは罰として名前を公表することではなく、店や従業員の生活が十分に成り立つような補償です。政府は1日当たり5万円の協力金を支給するとしていますが、店によってかかる必要経費も千差万別です。1日5万円で賄えるところもあれば、5万円では全く意味のない店もあります。これではある程度の規模を持った店舗を潰れてしまうしかありません。飲食店関係であっても仲卸など協力金の対象とならない業者もあります。緊急事態宣言で影響を受けるところにはすべて生活が成り立つように補償されるべきです。

さて、昨日は「リモートワークでの部下の燃え尽き症候群についての対処法」について書きましたが、今日もリモートワーク関連で、「『リモートワークでコミュニケーションが減った』実際何が問題なのか?」というヤフーニュースの記事を取り上げます。

今回の緊急事態宣言発令で、飲食店の時短要請だけでなくでリモートワークの必要性・重要性がさらに認識されるようになっています。新型コロナの感染再拡大により、職場での感染も増加傾向にあり、通勤・移動途中の感染リスクも高まってきています。こうした中、リモートワーク、特に在宅勤務は、ニューノーマルな働き方として認知され、「家族との時間が増えた」「自己啓発に時間が割ける」「集中して仕事がはかどる」という好意見がある反面、「気が散る」「生産性が低下する」「仕事と家庭の両立が難しい」といった意見もあります。この記事では、重要なのは「選択だ」と言っています。企業としては最大限の選択し、働く場所の提供を行い、従業員は多様な選択肢から自律的に生産性が高まる場を選択するということです。在宅勤務かオフィスかといった二者選択から、サテライトオフィスなどサードプレースを含めたあらゆる場所の中から生産性高く働ける場所を選ぶ「ハイブリッドワーク」が主流となりつつあります。

「特定の場所でしか働けない」となると、その場所で生産性が高まる人もいれば、逆に生産性が下がる人も出てきますが、自ら生産性が高まる場所を選ぶことができれば、在宅勤務は生産性が下がるというなら、出社勤務でなくサテライトオフィスを利用することもできるのです。

ただし、リモートワークが進展することで負の側面、特にコミュニケーション面に関する課題が多くの企業で挙がってきています。

コミュニケーション総量の減少がどのようなデメリットを生んでいるのでしょうか?

1.モチベーションの低下

 リアルな場であれば横にいる人と気楽にコミュニケーションが取れますが、リモートワークであると、電話をかける、Web会議を立ち上げる、メールをするなどワンクッション入り、億劫になりコミュニケーションの量は必然的に減少します。メールやチャットの場合すぐにレスポンスが来るかもわかりません。今すぐ聞きたい、相談したい、あるいは雑談したいというのもリモートワークだとやりにくくなります。その結果、個人で色々ため込んでメンタル不調に陥るということにもなります。そうして、やる気、元ベーションも低下します。

 モチベーションを高めるためのヒント・対処法は先日紹介した「ブレインドリブン」を参考にしてください。

2.帰属意識の低下

 リモートワークで出社する機会も減り、コミュニケーションが減少すると、会社や部署への帰属意識が低下します。働く場が家であったり契約しているコワーキングスペースや場合によっては喫茶店という状況では、「会社らしさ」を感じることが難しくなります。「会社らしさ」というのは、メンバー同士が醸し出す雰囲気であり、リアルな場でしか感じ取ることができません。「会社らしさ」を感じることができなければ帰属意識は当然に低下します。帰属意識を低下させないためにはリアルな場で仕事をすることも必要になります。そこで、丸々すべてをリモートで行うのではなく1週間のうち何日かは出社、何日かはリモートワークと、リモートワークと出社勤務をバランスよく組み入れることです。

3.会社のビジョン・方向性を伝えることの難しさ

 リモートワークにより、会社のビジョン、方向性を伝えることが難しくなっています。伝えるだけならばWeb会議でもできますが、会社のビジョン・方向性というのは、伝えるだけでは不十分で、「共感」「腹落ち」といった要素が必要になります。ドラッカーが言うように、「コミュニケーションは情報ではなく、思想、意見、情報を伝達し合い、心を通じ合わせるプロセス」なのです。

4.エンゲージメントの低下

 エンゲージメントというのは、従業員満足度のことです。労働環境・上司と部下とのの良好な人間関係・福利厚生などの面から見た職場の居心地の良さを示す言葉です。

 リモートにより、会社とのつながりが低下し、その結果、方向性やビジョンが伝えにくくなり、エンゲージメントが低下するのです。リモートワークによって目の前の生産性は高まるかもしれませんが、長期的に見た場合、エンゲージメントの低下は生産性の低下に直結します。

生産性の向上」を「効率性の向上」と「創造性の向上」に分解した場合、エンゲージメントの低下は特に「創造性の向上」に影響します。企業の事業継続、企業の発展には新たな取り組みや変革が必要であり、そのために「創造性の向上」は必須です。

人と人の繋がり、人と組織の繋がり、その繋がりをベースとした協働意欲、エンゲージメント(従業員満足度)の向上には、やはりリアルな場が必要です。

仕事のモチベーションを高め、帰属意識やエンゲージメントの醸成へつなげるためには、「思いに共感する」「感動する」といった機会が必要で、リアルな場でのコミュニケーションは避けて通れません。一方で、冷静な議論をするにはWeb会議が有効だという場面も出てきます。

必要なのは「ハイブリッドワーク」で、場合に応じて、本社オフィス(出社勤務)、在宅勤務、リモートワーク・サテライトオフィスをうまく使い分け、適切なコミュニケーションをとることです。