中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

「人治」式マネジメントと「法治」式マネジメント

f:id:business-doctor-28:20191227134414j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で3852人、そのうち東京1026人、神奈川394人、埼玉253人、千葉340人、愛知215人、大阪343人、兵庫153人、京都113人、福岡155人、沖縄84人、北海道106人などとなっています。東京では前日の618人から一転して再び1000人を超えました。数字に一喜一憂するのもどうかと思いますが、第一回目の緊急事態宣言時と違い緩々の要請なので、今後も増減を繰り返し横ばいの状況が続いていくように思います。政府内でも2月末までの緊急事態宣言延長論が強まっているようですが、各地で自宅療養者・自宅待機者で死者が出たり高齢者や基礎疾患を有する者が入院できなかったりするような状況では、医療体制がひっ迫状態を脱出できるようになるまで延長はやむを得ないと思います。ただ、再々延長ともなれば、経済に与える影響も看過できなくなります。2月末には、経済と感染防止を天秤にかける難しい選択が迫られます。ここで選択を間違い、不十分な状況なのに緊急事態宣言解除にかじ取りすれば、西浦教授が言うように再び感染拡大が起こり、第3回目の緊急事態宣言発出という事態にもなりかねませんし、再々延長ともなれば倒産件数の増加、それに伴う失業者増、自殺者増と経済に与える影響は多大なものになり、政府が必死に強行しようともくろんでいる五輪の開催も遠のきます。いずれにしても2月末に解除できるように新型コロナを抑え込むことしかありません。

さて、今日は、ダイヤモンドオンラインの「企業の成長に伴い『人治』から『法治』へとマネジメントの比重は移る」を取り上げます。先週の「ジャック・ウェルチの『人治』の経営」の続編です。

人治」によるマネジメントとは、「事業運営の最適化を推進するために、誰がどの範囲で、パフォーマンスを発揮するのが適切なのかを見極め配置し、責任を持たせ指導を行い人を育てる」というマネジメント方式です。より優秀な人材を組織図の上位に立たせ、その個人のイニシアティブや適切な判断、前向きの行動によって、事業や組織を発展・成長させるという考え方で人材の育成が欠かせません。

これに対して、「法治」によるマネジメントは、「どういう業務手順の組み立てがパフォーマンスを最大化できるのか」を追求するマネジメント方式です。

事業のスタートアップの際には、どうしても属人的な能力で事業と組織を引っ張っていかなければなりません。しかし、ある程度の事業規模になったときや競業状態が熾烈を極めるステージになったときや、創業者が高齢になり事業承継を考えなければならなくなったときなどには、トップひとりのPDCA力だけでは事業を成長させ続けることはできません。

この記事では、適切な「人治」と適切な「法治」を追求する文化づくりを行う必要があると言っています。「人治」式マネジメントにしても「法治」式マネジメントにしても、どちらにもメリット・デメリットがあります。それぞれのメリットを生かし補完する体制を作ることが重要です。

創業者の場合、どうしても自分の想いを形にすることに注力してしまう傾向があり、自分中心のマネジメントに終始してしまいます。創業者がトップにいる時にはそれでよいのですが、企業が存続・成長するためには次を見据えた戦略が必要になります。「ウェルチの『人治』による経営」で書きましたが、「人治」式マネジメントでは、「コピーを創ることではなくクローンづくり」、つまり、自分と同じ思考回路を持った人材を育成することが重要です。そうはいっても、創業者と異なり、二代目、三代目となるとどうしても小粒になります。創業者のような想い入れもありません。

そこで、自社の業務を成功に導く業務の進め方、言うなれば「業務定義」を明確に描き、それを組織に定着させることで自社の成長、収益性を大きく改善させる必要があります。それは、

  • 業務手順を明確にする(業務定義)
  • 実行を徹底する(躾)
  • その結果を見て、さらに修正する(カイゼン

です。これらを「ものづくり」の各工程だけでなく、物流、設計、開発、営業も含めたあらゆる業務で分業して徹底し、すべての業務が進化し続ける組織を作るのです。トヨタ生産方式もこうしたものが基礎にあります。

このような「法治」式マネジメントに成功した企業で、それをけん引したのは現場をよく知り、ナンバー2のポジションにいて組織のパフォーマンスをいかに高め続けるかのイメージを描くことができた人たちです。

企業が大きく成長していくためには、パフォーマンスを最大化できる業務手順を策定しその業務手順を実行し修正していくという組織の構築が重要になります。つまり「法治」式マネジメントです。しかし、「法治」式マネジメントにおいてもそれを動かすのはあくまでも人です。人材の育成は欠かせません。「法治」式マネジメントをけん引する人材を育成するというために「人治」式マネジメントも必要になります。

この記事も、「人治」と「法治」のマネジメントはどちらかを選ぶものではなく、組織を強化する二つの切り口であると捉えるべきだと言っています。

創業時(スタートアップ)には「人治」に比重を置き、自社の成長に合わせて「法治」を取り入れその比重を高めていくというように、「人治」と「法治」の両方の視点から自社のレベルを上げていくことが重要なのです。