中小企業が日本を救うbusiness-doctor-28

中小企業経営のための情報発信。中小企業から日本を元気に

事業価値を向上させられる経営者のポイント

f:id:business-doctor-28:20200214084729j:plain

おはようございます。

昨日の新規感染者は全国で1570人、そのうち東京412人、神奈川142人、埼玉173人、千葉98人、愛知84人、大阪155人、法後68人、京都27人、福岡71人となっています。全国の重症者は759人、昨日の死者は94人と、以前に比べれば減ってきていますが、まだまだ医療体制はひっ迫しています。大阪府の吉村知事は、府独自の基準を満たしたものの医療のひっ迫状況を考え、緊急事態宣言解除の要請を見送ることしたと発表しました。緊急事態宣言解除に前のめりになっていた吉村知事を医療関係者が医療現場の窮状を訴え思い留まらせたようですが、現時点では妥当な判断でしょう。吉村知事が言っていたように、3月末から4月に入学・入社・転勤などで再び人の移動が活発化し感染拡大につながることは、昨年の例からも明らかです。それまでにできれば一桁まで抑え込んでおく必要があります(第1回目の緊急事態宣言解除時は、国内の新規感染者が100人を下回り、関西地区解除時(5月21日)に大阪は5人、首都圏解除時(5月25日)に東京は8人でした)。それでも、再び急増に転じてしまいます。

今回はワクチン接種に期待大ですが、ワクチンの効果や副作用など未知のことが多く、懸念もあります。来週から医療従事者へのワクチン接種がスタートし、高齢者に4月頃から、一般には6月頃からというのでは、東京オリンピックまでに全国民が接種を終えるという状況にはなさそうです。森発言で水を差した東京オリンピックパラリンピックを強引に開催するのか、中止または延期するのか、俎上に載せる時期に来ています。

さて、今日は、ダイヤモンドオンラインの「事業価値を向上させられる経営者かどうかを判断する3つのポイント」いう記事を取り上げます。

日本企業の内部留保は過去8年増加を続け、コロナ禍でも、大手企業は内部留保の大きさが功を奏しています。しかし、大手企業が内部留保を蓄えていたのは、緊急時を見越したコンティンジェンシープランだったかと言うとそうではありません。バブル崩壊からの立て直しのために内部留保の確保に努力した習慣が、そのまま「前例踏襲」で引き継がれ、従業員や株主に還元されることなく莫大な内部留保を生み出しただけです。

今回のコロナ禍ではその内部留保のおかげで、危機的状況を乗り越えられた企業も多々ありますが、内部留保は蓄えるだけのものではなく、使ってこそ意味があるものです。企業が「攻めの姿勢」を取り、謙虚な姿勢で「学び」を続けていくことが重要なのです。将来の「攻めの投資」の元手となる内部留保を効率的に使ってこそ、企業の継続・成長があるのです。

アメリカの企業を見ると、株主は株価と配当への志向性が強く、配当か成長性に基づく株価上昇による当期の事業価値の向上を求めます。こうしたことから、米国の経営トップらは、会社の先々のことなど無視して株価を上げること・短期収益の確保に躍起になります。それに対して、日本企業の株主は、アメリカに比べると穏やかで、目先の配当や株価上昇よりも中長期的な成長を求めています。

この記事では、「企業の永続的な発展を実現する健全化を図りたいと考え、その腕を持つ、心ある経営者やそれを目指すビジネスパーソンにとって、本来、日本は極めて理想的な環境が出来上がっているはず」ですが、「現実は、せっかくのその環境が活用できていない」と言っています。

企業にとっての重要課題は永続性のある成長です。

ビジネスや商売の本質は、手元資金を1年なら1年という期間で、どれだけ増やすことができたかということにつきます。極めてシンプルなものです。先日、「戦略と会計のマネジメント」という本の紹介で書きましたが、「お客様を喜ばせて、しっかりと儲けること」です。そのためには働いてくれる社員・従業員が必要ですし、その事業の価値を信頼して『買いたい』と思ってくれるお客様に支えられています。

企業経営というのは永続するものでなければならないのです。仕事をしてくれた従業員に対する分配金(給料)、事業に要した経費、企業に投資してくれた人々(株主)への配当を差し引いて、残った利益を積み上げ、それを使って事業を拡大、発展させていくべきものなのです。

しかし、この記事も言っているように、利益を捻出するために、経費を抑えて無理やり利益を出し、それだけで満足している企業も見受けられます。企業の発展の原動力となりうる知恵や知見は人件費として扱われ、人件費抑制のために優秀な人材が退職することになると、優秀な人材が知恵の集積を会社に残すことなく、会社を去っていきます。それは会社にとって極めて大きな損失です。ここでも人材の重要性が言われています。如何に人を育て、会社の財産にするかということです。人材=人財です。

この記事では、事業価値を向上させる経営者の評価は次の3つで出来ていると言っています。

  1. 事業に要した金額に対して、どれくらいのリターンがあったのか、つまりお客様がどれだけの付加価値を認めたのか(効率)
  2. 事業が成長していて、その成長に継続性をもたらす挑戦がなされ、学びがなされ続けているか(攻めによる学習と、それによる成長性)
  3. そのぞ行が信頼のブランドとして、世にどれだけ浸透して、顧客のリピートにつながっているのか(信頼の蓄積)

経営者や株主も、損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)の数字ばかりに目を向けていれば経営判断・投資判断を誤ります。PLやBSが無意味とは言いませんが、それは結果にすぎません。経営の本質は、事業の永続性、事業価値向上にあります。そのためには、「資産効率」「永続的な学び」「信頼の獲得」というこの3つについて、目を向けていなければなりません。「お客様を喜ばせて、しっかり儲ける」という戦略メカニズムが必要だということです。