現場で使える会計力
おはようございます。
昨日の新規感染者は全国で2673人、そのうち東京633人、神奈川390人、埼玉243人、千葉212人、愛知121人、大阪214人、兵庫111人、京都76人、福岡127人、北海道104人などとなっています。休日で検査件数が少ないとはいえ、かなり減少してきています。ただ、心配なのが、変異株ウイルスによる職場クラスター発生のニュースです。イギリス型の変異株が渡航歴のない埼玉と東京の男女5人から検出されましたが、埼玉県の4人は先日変異株が検出された東京の男性の同僚や顧客ということです。この職場関係の感染者は9人となりクラスターが発生したとみられています。国内の変異株の感染者は、これまで64人ですが、最初に発見された静岡と関西国際空港での検疫を除けば、ほぼ関東に限定されていますが、今後緊急事態宣言解除に伴い人の移動が活発になると全国的に広がるのではないかと懸念します。変異株は感染力が7割増しで死亡率も高いというデータもあり、厚労省は面的な広がりはないと言っていますが(市中感染していると言いながら面的広がりはないという意味がよく分かりません)、心配です。
さて、今日はダイヤモンド・オンラインの「決算書が読めるだけでは危ない!本当に『現場で使える』会計力とは」という記事を取り上げます。
ビジネスパーソンにとって必須科目である「会計」知識ですが、決算書が読めるだけでは実践的な会計力は見につきません。実践で役立つ会計知識が必要なことは言うまでもありません。
この記事では、「『社内での数字をどのように共有するか』で、会社の経営は天と地ほどの差がつく」と言っています。現在のコロナ禍では。より一層「現場の数字」が重要になってきます。公認会計士の田中靖浩氏は、社内での数字意識の低さについて「赤信号で、周りを見ずに道路へ直進している状態に等しい」と警鐘を鳴らします。
企業会計は、企業を取り巻くさまざまな利害関係者に対して、企業の経済活動に関する適切な情報を報告するという目的を持っています。その企業会計は、その目的(外部報告目的と内部報告目的)により、「財務会計」と「管理会計」に区分されます。
「財務会計」は、主に企業を取り巻く株主、投資家、債権者、政府などの企業外部の利害関係者に対して、企業の財政状況や経営成績に関する情報を提供することを目的としています。これに対して、「管理会計」は、効果的な経営管理に役立つように、企業内部の経営者や各部門の管理者に対して、その意思決定や業務管理に役立つ資料を作成し提供することを目的としています。
このように「財務会計」と「管理会計」とは目的や基本的な立場が違うために、共通点を持ちながらも、それぞれ独自の部分を持っています。「管理会計」は、「財務会計」によって作成された経営成績を、その会社の管理の状況が分かるように集計・分類・置き換えることによって、効率的な経営計画の設定などの目的を果たすようになっているのです。
「財務会計」の中心となる決算書は株主などの外部の利害関係者に向けて報告するものですから、決算書が読めてそこに書かれている数字を理解しても、社員には役に立たないことが多いのです。「管理会計」は、社内で利用するための数字ですから、これは単なる数字ではなく「社員同士の共通語」と言ってもいいものです。「経営トップが示した数字を達成するために、社員自らが考え、行動する」というのが「管理会計」の考え方であり、この「管理会計」の考え方を身につけておかなければならないのです。
単に社外に結果を報告する「財務会計」とは全く異なります。
だから、「どの数字を指標にするか」が重要で、経営側はその指標を用いると「社員はどのような行動をとるのか」を徹底的に想像し、社員は会社・経営側の意図を的確にくみ取り行動に移さなければなりません。
「管理会計」について、もう少し詳しく見ておきます。
「管理会計」は、「会社の経営管理を目的とした内務向けの会計」なので「会社の業績を上げる(会社の業績の効率を改善する)ための資料の作成」が重要になってきます。
会社の各現場部門から売上や経費などの会計情報が経理部に送られてきます。経理部では送られてきた各部門の会計情報を前期と比較したり、当期の予算と実績を対比したりして、翌期の予算計画などの概要を作成します。この作成された資料が各現場部門に送られます。各現場部門は送られてきた市長をチェックし、それを基に予算の達成具合やよく気の予算の作成などを行います。個の際に重要なのが、前年比で売り上げが落ちている場合や予算が未達の場合にその原因を究明し経営効率を改善することです。また、製造や物流では、ムダな作業をしていないか、無駄な経費を使っていないかをチェックすることも大切です。経費の無駄が省かれれば、余ったお金を新商品や新技術の開発に回すことができるからです。
「管理会計」はこのような好循環を会社にもたらすために必要不可欠な管理手法です。
この記事では、管理会計に重要なのは、KPI(重要業績評価指標)であると言っています。KPI=Key Performance Indicatorの略で日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。これは目標を達成するうえで、その達成度合いを計測・監視するための定量的な指標のことです。難しそうに見えますが、営業部門で言えば、訪問件数や受注件数といったKPIがあり、受注件数というKPIが達成できれば自然とや売上件数や売上高と言った個人や組織の目標を達成できます。
KPIは個人や組織が日常業務を進める際に、達成度合いを具体的な数値で測定すれば、目標に対してどのくらい進捗しているかが分かる指標なのです。
このKPIの設定により個人の行動指針が決まってきます。
しかし、KPIの設定が正しくても、共有方法が下手な会社は失敗します。現場に経営者と同じ数字意識は必要ありませんが、それぞれの社員に必要な情報を絞って分かりやすい言葉で伝えることが重要です。現場の社員がきちんと認識・理解できるようにKPIを設定し、伝えることが必要です。
この記事では、「利益成長している強い会社の多くは、企業の経営陣から現場レベルまで適切な『KPI』を設定し、現場の行動に落とし込むことに成功している」と言っています。
適切なKPIを設定し、中間指標であるKPIの達成を通じてさらに上にあるKGI(Key Goal Indicator 重要目標達成指標)につなげることが重要になります。
つまり、ビジネスパーソンにとって重要なのは「管理会計」であり、その中でキーとなるのはKPIです。中間目標であるKPIを適切の設定することで、目標が明確になり、個人やチーム・組織の方向性がはっきりします。また、KPIを明確に設定することは後に控える最終目標達成のための重要な要素となるのです。
企業の中には、財務会計、特に決算書を焼き直しただけで、明確な目的を持って管理会計を行っていない企業も少なからず存在します。企業においても管理会計の重要性を再認識し、適切なKPIの設定に心がける必要があると思います。